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それから1時間ほどで雨が止んだ。
「無理をせずに被害状況を調べてきてくれ。川には近づかないように。それから立往生している人がいれば手助けして。川を渡ろうとしている者は引き返すように」
ロイドが、侯爵家の者たちに指示を飛ばしている。
「せっかく来ていただいたのにこんなことになって申し訳ありません。どうぞ、レレナ様は休んでください」
「でも……王都に忘れ物を取りに行った侍女が戻てくるのを待ちたいんです……」
ロイドがレレナに首を振ってみせた。
「2,3日は無理でしょう。簡易橋は2,3日もあれば復旧できますから……。忘れ物は諦めてください」
え?
2,3日は無理?
そんな……それじゃぁ、殿下に毒が回って……殿下は……。
気が付けば、レレナは何も考えずに屋敷の外へと飛び出していた。
「解毒剤を持って来なければ……きっと、侍女はすぐそこまでもう来ているはず」
雨のせいでぬかるんだ道を、レレナは走り出した。
わずかな月明かりを頼りに。
「レレナ様!どちらへ?危険です!」
ロイドの声が聞こえる。誰かが追いかけてくる足音も。だけれど、レレナは振り返らなかった。
だって、だって……。
走って、転んで、泥にまみれて……。
唯一の取り柄である美しさなど見る影もなくってしまうのも気にせず、レレナは走った。
解毒剤を手に入れなければ……殿下に飲ませないと。
いやだ、いやだ、いやだ。
レレナの目の前に、濁流が広がっている。
レレナは涙と泥水とでぐしゃぐしゃになった顔をあげると、濁流へと一歩、また一歩と近づいていく。
「この川を渡って、向こう岸に行けば……」
侍女がそこまでは来ているかもしれない。
ふらふらと、泳げもしないのにレレナは濁流へと近づいていく。
「危ないっ、レレナ!何をしている!」
ぎゅっと後ろから抱きしめられた。
すぐに声で殿下だと分かった。
「殿下……手を離してください……私、行かなければならないのです……」
「どこへ行こうというのだ!この先は川だ。流されて死んでしまうよ」
泥水で濡れて冷えた体を、殿下のぬくもりが包み込む。
「私のせいなんです、私が、私が……マリアが明日来なければいいと思ったから……。殿下の隣にずっと居られたらいいと願ったから。だから、雨が降って……こんなことに……。罰が当たったのです、だから、例え死んでも私は……」
ぎゅぅっと、私の体に回された殿下の腕に力が籠められる。
「死んだら、レレナは僕の隣にいられないだろう。そんなの駄目だ。ずっと隣にいてほしい」
「え?でも……殿下はマリアさんのことが好きなんじゃ……」
「誤解だ!僕が好きなのはずっと、レレナ、君だけだ。愛してる。レレナ、例え君に嫌われていようとも、僕は君を離さない」
これは、夢なのか現実なのか。
「無理をせずに被害状況を調べてきてくれ。川には近づかないように。それから立往生している人がいれば手助けして。川を渡ろうとしている者は引き返すように」
ロイドが、侯爵家の者たちに指示を飛ばしている。
「せっかく来ていただいたのにこんなことになって申し訳ありません。どうぞ、レレナ様は休んでください」
「でも……王都に忘れ物を取りに行った侍女が戻てくるのを待ちたいんです……」
ロイドがレレナに首を振ってみせた。
「2,3日は無理でしょう。簡易橋は2,3日もあれば復旧できますから……。忘れ物は諦めてください」
え?
2,3日は無理?
そんな……それじゃぁ、殿下に毒が回って……殿下は……。
気が付けば、レレナは何も考えずに屋敷の外へと飛び出していた。
「解毒剤を持って来なければ……きっと、侍女はすぐそこまでもう来ているはず」
雨のせいでぬかるんだ道を、レレナは走り出した。
わずかな月明かりを頼りに。
「レレナ様!どちらへ?危険です!」
ロイドの声が聞こえる。誰かが追いかけてくる足音も。だけれど、レレナは振り返らなかった。
だって、だって……。
走って、転んで、泥にまみれて……。
唯一の取り柄である美しさなど見る影もなくってしまうのも気にせず、レレナは走った。
解毒剤を手に入れなければ……殿下に飲ませないと。
いやだ、いやだ、いやだ。
レレナの目の前に、濁流が広がっている。
レレナは涙と泥水とでぐしゃぐしゃになった顔をあげると、濁流へと一歩、また一歩と近づいていく。
「この川を渡って、向こう岸に行けば……」
侍女がそこまでは来ているかもしれない。
ふらふらと、泳げもしないのにレレナは濁流へと近づいていく。
「危ないっ、レレナ!何をしている!」
ぎゅっと後ろから抱きしめられた。
すぐに声で殿下だと分かった。
「殿下……手を離してください……私、行かなければならないのです……」
「どこへ行こうというのだ!この先は川だ。流されて死んでしまうよ」
泥水で濡れて冷えた体を、殿下のぬくもりが包み込む。
「私のせいなんです、私が、私が……マリアが明日来なければいいと思ったから……。殿下の隣にずっと居られたらいいと願ったから。だから、雨が降って……こんなことに……。罰が当たったのです、だから、例え死んでも私は……」
ぎゅぅっと、私の体に回された殿下の腕に力が籠められる。
「死んだら、レレナは僕の隣にいられないだろう。そんなの駄目だ。ずっと隣にいてほしい」
「え?でも……殿下はマリアさんのことが好きなんじゃ……」
「誤解だ!僕が好きなのはずっと、レレナ、君だけだ。愛してる。レレナ、例え君に嫌われていようとも、僕は君を離さない」
これは、夢なのか現実なのか。
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