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やりたいこと1 猫に触る
1-2 夢にまで見たひととき
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人間がエルフの教えによって魔鉱石から最初のメギオクラフトを作り出した年が、魔鉱暦の始まりとされる。
有史以前にも太古のエルフは人間に道具作りや薬の調合、読み書きや天文といった生活の基礎に関わる基本的な技術と知識を授けてきた。しかし長らくそれらはエルフの魔法や神秘の材料を用いない非常に単純で原始的なものにとどまっていた。それは、エルフは人間が賢く、潜在的な可能性に満ちていることをとっくに察知していて、いつの日か彼らが自分たちを脅かす存在になるかもしれないと恐れたため、魔法や知恵を秘匿したからだと言われている。ただ全エルフの上級王はこの風説を未だかつて一度も認めたことはない。そのすらりと高い鼻に見合うくらいにエルフのプライドもまた高いのである。
そんな中発見されたのがメギオライトという特殊な魔力を帯びた鉱物資源を埋蔵する鉱脈だった。いわゆる『魔鉱脈』である。
メギオライトは色味も硬度も多種多様で、知識のない者が見ると例えばルビーのようなものもあれば、鉄鉱石のようなものもあった。そして共通するのが自然に魔力を帯びている点で、その特性に応じたさまざまな用途に精製、加工し、利便性を発揮することができた。これらを偶然掘り当てたのはとある国の山中の坑道を掘削していたドワーフの鉱夫たちで、今からおよそ千年前のことである。驚いたドワーフたちが取引の契約を結んでいるエルフにこの未知の鉱物を見せ、そのエルフが自らの主君に報告すると、噂は一気に広まった。最初に発見された鉱脈はただちに元々の権利を持つエルフの厳重な監視下に置かれたので、後発組はまだ開発されていない各国の辺境の山々に食指を動かした。この頃の人間の氏族にはまだ領土を厳密に区切ったり王国の境界を設定したりして所有や統治をするという概念がほとんどなかったので、エルフとドワーフがどの大陸のどの山脈に手をつけようと無関心だった。メギオライトに限らず鉱物資源の採掘に関してはエルフは監督や検査などの地上での業務に徹し、危険な肉体労働はもっぱらドワーフの鉱夫たちの仕事だった。それゆえドワーフの弛まぬ労働のおかげでメギオライトが発見されたというれっきとした事実にあえて異を唱える者はいない。メギオクラフトの製作ではなくドワーフによるメギオライトの発見の方を魔鉱暦の真の起源と解釈すべきとする説も依然根強い。しかしやはりプライドの高いエルフが、魔鉱暦の始まりのきっかけがエルフではなくドワーフの功績によるものという印象を強くする後者の説を肯じるはずがないため、この説が定説を覆すことはないというのが学者たちの見解である。それでもやはりメギオライトを最初に見つけたのは自分たちの祖先であるという史実は現在もドワーフたちの最大の心の拠り所、また誇りとするところである。
さて、メギオライトという魅力的な資源の存在が世に知れ渡った頃、エルフの上級王が治める王国領内に魔物の大軍が侵攻し、戦争が勃発した。エルフの軍は非常に強力であり、武勇の誉れ高いドワーフの援軍も得られたものの、魔物たちは数限りなく押し寄せ、エルフ側は次第に防戦一方となった。そこで思わぬ力を発揮したのが人間だった。それまでエルフの庇護を受けるばかりだった短命なる種族から老若男女問わず勇敢な戦士たちが多数馳せ参じ、各所で偵察や奇襲攻撃を仕掛けて魔物の駆逐に貢献し、エルフとドワーフに勝利をもたらした。人間の助太刀がなければエルフ軍は敗北していたかもしれないと言われている。無知で未熟な児童のように世話をしていた人間に恩を返してもらうどころか大きな借りを作ってしまい、自尊心を傷つけられたエルフだったが、武勲を挙げた者たちに論功行賞をしないわけにはいかなかった。それゆえ人間にもメギオライトが分け与えられ、それを活用するための技術指導をエルフに施された人間の中からやがて錬金魔術師と呼ばれる特別な集団が現れるに至った。
