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しおりを挟む地下に降りる階段はギルドの受付カウンターの奥にあった。大きなものを運び込んだりするのだろうか。出入口は2畳ほどと広い。階段も梯子のようなものではなく、しっかりと石で作られていた。
「【LED】」
暗いので先ずは明かりをともす。
階段を降りると、6畳くらいのスペース。その周りに棚があり、棚と棚の隙間に進んでいくと、地べたにいろいろなものが置かれている。さらに進むと20畳くらいのなにもない場所がある。石が積みあがった壁には扉が一つあって、もしかしてまだ奥にも地下室が続いているのか、それとも地上に出る通路なのかは分からない。随分頑丈そうな鉄の扉だ。もしかしたら金庫室だったりして?
「思ったより広い【LED】」
いろいろ置いてあった場所とこの何もない場所を合わせると学校の教室3つ分くらいの広さだろうか?
棚の方もいろいろ陰になって暗い場所もあったからもういくつか設置しておこうかな。
「【LED】【LED】【LED】【LED】」
さて。これくらい明るければとりあえず大丈夫だよね?
「実験を始めましょうか」
と、視線を子供たちにむけると、キラキラした目をして私を見ている。
「すごい、アリスお姉ちゃんあんなに日光が出せるなんて……」
「いち、にい、さん……5個も……!」
あ、そうだった。LEDの説明してないもんね。
「えっとね、あれは日光じゃないの」
「え?じゃあ、月光?でもこんな明るい月光なんて……」
サラちゃんにした説明を一から始めようとしたところで、そのサラちゃんがやってきた。
「リ……アリス様、終わりました」
サラちゃんがリリアリスと言おうとしてアリスに修正してくれたけど、様を付けちゃったよ。
「み、皆に紹介するわね、この子はサラちゃん。私の一番弟子よ!」
そう、弟子なら師匠のことを様つけて呼んでもおかしくないはず。背中に冷や汗がたれる。
「さぁ、サラちゃん、みんなに……そうね、まずは火光のことを教えてあげれくれる?」
いきなりLEDでは理解が追い付かないかもしれない。サラちゃんも火光よりもLEDは少し手間取っていたものね。
「わ、私が一番弟子……は、はい!頑張ります!」
サラちゃんが嬉しそうに笑った、
「兄さん、ちょっと火を出してくれる?」
サラちゃんに言われてカイが手の平から火球を出した。
カイは火属性なんだ。
ふと手を伸ばす。
「危ない!」
カイが慌てて火球を消した。
「熱っ」
一拍置いてから熱が体指先に伝わる。
しまった。光魔法が触れないから、火属性魔法もなんとなく見えているけど形がない物だと思ってしまった。
違う。
水属性魔法は水だ。
火属性魔法は火だ。
何かを燃やすことが出来るんだった。
熱いに決まってる。
「大丈夫ですか!すぐに治療をっ」
カイが顔を真っ青にしている。
「大丈夫。ちょっと水で冷やしてくるから、サラちゃん、カイ、二人でお願い」
心配してついてこようとするサラちゃんに頷いて見せる。
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火魔法は燃焼を再現
光魔法は燃焼によって見える光を再現
……イメージなので、日光は太陽光を再現してるだけで太陽を再現はしてないので、窓から差し込む光レベルの光。火光も普段見てる光の再現。熱さを感じるほど近づいて火を見る人はいないのでほぼ熱は発しない……でもたぶんほんのり暖かくはなるはず……いや、でも蝋燭くらいじゃマッチ売りの少女が手の平くらいしか温められないかな……。そういえば、暗がりで明かりを揺らして見せて催眠術をかけるみたいなのなかったですか?
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