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くすっ。ふーふーと口で言うだけで、まだ上手に息を吹きだせないんだよね。
かわいい。すっごくかわいい。
うん、確かに似てる色をしていた。
「なんで、知ってるの?」
アイシャさんがパンをスープに浸して食べながら答えた。
「ああ、やっぱりあの男か。エディとか言ったね」
「ええ?なんで、名前まで知ってるの?」
小さなお皿にスープを少しだけ取り、ジャンにスプーンと一緒に渡す。
最近、手づかみではなくスプーンを使えるようになってきた。
……とはいえ、決して上手に使えるというわけではない。
周りがぐちゃぐちゃになるから、口に運んであげたいのが本音だけど……。
「いや、いや、じぶんでやる」
と言ってジャンが暴れて食事どころではなくなるので、スプーンを手渡すしかないのだ……。
ま、暴れるジャンもかわいいんだけど。アイシャさんが言うには「我儘な子なのではなくそういう時期」らしい。
ガルドさんなんて、床に寝っ転がって手足をばたつかせる姿が毎日5度はあったとか……。
コワモテと言われるギルド長も、ジャンのように何でもいやいやって言っていたころがあると思うと、まったく怖くなくなるから不思議だ。
ふふふ。
「ああ、宿を借りに来たんだよ。はじめはお貴族様がどうしてうちみたいな宿を借りるんだろうって思ってねぇ」
あはは、やっぱり誰が見ても貴族に見えてるよ、エディさん……。
「したら冒険者になるって話で、ここを拠点にするつもりだからって。まずは1年貸してくれって1年分ぽんっと金を出すからおどろいたさ」
「そりゃ……身分隠す気ゼロ……?」
1年分の宿賃をぽんっと払うなんて……。
「あははは、いや、最初は宿を売ってくれって言ってきたんだよ、貴族ってのは金を出しさえすれば思い通りになると思ってんのかいって怒鳴っちまったねぇ」
まさか……。
「箒を振り回したんですか……」
貴族だと思っている相手に箒を振り回すなんて……。師匠、いつか不敬罪で捕まりそう……。
「ひょいひょいとよけられたわい。この迅疾のアイシャの箒をね」
ああ、ミスリル級のギルド長の動きについていってたから、速いんだよね。
「あの男なら、お前が指導ってのも頷けるね」
アイシャさんが頷きながら何かをつぶやいたけれど、ジャンの「もっと、もっと」というお代わり要求の声にかき消された。
あら?ほっぺたにパンくずがついてる。
かわいー。かわいー!
テーブルの上に人参のかけらが転がっている。
かわいー!
あ、おいしーって顏だ。にっこにこ。
かわいー!か、か、かわいー!
次の日
「今日はよろしくお願いします」
元貴族(たぶん)だというのに、エディさんは山賊のような服装で現れた。
頭に薄汚れた布を巻き、口元も顔を隠すように布で覆っている。
穴あきのシャツに、半分毛が抜けた毛皮のベストを着て、黒いズボンをはいている。
「……なんですか、それ?昨日の服は?追剥にでもあったんですか?」
昨日は今日よりはマシな服装……冒険者の恰好だったはずだ。
エディさんが私の耳元に顔を寄せてこっそり話をする。
「これなら、貴族に見えないでしょう?」
うん。よし。やっちゃおう。
箒の柄でごすっとエディさんのお腹をつく。
かわいい。すっごくかわいい。
うん、確かに似てる色をしていた。
「なんで、知ってるの?」
アイシャさんがパンをスープに浸して食べながら答えた。
「ああ、やっぱりあの男か。エディとか言ったね」
「ええ?なんで、名前まで知ってるの?」
小さなお皿にスープを少しだけ取り、ジャンにスプーンと一緒に渡す。
最近、手づかみではなくスプーンを使えるようになってきた。
……とはいえ、決して上手に使えるというわけではない。
周りがぐちゃぐちゃになるから、口に運んであげたいのが本音だけど……。
「いや、いや、じぶんでやる」
と言ってジャンが暴れて食事どころではなくなるので、スプーンを手渡すしかないのだ……。
ま、暴れるジャンもかわいいんだけど。アイシャさんが言うには「我儘な子なのではなくそういう時期」らしい。
ガルドさんなんて、床に寝っ転がって手足をばたつかせる姿が毎日5度はあったとか……。
コワモテと言われるギルド長も、ジャンのように何でもいやいやって言っていたころがあると思うと、まったく怖くなくなるから不思議だ。
ふふふ。
「ああ、宿を借りに来たんだよ。はじめはお貴族様がどうしてうちみたいな宿を借りるんだろうって思ってねぇ」
あはは、やっぱり誰が見ても貴族に見えてるよ、エディさん……。
「したら冒険者になるって話で、ここを拠点にするつもりだからって。まずは1年貸してくれって1年分ぽんっと金を出すからおどろいたさ」
「そりゃ……身分隠す気ゼロ……?」
1年分の宿賃をぽんっと払うなんて……。
「あははは、いや、最初は宿を売ってくれって言ってきたんだよ、貴族ってのは金を出しさえすれば思い通りになると思ってんのかいって怒鳴っちまったねぇ」
まさか……。
「箒を振り回したんですか……」
貴族だと思っている相手に箒を振り回すなんて……。師匠、いつか不敬罪で捕まりそう……。
「ひょいひょいとよけられたわい。この迅疾のアイシャの箒をね」
ああ、ミスリル級のギルド長の動きについていってたから、速いんだよね。
「あの男なら、お前が指導ってのも頷けるね」
アイシャさんが頷きながら何かをつぶやいたけれど、ジャンの「もっと、もっと」というお代わり要求の声にかき消された。
あら?ほっぺたにパンくずがついてる。
かわいー。かわいー!
テーブルの上に人参のかけらが転がっている。
かわいー!
あ、おいしーって顏だ。にっこにこ。
かわいー!か、か、かわいー!
次の日
「今日はよろしくお願いします」
元貴族(たぶん)だというのに、エディさんは山賊のような服装で現れた。
頭に薄汚れた布を巻き、口元も顔を隠すように布で覆っている。
穴あきのシャツに、半分毛が抜けた毛皮のベストを着て、黒いズボンをはいている。
「……なんですか、それ?昨日の服は?追剥にでもあったんですか?」
昨日は今日よりはマシな服装……冒険者の恰好だったはずだ。
エディさんが私の耳元に顔を寄せてこっそり話をする。
「これなら、貴族に見えないでしょう?」
うん。よし。やっちゃおう。
箒の柄でごすっとエディさんのお腹をつく。
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