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23 ラブラブデーっすかぁ? 藤代side
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そりゃあ、千雪がジャックになってくれたら俺は嬉しいよ。
でも生徒会関係のことは、全部千雪に断られている。
そのことを言うと、萩原と深見が声をそろえて『は?』と言った。
「俺が、そんな美味しいシチュエーションを思いつかないわけがないだろう。でもジャックはもちろん、今期の生徒会選挙のときも、来期の選挙も、バッサリ断られたっ。なんとか説得を続けているが、まったく手ごたえがない」
俺が悲愴な声を出すと、萩原が言った。
「えぇぇ? 来期の選挙も? なにそれ、マジでヤバいじゃん」
「そうなんだ。逆にどうやったら千雪を説得できるか、こっちが教えてもらいたいくらいだよ。なぁ、なんか良い方法ないか?」
切実に、困っている。俺は眉を下げて可哀想な顔を作って萩原と深見をみつめた。
「いやぁぁ、王様の頼みを断るなんて、ちょっと想像つかないっていうか。理解不能。アドバイス不可能」
手を上にあげて、深見は早々に降参ポーズだ。早いよ。
「そうよ、それって本当なの? 会長の頼みを断れる人がこの世にいるなんて。能力のことを教えてもらって、自覚があって少しは精神コントロールできる私だって、会長の頼みごとは断れないのに」
本当に信じられないという顔で、萩原は目を丸くする。
「それができるから、千雪は特別なんだ」
はぁと、重くて深いため息をつく。
千雪は特別。俺の能力が効かない唯一。
だから、やはり生徒会に引き入れるのは無理なのか?
「あきらめちゃダメよ、会長。次の生徒会はうちら三年は抜けちゃうんだからね。会長の能力を知っていて、会長に意見できる穂高くんを、絶対に生徒会入りさせなきゃ」
「まぁね、穂高くんなら、生徒会の仕事も熟知している。会長が雑用から会計の計算やらなんやら、やらせているからな。それになんたって、穂高くんはキングの妃、クィーン様だ。会長の手綱を握れるのは彼しかいない」
萩原に続いて、深見もそう言い。俺は深見の発言を大いに気に入った。
そうだ、千雪以外に王妃の座につける者などいない。
千雪にはいつも俺の隣にいてもらいたい。
「あれ? 会長、なんかいやらしい顔してない? なに? 今日はラブラブデーっすかぁ?」
深見の質問に俺は答えない。けれど、口角が上がっちゃったかも。
萩原が『うわっ、わかりやすっ』ってつぶやいた。
「とにかく、千雪が教室で待っているから、今日はもう帰る。なんか、千雪をその気にさせる手立てを考えておいてくれ」
生徒会室に残る彼らに手を振って、俺は千雪が待つ一年A組の教室へと向かった。
学園を出たら、俺の家で彼と恋人の時間を過ごす。心躍る気分で、俺は開け放たれた教室の扉をくぐった。
すると。夕日のオレンジ色があふれる教室で千雪と女子が向かい合っていた。
とてもロマンティックなムード。だから。
俺は血の気がサッと引いた。
「千雪ッ」
引いた血液が一気に沸騰し、俺はなにかを考える間もなく、反射的に千雪に駆け寄って胸倉をつかんだ。
あぁ、ダメだ。そんなことをしたら、また千雪を脅えさせてしまう。
それがわかっているのに、怒りの度合いが強すぎて、胸倉を握る手を離せなかった。
自分から千雪が離れていく、そのきっかけとなり得るのは、女だ。
千雪が女性を好きになったら。
千雪のことを好きな女性が現れたら。
俺は簡単に捨てられる。
だから千雪が女性と接触することが堪らなく不安だった。
俺の特殊な能力で、女を引き剥がすことは容易いが、それをしたら千雪に嫌われるだろう。俺は千雪に嫌われることこそが一番怖いのだ。
でも。だから。誰も千雪に近寄らせたくなかった。
千雪には自分だけを見ていてほしいのだ。
なぜ、この俺の不安を千雪はわかってくれないのだ?
