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終幕

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 思わず、近くにいた冒険者さんと抱き合って喜びを分かち合いま……分かち合おうとしたら、バーヌが飛んできて、冒険者さんをぽいっと押しのけました。
 ぎゅーっと、バーヌと喜びを分かち合うことになりました。
 ちょっと、ポイされた冒険者さんの顔色が悪いんですが……大丈夫でしょうか。バーヌ乱暴にポイしてないですよね?
 何はともあれ……。
「よかった、バーヌ、やったね。倒せた、無事に帰ってきた。……無事、だよね?バーヌ、痛いところない?」
 バーヌが私の肩に顔をうずめてじっとしています。
「バーヌ?」
「ふはー。エネルギーチャージ。ご主人さ」
 ポンっとバーヌの体を引き離し、肩をトンっと押す。
 ほっぺたぶにーはしません。ただ、冷たい目で見ます。
「ご主人様……」
 泣きそうな顔のバーヌ。
 だ、か、ら、ご主人様って言っても返事はしませんよ?
「すげーなっ!坊主、ああ、ユーキって言ったか、お前マジすげーな。あの一つ目の樽の中身なんだったんだ?」
 ルクマールが来て、私の両手を取ってぶんぶんと振りました。
 その後ろで、耳をペタンと伏せたバーヌの姿が見えます。あああ、やりすぎたでしょうか……。
「あれは、小麦粉でドロンドロンにとろみをつけた液体です」
「こ、小麦粉?」
 ルクマールさんが口をあんぐりさせました。
「はい。小麦粉を入れてどろどろのとろみをつけると、落としにくくなりますよね。へばりついて。しかも、作りたてて熱くて、冷めにくくていつまでも熱い。ドラゴンが熱さをどう感じるかは分かりませんが、少なくとも、人間ならやけどしますし、振り払おうと相当必死になる代物なので、少しはドラゴンも次の体制に移せないかなぁと思いまして」
 ううう。想像しただけで怖いですよ。
 小麦粉でどろどろの糊状にしたアツアツの液体というより個体でもなくて、なんていうんでしょう、それを顔にかけられたら……恐ろしいです。
「まさか、酒と、モモシシの血と小麦粉で……ドラゴンに勝っちまうとはなぁ……」
 ルクマールさんのつぶやきに、フィーネが反応した。
「え?ちょっと、何で勝ったって?どういうことなの?各方面に応援要請して、封印するために必要な話もつけて、必要物資を引っ提げて飛んで戻ってきたら……」
 フィーネさんがふらふらと、息絶えたナインヘッドドラゴンへと近づいていきます。
「なんで、倒せちゃったわけ?だって、あんなの、SSS級よね?S級モンスターどころか、SSS級トリプルSよね?」
 同意を求めるように周りの冒険者たちに話かけています。
「トリプルならこっちにもいたしな」
 というルクマールさんの言葉に、フィーネさんが振り向いきました。
「違うでしょ、モンスターはA級なら、A級冒険者パーティーが倒せるって話で、A級冒険者一人いてもA級モンスターは倒せないわよね?」
 うーん、何を言っているのでしょうか。よくわかりませんけれど。
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