1人で異世界4役物語

尾高 太陽

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~第2章~

ちょちょっと

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「どう言う事だ。」
 実は勇者だけではなくて魔王と王と謎の職業と掛け持ちしないといけないんです、とは
「言えないよなぁ。」
「ふむ…勇者になれるのならどんな困難も乗り越えよう。」
 え?
 あっ!独り言だったんだけど…。
 もういいや。
「どうなっても知らないからな?」
 俺は襖を開き、シオンを先に部屋に入れ。
 そして俺は後から部屋に入った。
「それでは、中居 湊21才童貞!大人の階段登ってきます!」
 そう言って俺は襖を閉めた。

 一般人-アパート-201

 やっと…。
「ヒヒッ」
 その俺の笑い声に、シオンは驚きと後悔の表情で振り返った。
「まさか…。」
 そのまさかだ、なんてありきたりなセリフは言わない。

「そのまさかだ。」
 …ごめんなさい。
 言ってみたかったんです。
「この部屋には俺達2人。神殿に戻るには俺が扉を開く必要があり。そして何よりこの世界にシオンの行く場所はない。」
 と言うわけで。
「シーオンちゅわぁぁん!!」
 俺は某泥棒三世のように、平泳ぎポーズでシオンに向かって飛び込んだ。
 と、同時。
 シオンの背中からは千手観音のように剣が飛び出していた。

「…全部壊したんじゃ?」
「…直した。」

 今の会話。実に2秒。声帯は使わず視線での会話だった。
「どうするつもりだ?」
「…分かるだろう?」
「Noooooooooo!!」

 さて、1秒後の状況を伝えよう。
 ①ブチ切れた様子のシオン。
 ②①の両手に握られ、力の込もった日本刀と西洋剣。
 ③②の日本刀を白刃どり、西洋剣を噛み、あと少しでも力を緩めれば死ぬ俺。

 さあ、皆に聞こう。
 なぜ漫画やライトノベルやらの主人公はあんなラッキースケベな変態行為をしておきながらパンチやらキックで済むのだろうか。
 確かに、今回の一件はラッキースケベとは〈多少〉違うかもしれん。
 しかしどうだ!!
 〈偶然〉女子更衣室に入り、アホヅラで堪能する主人公と。
 〈わざと〉女子更衣室に入り、焦って目をそらす演技をする主人公。
 どちらも結果は殴られる!
 そう!殴るだけで終わるのだ!
 なのに!なのに!
「なぜ!ちょちょっと襲おうとしたぐらいで殺されないといけないんだ!!!」
 するとシオンは軽く赤面しながら剣に力を込めた。
「言葉の意味が分からん!!!」
「ちょ!待って!?ちょちょちょい待て!ダメだって!それ以上は力を入れないで!?あぁ!歯が!歯が折れちゃう!!」
「大丈夫だ、私の剣を砕く歯。歯〈は〉折れん!」
「〈は〉って言ってんじゃん!!〈は〉って!!あっ、待って!?折れる!歯以外が折れちゃう!!」
「大丈夫、数ある1つや2つだ。多少失おうと支障は少ない。」
「28分の1や2は多少じゃねえええぇぇぇぇぇ!!」

 ◆◆◆

「あ、あぶねぇ…。」
 と、剣を砕き刀を奪った俺を見て、シオンはため息をついた。
「全く、その危機回避能力はどうなっているのだ。」
「どうもこうも。昔から運が悪くてな。信号のたびに車に轢かれかけたり。修学旅行もろもろ、イベントの日には台風やら地震。道を歩いていれば誘拐やらボウガンが飛んでくるやら…。」
「途中分からん言葉が出てきたが…。まあ、辛かったな。」
 なんか腹立つなぁ。
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