【完結】異世界行ったら龍認定されました

北川晶

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67 雨の慕情 ③   ★

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 季節外れの大雨は、夜になってもやまず。雨音と時折吹き抜ける荒い風が雨戸を揺らす音が、どんどん激しくなってきているように感じる。

 朝、幸直と巴は指令本部に行った。書類仕事をするためだ。
 だがこの雨の中を馬に乗って帰ってくるのは大変だな。
 というか、帰るつもりはないらしい。

 堺によると、施設の中に寝泊りできる部屋があるという。今日のように突然帰れなくなるときや、徹夜仕事のときに使用していいそうだ。
 なので心配はいらない。
 日が落ちる前に帰ってこないのならそういうことなのだろう、というのが暗黙の了解みたいだ。

 夕食が終わったら使用人は離れに引き上げるので。
 幸直と巴がいないということは。この屋敷に、今は青桐と堺がふたりきりということだ。

 用意された風呂に入り、寝る支度を整えた青桐は廊下に出る。
 使用人の気配はすでになく、屋敷の中は雨の音が遠くに聞こえるだけの静かな空間だ。

 青桐は龍鬼用の区画に足を踏み入れ、堺の部屋の扉を拳で叩いた。
 すぐにいらえがあり、扉が開かれる。
 そこには風呂上がりの、浴衣を身につけた、くつろいだ格好の堺がいた。
 青桐は無言で部屋に入り堺の頬を両手で包みこむ。
 意味深にみつめれば、堺が頭を下げ。くちづけに応じた。
 堺の方が背が高いので、立ってするくちづけには協力が必要だった。
 青桐は堺の腰の辺りに腕を回し、背や脇腹を撫でながらキスをする。
 そのまま押していけば、堺は寝台に素直に向かい。押し倒されてくれた。

「堺。今日はいっぱいの約束を叶えてもらうよ。堺を抱いて、身も心も奪う。一晩中抱き締めて寝る。そして…結婚する。堺の一生を俺のものにする。いいな?」
「はい。私の一生は、貴方のものです」

 初めて青桐と会った日、堺はこの言葉を、悲壮な覚悟を持って告げていた。
 もしも記憶を奪った堺を許せず、青桐が怒りに任せて堺を手にかけたとしても。
 堺はその刃を甘んじて受ける。
 それが、記憶を奪う代償。

 どれだけ理不尽に扱われても、己は青桐に従う。そういう意味合いがあったのだ。

 でも。こんなに幸せな気持ちで同じ言葉を言う日が来るなんて。
 あの日は思いもしなかった。

 愛していると、告げてもいいのでしょうか?
 好きだと、想いをさらしても。
 キスを求めても。
 温かい腕の中に、いつまでも抱かれていても。

 そんなことを考えていたら。なんだか目頭が熱くなってきた。
「泣くほど嫌か? 俺はもう、きこりではないから貧乏じゃないんだが。きっと貴方を幸せにしてみせます」
 苦笑する青桐に、またあのときの言葉みたいなことを言われ、堺は小さく笑った。

「貧乏でも構いません。私は貴方と一緒になります」
 あの日の、求婚の台詞を覚えている。互いにその証のように言い合って。
 笑い合って。
 唇と唇を重ね合った。

 柔らかく唇の表面を撫で、舐め合うような軽いキスをしながら、青桐は堺の帯をほどき。己も浴衣を脱ぎ去った。
 たっぷりとした堺の白髪が、寝台に川の流れのように波打ち。キラキラ輝いている。
 輪郭が光って見える白い肌。
 その白に映える、薄青の瞳。
 堺の姿は氷の精霊のようだとずっと思ってきたが。浴衣の前をはだけている堺は本当に神々しくて。
 青桐はまぶしそうに目を細めた。