魔鉱暦はこうして幕を開けた。太古のエルフが原初の人間に授けた技に魔法の力を付加するメギオクラフトは人間の暮らしを飛躍的に豊かにした。メギオクラフトには消えない灯火や温度を保つ湯船、食料を冷やし腐敗を防ぐ食品庫や無人で動く昇降機など生活に欠かせない道具や装置、戦いの道具としては魔力を込めることで破壊力を増した剣や弓などの武器に、軽量で耐久性の高い防具、守護のバリアを張る護符などがあった。錬金魔術師はさらにエルフからあらゆる分野に役立つ魔法をも習った。助言をするエルフと実際に製作する錬金魔術師の結びつきは、信頼関係や師弟関係の分だけ人間とのそれよりは強い。しかし人間は孤立しているわけではなく、また錬金魔術師はメギオライトの採掘と供給のためにドワーフとも親交を深めたので、彼らはエルフ、ドワーフ、そして人間の三者を三角形の中心ですべて結びつけている。それは魔鉱戦争を経た現在ではいっそう強くなっている。融和と友好の仮面の下に到底口には出せない感情を秘めているにしても。
魔鉱戦争とは、セシルの学習の記憶が教えてくれた、ルシンダが体験していない歴史的大事件のようだ。しかしルシンダは生前の最後の数年間、破滅的な戦の気配が王国に色濃く立ち込めるのを目撃していた。
過去に一度だけ、エルフ、錬金魔術師、そして人間の結束が大きく揺らぐ出来事があった。今からおよそ二百年前、シュテルンブルク王国の西の辺境の山地にかつて類を見ないほどの巨大な魔鉱脈が発見された。その鉱脈は奥へ行くほどよその既存の鉱脈とは桁違いの不思議な強い魔力に満ちていたので、ここではメギオライトの中でも極めて純度の高い貴重な鉱石が見つかるかもしれないとの期待が膨らんでいた。人間の欲望が三角形の均衡を崩すのにそう時間はかからなかった。メギオライトのさらなる可能性に目が眩んだ人間と、人間が自分たちに取って代わる事態を内心恐れるエルフに無秩序なメギオライト採掘や労働力の搾取に反発する錬金魔術師とドワーフが連帯して対立し、資源と利権をめぐる激しい論戦が暴力沙汰に発展して、とうとう戦が巻き起こった。そんな折錬金魔術師の中に見返りを条件に仲間を裏切り人間に秘密裏にメギオクラフトの武器を供与してエルフを打倒せんとする者たちが出現した。彼らは錬金魔術師とエルフに対抗して戦う手段としての新たな強力な武器、魔法剣をひそかに生み出していた…。
ランタンの燈ひとつない夜の森の奥、木の幹にもたれかかって、遡及する記憶と湧き上がる知識の渾然一体とした海に没入していたルシンダはここで深々と息を吐いた。前世の自分が知っているのはここまでだった。この頃自分は彼に謀られて殺され、自分の目の前で行われた彼らの裏切り行為を止められずに終わったからだ。
ルシンダは新たな魔鉱脈や魔法剣と無関係ではなく、それどころか彼女の運命とそれらは切っても切れない関係だった。
(魔法剣の存在はずっと気がかりだった…そう…私が死んだ後魔法剣は世に送り出されて戦争の道具として使われてしまったのね…。たとえ手遅れに見えても、どんな手段を使ってでも彼らの企みを阻止するべきだったのに…これは私の無為無策の責任だわ…)
後悔に苛まれ、少なからず不安を抱きつつも、ルシンダは再びセシルの学習の記憶の続きを紐解く。肉体の強靭さと武具の性能において人間より格段に優位と思われたエルフだったが、魔法剣が供給されたことにより人間とエルフの武力は徐々に拮抗し、厳しい冬の到来も重なって両陣営が疲弊していった末、やむなく休戦協定が結ばれて戦いは終わった。その後現在に至るまでエルフ、錬金魔術師、人間、そしてドワーフは意外にも互いに良好な利害関係と協力関係を築いている…。
(待って…裏切り者たちはどうなったの?それにどうやら魔法剣自体もこの世から失われてない。エルフにとって魔法剣はメギオクラフトの中で最も忌まわしいものになったはず…魔法剣の放棄は休戦協定の条項に入らなかったのかしら…)
ルシンダがぶつぶつひとり言を言いながら眉をひそめたのは、セシルの記憶の中に、現在の世界のあちこちで多くの人間が何憚ることなく魔法剣を使って戦っているという事実が見えたからだ。自分が見てきた魔法剣はまだ開発途上だったが、セシルの浅い知識に照らし合わせてみても今その存在が確立され定着しているのは明らかだった。
太古の世のエルフと魔物との戦いには多数の人間が参戦したが、特に人間の若い女性たちの中にメギオクラフトと高い親和性を発揮した者が多くいた。彼女たちは力と技、知恵と求心力を発揮してエルフの勝利に多大なる貢献を成し遂げ、死後、その功績をエルフの上級王に認められて精霊に昇格した。彼女たちはそれぞれの役割に『姫』の称号をつけて呼ばれ、略称でも尊ばれている。星読姫エレオノーラ、通称ノーラや治癒姫フランセスカ、通称フランなどは今も人々の暮らしに溶け込み、親しまれている。
