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4 可愛い弟が、さらに可愛くなってどうすんのっ?
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◆可愛い弟が、さらに可愛くなってどうすんのっ?
ぼくが、シオンの髪を撫でていると。
苦しそうに息をつくシオンが、重いまぶたをひくひくさせながら、開け。
つらそうでも、きらりと光る緑色の瞳で、こちらを見た。
「兄上…ぼくは。兄上に、いっぱいあそんでもらって。うれしかった…」
嫌な予感をかき立てる言葉を、シオンが言うものだから。涙が出そうになった。
違う、違う。なにも、嫌なことなど起きはしない。だから、泣くのは間違いなのだ。
泣いてなんかいない、なにもないのだというように。ぼくはシオンに、笑みを浮かべてみせた。
「元気になったら、またいっぱい遊んでやるから。な? なにをしようか? 木登りするには、まだシオンが小さかったから、この前は一緒に登ってあげられなかったけど。今度は一緒に木に登ろうか? それともかけっこ? お馬さんごっこ?」
シオンが元気になることを思い浮かべて、ぼくはいろいろ提案したけれど。シオンは、首を横に振る。
「お話が、いい。兄上が、話す、お、おうけの、ぶゆうでんが。好き」
王家の武勇伝とは。
海に浮かぶ小さな島に、王城があることで。昔から、海賊や他国の侵入を防いでいるのだが。
王家は今も、敵が来れば、火炎の魔法で攻撃して、国を防衛している。
そんなことから。王家の英雄が活躍する昔話が、それは、それは、いっぱいあるのだ。
「そんなの、いくらだって、話して聞かせてやるっ。だから、早く良くなれ」
ぼくは、シオンの手を握り。燃えるように熱くなった小さな手を、手でさすってやる。
でも、シオンは急に激しく苦しがって。身を丸めるようにした。
「兄上ぇ、大好き、です…」
そう言うと、シオンから白い煙が立ち昇り。シューと音をたてて。シオンの体がみるみる小さくなっていき。
やがて消えて無くなった。
ちょうど、朝日が昇る、そんな時間だったが。
希望の朝日など、目に入らず。
ぼくも母も、暗い暗い失意の中、シオンを失うというあまりの衝撃で。声を失った。
「う…あっ、シ…シオン…? 嘘だろ? やだ、やだよぉ…」
シオンの体が消えてしまった寝台に、ぼくは突っ伏すようにして、顔を布団に埋める。
涙が、あとから、あとから、こぼれ落ち。
苦しくて、あえいで、息もできない。
そうしたら。布団の中に、なにか小さいものが残っていて。
シオンの洋服かと思ったのだけど。
なんとなく、布団をめくって見た。
そこに、いたのだ。なぜか。黒い子猫が。
「にゃあ。なんだ、こりゃ? あにうえ、あにうえぇ、たすけてくださいぃ」
子猫は、パニクって。にゃあにゃあ、泣きまくる。
いや。声は、シオンで。子猫はシオンだ。
「なんで、猫がいるの? シオンはどこへ? 消えてしまったの?」
今にも倒れそうな様相で、母はわなわなと震えながら言うけれど。
「え、母上には聞こえませんか? シオンが、助けてくれと言っているのですが?」
「そうなの? まさか、この猫がシオンだというの? クロウ…なにかにすがりたい気持ちはわかるわ…」
大粒の涙をこぼす母は、ぼくの言葉を、シオンがいなくなったことを慰めるための、励ましや。現実逃避だと思っているようだ。
でも、シオンは確かに。あにうえぇ、とぼくを呼んでいる。
ぼくは、自分の頬を濡らす涙のあとを、手で拭い。いまだ嗚咽に震える声を、絞り出した。
「は、母上。本当にっ、シオンの声が聞こえないのですか? この子猫が、し、シオン、みたいなのですけど」
「貴方には、シオンの声が聞こえるの? 本当に、この子猫がシオンなの?」
母は、どうにも信じられないようだが。
ぼくは、もう確信していた。
なにより声が聞こえるし。シオンが寝ていたところに猫がいるとか、考えにくいし。
なんといっても、ここは剣と魔法の世界なんだから。
なんでもありなのだっ。たぶん。
つか、細かいことはどうでもいいのだ。シオンが生きていてくれるなら。ただそれだけで。
ぼくは、希望や安堵で、胸が熱く高鳴った。
くそっ、泣かせやがって、このやろうっ(喜んでます)。
「この艶やかな黒い毛も。目の、美しいエメラルドグリーンも。シオンそのものではないですか? でも…なぁ、シオン。僕が知らない、母とシオンだけの秘密とか、ないのか?」
「ひみつ? うーん。兄上がみていないところで、母上はよく、ぼくのほほをモミモミギュッギュッってしていました。あぁ、やわらかいわぁ…って、うっとりしていましたっ」
少し得意げに言う、黒猫。可愛いのかたまりかっ(好きですっ)。
それはともかく。
シオンが言ったことをまんま、母に告げると。母は、顔をキューッと紅潮させて。
「だって…マシュマロみたいなのですもの」
と、つぶやいた。
思わず、フヘッ、と笑みが吹き出す。ま、気持ちはわかりますとも。
「じゃあ、やっぱり、この黒い子猫ちゃんが、シオンなのね?」
猫に変化したことは、悲しいような。でも生きているのは、嬉しいような。
そして、困惑に困惑が重なるような。
そんな複雑な心根を、母はおっとりした話し口でつぶやく。
このエピソードで納得してしまうところは、母上の可愛らしいところだと思うが。
とりあえず、子猫がシオンだと納得してもらえて、よかったです。
それにしても…可愛い弟が、さらに可愛くなってどうすんの?