 恐る恐る、手で肌の上を撫でていく。

「もう俺が触れても、堺の心は傷つくことはないか? 嫌ではないか? 己が堺を汚してしまうことはないか?」
「青桐様。私は心無い者に傷つけられてきたかもしれませんが。青桐様は一度だって、私を傷つけたことなどありません。青桐様に触れられて嫌だったことなどありません。まして、貴方が私を汚すなど…あり得ません」

「俺が抱いても、堺は汚れたりしないな?」
「私は貴方のものになりたいのです。すべてを奪って。私のすべてを食らって、貴方の糧にしてください」

 青桐はもう躊躇わなかった。
 堺を食らうかのように、首筋に甘く噛みつく。

 堺はそれを満足そうに見やり、目を細めた。
 壮絶に妖艶なその流し目に。青桐の鎖は粉々に砕ける。

 堺の初めてだから、存分に感じさせてあげたかったけれど。
 青桐は余裕なく。己がしたいことしか頭が働かなかった。

 骨太で、形の良い堺の鎖骨に齧りつきたかった。
 先ほどはそれほどいじれなかった乳首に、吸いつきたかった。
 しなやかな筋肉なのに引き締まって見える腹筋を舐めて、快感を引き出したかった。
 そして。下着を剥ぎ取れば、中ですでに息づいている屹立を、手で口で可愛がりたかった。

「あ、あ…そこは…青桐さま…」
 陰嚢から茎の先端へと、手で形を確かめるように撫で上げ。唇ではさんで弾力を感じ、舌で舐めて堺を味わう。腰を震わせる堺を見て、青桐はたぎった。

「青桐さま、私が…私がしなければ、ん、あ」
「馬鹿だな、初めての堺に奉仕なんかさせるわけないだろ。堺は、俺が与える感覚を覚えて」
 つか、今堺に触られでもしたら、暴発してしまう。
 実は己も初めてで、余裕などない青桐だった。

 伸び上がって、青桐は堺にくちづける。くちづけながら同性同士の性行為のときに使うという香油を、自身の手の上に出した。その手を堺の背中に伸ばし。背筋のくぼみに手を入れ込んで、ゆっくりと下ろしていき。引き締まった堺の臀部を掴む。双丘を割り蕾の周りを、香油をまとわせた指で撫でた。

「ふぅ、ん、ん…ん」
 舌同士でくすぐり合うキスを楽しみながら、後孔をほぐす。
 指が入り込むたび、鼻から吐息が漏れて。
 その、耐え切れず漏れる吐息が、色っぽくて。青桐は耳から煽られた。

「ここ、痛くないか?」
 油分をまとっているとはいえ、先ほど触れたとはいえ。
 初めて開く場所だし。
 本来は受け入れるべき場所ではないから。
 青桐は堺の蕾をほぐすことに慎重になる。痛い思いをさせたくない。

「少しくらい痛くても構いません。私は将軍です。幼い頃から剣術の稽古で、痛い思いなどいくつもしてきました」
「それはダメだ。お互いに気持ち良くなる行為だからな。堺がいいと思ってくれないと」
 咎めるように、青桐は堺の薄い唇を軽く噛んだ。

「ん、でも。わからないのです。青桐様に触れられると、そこがじんじんして。いいのか。痛いのか」
 青桐は指を二本差し入れて、中を広げるようにしながら、ゆっくり出し入れする。

「これは? 痛い? 痛くない?」
「んん、じんじん、で、す。息が、つまるような」
「ちゃんと、息して? ゆっくりするから。痛くなったら、嫌だったら、言って?」
 初めての感覚に戸惑う堺をあやすように、青桐は頬や首についばむキスをする。
 唇を舐めたら、堺が口を開いて大きく息を吸いこんだ。

「初めてなんだから、慣れないのは当たり前だ。感覚が幼いから。ヒリヒリジンジンなんだろう」
「幼い? そんな…」
 一応年上を自負している堺は、青桐に幼いと言われて衝撃を受けた。

「もう幼くなどありません。青桐様に、いっぱい教えてもらいましたから」
「くくっ、負けず嫌い、可愛すぎんだろっ」
 青桐は堺の足を開かせて、その間に己の体を入れ込むと。剛直で堺の屹立をつついて撫でこすった。

「あぁぁ…あ、青桐、さまっ」
「昼間はこうして、互いのモノをこすり合わせたが。堺はマグマで揉みくちゃとか言ってたぞ。していないことは山ほどあるんだ。堺はまだまだ幼いんだよ」
 ニヤリと笑って言うと。堺は少しむくれたような顔つきになって。青桐の首に手を回し、ギュッと抱きついた。

「早くっ、全部教えてください。青桐様」
「焦らないで。一歩一歩だよ。堺の心臓が壊れないように、ね?」

 そうは言っても、今晩は最後まで進むつもりだった。
 少し早いかもしれないが、青桐もいい加減限界だったので。
 手にさらに香油を出し、剛直にも塗りたくって、もう一度堺の蕾も指で開いて。

「いくよ。息を詰めないで。体を楽にして」
 剛直を蕾にあてがい、ゆっくり体を進めた。先端が中に入り切るまで。青桐も堺も少し難儀したが。
 痛みに耐性があると言うだけあって、堺はそれほど痛がらずに青桐を受け入れていった。

 神経が集まっているかのような敏感な局部を後孔でギュッと握り込まれるような感覚に、青桐は奥歯を噛む。
 気持ち良すぎて、気を抜いたらすぐにも絶頂を迎えてしまいそうだった。

「青桐様、青桐、さま…大丈夫、ですか?」
 堺は青桐の頬に両手をあてがい、眉間をしかめる青桐を癒すように撫でる。
 自分こそ、己を受け入れ、あらぬところを開かれて苦しくつらい思いをしているくせに。
 その健気さ、あどけなさ、そして己を受け止めようとする凛々しさに、青桐は惚れ直してしまう。

「あぁ。全部入ったよ。堺、痛く、ないか?」
 青桐も慰撫するように、堺の頬を中指の背で撫でる。
 堺は、その指にチュッとくちづけると。にっこり笑った。

「青桐様。これで、私は貴方のものになったのですか?」
 そんな嬉しそうに笑われたら。タガが外れそうになる。

「駄目だ、堺。そこで笑ったら、加減ができなくなるっ」
「構いません。私は、本当にか弱くはないのです。貴方の望むままに。それに…貴方の龍になれて、嬉しいから。感情があふれる笑みは、止められません」

 好きだっ。
 好きと可愛いという単語だけが、青桐の脳内をしめた。

 青桐は堺を狂おしく抱き締め。本能のままに腰を揺らし。堺を貪った。
 堺は青桐にしがみついて。彼が引き起こす嵐に身をゆだねる。

「ん、ん、ん…あんっ、あ、あ、青桐、さ、まぁ…あ、あっ」
 突き上げる拍子に、耳元で囁くような堺の声が吹き込まれ。青桐はギュンと腰を引きつらせた。
 腰にたまるドロドロの情欲が、剛直を突き入れる刺激で体中に弾ける。
 熱くて、甘くて、うずうずして、どうにも腰の動きを止められない。

 愉悦のような官能ではなく、青桐を支配していたのは、突き抜けるような淡い痛みだった。

 堺を気遣いたいのに、体が言うことを聞かず。最後の最後で青桐は突っ走ってしまう。
 自慰をしてもピクリとも動かなかった翼が、絶頂の瞬間にバサリと羽ばたいた。

「くっ、さか…いっ」
 どくりと青桐は堺の中に精を注ぎ込んだ。ぶるりと身を震わせ。すべてを出し切る。

 そして、我に返った。
 慌てて堺の顔を見ると。堺は目を丸くして青桐をみつめていた。
 燃えたぎっていた頭の中が、冷や水を浴びせたみたいに急激に冷却される。
 己は今、なにをした?

「す、すまない。乱暴にした。痛くしたか?」
 オロオロして、青桐は堺の頬を撫でたり体をさすったりするが。
 堺はやんわり目を細めて。微笑んだ。

「大丈夫です。いつも冷静な青桐様が…嵐のようになったので、少し驚きましたけど」
 自分だって、驚いている。
 童貞を捨てることが、これほどまでに衝撃的で刺激的な出来事だったとは。
 というよりも。
 絶対に欲しいと思った堺と抱き合えたことこそが、扇情的で感動的だったのだろうけど。

「ずっと、大切に、大事にしてきたのに。最後の最後でやらかしちまうなんて…初めての堺を、置いてけぼりにした…すまない。すまない、堺ぃ」
 情けなくて。青桐は堺をそっと抱き締めた。
 今までドヤ顔で堺を導いてきたが、ここに来て童貞臭をあらわにするなんて。
 堺は己が初めてだったことに、気づいただろうか?

 青桐は焦ってしまうが。
 堺はなにやら嬉しげに、耳のそばでフフッと笑った。

「男らしくて格好いい青桐様が、このような可愛いところがあるなんて。新発見で、私は嬉しいです」
 顔をあげると堺と目が合う。
 堺は上気した頬に笑みを刻んで、色っぽく青桐をみつめた。

「青桐様、お願いがあるのです。私を…イかせてくださいませんか?」
 上目づかいでそんなお願いされたら。何度でも勃つ。
 実際、堺の中で再び大きくみなぎり。
 堺も、カカッと頬を染めるほどだった。

「んんっ、さっきより熱くて、硬い…」
「待て待て、煽るな、堺。くっ、仕切り直しさせてくれ。今度は堺をよくしてやらないとな?」
 しかし堺の中は、想像以上にめくるめく悦楽の世界だった。
 そんな状態で、己が堺に快楽を与えてやれるのか。自信を無くしそうだが。
 今度は堺優先で。やってみせるっ。

「本当に痛くないか? 一度抜いた方がいいか?」
 気遣って堺の髪を撫でながら、うかがうが。堺は悲しげな面持ちで首を振る。

「嫌です。青桐様に揺さぶられているときは、体の奥を叩かれている感覚だったのですが。今はじんわりして。お腹の中が熱くて。青桐様をとても近くに感じられて、心地よいです」
「あぁ、俺の精が…」
 堺の中に思いきり放ってしまったから。そう思うと、堺を抱いた実感が湧いて。嬉しいやら照れくさいやら。頬がゆるみそうになってしまう。

「青桐様も精が出るのですね? あの…ずっと。私だけされていたので。今日のも、わけのわからないうちに終わっていて。青桐様も私と同じように精を出すというのが、ピンときません」

「俺と堺は同じ人間なんだ。局部を刺激すれば、堺が感じるのと同じ気持ちになって。もちろん精も出るよ」
「子種というのは、こんなにも熱いものなのですね?」

 堺は無意識にだが、自分の下腹を手で撫でる。
 それを見れば、青桐も微笑ましいような、情熱が湧き上がるような。
 慈愛と情愛が同時にあふれる、妙な感覚になった。
 男同士で子はできないだろうが。
 堺が子を成したらと妄想すると。それはあまりにも幸せな情景で。
 愛しげに、青桐はひんやりする堺の頬に頬を寄せた。

「うん。堺は体温が低いから、余計熱く感じるのかもな」
 今度は暴走しないように。堺の膝裏を持って押し上げ。後孔を傷つけないよう、慎重に腰を動かした。
 香油と己の精液が潤滑剤となって、抜き差しするたびにぱちゅぱちゅと淫靡な水音がなる。