心が痛い。胸が締めつけられるように痛い。
奥歯を噛んで、耐えるが、己の顔がゆがむのがわかった。
「…藤代」
千雪が俺を呼んだ。意外にも、おびえを含まない声で。
俺はハッとして、千雪の顔を見る。その透き通った瞳を。
すると、嘘みたいに怒りの炎が鎮火した。
千雪が胸倉をつかむ俺の手に手をかける。握りこんだままこわばっていた俺の手から、するりと力が抜ける。
浮いていた千雪の踵が床につくのが見えて、俺は心底ホッとしたのだ。
でも生徒会関係のことは、全部千雪に断られている。
そのことを言うと、萩原と深見が声をそろえて『は?』と言った。
「俺が、そんな美味しいシチュエーションを思いつかないわけがないだろう。でもジャックはもちろん、今期の生徒会選挙のときも、来期の選挙も、バッサリ断られたっ。なんとか説得を続けているが、まったく手ごたえがない」
俺が悲愴な声を出すと、萩原が言った。
「えぇぇ? 来期の選挙も? なにそれ、マジでヤバいじゃん」
「そうなんだ。逆にどうやったら千雪を説得できるか、こっちが教えてもらいたいくらいだよ。なぁ、なんか良い方法ないか?」
切実に、困っている。俺は眉を下げて可哀想な顔を作って萩原と深見をみつめた。
「いやぁぁ、王様の頼みを断るなんて、ちょっと想像つかないっていうか。理解不能。アドバイス不可能」
手を上にあげて、深見は早々に降参ポーズだ。早いよ。
「そうよ、それって本当なの? 会長の頼みを断れる人がこの世にいるなんて。能力のことを教えてもらって、自覚があって少しは精神コントロールできる私だって、会長の頼みごとは断れないのに」
本当に信じられないという顔で、萩原は目を丸くする。
「それができるから、千雪は特別なんだ」
はぁと、重くて深いため息をつく。
千雪は特別。俺の能力が効かない唯一。
だから、やはり生徒会に引き入れるのは無理なのか?
「あきらめちゃダメよ、会長。次の生徒会はうちら三年は抜けちゃうんだからね。会長の能力を知っていて、会長に意見できる穂高くんを、絶対に生徒会入りさせなきゃ」
「まぁね、穂高くんなら、生徒会の仕事も熟知している。会長が雑用から会計の計算やらなんやら、やらせているからな。それになんたって、穂高くんはキングの妃、クィーン様だ。会長の手綱を握れるのは彼しかいない」
萩原に続いて、深見もそう言い。俺は深見の発言を大いに気に入った。
そうだ、千雪以外に王妃の座につける者などいない。
千雪にはいつも俺の隣にいてもらいたい。
「あれ? 会長、なんかいやらしい顔してない? なに? 今日はラブラブデーっすかぁ?」
深見の質問に俺は答えない。けれど、口角が上がっちゃったかも。
萩原が『うわっ、わかりやすっ』ってつぶやいた。
「とにかく、千雪が教室で待っているから、今日はもう帰る。なんか、千雪をその気にさせる手立てを考えておいてくれ」
生徒会室に残る彼らに手を振って、俺は千雪が待つ一年A組の教室へと向かった。
学園を出たら、俺の家で彼と恋人の時間を過ごす。心躍る気分で、俺は開け放たれた教室の扉をくぐった。
すると。夕日のオレンジ色があふれる教室で千雪と女子が向かい合っていた。
とてもロマンティックなムード。だから。
俺は血の気がサッと引いた。
「千雪ッ」
引いた血液が一気に沸騰し、俺はなにかを考える間もなく、反射的に千雪に駆け寄って胸倉をつかんだ。
あぁ、ダメだ。そんなことをしたら、また千雪を脅えさせてしまう。
それがわかっているのに、怒りの度合いが強すぎて、胸倉を握る手を離せなかった。
自分から千雪が離れていく、そのきっかけとなり得るのは、女だ。
千雪が女性を好きになったら。
千雪のことを好きな女性が現れたら。
俺は簡単に捨てられる。
だから千雪が女性と接触することが堪らなく不安だった。
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でも。だから。誰も千雪に近寄らせたくなかった。
千雪には自分だけを見ていてほしいのだ。
なぜ、この俺の不安を千雪はわかってくれないのだ?
心が痛い。胸が締めつけられるように痛い。
奥歯を噛んで、耐えるが、己の顔がゆがむのがわかった。
「…藤代」
千雪が俺を呼んだ。意外にも、おびえを含まない声で。
俺はハッとして、千雪の顔を見る。その透き通った瞳を。
すると、嘘みたいに怒りの炎が鎮火した。
千雪が胸倉をつかむ俺の手に手をかける。握りこんだままこわばっていた俺の手から、するりと力が抜ける。
浮いていた千雪の踵が床につくのが見えて、俺は心底ホッとしたのだ。
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