さすが、アイキンの世界だと。ぼくは唸るしかない。
可愛いシオンに可愛いを盛るなんて、誰が想像できようか?
スタッフの中にショタ萌えがいたに違いない。
あぁ、絶対そうに違いない。変な裏設定作って密かに楽しんでいたに違いない。
予想の斜め上をはるかに超えるとはこのことだ。
しかし、猫になる呪いだったか…。
確かに、人として活動できなくなるってのは、そのとおりだな。
ぼくは、シオンの命が助かって、本当に良かったと思っている。
どんな姿だろうと、シオンが生きて、ぼくのそばにいてくれるだけで、涙が出るほど嬉しいよ。
けれど。猫になってしまったシオンは、これから大変な人生…猫生? を歩むことになる。
安易に喜ぶことはできないな。
でもさ、ぼくが兄として、弟をしっかり守るよ。
守って、愛して。立派に育ててやるから。絶対見捨てたりしないから。
だから、悲観しないで。シオン、前を向いていてほしい。
ぼくが、シオンの髪を撫でていると。
苦しそうに息をつくシオンが、重いまぶたをひくひくさせながら、開け。
つらそうでも、きらりと光る緑色の瞳で、こちらを見た。
「兄上…ぼくは。兄上に、いっぱいあそんでもらって。うれしかった…」
嫌な予感をかき立てる言葉を、シオンが言うものだから。涙が出そうになった。
違う、違う。なにも、嫌なことなど起きはしない。だから、泣くのは間違いなのだ。
泣いてなんかいない、なにもないのだというように。ぼくはシオンに、笑みを浮かべてみせた。
「元気になったら、またいっぱい遊んでやるから。な? なにをしようか? 木登りするには、まだシオンが小さかったから、この前は一緒に登ってあげられなかったけど。今度は一緒に木に登ろうか? それともかけっこ? お馬さんごっこ?」
シオンが元気になることを思い浮かべて、ぼくはいろいろ提案したけれど。シオンは、首を横に振る。
「お話が、いい。兄上が、話す、お、おうけの、ぶゆうでんが。好き」
王家の武勇伝とは。
海に浮かぶ小さな島に、王城があることで。昔から、海賊や他国の侵入を防いでいるのだが。
王家は今も、敵が来れば、火炎の魔法で攻撃して、国を防衛している。
そんなことから。王家の英雄が活躍する昔話が、それは、それは、いっぱいあるのだ。
「そんなの、いくらだって、話して聞かせてやるっ。だから、早く良くなれ」
ぼくは、シオンの手を握り。燃えるように熱くなった小さな手を、手でさすってやる。
でも、シオンは急に激しく苦しがって。身を丸めるようにした。
「兄上ぇ、大好き、です…」
そう言うと、シオンから白い煙が立ち昇り。シューと音をたてて。シオンの体がみるみる小さくなっていき。
やがて消えて無くなった。
ちょうど、朝日が昇る、そんな時間だったが。
希望の朝日など、目に入らず。
ぼくも母も、暗い暗い失意の中、シオンを失うというあまりの衝撃で。声を失った。
「う…あっ、シ…シオン…? 嘘だろ? やだ、やだよぉ…」
シオンの体が消えてしまった寝台に、ぼくは突っ伏すようにして、顔を布団に埋める。
涙が、あとから、あとから、こぼれ落ち。
苦しくて、あえいで、息もできない。
そうしたら。布団の中に、なにか小さいものが残っていて。
シオンの洋服かと思ったのだけど。
なんとなく、布団をめくって見た。
そこに、いたのだ。なぜか。黒い子猫が。
「にゃあ。なんだ、こりゃ? あにうえ、あにうえぇ、たすけてくださいぃ」
子猫は、パニクって。にゃあにゃあ、泣きまくる。
いや。声は、シオンで。子猫はシオンだ。
「なんで、猫がいるの? シオンはどこへ? 消えてしまったの?」
今にも倒れそうな様相で、母はわなわなと震えながら言うけれど。
「え、母上には聞こえませんか? シオンが、助けてくれと言っているのですが?」
「そうなの? まさか、この猫がシオンだというの? クロウ…なにかにすがりたい気持ちはわかるわ…」
大粒の涙をこぼす母は、ぼくの言葉を、シオンがいなくなったことを慰めるための、励ましや。現実逃避だと思っているようだ。
でも、シオンは確かに。あにうえぇ、とぼくを呼んでいる。
ぼくは、自分の頬を濡らす涙のあとを、手で拭い。いまだ嗚咽に震える声を、絞り出した。
「は、母上。本当にっ、シオンの声が聞こえないのですか? この子猫が、し、シオン、みたいなのですけど」
「貴方には、シオンの声が聞こえるの? 本当に、この子猫がシオンなの?」
母は、どうにも信じられないようだが。
ぼくは、もう確信していた。
なにより声が聞こえるし。シオンが寝ていたところに猫がいるとか、考えにくいし。
なんといっても、ここは剣と魔法の世界なんだから。
なんでもありなのだっ。たぶん。
つか、細かいことはどうでもいいのだ。シオンが生きていてくれるなら。ただそれだけで。
ぼくは、希望や安堵で、胸が熱く高鳴った。
くそっ、泣かせやがって、このやろうっ(喜んでます)。
「この艶やかな黒い毛も。目の、美しいエメラルドグリーンも。シオンそのものではないですか? でも…なぁ、シオン。僕が知らない、母とシオンだけの秘密とか、ないのか?」
「ひみつ? うーん。兄上がみていないところで、母上はよく、ぼくのほほをモミモミギュッギュッってしていました。あぁ、やわらかいわぁ…って、うっとりしていましたっ」
少し得意げに言う、黒猫。可愛いのかたまりかっ(好きですっ)。
それはともかく。
シオンが言ったことをまんま、母に告げると。母は、顔をキューッと紅潮させて。
「だって…マシュマロみたいなのですもの」
と、つぶやいた。
思わず、フヘッ、と笑みが吹き出す。ま、気持ちはわかりますとも。
「じゃあ、やっぱり、この黒い子猫ちゃんが、シオンなのね?」
猫に変化したことは、悲しいような。でも生きているのは、嬉しいような。
そして、困惑に困惑が重なるような。
そんな複雑な心根を、母はおっとりした話し口でつぶやく。
このエピソードで納得してしまうところは、母上の可愛らしいところだと思うが。
とりあえず、子猫がシオンだと納得してもらえて、よかったです。
それにしても…可愛い弟が、さらに可愛くなってどうすんの?
さすが、アイキンの世界だと。ぼくは唸るしかない。
可愛いシオンに可愛いを盛るなんて、誰が想像できようか?
スタッフの中にショタ萌えがいたに違いない。
あぁ、絶対そうに違いない。変な裏設定作って密かに楽しんでいたに違いない。
予想の斜め上をはるかに超えるとはこのことだ。
しかし、猫になる呪いだったか…。
確かに、人として活動できなくなるってのは、そのとおりだな。
ぼくは、シオンの命が助かって、本当に良かったと思っている。
どんな姿だろうと、シオンが生きて、ぼくのそばにいてくれるだけで、涙が出るほど嬉しいよ。
けれど。猫になってしまったシオンは、これから大変な人生…猫生? を歩むことになる。
安易に喜ぶことはできないな。
でもさ、ぼくが兄として、弟をしっかり守るよ。
守って、愛して。立派に育ててやるから。絶対見捨てたりしないから。
だから、悲観しないで。シオン、前を向いていてほしい。
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