姉から始まる魔法少女

大崎 狂花

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第22話 瑠璃と配信&瑠璃とセイの自宅

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セカンドたちは時々動画を配信することがある。それは例の免許更新試験もそうだが、時には雑談やゲーム実況、色々な企画配信など、エンタメ系の配信をすることもある。

それは、やはり戦闘能力以外にその人柄などもちゃんと知っておいてもらった方がいいと、セカンド会社の上層部が判断したためである。ただ守り守られるだけの関係ではなく、人間的な欠点や長所も色々と知ってもらって、人としても支持してもらえた方が、依頼などで人と接する時やりやすいだろう。

そういうわけで、セカンドは時々そういうエンタメ系の配信もしているのである。これは義務ではないが、推奨されている。

で、実は今日、瑠璃は配信をすることにしたのである。瑠璃は、以前からもちょくちょくそういう配信もしていた。ただ、最近全然してなかったので、久しぶりにそういう配信をしてみようと思ったのだ。

「こんにちはー、魔法少女ラピスだよ!今日は配信をやっていこうと思いまーす!」

そうやって撮影用のスマホに向かってにこやかに笑いかけ、手を振る。瑠璃がチラッと見ると、配信についていたコメント欄が超速で流れていた。

『きた!』

『ラピスちゃんの配信だー!』

『すっごく久しぶり!待ってたよ!!』

『今日もかわいいね・・・・・・』

どうやらファンたちは供給を待っていたようである。

とりあえず、瑠璃は最初は色々と雑談をする。つい最近風邪を引いたけど、その時久しぶりに食べたすりおろしりんごが美味しかったという話とか、最近紅茶にハマってる話などをした。

『風邪大丈夫だった?』

『紅茶かー、いいね!』

にこやかに近況を話す瑠璃を、視聴者のみんなもにこにこと、まさに小さな子が自分のことを一生懸命に話すのを暖かく見守るような表情で見ながらコメントを打ち込んだ。

しばらく色々なことを話してから瑠璃は今回の配信の企画を始めた。

「あれ?けっこう長く話し込んじゃったね。ちょっと遅くなっちゃったけど、本題に入ろう!といっても、大したことをするわけじゃないんだけど・・・・・・」

と言って、瑠璃はいつもの魔法少女衣装の上からエプロンをつけ始めた。

『エプロン、似合ってるね!』

『かわいい』

『かわいいなあ』

エプロンをつけ終わると、瑠璃はこう言った。

「今日はね、ハンバーグを作ろうと思うんだ」

今日の配信の企画。それは瑠璃がハンバーグ作りに挑戦するというものだった。瑠璃はせっかくならもっと派手な感じのものの方がいいんじゃないかと思ったのだが、こっちの方がいいんじゃないかと鏡花に言われたのである。あと、セカンド会社の職員からも、ラピスさんに無茶なことさせたらファンに怒られると言われた。それで、穏やかな企画になったのだ。ただ、瑠璃はこんなのほんとに需要あるのかな・・・・・・と思っていた。

とりあえず、瑠璃は用意された材料を使ってハンバーグを手順通りに作り始め、その間に雑談をし始めた。

「それで、姉さんが紫色のおかゆを作ってね・・・・・・」

『紫色のおかゆ????』

『何それ怖あい・・・・・・』

瑠璃はボールの中のハンバーグのタネを、手袋をした手でこねながらちょっと怒ったような表情で言った。

「全く姉さんは・・・・・・いつもいつもだらしがないんだから・・・・・・こないだもソファで寝てたし、ちゃんとベッドで寝なきゃ風邪引くよって言ってるのに全く・・・・・・」

『しっかり者の妹とだらしない姉の組み合わせは健康にいいとされています』

『てえてえじゃない?これ、てえてえって言ってもいいんじゃないの!?』

『お姉さんに怒ってるラピスちゃんを想像すると、幸せな気持ちになります・・・・・・』

なんかやたらコメント欄がはしゃいでるな・・・・・・と瑠璃は不思議に思いつつもハンバーグ作りの工程を順調にこなしていく。

「見て見て!星型にしてみた!」

『星型!いいね!』

『かわいい』

『かわいいね・・・・・・』

瑠璃は色んな形にハンバーグを形成してから、フライパンで焼く。

「私は氷と水と愛の魔法少女だから、火を使っても大丈夫だけど、魔法少女じゃない子はお母さんお父さんと一緒にするんだよー?」

そして、焼き上がったハンバーグを瑠璃はお皿に乗せた。星型や猫型など、色んな形のハンバーグがお皿に乗る。

「できたよー!」

『すごい、おいしそうに出来てる!』

『こんな感じでラピスちゃんに手作りハンバーグ出されたら泣いちゃうね』

『ラピスちゃんが娘に欲しい人生だった・・・・・・』

その後、瑠璃は自分の手作りハンバーグを食べた。それからちょっと雑談してから配信を終了した。残りのハンバーグは家族と一緒に食べたという。

結局ただ雑談してハンバーグ作っただけで終わってしまって、こんなのでよかったんだろうかと瑠璃は配信中も終わった後も不安だったみたいだが、視聴者にはけっこう好評だったらしい。