「あ、そこ…じんじん、し、ます」
 堺は声が漏れるのを気にして、手で口に触れるが。
 その指先が優美で。キスをねだっているようにも見える。

「ん、ここが、じんじんする?」
 堺が示した個所を、青桐は突端で強めにこする。
 堺は『あ、あっ』と鳴いて。
 うん。堺のいいところはここみたいだ。

 青桐は官能の泉であるその部分を、攻め立てる。
 性的に幼い堺が、この行為を嫌悪しないよう、できる限り気持ち良くさせたかった。

「あ、んっ…そこ、ば、かり…んんっ、あぁぁ」
「わかるか? 堺。これが気持ちいいって感覚だよ。声がおさえられないくらい、いいだろ?」
「ん、青桐さ、まぁ…お腹が、じんじんですっ」
「マグマで、揉みくちゃ?」

 昼間の堺の言葉を揶揄すると。堺は目をとろりと細め、熱い視線でみつめた。
「とろけそう、です。青桐様の精が、私の中で。か、かきまぜ、て…」
「かき混ぜると、堺はどうなっちゃうんだ?」
「熱いのが、体の中であぶられて、もっと熱くなって…あ、あぁ…全部、私の体が青桐様の、ものに…」

 ズクズクと一定の間隔で青桐は腰を揺らめかせる。また止まりなくなりそうだ。
「あぁ、いい。堺。俺の、龍。俺の…」
「青桐様っ、も、イく…イ、きま、す、ん、んっ」
 堺の足から手を離し、青桐は堺に胸を合わせ、ギュッと抱き締めた。
「あぁ、上手に言えたな、堺。ご褒美に、もっと良くしてやる」

 堺の屹立を手で握り込み、撫で上げてうながせば。すぐにも堺はなまめかしく身悶える。
「あ、あ、いい。気持ち、いいっ。青桐様、じんじんが、いい、です」

 屹立から精を放出する性感を覚え、素直に、淫蕩に、その悦楽に堺が惑乱している。
 もちろん青桐も。情欲を味わううっとりとした顔の堺を見れば、それだけで剛直がギンとみなぎる。

 そうして、ふたり一緒に高みへと登っていった。

「あ、ん、ん、んぅ…イく。青桐さまぁ、イ…イくぅ、ぅ」
 ビクン、と。腕の中の堺は体を大きく震わせ。小刻みにわなないて絶頂を迎えた。

 手でうながしていた堺の屹立が先端から白濁を飛ばし。達したことで中もびくびくと収縮する。
 それは挿し入れられた青桐の剛直を、まんべんなく甘く締めつけ。
 再び青桐も極めた。

 堺に受け入れてもらえるだけでも最高なのに、このふたり同時に達する感覚は、腰が抜けそうなほどの鮮烈な官能と満ちあふれる幸福感を青桐にもたらした。

「はぁ、はっ…」
 荒い息が整わないままに、青桐は堺にくちづける。
 己に初めてを捧げてくれた堺に、感謝を込めて。

 くちづけをほどくと、堺も青桐の首に腕を回して体を密着させる。青桐の首筋に額をこすりつけてきて…少しも離れたくないというような堺の気持ちを感じ、嬉しくなった。

「ありがとう、堺。俺にすべてを預けてくれて」
「これが、本当の情交なのですね? 青桐様の存在が、熱が、心が、誰よりもなによりもとても近くに感じられます。貴方のものになったと実感できて…嬉しい」
「あぁ、お互いに幸福感に満たされる、本当の情交だ。堺、幸せを感じてくれるか?」

「はい。とても幸せです」

 戸惑いも後ろめたさも嫌悪も、負の感情はなにも感じさせない。麗らかな春日のような温かい笑顔を堺は浮かべてくれた。
 彼の心も体も傷つけることなく。悲しませることもなく。たっぷりの愛情を注いで堺と睦み合えたことに、青桐は安堵していた。
 ぶっとい鎖で理性をがんじがらめにした甲斐があったな。

 でもこれで終わりじゃない。堺の傷を癒して、もっともっと愛を注いで。堺がいつも柔らかな笑顔を見せるようにしたいのだ。
 貴方を幸せにしてみせます。その誓いを青桐は胸にしかと刻みつけて。

 堺に甘露なキスをした。

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