婚約破棄しようとする皇太子を手違いで殺してしまった私の一日

富士とまと

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 もしかしたら、寝起きの殿下は……いつもこんな素敵な声でおはようって言ってくださるのかしら。
 想像しただけでレレナの胸が高鳴る。だけれど、すぐにしゅんっと胸の高鳴りは搾んでしまった。
 結婚したらおはようと言ってもらえたのだろう……。
 けれど、その未来はもう無いのだ。殿下はマリアと……。
 私は婚約破棄……されて……。
「おはようございます殿下」
 ふと、一緒に目覚めたごっこがしたくなって口をついて言葉が出た。
 レレナが眩しそうに眼を細めると、殿下がニコリと笑い、右手をレレナの頬に当てた。
「おはよう、レレナ」
 少しかすれた声がレレナの耳にはいり、レレナは何とも言えない幸せな気持ちになった。
 それから、殿下がレレナの額にチュっと口づけを一つ落とす。
「ひゃっ。で、で、殿下っ!」
 夢だと思っていても、実際は夢ではないし、あまりにも刺激的な出来事に、レレナは素っ頓狂な声を出した。
「ふふ。そんなかわいい声を出して。僕にどうして欲しいんだい?」
「か、か、かわいい声?」
 綺麗だと言われることはあっても、かわいいなんて初めて言われて、レレナが顔を真っ赤にする。
「そんなに真っ赤になって。僕をこの場に縛りつける気かい?」
 殿下の唇が再びレレナの額に落ちる。それから続けざまに、瞼に、頬にと。
 きゃーっ。
 何これ。何、これ!
 殿下って夢の中ではこんなことをしてるの?
 って、私よ?レレナですよ?マリアがじゃないですけど、夢だから疑問に思わないのでしょうか?
 恥ずかしくて、嬉しくて、死にそう。あ、死にそうなのは殿下の方なのですが。それも私のせいで……。
 せっかく夢の世界を楽しもうと思ったのに、レレナは現実を思い出した。
「で、殿下、ベットに、ベットに移動を……」
 意識があるうちに移動してもらわないと、私一人では殿下をベットへ運ぶことができないことを思い出し、レレナは殿下に声をかけた。
「ベット……レレナ。そんなことを言ったら、今日は一日離さないよ?」
 殿下がレレナを引き寄せてぎゅっと抱きしめた。
「で、殿下……っ」
 あまりの出来事に、レレナは息をするのも忘れて耳元でささやかれる殿下の声を聞いていた。
「ベットへ誘うなんて、レレナは悪い子だ」
 ……わ、私がベットに……いや、違う、いえ、そうだけれど、あれ……?
「悪い子にはお仕置きが必要だね」
 殿下の声にレレナがびくりと体を固くする。
 お仕置き?悪い子にはお仕置き?
 鞭で打たれる覚悟をレレナはした。
 毒を飲ませてしまったのだ。確かにこれ以上ないくらい悪いことをした。鞭で打たれるくらいどっていうことはない……。
 けれど。
 せっかくの夢なら、もっと幸せな夢が見たかった。




============
注*こちらの作品全年齢対象なので、そっち方面もあっち方面もありません。
……しかしまぁ、なんだこりゃな展開になってきている。なんじゃこりゃぁ。

 
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