そして、今回配信したからまたしばらくはいいかと瑠璃が思ってしまったことで、ラピスちゃん配信難民が世に溢れてしまうのであった・・・・・・。



さて、配信が終わって次の日。

瑠璃はセイの家に向かっていた。新人の面倒を見るのも先輩の務め。セカンドと学生生活をちゃんと両立できているか、ちょっと見に行くことにしたのである。

「ここか」

瑠璃はセイが住んでいるというマンションを見上げていた。今の瑠璃は妹のお下がり(?)の服を着ていたため、何度か迷子に間違えられたがなんとかここまで辿り着いたのだ。

セイは高校進学と同時に1人暮らしを始めたそうで、例の高校近くのこのマンションに部屋をとっているらしい。

瑠璃はセイから伝えられたマンションの部屋の前まで行き、ピンポーンとインターホンを鳴らした。

・・・・・・

「相変わらずかわいいなー、ラピスちゃんは!」

「セイも、相変わらずだね・・・・・・。いや撫でるな撫でるな!」

瑠璃の頭を撫でようとしてくるセイの手を躱しながら、瑠璃は部屋に上がるとリビングに通った。

「あ、そこに座って!私は向かいに座るから!」

「ああ、うん」

「今お茶淹れるからね!待っててね!」

「ああ、なら紅茶とかあるかな?あるなら紅茶がいいかな私は」

「パックでいいならあるよ?」

「パックでもいいよ。というか、私ももっぱらパックだしね」

瑠璃とセイは向かい合わせに座る。テーブルの上に乗せられた紅茶を飲みながら2人は色々と話した。

「そういえば、昨日の配信良かったよ!めちゃくちゃかわいかった!」

「そうだったか?うーん、個人的にはあんなので良かったのかあんまり自信がないんだけど・・・・・・・」

「いやいや、ああいうのがいいんだよああいうのが!これからももっとああいう路線の配信続けて欲しいな!」

「ああ、でもまあまたしばらくは配信はいいかな・・・・・・あれが本業ってわけじゃないし、他にもやることがあるしね。ほんとに本業としてやるならもっとコンスタントに続けた方がいいんだろうけど・・・・・・」

「なるほど・・・・・・ということは、またラピスちゃんの配信を求めて彷徨う人たちが大量発生するってことだね」

「いや、そんな大袈裟な・・・・・・」

さて、本題だ。瑠璃はセイにそれとなく、セカンドと学生生活がちゃんと両立出来ているか、悩みとかはないか聞いてみた。

すると、セイは瑠璃のことをちらちら見ながら

「あー、実は最近耳の中が痒くて痒くて仕方ないんだよねー。自分じゃ上手く掻けないし・・・・・・」

「はあ・・・・・・」

なんか意外な角度の悩みが来たな・・・・・・と瑠璃は思った。

「それでさ、もし良かったらなんだけど・・・・・・ラピスちゃんが私の耳かき手伝ってくれない?」

「え?」

「膝枕で!」

「は?」

瑠璃はなぜかセイを膝枕して耳かきをすることになった。

「全く・・・・・・まあ、学生生活とセカンドを両立しながら頑張ってる後輩を労うのは先輩の役目だけど・・・・・・今回だけ特別だからね?」

「うんわかってる!わかってるよ!」

「ほんとにわかってる・・・・・・?」

仕方ない。こういうのも先輩セカンドとしての務めだろう。セイはいそいそと床に瑠璃が座る用の座布団を敷き、自分の体が痛くないように細長い敷布団のようなものを敷いて準備をした。

「行動が早いな・・・・・・」

「さ、座って座って!」

瑠璃は促されるままに座布団の上に正座する。瑠璃は今日、ショートパンツのようなものを穿いていた。だから、素の太ももの上にセイは頭を乗せた。

「大丈夫?重くない?」

「ああ、大丈夫だよ。魔法少女だからね。このくらいどうってことない。一時間このままの状態でも平気だし、足が痺れることもないよ」

「魔法少女すごい・・・・・・茶の湯で無双できそう・・・・・・」

「なんだそれ。・・・・・・ていうか、普通逆だと思うけどね。むしろ、私が膝枕されて耳かきされる側じゃないの?普通は」

「いやいや、そんなことないよ!最近は小さい女の子がママっていうのもアリとされてるからね!」

「それはなんか違くない?」

セイは頭を瑠璃の太ももの上に乗せながら、その太ももを堪能した。

「ラピスちゃんの膝枕、いいね・・・・・・太もも、良いね・・・・・・」

「変なことしたら、耳貫通させるからね?」

こうして、セイは瑠璃による生膝枕耳かきを堪能した。

なんだかいいように利用されたような気もするが・・・・・・十分後輩を労えたっぽいし、まあいいかと瑠璃は自分を納得させるのであった。
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