異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果

富士とまと

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クチナシの花

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 1カ月後。クチナシの花の香りに包まれるガゼボで再び皇太子とお茶を飲むことになった。
 侍女が、お茶をテーブルに置く。今回は私の前にはケーキが置かれ、皇太子の前には果物が置かれた。
「お告げは本当だった……。その、呪いのこと、教えてくれてありがとう。本当は俺もお菓子が食べたいけど、我慢することにした……」
 我慢するといいながら、めっちゃ私に出されたケーキをガン見してます。
 食べにくいわ!こんなんっ。
 しかし、さすがに私が言った災害が実際に起きたことで、怪しげなお告げをすっかり信じたようだ。
「それから……北の辺境伯領とスーケン伯爵領の災害のこと、関係ないなんて言ったのも反省してる。宰相がすぐに行動を起こした。おまえは、ちゃんと大人に伝えたんだな……」
 まぁ、足りないと思われる殿下と違って、私は突拍子もない嘘をペラペラ吐くような子供ではないと一目置かれてますし……とは言わない。
「お父様にお話しただけですわ」
 お父様が宰相だっただけのこと。もし、私の父親が庶民であればいくら大人に話をしたところでどうにもならなかったのも事実だろう。
「北の辺境伯領で水害があった……お前の言ったことが正しかった。そのあと、色々考えたんだ」
 そう言って、殿下は丸めた地図をテーブルの上に広げた。
 どうやら北の辺境伯領の地図のようだ。
 いくつもの〇印が打たれている。その一つを殿下が指をさした。
「〇印が村のある場所だ。おまえが言っていた村がどの村なのか分からなかったから、広い範囲で村人を避難させたらしい」
 うぐっ。
 何、まさか殿下は、村の名前、もしくは被害のある地域を特定できなかった私の中途半端なお告げを非難してるってこと?
 仕方ないじゃない。当時10歳だった私の記憶だよ?そこまで詳細にいろんなことまで覚えてるわけないし。
 ああ、でも悔しい!……確かに「水害があったんだ、大変だなぁ」位にしか思ってなかった。私には関係ないと……。お父様は忙しくて大変だとは思ったけれど……。
 あ!そういうことか。
 殿下が「俺には関係ない」って口にしたことに怒り心頭だったけど、確かに子供だった私も辺境伯領での水害が自分に関係している話として意識するようなことはなかった。宰相の娘として、公爵令嬢として、被害にあった人たちへの救済とか考えようと思えば何か出来たかもしれないのに……。
 子供というのはそう言うことだ……。夢の中の10歳の私も、目の前の12歳の殿下も同じように子供なのだ。
 それなのに、自分は有能だけれど殿下は無能だという思いがあって。どこか見下したような気持ちがあって……。
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