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勇者
解決
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ソアニール王都内で拡がっていた病気は何だったのかは結局判らなかった。
私は医者ではないし、水を使ってあっという間に治してしまったからだ。
症状を纏めた資料はあるのでトウヤに聞けば分かるかもしれないが、街の中にもごく短時間の雨を降らせて消毒は済んでいるし、多分これ以上被害が拡大する事はないだろう。
念の為国王らに飲ませた物を作成した国の薬剤師に泉の水を一樽ほど渡しておく。
「こんなにいただいて宜しいのですか?」
「ええ。私にとってはただの水です。しかしお渡ししたのは国民の為です。それをお忘れなきよう」
「心して使います」
泉の水を薄めると言っても普通の水を混ぜるのではなく、蒸留させた水を入れて希釈しているらしく中々本格的だ。
薄めて使うのでなら一樽有れば十分だろう。
全ての用事が片付いたのでブランシュに帰国する旨を伝える。
「分かりました。精霊様、もし宜しければソアニールに拠点を移しませんか?」
「それは出来ません。が、ライアッドと友好関係にあるなら何かとお手伝いは出来るでしょう」
「ありがとうございます。陛下と相談の上でライアッドと友好関係を築ける様に最善を尽くします」
ブランシュとの話も終えて、次はライズ達だ。
「ライズさん、お世話になりました」
「いえ、勇者コースケに操られていたとはいえ数々の非礼を許していただきありがとうございました。敵対していた我々を助けるばかりか国まで救ってくださるとは、何と御礼を言えば良いのか……」
「総督閣下もライアッドとは友好関係を築きたいと言っていましたし、また近いうちにお会いできるかもしれません」
「その日を楽しみにしております」
ライズ達中隊の兵達とも別れの挨拶を済ませて私達はセイランに戻る事にする。
帰りは《瞬間移動》で帰るので時間は掛からない。颯太、カナエ、トコヤミ、ギョクリュウ達と精霊達を送還してから転移の準備に入る。
転移先はいつも出入りするセイランの門の近く。
突然現れた私達に驚く門衛達だが、私達だと分かったら手に持つカンテラを振ってくれた。
そう、日も暮れて既に夜なのだ。
私達はゆっくりと門へ向かう。
「無事に終わって良かったね」
「今回も大冒険になってしまいましたね」
リンとミラが笑顔で話をしている。二人も治療を手伝ってくれていたのでその表情には疲れが滲み出ている。
「納得いかないのは砦の騎士の人だよ。あの人、洗脳が効かなかったって事はお母さんの水で助けられてるんでしょ?なのにお母さんを『ライズさん達を誑かした』とか言って。ああいうのを恩知らずって言うんだよね?」
「彼は治療を受けた時に私の水で回復した事を知らないのかもしれないわ」
オルブライトのあの性格だと、知っていても態度は変わらなかったと思うが。
「仕事熱心なだけの可能性もあるしね」
セロが苦笑混じりに言っている。
「何にせよ大した被害もなく、あれだけの事をやってしまうなんて……僕達よりもずっと冒険者らしいです」
疲労のせいかアルの表情は暗い。
「アルさん、一緒に来てくださったのに大変な目に遭わせてしまいごめんなさい」
「い、いえいえ!僕はハルさんと一緒にいられて嬉しかったです!」
謝る私に慌てるアル。
隠すべき言葉が完全に表に出てしまっているのだが。
その様子を見て芽依は何やらニヤニヤしているが、私はアルの好意には応えてあげられない。
「お母さんはエリオット殿下に求婚されてるし、モテモテだよねー?」
「あら、芽依だってギルバート殿下に好かれているじゃない」
「う……余計な事を言っちゃった」
芽依はまだギルバートの事が苦手な様だ。
私達は門衛達に挨拶をして街の中に入ると、全員がかなり疲労していたので報告は明日にしようと言う事になり広場で解散となった。
私は医者ではないし、水を使ってあっという間に治してしまったからだ。
症状を纏めた資料はあるのでトウヤに聞けば分かるかもしれないが、街の中にもごく短時間の雨を降らせて消毒は済んでいるし、多分これ以上被害が拡大する事はないだろう。
念の為国王らに飲ませた物を作成した国の薬剤師に泉の水を一樽ほど渡しておく。
「こんなにいただいて宜しいのですか?」
「ええ。私にとってはただの水です。しかしお渡ししたのは国民の為です。それをお忘れなきよう」
「心して使います」
泉の水を薄めると言っても普通の水を混ぜるのではなく、蒸留させた水を入れて希釈しているらしく中々本格的だ。
薄めて使うのでなら一樽有れば十分だろう。
全ての用事が片付いたのでブランシュに帰国する旨を伝える。
「分かりました。精霊様、もし宜しければソアニールに拠点を移しませんか?」
「それは出来ません。が、ライアッドと友好関係にあるなら何かとお手伝いは出来るでしょう」
「ありがとうございます。陛下と相談の上でライアッドと友好関係を築ける様に最善を尽くします」
ブランシュとの話も終えて、次はライズ達だ。
「ライズさん、お世話になりました」
「いえ、勇者コースケに操られていたとはいえ数々の非礼を許していただきありがとうございました。敵対していた我々を助けるばかりか国まで救ってくださるとは、何と御礼を言えば良いのか……」
「総督閣下もライアッドとは友好関係を築きたいと言っていましたし、また近いうちにお会いできるかもしれません」
「その日を楽しみにしております」
ライズ達中隊の兵達とも別れの挨拶を済ませて私達はセイランに戻る事にする。
帰りは《瞬間移動》で帰るので時間は掛からない。颯太、カナエ、トコヤミ、ギョクリュウ達と精霊達を送還してから転移の準備に入る。
転移先はいつも出入りするセイランの門の近く。
突然現れた私達に驚く門衛達だが、私達だと分かったら手に持つカンテラを振ってくれた。
そう、日も暮れて既に夜なのだ。
私達はゆっくりと門へ向かう。
「無事に終わって良かったね」
「今回も大冒険になってしまいましたね」
リンとミラが笑顔で話をしている。二人も治療を手伝ってくれていたのでその表情には疲れが滲み出ている。
「納得いかないのは砦の騎士の人だよ。あの人、洗脳が効かなかったって事はお母さんの水で助けられてるんでしょ?なのにお母さんを『ライズさん達を誑かした』とか言って。ああいうのを恩知らずって言うんだよね?」
「彼は治療を受けた時に私の水で回復した事を知らないのかもしれないわ」
オルブライトのあの性格だと、知っていても態度は変わらなかったと思うが。
「仕事熱心なだけの可能性もあるしね」
セロが苦笑混じりに言っている。
「何にせよ大した被害もなく、あれだけの事をやってしまうなんて……僕達よりもずっと冒険者らしいです」
疲労のせいかアルの表情は暗い。
「アルさん、一緒に来てくださったのに大変な目に遭わせてしまいごめんなさい」
「い、いえいえ!僕はハルさんと一緒にいられて嬉しかったです!」
謝る私に慌てるアル。
隠すべき言葉が完全に表に出てしまっているのだが。
その様子を見て芽依は何やらニヤニヤしているが、私はアルの好意には応えてあげられない。
「お母さんはエリオット殿下に求婚されてるし、モテモテだよねー?」
「あら、芽依だってギルバート殿下に好かれているじゃない」
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