婚約者に売られ子供ができたけど、訳あり元騎士様が代理パパになってくれたので幸せです

富士とまと

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「あー、沼地系ダンジョンに入った後には靴と足をしっかり洗ってください……水で洗うくらいでは……その……」
 ミミリアさんが目をそらした。
「……っと、何で俺は、忠告をしてやろうとして、こんな悲しい目にあってるんだ?」
 なぜかギルド長がエディに同情を求めている。
「えーっと、嫌いな男性には陰口で終わるのに、本人に直接言うということは、もっと素敵になってほしいというその、好意的な感情からでは?」
 エディの言葉にギルド長がぱっと表情を戻す。
「そうか、俺は愛されてたんだな!」
「勘違いしないでください。上司として嫌ってないだけです。私も、シャリアさんも」
 ミミリアさんの言葉に、ギルド長が助けを求めるようにエディを見た。
「目立つ存在になるとどういう問題が起きるんですか?」
 エディさんがもはや何事もなかったかのように話を元に戻した。
「ああ、それだがな。指名依頼されると厄介だぞ?実力は金級だが、実際は銅級パーティーとなれば、依頼料は銅級基準。だが依頼内容な金級向けで指名がされてみろ」
 首を傾げる。
「でも、そんな依頼ギルドではねればいいですよね?もしくは指名されたって、受けなきゃいいんですよね?」
 はぁーとギルド長がため息をつく。
「なかなか難しいんだよ。ギルドではねつけられればいいんだがな。なんつぅか、相手がギルドに仕事をくれるお得意さんだとかな、それで仕事が減れば困る冒険者も出てくる。で、指名依頼を伝えることまではねつけることはできないと、お前たちに話が行くことになる」
「それで、僕たちが依頼を受けずに断るとどうなるんです?ギルド側に受けさせろと圧力がかかるんですか?」
 ギルド長が首を横にふった。
「いや。ギルドに圧力をかけてくれば最終的に痛い目を見るのは依頼主だ。仕事をいくつか失うことになろうと、圧力に屈するような組織ではないからな。圧力をかけたことを後悔する程度には今後ギルドは一切手を貸さないと宣言させてもらう。まぁ、だからこそ……圧力をギルドにかけるようなことはないだろう。
 エディが眉を寄せる。
「となると、指名を断った冒険者に圧力をかけるってことですか?」
 はぁとギルド長がため息をつく。
「まぁ、そう言うことだ。圧力をかけるか、嫌がらせをするか、悪い噂を立てるか、……相手が貴族だと厄介だぞ。冒険者風情が依頼を断るなど何様のつもりだと、プライドを傷つけられたと逆恨みすることもある」
 エディの顏が怒りに満ちた。
「なんでも言うことを聞かせられると勘違いしている者たちもいますからね……」
 分かる。貴族同士でも、上位貴族は下位貴族に無理難題を押し付けることはあった。
「俺を誰だと思っている、〇〇家の者だぞ」とか「私は〇〇令嬢よ。お父様に言いつけられたいの?」とか。
 貴族間でもそんな調子だったのだ。今の私は平民だ。平民相手となれば、何をされるか……。
「逆恨みで、暴漢を雇って襲わせるなんてこともしかねない」
 ギルド長の言葉に、ゾッとする。
「まぁ、シャリアやエディを襲うならその辺のごろつきを10人雇おうが20人雇おうが意味はないだろうな」
「私が襲われのは構わない。でも、もしエディが狙われたら……」
 青ざめる私にギルド長が肩を叩く。
「それこそ、ばあちゃんがついてるんだ。大丈夫だろう。むしろ、そのまま逆上して貴族の屋敷に乗り込んで半殺しにしやしないかとそっちの方が心配だ」
 エディさんがふっと笑った。
「僕が後始末をしますんで、遠慮なく半殺しにしてくださいと伝えておきますよ」
「後始末って……何をするつもりだ……っと、聞かないぞ。エディは貴族に顔がきくんだろうなとだけ思っておく」
 ギルド長がブルブルと震えた。
「まぁとにかく、面倒ごとには巻き込まれないのが一番だろう?」
 うんうんと壊れた人形のように頭を縦に振る。
 ジャンを騒動に巻き込みたくない。
 いくら大丈夫だって言われたって、万が一が絶対にないとは言い切れないんだから。
「わかった。買取してもらうのは、銀級依頼でも達成できるレベルのものまでね。っていうか、どちらにしてもツデラ鳥はアイシャさんももっていくつもりだったから全然問題ないよね。じゃ、エディ行こう!」
 エディと一緒にギルドを出発する。

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