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10.ごめんなさい
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次の月曜日、鷹野は学校に来なかった。その次の日も、またその次の日も、彼は姿を現さなかった。先生に理由を聞いたが分らず終いだった。僕はずっと独りだった。もう鷹野がいないと何も愉しくなかった。何をすればいいかも分からなかった。どうやって時間を過ごせばいいかすら分からずに、永久に近い時を孤独に過ごした。
今日も空虚な時間を浪費してしまった、そんな愚かな後悔に鬱々としながら、家路に着くのもままならず、頭の中は空っぽでふらふらと歩く。どの道を歩いていたかはよく覚えていない。その時だった。目の前にふっと人影が見えた、それは紛いもなく鷹野だった。
「鷹野っ…」
ふらふらしながらも真っ直ぐ彼を捉えて、僕は駆け出す。
「美島…」
驚いた目で彼が僕を見る。そのまま僕は一直線に鷹野の胸元に飛び込んだ。鷹野はしっかりと僕を抱きしめてくれた。
「僕さ、鷹野がいないと何も出来なかった。何をしていいか分からなかった、何で、何で僕を独りにしたの、どうしてあの日来てくれなかったの…?」
もう既に僕は泣き出していた。
「ごめんな、美島、俺が悪かった…俺さ、熱が出てて、ずっと籠ってたんだ。本当にしんどくて…LINEもまともに返せなかった、ごめん…」
頭の裏側から鷹野の声が響いてくる。久しぶりに鷹野の声を聴くだけで一層涙が溢れてくる。
「そんな…熱なんて…。ごめん、それも知らないで、僕、鷹野の事、勝手に恨んで…」
鷹野を信じ切れなかった自分が許せなくて、涙が止まらない。
「泣くなよ…。美島、お前はどうしたんだ、ちょっと見ない間にそんなボロボロになって…」
僕を心配してくれる鷹野の言葉がグサグサと胸に刺さる。
「僕、おかしくなったみたいで、鷹野にちょっと会えないだけでものすごい苦しくって、それで…」
「俺も寂しかった、ずっと会いたかった」
僕を抱きしめる腕がより一層強くなる。
「鷹野と花火みたかったよお…」
僕の言葉は止まらず、泣きじゃくる子供そのものだった。
「じゃあ、今日見ようよ。大きいのは見れないけど、河川敷で、二人で、手持ち花火しよ」
僕はただ鷹野の胸の中で声にならない返事をするだけだった。
今日も空虚な時間を浪費してしまった、そんな愚かな後悔に鬱々としながら、家路に着くのもままならず、頭の中は空っぽでふらふらと歩く。どの道を歩いていたかはよく覚えていない。その時だった。目の前にふっと人影が見えた、それは紛いもなく鷹野だった。
「鷹野っ…」
ふらふらしながらも真っ直ぐ彼を捉えて、僕は駆け出す。
「美島…」
驚いた目で彼が僕を見る。そのまま僕は一直線に鷹野の胸元に飛び込んだ。鷹野はしっかりと僕を抱きしめてくれた。
「僕さ、鷹野がいないと何も出来なかった。何をしていいか分からなかった、何で、何で僕を独りにしたの、どうしてあの日来てくれなかったの…?」
もう既に僕は泣き出していた。
「ごめんな、美島、俺が悪かった…俺さ、熱が出てて、ずっと籠ってたんだ。本当にしんどくて…LINEもまともに返せなかった、ごめん…」
頭の裏側から鷹野の声が響いてくる。久しぶりに鷹野の声を聴くだけで一層涙が溢れてくる。
「そんな…熱なんて…。ごめん、それも知らないで、僕、鷹野の事、勝手に恨んで…」
鷹野を信じ切れなかった自分が許せなくて、涙が止まらない。
「泣くなよ…。美島、お前はどうしたんだ、ちょっと見ない間にそんなボロボロになって…」
僕を心配してくれる鷹野の言葉がグサグサと胸に刺さる。
「僕、おかしくなったみたいで、鷹野にちょっと会えないだけでものすごい苦しくって、それで…」
「俺も寂しかった、ずっと会いたかった」
僕を抱きしめる腕がより一層強くなる。
「鷹野と花火みたかったよお…」
僕の言葉は止まらず、泣きじゃくる子供そのものだった。
「じゃあ、今日見ようよ。大きいのは見れないけど、河川敷で、二人で、手持ち花火しよ」
僕はただ鷹野の胸の中で声にならない返事をするだけだった。
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