下級巫女、行き遅れたら能力上がって聖女並みになりました

富士とまと

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番外編

番外編 ガルン隊長視点 4

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「なぜ?」
 シャルの目がこちらに向く。
「なぜ、ハナ巫女はダメなんですか?」
 なぜ?
 あれ?なぜ?
「顔が、いや、顔つきでしたか、気に入らなかったんですか?」
 顔?
 顔が気に入らない?
「あー、その、顔だ。そう、顔がまったく見えないから、うん」
 しどろもどろに答えると、シャルが笑う。
「人よりも表情を読むのが得意なガルンからすると、ハナ巫女のように全く顔が見えないと恐れるもんなんですかねぇ?」
「そういえば、隊長、時々ハナ巫女に叱りつけられてますもんね。くくく」
 第二隊長まで笑い始めた。
 恐れる?ハナを?
 いや、俺は別にハナのことが怖いわけじゃないぞ。むしろ、ハナといるのは心地いい。
 表情が見えなくても、ハナから伝わる空気は心地いい。
「あ!」
 急に声をあげた俺のことなど、すでに二人の眼中にはなかった。
 話題はすぐに別のことにうつり、2杯目、3杯目の酒に手を伸ばしている。
 なるほど。心地いいからか……どこかで俺は、ずっとハナ巫女に治療されたいと思っていたのかもしれない。
 開放してやれというシャルの言葉が胸の奥に沈む。
 そうか。ハナも、もう23……か。
 確かに、気が付くのが遅いくらいだったな……。ハナには幸せになってもらわなくちゃな。
 いくら心地よくとも、側に置いておきたいと思ったと思っても、送り出さなければならない。
 巫女とは、そういう存在なのだから――。

 そんな会話を交わしてからすぐあとだ。
 一人の女性に会った。
 初めに思ったのは知らない顔だということ。
 不審者が隊に紛れ込む可能性もあるから、まず見るのは知った顔か知らない顔か。
 知らない顔なのに、妙に懐かしい。
 懐かしいというか、知っている感じがする。
 なんだろう、この感じは……。
 不思議だ。
 ……もしかして、これが俗に言う「運命の人と出会った瞬間」なのか?
 知らないはずなのに知っている気がする。
 これは、魂が何かを記憶しているということなのか?
 彼女も、初対面であるはずなのに、俺に対して何の警戒もしていない。
 怖い怖いと言われ、女性は足がすくむことが多い俺を見ても……だ!
 もしかして、彼女も俺に何かを感じている?
 そうなのか?
 顔を改めてみる。
 美醜……世間の美醜基準で彼女の容姿はどう評価されるのかは分からないが……俺から見れば、それは素敵な顔をしている。
 信念のある顔だ。
 迷いのない、信念に向かって日々努力を重ねている人の顔。
 目に曇りはないし、口元にゆがみもない。
 なんと、素晴らしい顔つきをした女性だろう!
 心臓が高鳴り始めた。
 これだ、これが、これが、恋だ!
 間違いない。


================
どうも。お疲れ様でございました。
ガルン隊長ーーーーっ。
おかしい、やっぱり残念すぎる。

================

おまけのシャル視点

 ……ガルンは生まれたときから周りは魑魅魍魎バッカリだったからなぁ……。
 美しい顔に上品な笑顔を浮かべて毒舌を吐くとか。
 綺麗な顔で、優しく話しかけながら利用とするとか。
 清楚な顔で、はかなげに微笑みながら、裏で誰かを蹴落とすとか。
 そりゃ、人の顔の美醜や表に張り付けてある表情なんかより、微妙な裏の顔を読み取れるようになるだろうな……。
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