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29 試してみよう…おまえと
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◆試してみよう…おまえと
お風呂を出た小枝に、俺はパジャマを着せる。レギが用意してくれたのは、アイボリーでつるつる生地の、フリルふりふりなやつ。これ、シルクってやつだよね? お高そう。
日本でも、こんな上等なパジャマを着せていなかったよぉ?
綿の、キャラクターが描かれた薄青のパジャマだった。
いいんだ、男の子はこういうのが好きなのっ。たぶん。
でも、似合っているけど…レギは小枝が男の子だってわかっているのかなぁ? 普段の衣装がズボンだから大丈夫だとは思うんだけど。ちょっと心配。
で、殿下の居間から扉を出て、廊下を進んで自室に戻る。
さっそく寝室で、俺は小枝を寝かしつけた。
「パパ、このベッドやわらかぁでふかふかぁだよ? パパも一緒に寝よ?」
「うーん、俺は今日も殿下の部屋で御仕事だ」
「いいのぉ、今日はパパと寝るのぉ…んんんーっ」
と、ちょっとグズるけど。もうまぶたがくっつきそうだ。
ほこほこと温まった体が、ゆっくり温度を下げていくと。自然に眠りが訪れる。
満腹アンドお風呂でほっこりの小枝は、すぐに寝た。いい子だな。
そして、俺はお隣の殿下の部屋に行く。
殿下のお部屋は廊下の突き当りで、右手側から横に、風呂などの水回り、居間、寝室と並んでいる。
そして廊下の左手側にある俺らの部屋の寝室と。殿下の居室の左手にある寝室が、中でつながっているのだ。
つい最近まで、俺らの部屋は鍵で閉め切られていたんだって。防犯対策。
一応ノックしてから、寝室にお邪魔すると。
殿下は机に座って、なにか書類を見返しているところだった。
「お風呂、最高でした。俺の夢を叶えてくださり、ありがとうございます」
「あぁ、まぁ…うん」
なにやら頬をほんのり赤らめて。返事をする殿下。
こちらの世界の二十三歳は、みんな恥ずかしがり屋なんだなぁ?
でも王族の方は裸のお付き合いなんてしないんだろうしな。いきなりお風呂で親睦を深めるのは、きっとハードルが高かったのでしょうね?
そういえばアンドリューさんも二十三歳で。俺が褒めたら照れちゃったっけ。
「殿下もお風呂に入りましたか? 不眠を治すのに効果的ですよ?」
「入った。そうなのか?」
「えぇ。それで、書類仕事は不眠の大敵です。目が冴えるでしょう?」
机の上を指でコンコンと叩く俺に、殿下はふむ、とうなずいて。
うながすと素直にベッドに入った。
やはり防犯対策で、殿下は白シャツとズボンを身につけたまま。そばに剣も置いておくという備えである。
なので、俺も。黒シャツ黒ズボンで、ベッドに入り横になる。
移動中もそうだったので、その感じに慣れてしまった。
「お風呂に入ると体が温まって、一時的に体が興奮しますが。風呂から出て体温が下がっていくと、リラックスモードに突入します。そこで入眠すると、自然なのですが。そのタイミングを逃してなんとなく雑事などしてしまうと、神経が興奮したままになるので。また寝るのに苦労することになります」
同じベッドに横たわりながら、王子と話をするというのは。
童話の千夜一夜物語みたいだと思う。
あれは、王様に殺されたくなくて、寝物語をするって話だったか? 案外怖い話だな。
「とにかく、横になってリラックスするのが効果的です。こうしてベッドの中での会話も、いいんですよ? 心が落ち着くので。数字を思い浮かべるのもいいです」
「数字は駄目だ。数式やパズルの類は頭が逆に冴えてしまう」
「頭を使わないやつですよ。羊を数えるとか。羊が一匹、羊が二匹って…」
「八千まで数えて、無駄な時間に腹が立って眠れなくなってしまった」
俺は、苦笑する。この世界にも羊が一匹、の不眠解消法があったのか? はたまた、似たような話に勝手に変換しているのか?
ともかく、殿下は八千まで数えたということだ。
「無駄な努力はもういい。俺はおまえをこの手に抱いて寝られればいいんだ」
「言い方…」
それでは俺が殿下と体の関係があるみたいじゃないですか。エロエロな。
しかし、体の関係と言えば…。
「先日、人肌は不眠に良いという話をしましたが。セックスは適度な運動で体が興奮し、体温が上昇します。絶頂後にはかなり深いリラックス効果が生まれ、体温が下がるとともにスムーズに入眠モードに移行するので。不眠にはかなりおすすめですっ」
と言って。すぐそばにある殿下を見やる。
しかし殿下に、なにやら熱い目でみつめ返され。
あ、マズイ。これはベッドの中で言うことではなかったか?