ルシンダが生きていた当時、その精霊たちを彼女たちの祭られた神殿から分離させてメギオクラフトの剣に宿らせ、その力を魔法に近い形で人間に行使させる不敬極まる研究がなされていた。それが魔法剣であり、最大の裏切り行為だった。その魔法剣が今も人間の手の中にあるのはなぜなのか…。
ルシンダはセシルの記憶をさらに掘り下げることで自分の死後と戦後の出来事を詳しく知ろうと試みたが、いくら手探りしても何も指に引っかからなかった。事が事だけに、込み入った経緯や明らかにされていない事柄があるのだろうが、何よりセシル自身が駆け出しの勉強不足で知らないことだらけなのだ。自分が今知った史実や知識もせいぜい一般常識の範疇だったようで、ルシンダは呆れ果ててしまったのだった。
(駄目だわこの子、ちっとも勉強してない…目先の技の習得に必死で、座学をおろそかにしてたのかしら…歴史も、薬草学も。まだ十二歳だったからしかたないのか、それとも勉強はしたけど単に忘れちゃったのか…これが現代の教育の水準だってことだけはよくわかったわ…)
ルシンダはふと皮肉な苦笑いを浮かべた。錬金魔術師に弟子入りしたが最後、子供は子供扱いされなくなる。師匠が受ける仕事の下準備やおつかい、共同生活の中での家事や雑用で毎日目が回るほど忙しく、座学や読書に専念する時間的余裕はほとんどない。まして師匠にそうしたいと願い出る立場すらない。もちろんそれを承知で弟子入りするのだが、どうやらこの仕組みは昔とちっとも変わっていないようだ。ルシンダのように両親とも錬金魔術師の家に生まれついた身ならなおのこと選択の余地はなく、自ら血のにじむような努力と辛抱を重ねて時間と気力を捻出しなければ平均以上にはなれない、厳しい世界なのだ。
(…まあ、いきなり豊富すぎる知識と情報流し込まれてもパニックになるだけか。セシルの主観に惑わされるより、自分で少しずついろいろ調べた方が客観性と解釈の多様性は保たれそうね。幸い時間はたっぷりあることだし、のんびりひとり旅しながら当時のことを知ってそうなエルフかドワーフの鉱夫を探すところから始めるかな…怪しまれること請け合いだけど。まずは…)
「…ん?」
唐突に足首に何かが触れる感覚がし、我に返ってパッと見下ろす。丈のある雑草か夜風に舞う木の葉かと思ったが、そこにいたのはなんと、一匹の白い猫だった。
「にゃーん」
「!!!!」
まんまるい両目で見上げてくる真っ白な毛玉を認識した瞬間、ルシンダの理性は脳天から突き抜けて遥か月まで吹っ飛んだ。
(んんんんんんんんっ猫おおおおっ!!猫ちゃんんんんんっ!!こんなとこで猫ちゃんに遭遇っっっっ!!)
「ンなーぉ」
すらりとした身体つきのその白猫は初めて出くわした人間にも何ら人見知りせず、脚にまとわりつくようにすり寄ってくる。考え事に夢中でいつの間に近寄ってきたのかまったく気づかず、すっかり忘れていたが、その存在は錬金魔術や歴史よりもルシンダの心にとって大切なものだった。
(思い出したわ!!私、猫が好き!!!!…いやいや、ダメダメダメダメ!!だって、うちは…)
そこでルシンダはハッと息を飲んだ。錬金魔術師の家では鼠による書物や薬草への被害を防ぐために猫を飼うのが一般的だが、同じく錬金魔術師だった姉が重度のアレルギー持ちだった上、母親が大の猫嫌いだったので、オルフェルネス家では住まいや工房に猫を置くことができなかったのだ。猫好きなのに家の周りに出没する猫や友達の飼い猫と触れ合うことすら許されなかったルシンダは、天才的な錬金魔術師としての評判の裏に、こと猫に関しては本や人の話から得た知識と情報で妄想を膨らませるだけの筋金入りの耳年増という顔も持っていた。
しかしその姉も母ももういない。猫に触ってはいけない理由はどこにもなかった。
「んにゃー」
白猫は相変わらずルシンダの足許を行ったり来たりして警戒する様子もない。それどころか、死に装束の裾からひょこっと顔を出し、何やら親しげな笑顔にも見える表情でじっと見つめてくる。まるで、撫でなくていいのか、と言わんばかりだ。
(えっ、こ、これはっ…触らせてくれるんですかっ!?いいんですかっ!?)
とっさに手を伸ばしかけたルシンダだったが、すぐに昔本で読んだことを思い出して思わず手を止めた。
(い、いきなりはダメよ私!!まずは匂いを嗅いでもらって…挨拶と自己紹介をして、安心感を与えてから触るのが鉄則かと…!!)
「こ、こんにち…違っ、こんばんは白猫さ~ん…は、はじめまして…」
若干上擦りぎみの怪しい声を発しながら白猫の鼻先におそるおそる指先を近づけると、白猫は初対面の人間の匂いをフンフンと嗅いだ後、逃げる素振りも見せずスッと頭を下げた。
(よかった、ひっかかれたらどうしようと思ったけど、嫌われなかった…!!)
ルシンダは心の中で万歳しながら小躍りした。見下ろす耳の三角形も、後頭部の丸みも愛おしい。何年、いや何百年ぶりだろう、猫と触れ合うのは。感動に胸を熱くしながらルシンダはようやく許しを得てその頭を数回そっと撫でてみた。
(うわぁ、フカフカ…と思ってたけど、い、意外に表面はつるつるして硬いのね…でも胸やお腹の方の毛はきっと柔らかいんだろうな。さすがにそこは触れないよね。でも幸せ…)
夢にまで見た至福のひとときに心がうっとりとほぐれると、舌までなめらかになるらしい。自分でも少々気持ちが悪いと思う口調でルシンダは話しかけた。
「あなたはどこの猫さん??あ…首輪してるから、もしかしてサントルムの村の子??夜のお散歩かパトロールかな~??」
「にゃっ」
謎の白猫は人間にはわからない言葉で返事をした。しかし見れば見るほど整った顔立ちをした美しい猫である。体躯は大きい方ではなくどちらかと言えば細身で、まだ若い個体と思われるが、猫らしいもっちりとした丸っこさと純白の綺麗な毛並のコートが素晴らしいバランスを生み出している。のどかな山村の外飼いの猫にしてはいささか高貴というか上品すぎると言ったら失礼だろうか。ただ暗いので目の色は判別できなかった。…そのとき。
…かさっ…
「?」
もうひとつ別の気配を感じてルシンダは顔を上げたが、夜の森を歩くうちにだいぶ目が闇に慣れてきたといってもとっさには何も見えず、視線をきょろきょろ動かしたり何度も瞬きをしたりしてようやくその正体を認識した。黒猫だ。白猫の他にもう一匹いたのだ。
「…」
黒猫は四肢を草むらにしっかりと下ろして少し姿勢を低くし、皿のように丸くした両目でこちらを凝視してくる。目の前の人間が何者で、この後どんな挙動に出るのか、じっと観察しているようだ。白猫と同じ体格と雰囲気の、やはり綺麗な黒猫だが、白猫とは正反対で、自分から近づいてはこない。
「君、もしかしてこの子のお友達??大丈夫だよ~、こっちおいで、黒猫さ~ん」
白猫との触れ合いですっかり気が緩んだルシンダは迷わず手を差し伸べながら一歩進み出たが、相手もすかさず一歩じりっとにじり下がる。二者の間に一気に緊張が張り詰める。
「…」
無言で睨まれたような気がしてルシンダはぎくっと硬直し、まずは節度と距離を保つべし、という心に掲げた鉄則に立ち帰る。初心者な上に不審者丸出しな自分が痛い。しかし白猫の方は自分から寄ってきてじゃれついてくれたので、やはり個々の性格の違いは大きいのだろう。
(白い子の方はおしゃべりでフレンドリーだけど、あっちの黒い子は用心深くてツンデレってことか…。触らせてもらえないのはちょっと残念だけど、ツンツンされるのも意外と悪くないのね…)
「…」
離れたところからひたと見つめてくる黒猫の冷たく乾いた目つきを快く浴びながらルシンダは調子に乗って白猫の耳の間をかいたり首から背中まで何度も撫でつけたりしていたが、そのうち白猫は急に気が変わったのか、ルシンダの手の中からするりと抜け出し、とことこと黒猫の方に歩いていってしまった。
「あ…もう行っちゃうの?」
白猫は黒猫の鼻に鼻をちょんと押しつけ、黒猫は白猫の身体の匂いをくんくんと嗅ぐ。二匹はやはり友達だったらしい。猫同士の挨拶を終えると白猫はルシンダの方を振り返り、「にゃー」とひと声啼いた。別れを告げるようなその響きに、一抹の寂しさに見舞われたルシンダだったが、自由気ままな猫たちを思いどおりにできるはずもなく、しぶしぶ笑って手を振った。
「バイバイ。またね、猫さんたち」
「にゃーお」
「…」
(…あれ?)
二匹がくるっと回れ右したとき、ルシンダはそれぞれの顎の下辺りにキラリと光るものを見たような気がして思わず目を凝らしたが、そのとき猫たちはもう茂みに頭から潜り込んでいくところだった。
(…きっと気のせいね)
ルシンダは肩をすくめ、しばらくの間触れ合いの余韻に浸りながら二匹が消えていった茂みの辺りを眺めていた。
有史以前にも太古のエルフは人間に道具作りや薬の調合、読み書きや天文といった生活の基礎に関わる基本的な技術と知識を授けてきた。しかし長らくそれらはエルフの魔法や神秘の材料を用いない非常に単純で原始的なものにとどまっていた。それは、エルフは人間が賢く、潜在的な可能性に満ちていることをとっくに察知していて、いつの日か彼らが自分たちを脅かす存在になるかもしれないと恐れたため、魔法や知恵を秘匿したからだと言われている。ただ全エルフの上級王はこの風説を未だかつて一度も認めたことはない。そのすらりと高い鼻に見合うくらいにエルフのプライドもまた高いのである。
そんな中発見されたのがメギオライトという特殊な魔力を帯びた鉱物資源を埋蔵する鉱脈だった。いわゆる『魔鉱脈』である。
メギオライトは色味も硬度も多種多様で、知識のない者が見ると例えばルビーのようなものもあれば、鉄鉱石のようなものもあった。そして共通するのが自然に魔力を帯びている点で、その特性に応じたさまざまな用途に精製、加工し、利便性を発揮することができた。これらを偶然掘り当てたのはとある国の山中の坑道を掘削していたドワーフの鉱夫たちで、今からおよそ千年前のことである。驚いたドワーフたちが取引の契約を結んでいるエルフにこの未知の鉱物を見せ、そのエルフが自らの主君に報告すると、噂は一気に広まった。最初に発見された鉱脈はただちに元々の権利を持つエルフの厳重な監視下に置かれたので、後発組はまだ開発されていない各国の辺境の山々に食指を動かした。この頃の人間の氏族にはまだ領土を厳密に区切ったり王国の境界を設定したりして所有や統治をするという概念がほとんどなかったので、エルフとドワーフがどの大陸のどの山脈に手をつけようと無関心だった。メギオライトに限らず鉱物資源の採掘に関してはエルフは監督や検査などの地上での業務に徹し、危険な肉体労働はもっぱらドワーフの鉱夫たちの仕事だった。それゆえドワーフの弛まぬ労働のおかげでメギオライトが発見されたというれっきとした事実にあえて異を唱える者はいない。メギオクラフトの製作ではなくドワーフによるメギオライトの発見の方を魔鉱暦の真の起源と解釈すべきとする説も依然根強い。しかしやはりプライドの高いエルフが、魔鉱暦の始まりのきっかけがエルフではなくドワーフの功績によるものという印象を強くする後者の説を肯じるはずがないため、この説が定説を覆すことはないというのが学者たちの見解である。それでもやはりメギオライトを最初に見つけたのは自分たちの祖先であるという史実は現在もドワーフたちの最大の心の拠り所、また誇りとするところである。
さて、メギオライトという魅力的な資源の存在が世に知れ渡った頃、エルフの上級王が治める王国領内に魔物の大軍が侵攻し、戦争が勃発した。エルフの軍は非常に強力であり、武勇の誉れ高いドワーフの援軍も得られたものの、魔物たちは数限りなく押し寄せ、エルフ側は次第に防戦一方となった。そこで思わぬ力を発揮したのが人間だった。それまでエルフの庇護を受けるばかりだった短命なる種族から老若男女問わず勇敢な戦士たちが多数馳せ参じ、各所で偵察や奇襲攻撃を仕掛けて魔物の駆逐に貢献し、エルフとドワーフに勝利をもたらした。人間の助太刀がなければエルフ軍は敗北していたかもしれないと言われている。無知で未熟な児童のように世話をしていた人間に恩を返してもらうどころか大きな借りを作ってしまい、自尊心を傷つけられたエルフだったが、武勲を挙げた者たちに論功行賞をしないわけにはいかなかった。それゆえ人間にもメギオライトが分け与えられ、それを活用するための技術指導をエルフに施された人間の中からやがて錬金魔術師と呼ばれる特別な集団が現れるに至った。
魔鉱暦はこうして幕を開けた。太古のエルフが原初の人間に授けた技に魔法の力を付加するメギオクラフトは人間の暮らしを飛躍的に豊かにした。メギオクラフトには消えない灯火や温度を保つ湯船、食料を冷やし腐敗を防ぐ食品庫や無人で動く昇降機など生活に欠かせない道具や装置、戦いの道具としては魔力を込めることで破壊力を増した剣や弓などの武器に、軽量で耐久性の高い防具、守護のバリアを張る護符などがあった。錬金魔術師はさらにエルフからあらゆる分野に役立つ魔法をも習った。助言をするエルフと実際に製作する錬金魔術師の結びつきは、信頼関係や師弟関係の分だけ人間とのそれよりは強い。しかし人間は孤立しているわけではなく、また錬金魔術師はメギオライトの採掘と供給のためにドワーフとも親交を深めたので、彼らはエルフ、ドワーフ、そして人間の三者を三角形の中心ですべて結びつけている。それは魔鉱戦争を経た現在ではいっそう強くなっている。融和と友好の仮面の下に到底口には出せない感情を秘めているにしても。
魔鉱戦争とは、セシルの学習の記憶が教えてくれた、ルシンダが体験していない歴史的大事件のようだ。しかしルシンダは生前の最後の数年間、破滅的な戦の気配が王国に色濃く立ち込めるのを目撃していた。
過去に一度だけ、エルフ、錬金魔術師、そして人間の結束が大きく揺らぐ出来事があった。今からおよそ二百年前、シュテルンブルク王国の西の辺境の山地にかつて類を見ないほどの巨大な魔鉱脈が発見された。その鉱脈は奥へ行くほどよその既存の鉱脈とは桁違いの不思議な強い魔力に満ちていたので、ここではメギオライトの中でも極めて純度の高い貴重な鉱石が見つかるかもしれないとの期待が膨らんでいた。人間の欲望が三角形の均衡を崩すのにそう時間はかからなかった。メギオライトのさらなる可能性に目が眩んだ人間と、人間が自分たちに取って代わる事態を内心恐れるエルフに無秩序なメギオライト採掘や労働力の搾取に反発する錬金魔術師とドワーフが連帯して対立し、資源と利権をめぐる激しい論戦が暴力沙汰に発展して、とうとう戦が巻き起こった。そんな折錬金魔術師の中に見返りを条件に仲間を裏切り人間に秘密裏にメギオクラフトの武器を供与してエルフを打倒せんとする者たちが出現した。彼らは錬金魔術師とエルフに対抗して戦う手段としての新たな強力な武器、魔法剣をひそかに生み出していた…。
ランタンの燈ひとつない夜の森の奥、木の幹にもたれかかって、遡及する記憶と湧き上がる知識の渾然一体とした海に没入していたルシンダはここで深々と息を吐いた。前世の自分が知っているのはここまでだった。この頃自分は彼に謀られて殺され、自分の目の前で行われた彼らの裏切り行為を止められずに終わったからだ。
ルシンダは新たな魔鉱脈や魔法剣と無関係ではなく、それどころか彼女の運命とそれらは切っても切れない関係だった。
(魔法剣の存在はずっと気がかりだった…そう…私が死んだ後魔法剣は世に送り出されて戦争の道具として使われてしまったのね…。たとえ手遅れに見えても、どんな手段を使ってでも彼らの企みを阻止するべきだったのに…これは私の無為無策の責任だわ…)
後悔に苛まれ、少なからず不安を抱きつつも、ルシンダは再びセシルの学習の記憶の続きを紐解く。肉体の強靭さと武具の性能において人間より格段に優位と思われたエルフだったが、魔法剣が供給されたことにより人間とエルフの武力は徐々に拮抗し、厳しい冬の到来も重なって両陣営が疲弊していった末、やむなく休戦協定が結ばれて戦いは終わった。その後現在に至るまでエルフ、錬金魔術師、人間、そしてドワーフは意外にも互いに良好な利害関係と協力関係を築いている…。
(待って…裏切り者たちはどうなったの?それにどうやら魔法剣自体もこの世から失われてない。エルフにとって魔法剣はメギオクラフトの中で最も忌まわしいものになったはず…魔法剣の放棄は休戦協定の条項に入らなかったのかしら…)
ルシンダがぶつぶつひとり言を言いながら眉をひそめたのは、セシルの記憶の中に、現在の世界のあちこちで多くの人間が何憚ることなく魔法剣を使って戦っているという事実が見えたからだ。自分が見てきた魔法剣はまだ開発途上だったが、セシルの浅い知識に照らし合わせてみても今その存在が確立され定着しているのは明らかだった。
太古の世のエルフと魔物との戦いには多数の人間が参戦したが、特に人間の若い女性たちの中にメギオクラフトと高い親和性を発揮した者が多くいた。彼女たちは力と技、知恵と求心力を発揮してエルフの勝利に多大なる貢献を成し遂げ、死後、その功績をエルフの上級王に認められて精霊に昇格した。彼女たちはそれぞれの役割に『姫』の称号をつけて呼ばれ、略称でも尊ばれている。星読姫エレオノーラ、通称ノーラや治癒姫フランセスカ、通称フランなどは今も人々の暮らしに溶け込み、親しまれている。
