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「あ、そうだな。俺はギルド長として……責任を……。よし、相手の男を捕まえて八つ裂き……」
いや、まぁ、この場にいない相手の男を責めるという気持ちはありがたい。
でも、悪いのはクリスで、名前も顔も分からないあの人ではない。まさかこんなことになるなんて私も思わなかったけど、あの人も思ってないだろうし。
むしろクリスの被害者仲間。略して、ひがなか。
ひがなかさんに責任はないのに、八つ裂きはかわいそうすぎる。
「えーっと、父親はいなくて……北の戦線に……」
ミーニャさんがはっと口を押え、ぎゅっと私を抱きしめた。
「そう、亡くなったのね」
いや、生死不明で、生きて帰ってほしいと願ってはいますよ。帰ってきても二度と会わない、いや、会ってもお互いに分からないだろうけど。顔も見てない名前も名乗ってない。
まぁでも死んだのと同じようなものではあるよね。一生この先会わないだろうって事実だけとらえれば。
うん。子供が生まれたらそう伝えよう。「北の戦線に行ったきり戻らない」と。嘘ではない。あとは勝手にいろいろ想像してもらって。
「そうか……それは辛かったな……」
辛い?
あれ?そう言えば。婚約者だったクリスに裏切られたはずなのに、すっかりショックから立ち直っている。
というか、もはやすっかり忘れかけていた。たった3か月しかたっていないというのに。
師匠に教えてもらった稼ぎ方、魔物を倒して倒して倒しまくる生活をしていたおかげだろうか?
全然辛くないですよと言おうとして、吐き気が。
「うっ」
口を押える。大丈夫、吐き気はするけど吐き戻すような感じではない。
「ああ、シャリアさん、かわいそうに。とにかく、ギルド長!こんなになっても子供のためにお金を稼ごうと魔物を倒しに行こうとしてるんですっ!ギルド長として責任取ってくださいっ!」
あれ?もしかして、私がクリスを思い出して鳴くのをこらえてうめいたと勘違いされてない?違う、吐き気が。
あクリスを思い出すと吐き気がって意味じゃなくてさ。単純につわり。
「せ、責任……?」
「ギルド長として冒険者を護る責任があるでしょう!妊婦を魔物退治に行かせるなんて無責任ですよ!」
えー、ミーニャさんまさかギルドの規則を変えて妊婦は冒険者資格停止にするとか言い出さないよね?
「でも、私、働かないと!」
「んじゃ、俺が」
何かを言おうとしたギルド長の襟首をミーニャさんがつかんだ。
「ギルド長っ、他の冒険者にも同じこと言えますか?」
「うっ。いや、だいたいパーティーを組んでいれば、パーティーメンバーが助けるもんだろう?メンバーににらみを利かせろってならすぐにやるさ。男が逃げるつもりなら活を入れるか慰謝料でももぎ取ってやるが……。シャリアは前例がないパターンで……パーティーにも所属していない、夫もいない、両親もいないんだよな?それから、後衛職でもないなんてなぁ。後衛職ならしばらく依頼のランクを落として安全マージン確保させればいいんだろうが……。どうしろって言うんだよ」
「確かに、例外中の例外ですけど。……ほかの新人冒険者なら、食堂など別の仕事を紹介して冒険者を休んでもらえばいいですよね。……でもその場合は冒険者に戻ってこないことが多く。シャリアさんには戦力としてぜひ冒険者は続けて欲しい……。だから、こうしてギルド長に相談してるんですよ?」
二人の言い争いの声は、よく聞き取れないけれど……どう考えても、私のことでもめてるんだよね……。
私のせいで、迷惑をかけている……。
「あのぉ、冒険者として働くのが無理なら、冒険者を辞めて他に仕事を探しま「「ダメですっ!」」」
ミーニャさんとギルド長の声がはもった。
「冒険者を辞めるなんて才能の無駄遣いで、もったいないです!」
「そうだ、ばぁちゃんが弟子にしたんだぞ?その意味が分かるか?」
ああそうだ。アイシャさんにはお世話になって……。弟子だと名乗ってもいいとまで言ってもらったのに。
たった3か月で冒険者を辞めるなんて……。
「そうだ!ギルドで出産まで働けばいい!」
「え?」
ギルド長がぽんっと手を叩いた。
いや、まぁ、この場にいない相手の男を責めるという気持ちはありがたい。
でも、悪いのはクリスで、名前も顔も分からないあの人ではない。まさかこんなことになるなんて私も思わなかったけど、あの人も思ってないだろうし。
むしろクリスの被害者仲間。略して、ひがなか。
ひがなかさんに責任はないのに、八つ裂きはかわいそうすぎる。
「えーっと、父親はいなくて……北の戦線に……」
ミーニャさんがはっと口を押え、ぎゅっと私を抱きしめた。
「そう、亡くなったのね」
いや、生死不明で、生きて帰ってほしいと願ってはいますよ。帰ってきても二度と会わない、いや、会ってもお互いに分からないだろうけど。顔も見てない名前も名乗ってない。
まぁでも死んだのと同じようなものではあるよね。一生この先会わないだろうって事実だけとらえれば。
うん。子供が生まれたらそう伝えよう。「北の戦線に行ったきり戻らない」と。嘘ではない。あとは勝手にいろいろ想像してもらって。
「そうか……それは辛かったな……」
辛い?
