婚約者に売られ子供ができたけど、訳あり元騎士様が代理パパになってくれたので幸せです

富士とまと

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 びっくりして声を上げる。ギルド長とかが好みとか言われたらどうしよう。
 応援するべきか……。いや、まずはアイシャさんに相談案件かもしれない。
「い、いや、違う、そうじゃなくて、心に決めた女性がいて、その……僕には彼女だけ……」
 うん?
「好きな人がいるんですね!応援します!」
 相手が女性なら問題ない。がっつり応援させていただきますよ!
 そう、こういうのはおせっかいはしておいて損はないとミーニャさんが言っていた。
 なんていうの、冒険者ってやつは魔物相手には強気なくせに女性相手にはとんと弱気なんだから!とか。
 あ、逆に女に強気な男ほど魔物相手になるとよわっちぃから箒の出番だねってアイシャさんが言ってた。
 エディさんはミーニャさんの言ってたタイプだ。
 冒険者には幸せになってもらわなくちゃってやつだ。幸せなやつはより強くなるし無謀なことはせず生き残れるとかなんとか。
 だから、おせっかいも大事だとか。
 私も……そのおせっかいのおかげで、ギルドで働かせてもらったり……今の幸せがあるんだよなぁ……。
「あ、いや、その……彼女とは、会えないんだ……」
「え?振られたんですか?」
 エディさんを振るなんて、どんな女性なんだろうって興味が先にたって思わず声を上げてしまった。
 だって、まだそんなに知ってるわけじゃないけど、誠実そうだし、顏も立ち振る舞いも素敵だし、金も持ってそうだし、持ってなくてもこれから稼げそうだし……。
 いやでも執着が強すぎるとか?嫉妬深すぎるとか?恋仲にならないと分からない問題とかも世の中にはあるって、ミーニャさんが遠い目をしながら言ってたことがあったなぁ。
 そう、世の中には分からないことはいっぱいある。
 私だって、まさかクリスに騙されるなんて思ってもなかったよ。表面で見えてる部分だけでは何もわからないってことだけは学んだよ。
 って、ずいぶんプライベートなことをずけずけと聞いてしまったと慌てて口をふさぐ。
「振ってもらえたら、この気持ちに整理がつくのかもしれない……」
 え?なにそれ。キープされてるってこと?
 もしかして道ならぬ恋とか?人妻?それともずっと年上?
「一目でいいから、もう一度会いたかった……」
 エディさんが憂いのある表情を見せる。
 会いたかった?その物言いって……。会えないってことだよね。
 亡くなったのだろうか?
 もしかしたら、戦争に行って、戻ってきて亡くなっていることを聞かされた?
 帰ってきたら告白するつもりだったとか。
 こんなことなら出兵する前に告白すればよかったとか、そういう後悔でもしてるのかな。
「あのさ……」
 ぎゅっと箒を持つ手に力が入る。
「冒険者にはいろいろと期限が設けられているの」
「え?」
 私もミーニャさんや他の冒険者に教えてもらった話だ。
「依頼書に、いついつまでと期限が書かれているけれど、書かれていない依頼にもあるの」
「そうなんですね、まだ細かく見てなかったんですが……」
「依頼を受けて10日とか、書かれているものは10日以内に達成できないと失敗になるんだけれど、期限が書かれていないものは3か月ごと依頼を受けた者は報告の義務があるの。報告しなければ失敗。そして、1年達成できなければ失敗」
「期限がないのに?」
「1年間依頼を受けないと冒険者の資格はく奪でしょ?達成しない限り新しい依頼は受けられない。1年で資格はく奪だから、依頼も失敗扱い」
 エディさんがぽんっと手を叩いた。
「なるほど、確かに!では3か月ごとの報告を怠ったら失敗というのは」
「……生死確認」
 エディさんがはっとする。
「依頼主からすれば、亡くなっている冒険者がずっとその依頼を抱えて、新しく依頼を受けてもらえないのでは困るでしょう?」
「……」
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