人違いなので離してください。

フジミサヤ

文字の大きさ
2 / 27

【壱】顔に傷のある騎士

しおりを挟む

「待て、ルシア」

 注文された酒を無言でその男のテーブルに置き、その場から離れようとした時だった。突然後ろから腕を掴まれて、引き寄せられる。仕方なく振り返れば、そこには驚いたように目を見開く青年がいた。

 すらりとした体躯に程よく筋肉のついた身体は服の上からでもわかるほどしなやかで、無駄がなく美しい。思わず目を引かれてしまうような端整な顔立ちをした、年若い男だった。艶やかな黒髪の間からは狼のように鋭い琥珀色の瞳がこちらを向いていた。

 男の右頬には大きな傷がある。何か刃物のようなもので切り裂かれたかのような深い傷だ。しかしそれさえも、この男の魅力を引き立てる一つの要素になっているように思えた。


「……お前、やはり生きていたのか……」

 それは心底驚いたというような表情だった。けれど次の瞬間にはくしゃりと顔を歪めており、まるで泣くことを堪えるように引き結んだ唇の端が震えている。



「申し訳ないが、人違いだ」

 何やら精神的に盛り上がっている目の前の男に無表情で言い放ってやるも、男はなかなか俺の腕を離そうとしない。


「待ってくれ。少し話がしたい。時間をもらえないだろうか?」

 男は俺の腕を掴んだまま、立ち上がって懇願してきた。見上げる程背が高い。威圧感を感じるほどだ。
 身なりや立ち居振る舞いから貴族階級の者だと簡単に分かる。こんな大衆酒場で見かけるのは珍しい。

「……別にそれは構わないが。俺を指名して買うってことで良いのか?」
「どういう意味だ?」

 男は訝しげに眉間に皺を寄せ呟き返してくる。こんな所に来てるから、てっきりそういう相手を探してるのかと思ったけど違うらしい。

「一応この店の上は宿屋になっているが、休憩だけでも部屋は利用できる。客同士で使ってもいいが、気に入った従業員引き摺りこんでも問題ない。俺の時間が欲しいなら今から部屋に行くか?別料金だが」

 男に淡々と説明してやったものの、固まってしまって反応が無いことからすると、通じてないのかもしれない。遊び慣れていないようだ。
 まあ、こんな場所にこなくてもこの男の容姿なら相手してくれる女なんていっぱいいそうだし。

「……とりあえず、そのつもりがないなら離せ。俺は仕事中なんだ」

 腕を強く引っ張っるもビクともしない。どうやらとんでもなく力が強いみたいだ。力の差を目の当たりにして、なんとなく不貞腐れる。


「……分かった。君を一晩買うよ」

 男は何か考え込んでいたようだったが納得したらしく、腕を掴む手はそのままで、俺のことを苦しそうに見つめ返してくる。

「一応、俺は男だけどいいわけ?」

 俺は中性的な外見をしているが、それでも一目見れば女に見えるはずもない姿形をしている。男の迷いが伝わってきたため念のため聞いてみた。

「……その、そういうつもりではなくて……話をしたいだけなんだが」

 明らかに困惑している様子で男は呟く。真面目を絵にしたような男だ。何故こんな所に迷い込んだのか分からないが。
 俺は軽く溜め息をついた。
 人を買うと言いながら、傷付いた顔をして、善良な人間であろうとする男に軽く苛立ちを覚える。


「……オーナー。俺今日はもう外れていいですか?二階の角の個室使います」

 先ほどから心配そうにこちらを伺っていた店主に声をかけ、俺は店の奥にある階段を指差した。

「ああ、それは構わないが……アル。お前、大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。ただの客です。俺と話がしたいだけらしいんで」

 店主は俺に気を使ってか、声を落として聞いてくる。相変わらず心配性だ。

「何かあったらすぐ呼べよ」
「ありがとうございます。では、行ってきますね」
 
 店主に向かって笑顔を向けるが、上手く笑えたか分からない。随分長いこと笑ってないから、表情筋が錆びつているかもしれない。

「こっちだ」
 男に腕を掴まれたまま、俺は薄暗い階段を登り始めた。男も黙ってついてくる。

 一階にある酒場は賑やかで、笑い声や怒鳴り声など色んな声が飛び交っていたが、この階段は静かだった。二階フロアは個室のみだ。壁が薄いため、時折使用中の部屋から艶かしい声が聞こえてくることもある。一番奥の部屋へと入り鍵をかけると、ようやく男の腕が開放された。