あれ?そう言えば。婚約者だったクリスに裏切られたはずなのに、すっかりショックから立ち直っている。
というか、もはやすっかり忘れかけていた。たった3か月しかたっていないというのに。
師匠に教えてもらった稼ぎ方、魔物を倒して倒して倒しまくる生活をしていたおかげだろうか?
全然辛くないですよと言おうとして、吐き気が。
「うっ」
口を押える。大丈夫、吐き気はするけど吐き戻すような感じではない。
「ああ、シャリアさん、かわいそうに。とにかく、ギルド長!こんなになっても子供のためにお金を稼ごうと魔物を倒しに行こうとしてるんですっ!ギルド長として責任取ってくださいっ!」
あれ?もしかして、私がクリスを思い出して鳴くのをこらえてうめいたと勘違いされてない?違う、吐き気が。
あクリスを思い出すと吐き気がって意味じゃなくてさ。単純につわり。
「せ、責任……?」
「ギルド長として冒険者を護る責任があるでしょう!妊婦を魔物退治に行かせるなんて無責任ですよ!」
えー、ミーニャさんまさかギルドの規則を変えて妊婦は冒険者資格停止にするとか言い出さないよね?
「でも、私、働かないと!」
「んじゃ、俺が」
何かを言おうとしたギルド長の襟首をミーニャさんがつかんだ。
「ギルド長っ、他の冒険者にも同じこと言えますか?」
「うっ。いや、だいたいパーティーを組んでいれば、パーティーメンバーが助けるもんだろう?メンバーににらみを利かせろってならすぐにやるさ。男が逃げるつもりなら活を入れるか慰謝料でももぎ取ってやるが……。シャリアは前例がないパターンで……パーティーにも所属していない、夫もいない、両親もいないんだよな?それから、後衛職でもないなんてなぁ。後衛職ならしばらく依頼のランクを落として安全マージン確保させればいいんだろうが……。どうしろって言うんだよ」
「確かに、例外中の例外ですけど。……ほかの新人冒険者なら、食堂など別の仕事を紹介して冒険者を休んでもらえばいいですよね。……でもその場合は冒険者に戻ってこないことが多く。シャリアさんには戦力としてぜひ冒険者は続けて欲しい……。だから、こうしてギルド長に相談してるんですよ?」
二人の言い争いの声は、よく聞き取れないけれど……どう考えても、私のことでもめてるんだよね……。
私のせいで、迷惑をかけている……。
「あのぉ、冒険者として働くのが無理なら、冒険者を辞めて他に仕事を探しま「「ダメですっ!」」」
ミーニャさんとギルド長の声がはもった。
「冒険者を辞めるなんて才能の無駄遣いで、もったいないです!」
「そうだ、ばぁちゃんが弟子にしたんだぞ?その意味が分かるか?」
ああそうだ。アイシャさんにはお世話になって……。弟子だと名乗ってもいいとまで言ってもらったのに。
たった3か月で冒険者を辞めるなんて……。
「そうだ!ギルドで出産まで働けばいい!」
「え?」
ギルド長がぽんっと手を叩いた。
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