つい、医者の能書きを垂れ流してしまった。
「俺とじゃなくて、ですよ?」
すかさず、御断りを入れておくが。
「いずれ、試してみよう…おまえと」
なんて。美声で囁くように言われるから。頬がめちゃくちゃ熱くなった。
「俺とじゃなくて。女性の方と。一般的なお話です!」
しっかりと言い切ったのに。殿下はクスクス笑って、俺をからかう。
うぅ、さっきはお風呂に一緒に入れないくらいに、純情ぶってた癖にぃ。
そういえば。
「今更ですけど。殿下は俺に、夜のお相手前提でなどと言っていますが。恋愛対象は女性ではないのですか?」
俺の質問に、殿下は首をちょこんと傾げる。
「恋愛対象…それはあまり考えたことはなかったのだが。女はみんな殺し屋だから」
でた、殺伐アンサー。
「つまり、純粋に殿下を慕う女性に会ったことがなく、女性不信なのですね?」
殿下に幼い頃から暗殺者が仕向けられていた話は、すでに聞いている。
使用人なども、その理由で女性は雇わないということらしいが。みんな殺し屋だったのか…お気の毒です。
「しかし、それでは。俺とその気にならないということもありますよ? 女性不信であっても、殿下の体や心は女性を求めるかも。女性が嫌いだから男性と関係を持てる、などという簡単なものではないのです。これは俺の持論なのですけど。性というのは環境で左右されないものだと思います。たとえば男性の多くいる中で過ごしたとしても、恋の相手は女性になるとか。逆もあって。女性にすごくモテるのに、恋愛対象は男性であったり。それは個人が持つ素質なのだと思うのです」
「あぁ、長々としゃべってきたが。つまりタイジュが聞きたいのは。俺の素質がどうなのかということだな?」
すいません、長々しゃべりました。
でも、大事なことなので。
とはいえ、この話はだいぶ殿下の内面に踏み込んでいるような気がするな?
「無理に答えなくていいです。一般的には男性は女性に惹かれるけれど、みんながそうとは限りません。同性に惹かれる人もいるし。男女と関係できる方もいますし。どちらともできない方もいます。なので、今ズバリ言わなくてもいいですよ? これは繊細な問題でした。プライベートでもあります」
質問を訂正しようとするが。殿下は小さく首を横に振る。
「いいや、ズバリ言えるので。答えるとすると。俺はタイジュとそうなりたいし、そうなれる。女性や他の男性と、そうなれるかはわからないが。タイジュとは、なれる」
ズバリ、言われてしまいました。
はわわ、なんか、自分で退路を断った気分です。
「おまえはどうなのだ? 女性だけが恋愛対象か?」
そして殿下の問いに、俺はズバリ言えないのだった。
「わからないです。俺も、今日まであまり考えたことがなくて」
俺は当たり前のように女性が恋愛対象だと思ってきた。
でも、今までいわゆる恋をしたことはなくて。そして殿下の言葉や態度に、ドキドキしたりもする。
だから、女性だけが対象だとは言い切れないかなって。近頃思うようになっていた。
そうしたら、殿下が。俺の髪に手で触れた。
「俺が触れるのは、どうだ? 嫌か?」
優しく撫でられれば、気持ちが良いと思うし。大きな手が頭を包み込む感覚が、なんだか安心感をもたらす。それに男性の殿下が触れても、特に嫌悪感もない。
だから、ここは正直に告げた。
「嫌じゃ、ないです。でも、あの、俺は。医者になるために脇目もふらずに突っ走ってきたのです。恋愛などは後回しで」
「あぁ、キスをしたことがないと言っていたな」
それ、今蒸し返さないでください…事実ですけど。
そんな気持ちで、頬を熱くしながら殿下を恨みがましく見やる。
「まぁ、そうなんですけど。で、思いがけなく小枝と親子になることになり。それからは小枝のことを立派に育てたいって。今はそれだけしか考えていないのです」
「そうか。なら、俺もコエダを育てるのに力を貸す。だから、余力が出来たら。俺と恋ができるか考えてみてくれないか?」
「…余力が、できたら」
つぶやくと。
殿下が髪を撫でていた手で俺の後頭部を支え。
グッと顔が近寄ってきて。
間近にあるアイスブルーの目が熱く潤んで。
俺はその綺麗な瞳から目を離せなくてぇ…。
恥ずかしすぎて、スリーパーかけちゃった。
あぁ、今日は。スリーパーなしでどれだけ入眠モードに至れるか確かめようと思っていたのにぃ。
つか、顔が近いまんま固まっちゃって、動けないんですけどぉ。
脱力した殿下が俺の方に傾いて、く、唇が、俺の額にくっついているぅ。
少しかさついた感触がリアルで。吐息が俺の前髪をそよそよ揺らし。体温が、香りがぁ、あぁぁ。
ヤバいっ、すっごく恥ずかしい。
目がグルグル回って、顔が熱すぎて爆発しそう。
俺は殿下の手に頭を囲い込まれながらも、少し動いて。額にチュ―から脱出する。
くっつかなくなった程度だけど。
まぁ、精神的にホッとした。ずっとチューされたままだと、心臓バクバクで俺が不眠症になりますっ。
しかし、危なかった。なんか、そういう流れになっていた。
こういうのは流されてしまうのは駄目なんだ。ちゃんと自分の気持ちを考えないと、殿下にも失礼だし。
てか、俺が質問していたのに、なんでか俺が追い詰められていたんですけど? おかしいなっ?
まぁ、いいか。今日はここまでだ。
時間はいっぱいあるのだから、不眠症改善は時間をかけて頑張ろう。
なんか、俺と殿下のいろいろも。もう少しゆっくり考えるってことで。
俺は動けないながら、殿下の顔を上目に見やって。おやすみなさいと囁いた。
お風呂を出た小枝に、俺はパジャマを着せる。レギが用意してくれたのは、アイボリーでつるつる生地の、フリルふりふりなやつ。これ、シルクってやつだよね? お高そう。
日本でも、こんな上等なパジャマを着せていなかったよぉ?
綿の、キャラクターが描かれた薄青のパジャマだった。
いいんだ、男の子はこういうのが好きなのっ。たぶん。
でも、似合っているけど…レギは小枝が男の子だってわかっているのかなぁ? 普段の衣装がズボンだから大丈夫だとは思うんだけど。ちょっと心配。
で、殿下の居間から扉を出て、廊下を進んで自室に戻る。
さっそく寝室で、俺は小枝を寝かしつけた。
「パパ、このベッドやわらかぁでふかふかