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戦争
予兆
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ティナちゃんの未来視をミームスギフトでコピーして確認してみたら未来が2つ見えた。
ティナちゃんに聞いてみたけど、兵隊さんが攻めて来ている映像しか見てないそう。
これはどういう事だろう?
ここでは流石にマズいけど、みんなと話し合ってみる必要がある。
臨時の教師3人は竜達とダンジョンマスターに任せて一度宿に戻る事にした。
ーーーー
宿に戻るとルーティアさんとミルドさんが食堂にいたので、自室に移動してもらってさっきの未来視の結果を話してみた。
「その兵士ってのはどんな連中だったんだい?紋章とかそういうのは見なかった?」
「はい。確かこんな…。」
紙とペンを用意してもらって描いてみる。
「これは…ディルロード帝国の紋章だね。」
私の描いた紋章を見てミルドさんが答えてくれた。
「ディルロード帝国って、あの人攫いの?」
「そうだ。しかし奴らが攻めてくるには距離がありすぎないか?兵站の確保だって容易じゃないだろう。」
眉間にシワを寄せながら言うルーティアさん。
「考えられるのは近隣諸国のいずれかが手引きしている可能性だね。他には何か見えなかったかい?」
「いえ、特には何も…。ただ、明らかに別視点で、帝国の兵士じゃなくて魔物が攻めて来ている映像も見えました。」
ミルドさんに聞かれ、映像の詳細を伝えていく。
「二つ目の映像が何なのかだね。時間を置いて攻め込まれているのか、あるいは別々の未来なのか。」
「話を戻すけど、他の国が手引きしている可能性があるとしたらどこの国になるの?北の神国は距離的にも関係はないと思うし、聖国は壊滅してそれどころじゃないだろうし。」
「それ以外の周辺諸国というと、まず西のドワーフの国ゼルグランか。あそこはディルロード帝国に味方をする理由は見当たらないと思うが。」
「他には東のリアード王国だね。エルジュとは古くからの友好国だけど、最近国王が崩御されてね。第一王子が継承したんだ。」
リオさんの質問にルーティアさんとミルドさんが答えてくれる。
「新体制になって心変わりがあったかもしれないわね。そのあたり、国は調べているのかしらね?」
「どうだろう。城の復旧でそれどころじゃないかもしれないけど。」
私のせいだー。
「私達で東方面を見に行っても大丈夫ですか?」
「その話だが、実は国から相談されていてね。」
「相談ですか?」
「東方面の領地なんだが、守りの要になっていたのはディルーン侯爵領だったんだ。」
「あ…。」
それはマズいかもしれない。
「侯爵が死んで後継を立てなければならないのだが、あんな死に方をしたものだから誰も跡を継ぎたがらなくて揉めているらしい。」
それは何とか家の中で片付けて欲しい。
「更には邪竜を連れた少女が復讐に来るという噂も立ち始めて、領地内は混乱して、移民を始める者が増え始めてきた。」
私は復讐なんてしないよ?
「ディルーン侯爵の最大の戦力といえばやはり竜騎兵団だろう。エルジュでの戦闘の後、侯爵領に戻った竜から次々と狂い死に始めてな。今は使い物にならないそうだ。」
それは私の所為じゃないと思うよ?多分…。
「国は中央の機関が混乱状態なので各方面への適切な対応が出来ずにいるらしい。」
それは…ごめんなさい。
「もうミナが統治すればいいんじゃない?」
ソラちゃんそれは無理だよ。私にそんな能力はないからね。
「それで、ミナに何かしろって言って来たの?」
「そこまで直接ではないが、侯爵領からの人の流出を止める手立ては無いかと言ってきた。」
「ティアに言ってきた辺り、恐らくミナに何かしてもらいたいという事なのだろうけどね。」
何かって、私に何が出来るんだろう?
「そうねぇ…。神国の竜に頼っちゃう?具体的にはオルに。」
リオさんが提案する。オル君なら知名度もバツグンだし、領地に行って、一言言ってもらうだけでも違うかもしれない。
「お役に立てるのであれば我が身を是非お使いください。」
犬形態のオル君もそう言ってくれている。
「じゃあ、侯爵領を中心に周辺でも話してもらおうか。」
取り敢えずやる事は決まった。
その前に一度エリストに戻っておきたいと思う。ルーティアさん達もいつまでもここにいる訳にはいかないと思う。
「それなら明日帰ろうか。みんな王都での仕事は全部片付いたし。」
「そうだね。私も兄の手伝いをしないといけないからね。」
ルーティアさんとミルドさんが賛成してくれて急遽明日帰る事になった。
私達にとって移動自体は大した問題ではないのだけど。
ーーーー
翌日、全員揃った所でエリストに転移して帰る事になった。今回はテュケ君も連れて行く事になった。エリストで鍛えてくれるらしい。
「グラマス。大変お世話になりました。一度エリストに戻らせていただきます。」
「そうか。お前達、これからもルーティアの事を支えてやってくれ。」
全員が大きく頷く。
「私達はすぐルブルスリウムに戻ってきますので。」
「うむ。手が空いた時にギルドに来てくれ。色々相談したい事がある。」
「分かりました!」
お世話になった人達にお礼を言って、《リージョナルテレポート》でエリストに転移する。
転移した先はエリストを出発して半日位の場所。馬車で門を通らないといけないので少し遠い所に転移しておいた。
「ミナにしては気が利くじゃねぇか。」
ダキアさん、私の事を何だと思ってるんですか?
馬車に乗り込んでエリストを目指す。
エリーゼさんの代わりにリオさんとソラちゃんとテュケ君が乗っているけど、狭いという事はなかった。
ーーーー
馬車は軽快に進み、随分と早くエリストに到着した。
「荷はほとんど無いし、グランドホース達の疲労も無いからね。」
なるほど。
「ギルマスが帰って来たぞー!!」
「おかえりー!!」
門衛の人が大きな声で告げると人がいっぱい集まってきた。
やっぱりルーティアさんやダキアさん達は人気なんだね。
みんなに歓迎されながら、取り敢えず冒険者ギルドのあった方へ。
建物は殆ど取り壊されて、新しい柱や壁が立ち始めていた。
「みんなおかえりなさい。エリストを経ってから再建工事を始めたのですが、なかなか建設技術師が集まらなくてまだこんな状態です。」
アリアさんが私達を見つけてくれて直ぐに報告してくれた。
「建設なら私もミナも使えるからやってしまおうか?」
「あら、この子達は?」
「あー、初めまして、リオです。こっちはソラ。2人とも最近冒険者になりました。」
「はじめまして。」
「はい、初めまして。それで、建設が使えるというのは本当ですか?」
「ええ。私は建物のイメージが下手だからミナにやってもらおうか?」
「え?はい。分かりました。」
着いて早々冒険者ギルドを建てる事になった。
ティナちゃんに聞いてみたけど、兵隊さんが攻めて来ている映像しか見てないそう。
これはどういう事だろう?
ここでは流石にマズいけど、みんなと話し合ってみる必要がある。
臨時の教師3人は竜達とダンジョンマスターに任せて一度宿に戻る事にした。
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宿に戻るとルーティアさんとミルドさんが食堂にいたので、自室に移動してもらってさっきの未来視の結果を話してみた。
「その兵士ってのはどんな連中だったんだい?紋章とかそういうのは見なかった?」
「はい。確かこんな…。」
紙とペンを用意してもらって描いてみる。
「これは…ディルロード帝国の紋章だね。」
私の描いた紋章を見てミルドさんが答えてくれた。
「ディルロード帝国って、あの人攫いの?」
「そうだ。しかし奴らが攻めてくるには距離がありすぎないか?兵站の確保だって容易じゃないだろう。」
眉間にシワを寄せながら言うルーティアさん。
「考えられるのは近隣諸国のいずれかが手引きしている可能性だね。他には何か見えなかったかい?」
「いえ、特には何も…。ただ、明らかに別視点で、帝国の兵士じゃなくて魔物が攻めて来ている映像も見えました。」
ミルドさんに聞かれ、映像の詳細を伝えていく。
「二つ目の映像が何なのかだね。時間を置いて攻め込まれているのか、あるいは別々の未来なのか。」
「話を戻すけど、他の国が手引きしている可能性があるとしたらどこの国になるの?北の神国は距離的にも関係はないと思うし、聖国は壊滅してそれどころじゃないだろうし。」
「それ以外の周辺諸国というと、まず西のドワーフの国ゼルグランか。あそこはディルロード帝国に味方をする理由は見当たらないと思うが。」
「他には東のリアード王国だね。エルジュとは古くからの友好国だけど、最近国王が崩御されてね。第一王子が継承したんだ。」
リオさんの質問にルーティアさんとミルドさんが答えてくれる。
「新体制になって心変わりがあったかもしれないわね。そのあたり、国は調べているのかしらね?」
「どうだろう。城の復旧でそれどころじゃないかもしれないけど。」
私のせいだー。
「私達で東方面を見に行っても大丈夫ですか?」
「その話だが、実は国から相談されていてね。」
「相談ですか?」
「東方面の領地なんだが、守りの要になっていたのはディルーン侯爵領だったんだ。」
「あ…。」
それはマズいかもしれない。
「侯爵が死んで後継を立てなければならないのだが、あんな死に方をしたものだから誰も跡を継ぎたがらなくて揉めているらしい。」
それは何とか家の中で片付けて欲しい。
「更には邪竜を連れた少女が復讐に来るという噂も立ち始めて、領地内は混乱して、移民を始める者が増え始めてきた。」
私は復讐なんてしないよ?