ルシンダが生きていた当時、その精霊たちを彼女たちの祭られた神殿から分離させてメギオクラフトの剣に宿らせ、その力を魔法に近い形で人間に行使させる不敬極まる研究がなされていた。それが魔法剣であり、最大の裏切り行為だった。その魔法剣が今も人間の手の中にあるのはなぜなのか…。
ルシンダはセシルの記憶をさらに掘り下げることで自分の死後と戦後の出来事を詳しく知ろうと試みたが、いくら手探りしても何も指に引っかからなかった。事が事だけに、込み入った経緯や明らかにされていない事柄があるのだろうが、何よりセシル自身が駆け出しの勉強不足で知らないことだらけなのだ。自分が今知った史実や知識もせいぜい一般常識の範疇だったようで、ルシンダは呆れ果ててしまったのだった。
(駄目だわこの子、ちっとも勉強してない…目先の技の習得に必死で、座学をおろそかにしてたのかしら…歴史も、薬草学も。まだ十二歳だったからしかたないのか、それとも勉強はしたけど単に忘れちゃったのか…これが現代の教育の水準だってことだけはよくわかったわ…)
ルシンダはふと皮肉な苦笑いを浮かべた。錬金魔術師に弟子入りしたが最後、子供は子供扱いされなくなる。師匠が受ける仕事の下準備やおつかい、共同生活の中での家事や雑用で毎日目が回るほど忙しく、座学や読書に専念する時間的余裕はほとんどない。まして師匠にそうしたいと願い出る立場すらない。もちろんそれを承知で弟子入りするのだが、どうやらこの仕組みは昔とちっとも変わっていないようだ。ルシンダのように両親とも錬金魔術師の家に生まれついた身ならなおのこと選択の余地はなく、自ら血のにじむような努力と辛抱を重ねて時間と気力を捻出しなければ平均以上にはなれない、厳しい世界なのだ。
(…まあ、いきなり豊富すぎる知識と情報流し込まれてもパニックになるだけか。セシルの主観に惑わされるより、自分で少しずついろいろ調べた方が客観性と解釈の多様性は保たれそうね。幸い時間はたっぷりあることだし、のんびりひとり旅しながら当時のことを知ってそうなエルフかドワーフの鉱夫を探すところから始めるかな…怪しまれること請け合いだけど。まずは…)
「…ん?」
唐突に足首に何かが触れる感覚がし、我に返ってパッと見下ろす。丈のある雑草か夜風に舞う木の葉かと思ったが、そこにいたのはなんと、一匹の白い猫だった。
「にゃーん」
「!!!!」
まんまるい両目で見上げてくる真っ白な毛玉を認識した瞬間、ルシンダの理性は脳天から突き抜けて遥か月まで吹っ飛んだ。
(んんんんんんんんっ猫おおおおっ!!猫ちゃんんんんんっ!!こんなとこで猫ちゃんに遭遇っっっっ!!)
「ンなーぉ」
すらりとした身体つきのその白猫は初めて出くわした人間にも何ら人見知りせず、脚にまとわりつくようにすり寄ってくる。考え事に夢中でいつの間に近寄ってきたのかまったく気づかず、すっかり忘れていたが、その存在は錬金魔術や歴史よりもルシンダの心にとって大切なものだった。
(思い出したわ!!私、猫が好き!!!!…いやいや、ダメダメダメダメ!!だって、うちは…)
そこでルシンダはハッと息を飲んだ。錬金魔術師の家では鼠による書物や薬草への被害を防ぐために猫を飼うのが一般的だが、同じく錬金魔術師だった姉が重度のアレルギー持ちだった上、母親が大の猫嫌いだったので、オルフェルネス家では住まいや工房に猫を置くことができなかったのだ。猫好きなのに家の周りに出没する猫や友達の飼い猫と触れ合うことすら許されなかったルシンダは、天才的な錬金魔術師としての評判の裏に、こと猫に関しては本や人の話から得た知識と情報で妄想を膨らませるだけの筋金入りの耳年増という顔も持っていた。
しかしその姉も母ももういない。猫に触ってはいけない理由はどこにもなかった。
「んにゃー」
白猫は相変わらずルシンダの足許を行ったり来たりして警戒する様子もない。それどころか、死に装束の裾からひょこっと顔を出し、何やら親しげな笑顔にも見える表情でじっと見つめてくる。まるで、撫でなくていいのか、と言わんばかりだ。
(えっ、こ、これはっ…触らせてくれるんですかっ!?いいんですかっ!?)
とっさに手を伸ばしかけたルシンダだったが、すぐに昔本で読んだことを思い出して思わず手を止めた。
(い、いきなりはダメよ私!!まずは匂いを嗅いでもらって…挨拶と自己紹介をして、安心感を与えてから触るのが鉄則かと…!!)
