誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと義妹に押し付けられた~入替義姉妹~

富士とまと

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 吐息が私の指先にかかる。
 びくりとそれだけで体中が熱くなる。
 ごくりと、ルーノ様の喉が鳴った。
「ヴァイオレット……罪の色……だ。初恋のひたむきさは……時として罪」
 ルーノ様が私が胸に刺したヒヤシンスに視線を落とした。
 ヴァイオレット……。ヴァイオレッタの名前をルーノ様が口にしたようでぎゅっと心臓が締め付けられる。そして、そのあとに続いた言葉に、今度は心臓に針でも刺されたようだ。
 花言葉のことを言っている……それだけのことだろう。
 でも、まるでヴァイオレッタの存在が罪のように言われているようで涙がこぼれそうだ。
「もし、許してもらえるならば、一緒にお茶をしてくれないか?」
 これ以上ルーノ様と一緒にいれば……。アイリーンに不名誉な噂が立つかもしれない。
 お父様はルーノ様の弟とアイリーンの縁談を考えている。
 その妨げになってしまうかもしれない。
 お茶の誘いを受けるわけにはいかない。
 断ろう。そう思ったのに。
「アイリーンのお姉さん……ヴァイオレッタのことを教えて欲しいんだ」
「え?どうして……?」
「今は、その、詳しい話はできないんだが……弟のしでかしたことの後始末のために俺は王都に来たんだ」
 後始末?
「あの、弟さんは、一体何を?」
 ルーノ様が首を横に振った。
「それが私……いえ、ヴァイオレッタ義姉様となんの関係が?」
 ルーノがまた首を振った。これ以上はいくら訪ねても教えてはくれなさそうだ。
「本人と話をしてからしか……どうなるか分からないんだ」
 本人なら目の前に!……ううん。きっとアイリーンが扮したヴァイオレットのことだろう。
 一体、ルーノ様の弟と何があったんだろう。
「あの、私にも関係あることですか?」
 弟はアイリーンのことも知っているみたいだし……。
「そうだな。無関係ではない……。だからこそ、アイリーンにヴァイオレッタのことを聞かせてほしいと思って……」
 何を話せばいいというの?
 社交界でのヴァイオレッタがどのように噂されているかの詳しいことは私は分からない。
 アイリーンから見た私……の話じゃないよね。世間一般に言われているヴァイオレッタ……。それとも、ヴァイオレッタをしている家でのアイリーンのことを話せばいいの?
 だめだ。普段アイリーンが社交の場で「お義姉様はこういう人」だと話している内容は全く知らない。言っていることが二転三転しては不審がられる。
 一体、ルーノ様が言う弟の後始末がどういうことなのか気になるけれど、ヴァイオレッタのことを話さない方がよさそうだ。



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どうも。読み飛ばしてください。この部分雑談です。
ヒヤシンス……は花の名前を出してみました。
調べましたとも。ヒヤシンス……。
神話のヒュアキントスの話がどうのこうの……。
ヒュアキントスのことも調べたら……結果
神A(男)と美少年ヒュアキントスが仲良くしているのに嫉妬した神B(複数妻持ち既婚男)が殺しちゃったとかいう、泥沼BL話が出てきた……。
というわけで、花言葉は神話がもとになっていると書いただけで、その神話まで書けませんでした。いやー、まいったまいった。神話って本当ドロドロ多いよね。しかも代替は嫉妬がらみ。まったくもって、すごいわ。

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