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納得できない

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 そんな困らせるつもりはないんです。だけれど、だけれど……。
 どう考えても、バーヌが一番がんばっていました。
 それなのに、奴隷だからって、報奨金一つ渡さないなんて、ひどすぎます。
 涙が出てきました。
 ポロリポロリと。
 悔しいんだか、悲しいんだか、
「ああ、ユーキ、泣かないでください。あの、僕は全然平気ですよ?むしろ、完全に冒険者扱いされると、しばらく今回のモンスターに関する調査だとか報告書だとか、そういう作業でしばらくギルドに足止めになってしまいますし……」
 え?
 足止め?
 私を慰めようと、必死なバーヌの言葉に、涙が止まりました。
「冒険者としての義務でしたね」
 バーヌがにっこり笑ってフィーネさんを見ました。
「僕は冒険者ではありませんから、義務はありませんし、協力する気もありません」
 フィーネさんが焦った顔をしました。
「ちょ、それは困るわ。なんてことない事案なら構わないけれど、今回は、何の情報もなかったSSS級モンスターの討伐に成功したわけで、今後のために詳細な調書を作る必要が……」
 バーヌは完全にフィーネさんの言葉を無視して、私の手を取りました。
「行きましょう、ご主人様」
「待って!」
 バーヌがちょっと足を止めて、振り返り、手に持っていた剣をフィーネさんに投げます。
「そうだ、お借りしていたこれ、返します」
 投げられた剣を慌ててキャッチするフィーネさん。
 手元の剣と、バーヌの顔を交互に見ています。
「ジョジョリ、クラノル」
 フィーネさんが、ギルドの職員二人に声をかけました。
「今回の討伐により、買い取ったポーションや酒、武器などの消費リストに月光陽の剣を追加」
「え?フィーネさん?」
 フィーネさんが受け取った剣をバーヌに投げ返しました。
「これは、討伐に必要な消費だった。そうでしょう?」
 ジョジョリさんとクラノルさんが顔を見合わせ、頷きました。
「どういうつもりですか?」
 バーヌが飛んできた剣をキャッチしてフィーネさんを睨みます。
「これで僕を買収しようと?受け取る気はありませんよ?」
 コツコツと、フィーネさんが歩いて、私たちの前に立ちました。
「ユーキ、ありがとう。あなたへの報奨金はあとでお支払いするわ。1か月もすれば計算が終わっていると思うからギルドへ顔を出してもらえる?」
 ギルドへ顔を出す?それはフィーネさんのいるギルド?
 ……だとしたら、顔は出せません。妹を探して移動しないといけないから。
「それから、金狼……バーヌへの報奨金の件は、上には話をするけれど……私の一存でできるのはあそこまで」
 と、バーヌに渡した剣に視線を送ります。
 これが精いっぱいのフィーネさんの誠意だというのは分かりました。感謝するべきことなのでしょう。
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