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ぐつぐつ

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「ルクマールさん、一つぶつけた後に、少し間を置いて二つぶつけることはできますか?」
 ルクマールさんが頷きました。
「一つ投げる、それから二つを手に取り投げる」
 と、動作を趣味レーションしています。1秒……は、ぶつかるまでに差がでそうです。
「ナインヘッドドラゴンがひるむのはコンマ何秒かだぞ、二つにぶつけている間に先にぶつけた1つが復活しちまう」
「たぶん、大丈夫。少し待っていてください。準備をします」
 人間で考える。
 水をかけられたときよりも、顔にかかった物をどかすのに時間がかかるもの。ふき取りにくいもの。目を開けられないもの。
「今のうちに、空の樽にそのあたりの酒瓶から酒を入れてください」
 小さい瓶の酒ならいくつかあります。
「ああわかった」
「モモシシの血抜きする血を、こちらに、それから火を」
 火を起こしてもらい、鍋に血を熱します。別に水でもなんでもよかったのですが、色がついた液体のほうが、無色透明の液体よりも顔にかけられたときに嫌だと思ったので、血にしてみました。
 それから、まるで料理するみたいに、材料を追加して混ぜていきます。鍋の大きさが小さいため、出来上がったらすぐに樽に移して次です。
 血がなくなれば、泥水でもなんでも液体を加熱して次々作って樽に入れました。
「ちょっと熱いですが、平気ですか?これを第一弾で」
「合図は私が出しましょう。すでに一斉に首の気を引く作戦は伝えてあります」
 ギルドの職員さんがてきぱきと準備を進めてくれたみたいだ。
 ルクマールさんが樽を2つ。中身がこぼれないように蓋のない樽は、ほかの冒険者さんがルクマールさんの後ろについて運んだ。熱いのが入ったやつです。
 1番初めに投げてもらうやつです。
 どうか、成功しますように。
「作戦開始だ。3,2,1」
 一斉にA級B級冒険者さんたちのチームが首の気を引くための行動を起こす。そして、ルクマールさんが第一投。
 見事に、顔に当たりました。
 瞬間動きを止め、首を振りますが、残念ながら、水をぶっかけたときのようにすぐに復活しません。そのすきに、ルクマールさんは残りの2つの樽を投げました。
「いまだ、金狼!頼んだ!」
 樽が顔に被弾するのとほぼ同時にバーヌが
 首の付け根の内部に飛び込みました。すぐに剣を突き刺し、引き抜き、そしてぐるりと回って剣をナインヘッドドラゴンを切りつけました。
 そう、刃が、いままで全く刺さらなかったのに、刺さるのです。
 首がうねうねと苦しみだしました。
 すぐにバーヌの元にルクマールさんも飛び込み、バーヌの持っているものよりも太くて大きな剣で、バーヌのつけた傷の上からさらに傷を深めていきます。
 そうして、一つ、また一つと、首の動きが止まっていきました。
「や、やったっ!」
 やった、やった!
 歓喜に皆が湧きたちます。
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