「こ、こんにち…違っ、こんばんは白猫さ~ん…は、はじめまして…」
若干上擦りぎみの怪しい声を発しながら白猫の鼻先におそるおそる指先を近づけると、白猫は初対面の人間の匂いをフンフンと嗅いだ後、逃げる素振りも見せずスッと頭を下げた。
(よかった、ひっかかれたらどうしようと思ったけど、嫌われなかった…!!)
ルシンダは心の中で万歳しながら小躍りした。見下ろす耳の三角形も、後頭部の丸みも愛おしい。何年、いや何百年ぶりだろう、猫と触れ合うのは。感動に胸を熱くしながらルシンダはようやく許しを得てその頭を数回そっと撫でてみた。
(うわぁ、フカフカ…と思ってたけど、い、意外に表面はつるつるして硬いのね…でも胸やお腹の方の毛はきっと柔らかいんだろうな。さすがにそこは触れないよね。でも幸せ…)
夢にまで見た至福のひとときに心がうっとりとほぐれると、舌までなめらかになるらしい。自分でも少々気持ちが悪いと思う口調でルシンダは話しかけた。
「あなたはどこの猫さん??あ…首輪してるから、もしかしてサントルムの村の子??夜のお散歩かパトロールかな~??」
「にゃっ」
謎の白猫は人間にはわからない言葉で返事をした。しかし見れば見るほど整った顔立ちをした美しい猫である。体躯は大きい方ではなくどちらかと言えば細身で、まだ若い個体と思われるが、猫らしいもっちりとした丸っこさと純白の綺麗な毛並のコートが素晴らしいバランスを生み出している。のどかな山村の外飼いの猫にしてはいささか高貴というか上品すぎると言ったら失礼だろうか。ただ暗いので目の色は判別できなかった。…そのとき。
…かさっ…
「?」
もうひとつ別の気配を感じてルシンダは顔を上げたが、夜の森を歩くうちにだいぶ目が闇に慣れてきたといってもとっさには何も見えず、視線をきょろきょろ動かしたり何度も瞬きをしたりしてようやくその正体を認識した。黒猫だ。白猫の他にもう一匹いたのだ。
「…」
黒猫は四肢を草むらにしっかりと下ろして少し姿勢を低くし、皿のように丸くした両目でこちらを凝視してくる。目の前の人間が何者で、この後どんな挙動に出るのか、じっと観察しているようだ。白猫と同じ体格と雰囲気の、やはり綺麗な黒猫だが、白猫とは正反対で、自分から近づいてはこない。
「君、もしかしてこの子のお友達??大丈夫だよ~、こっちおいで、黒猫さ~ん」
白猫との触れ合いですっかり気が緩んだルシンダは迷わず手を差し伸べながら一歩進み出たが、相手もすかさず一歩じりっとにじり下がる。二者の間に一気に緊張が張り詰める。
「…」
無言で睨まれたような気がしてルシンダはぎくっと硬直し、まずは節度と距離を保つべし、という心に掲げた鉄則に立ち帰る。初心者な上に不審者丸出しな自分が痛い。しかし白猫の方は自分から寄ってきてじゃれついてくれたので、やはり個々の性格の違いは大きいのだろう。
(白い子の方はおしゃべりでフレンドリーだけど、あっちの黒い子は用心深くてツンデレってことか…。触らせてもらえないのはちょっと残念だけど、ツンツンされるのも意外と悪くないのね…)
「…」
離れたところからひたと見つめてくる黒猫の冷たく乾いた目つきを快く浴びながらルシンダは調子に乗って白猫の耳の間をかいたり首から背中まで何度も撫でつけたりしていたが、そのうち白猫は急に気が変わったのか、ルシンダの手の中からするりと抜け出し、とことこと黒猫の方に歩いていってしまった。
「あ…もう行っちゃうの?」
白猫は黒猫の鼻に鼻をちょんと押しつけ、黒猫は白猫の身体の匂いをくんくんと嗅ぐ。二匹はやはり友達だったらしい。猫同士の挨拶を終えると白猫はルシンダの方を振り返り、「にゃー」とひと声啼いた。別れを告げるようなその響きに、一抹の寂しさに見舞われたルシンダだったが、自由気ままな猫たちを思いどおりにできるはずもなく、しぶしぶ笑って手を振った。
「バイバイ。またね、猫さんたち」
「にゃーお」
「…」
(…あれ?)
二匹がくるっと回れ右したとき、ルシンダはそれぞれの顎の下辺りにキラリと光るものを見たような気がして思わず目を凝らしたが、そのとき猫たちはもう茂みに頭から潜り込んでいくところだった。
(…きっと気のせいね)
ルシンダは肩をすくめ、しばらくの間触れ合いの余韻に浸りながら二匹が消えていった茂みの辺りを眺めていた。
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