「狭いけど、適当に座って」
 店内よりも室内はさらに薄暗い。目を凝らさない限り俺の顔はよく見えないだろう。
 男は、言われるがまま部屋の中央にあるベッドへと腰掛けた。

「……アル、という名なのか?」
「そうだが、好きなように呼んでもらって構わない。『ルシア』でもいいぞ」

「いや……なら、アルと呼ばせてもらう。君は、いつからこんなことを?」

「こんなこと、とは?」
「……その、身体を売って……」
 男は言いづらそうに口籠もる。

「ああ、そういうことか。ここのオーナーに世話になって働きはじめてだから、1年前くらいかな」

 男の質問に淡々と答えてやると、男は絶句したように押し黙ってしまった。自分との倫理観の違いに呆れているのかもしれない。男の態度にさらに苛立ちがつのる。


「何か飲むか?酒なら色々取り揃えてるぞ」
「いや、結構だ。君だけ飲むといい」

 備え付けのミニバーを指差しながら聞いてやったら、男はこちらを見もしないで返してきた。気を使ってくれているのか本当に要らないのかよく分からないが、それでは俺の目的が達せない。


「そう言うな。一杯くらい付き合え」
「俺は、本当に……」
「いいから」

 男の言葉を強引に遮り、俺はミニバーから酒瓶と氷を拝借してグラスに注いだ。それを男に押しつけて無理やり持たせ、自分の分も作って一気に煽る。度数の高いアルコールが喉を焼きながら流れ落ちていった。酒でも飲まないとやってられない。自分がやろうとしていることを思えば、素面ではいられない。

 男は心配そうな顔をして俺を見てくる。薄暗い部屋の中でほのかに光る琥珀色の目は本当に美しくて、現実感がない。こんな所でこの男と二人でいるのが不思議なくらいだった。
 男が酒に口をつけたのを確認して、俺は口を開いた。


「あんた、騎士だろ?こんな所に来るなんて、何か事情があるのか?」
「……どうしてそう思うんだ?」

 男は一瞬驚いたようだったがすぐに表情を戻し、逆に俺に問い返してくる。

「掌が剣だこで硬くなってるし、立ち方、歩き方、姿勢とかで何となく」
「それだけで?」
「……それだけだ」
 男の探るような眼差しに、俺は溜め息をつきながら言葉を返した。

「…で?清廉潔白な騎士様がこんな所まで来て、何の用だ?」
「人を探していたんだ。この辺りにいるかもしれないと、聞いて」
「ああ、さっき俺と間違えた『ルシア』か?」
「そう、君の言った通りだ。ルシアに似た人物がここで雇われているという情報を得たんだ。だから、……」
「それで、わざわざ確かめに来たわけか?」
「……そうだ」
 男は気まずそうな顔をして俯く。





「残念だったな、人違いで」


 俺はグラスに酒瓶を傾けて、また一気に煽った。今日はいつもよりも酔いが回るのが早い気がする。やはり少し緊張しているのかもしれない。

「……本当に、ルシアじゃないのか?」
「違うって言ってるだろ」

 男は縋るような目をこちらに向けてきた。どうやらこの男は俺が『ルシア』だと信じて疑っていないようだ。

「……それとも何か?あんたの知っている『ルシア』は簡単に身体を売るような奴だったのか?」
「絶対にない」
 俺の言葉に男は即座に否定した。

「ルシアは、誰よりも気高く美しい心を持った人だった。人一倍努力家で、いつも真剣に物事に取り組んでいて……自らその身を堕とすような真似は決してしない」
 男は絞りだすように呟いた。言葉の端々に、男の『ルシア』に対する思いがこめられている。


「……あー、ソウデスカ」
 俺はシラけた気分になり、思わず棒読みで返答してしまう。なんだか逆に自分自身が侮辱されているような気がしてしまう。
 男は俺の感情を察知したのか、すぐに謝ってきた。

「すまない……気分を害したなら謝る」
「別に怒ってない。いちいち気にするな」
 俺は、吐き捨てるように言うと、ゆっくり自分のシャツのボタンを一つずつ外していった。


「『ルシア』ってあんたの何?恋人?」
「……幼馴染みだ。俺は、ルシアを守ると約束したのに、一番大事なときにそばにいなかった」

 男は苦しげに顔を歪めると、再び押し黙ってしまう。俺は男の手からグラスを取り上げてサイドテーブルへと置くと、羽織っていたシャツを脱ぎ捨てた。
 そのまま男の膝の上にゆっくりと跨る。

 男は一瞬身体を強ばらせたが、俺を押し退けようとはしない。俺から視線を外したまま、話し続ける。

「ルシアには、婚約者がいたんだ。ルシアは献身的に仕えていたのに、婚約者はそんなルシアを傷つける行為を繰り返した。ルシアは陰で泣きながら耐えていたのに、死ぬしかないと呟く程追い詰められ、最後はありもしない罪を着せられて……」

 男から聞く『ルシア』の話は、まるで悲劇の物語のヒロインのようだった。俺は段々腹が立ってきて、無言で男のシャツのボタンを乱暴に外していく。

「アル?何を……」
「いいから」
 男の制止の声を遮り、その肌に手を滑らせた。鍛えられた筋肉は硬く引き締まっていて、とても触り心地がいいとは言えない。それでも滑らかな肌の感触は俺を高揚させたし、何よりこの男がどんな反応をするか気になった。
 男のシャツを剥ぎ取れば、右肩に、頬と同じ引きつれた大きな傷痕が刻まれていた。

「……痛そうだな」
 無意識に顔を歪ませると、男は唇を噛んで頭を振った。
「もう随分前の傷だ」
「……そうか」

 俺は傷痕を指でそっとなぞった。男は、痛みを堪えるかのように目を固く瞑り、俺の行動にされるがままになっている。


「『ルシア』は死んだのか?それとも、どこかに幽閉されてる?」

 俺は男の傷痕を優しく撫でながら、慎重に言葉を選んで尋ねた。最初に俺にかけられた言葉から考えると、死んだということになっているのが妥当な気がする。

「ルシアの生死は分からない。ずっと行方不明だ。乗っていた馬車が崖から転落したらしいが、遺体はまだ見つかっていない」

「それ、もう死んでるだろ。いつまで生きてる可能性に縋ってるんだ。さっさと忘れろよ」
 俺は呆れたように肩を竦めた。

「それに、例え生きてたとしても、戻ってきてないのが答えだろ」

 俺の言葉を聞いた男は、弾かれたように顔を上げ、目を見開いて俺のことを凝視してきた。


「……ルシアの罪は、当然なことだが不問となっている。ルシアの婚約者だった男も今は自らの行いを悔いている。戻ってきても、大丈夫なんだ。……それを、ルシアに伝えたい。それだけなんだ」

 男の苦しげな独白を聞きながら、俺は緩く溜め息をついた。嫌なことを聞いてしまった。

「俺にそれを言って、どうするんだ?」
「……そうだな、すまない」

 男は自嘲するように笑った。その笑顔はとても苦しげで。俺は思わず男の右頬の傷に触れた。

「アル?」
 男は驚いたように俺の名前を呼ぶが、その手を振り払ったりはしない。俺はそのまま男の顔に手を滑らせ、ゆっくりと口付けた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜

キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」 平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。 そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。 彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。 「お前だけが、俺の世界に色をくれた」 蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。 甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー

【完結済】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。 「君のすべては、俺が管理する」 戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。 これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。

婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!

山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?  春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。 「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」  ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。 「理由を、うかがっても?」 「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」  隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。 「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」  その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。 「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」  彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。 ◇ ◇ ◇  目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。 『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』 「……は?」「……え?」  凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。 『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。  アーノルド「モルデ、お前を愛している」  モルデ「ボクもお慕いしています」』 「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」  空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。 『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』  ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。 「……モルデ、お前を……愛している」 「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」  顔を寄せた瞬間――ピコンッ! 『ミッション達成♡ おめでとうございます!』  テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。 「……なんか負けた気がする」「……同感です」  モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。 『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』  王子は頭を抱えて叫ぶ。 「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」  天井スピーカーから甘い声が響いた。 『次のミッション、準備中です♡』  こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 希望したのは、医療班だった。  それなのに、配属されたのはなぜか“炊事班”。  「役立たずの掃き溜め」と呼ばれるその場所で、僕は黙々と鍋をかき混ぜる。  誰にも褒められなくても、誰かが「おいしい」と笑ってくれるなら、それだけでいいと思っていた。  ……けれど、婚約者に裏切られていた。  軍から逃げ出した先で、炊き出しをすることに。  そんな僕を追いかけてきたのは、王国軍の最高司令官――  “雲の上の存在”カイゼル・ルクスフォルト大公閣下だった。 「君の料理が、兵の士気を支えていた」 「君を愛している」  まさか、ただの炊事兵だった僕に、こんな言葉を向けてくるなんて……!?  さらに、裏切ったはずの元婚約者まで現れて――!?

処理中です...