「ディルーン侯爵の最大の戦力といえばやはり竜騎兵団だろう。エルジュでの戦闘の後、侯爵領に戻った竜から次々と狂い死に始めてな。今は使い物にならないそうだ。」
それは私の所為じゃないと思うよ?多分…。
「国は中央の機関が混乱状態なので各方面への適切な対応が出来ずにいるらしい。」
それは…ごめんなさい。
「もうミナが統治すればいいんじゃない?」
ソラちゃんそれは無理だよ。私にそんな能力はないからね。
「それで、ミナに何かしろって言って来たの?」
「そこまで直接ではないが、侯爵領からの人の流出を止める手立ては無いかと言ってきた。」
「ティアに言ってきた辺り、恐らくミナに何かしてもらいたいという事なのだろうけどね。」
何かって、私に何が出来るんだろう?
「そうねぇ…。神国の竜に頼っちゃう?具体的にはオルに。」
リオさんが提案する。オル君なら知名度もバツグンだし、領地に行って、一言言ってもらうだけでも違うかもしれない。
「お役に立てるのであれば我が身を是非お使いください。」
犬形態のオル君もそう言ってくれている。
「じゃあ、侯爵領を中心に周辺でも話してもらおうか。」
取り敢えずやる事は決まった。
その前に一度エリストに戻っておきたいと思う。ルーティアさん達もいつまでもここにいる訳にはいかないと思う。
「それなら明日帰ろうか。みんな王都での仕事は全部片付いたし。」
「そうだね。私も兄の手伝いをしないといけないからね。」
ルーティアさんとミルドさんが賛成してくれて急遽明日帰る事になった。
私達にとって移動自体は大した問題ではないのだけど。
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翌日、全員揃った所でエリストに転移して帰る事になった。今回はテュケ君も連れて行く事になった。エリストで鍛えてくれるらしい。
「グラマス。大変お世話になりました。一度エリストに戻らせていただきます。」
「そうか。お前達、これからもルーティアの事を支えてやってくれ。」
全員が大きく頷く。
「私達はすぐルブルスリウムに戻ってきますので。」
「うむ。手が空いた時にギルドに来てくれ。色々相談したい事がある。」
「分かりました!」
お世話になった人達にお礼を言って、《リージョナルテレポート》でエリストに転移する。
転移した先はエリストを出発して半日位の場所。馬車で門を通らないといけないので少し遠い所に転移しておいた。
「ミナにしては気が利くじゃねぇか。」
ダキアさん、私の事を何だと思ってるんですか?
馬車に乗り込んでエリストを目指す。
エリーゼさんの代わりにリオさんとソラちゃんとテュケ君が乗っているけど、狭いという事はなかった。
ーーーー
馬車は軽快に進み、随分と早くエリストに到着した。
「荷はほとんど無いし、グランドホース達の疲労も無いからね。」
なるほど。
「ギルマスが帰って来たぞー!!」
「おかえりー!!」
門衛の人が大きな声で告げると人がいっぱい集まってきた。
やっぱりルーティアさんやダキアさん達は人気なんだね。
みんなに歓迎されながら、取り敢えず冒険者ギルドのあった方へ。
建物は殆ど取り壊されて、新しい柱や壁が立ち始めていた。
「みんなおかえりなさい。エリストを経ってから再建工事を始めたのですが、なかなか建設技術師が集まらなくてまだこんな状態です。」
アリアさんが私達を見つけてくれて直ぐに報告してくれた。
「建設なら私もミナも使えるからやってしまおうか?」
「あら、この子達は?」
「あー、初めまして、リオです。こっちはソラ。2人とも最近冒険者になりました。」
「はじめまして。」
「はい、初めまして。それで、建設が使えるというのは本当ですか?」
「ええ。私は建物のイメージが下手だからミナにやってもらおうか?」
「え?はい。分かりました。」
着いて早々冒険者ギルドを建てる事になった。
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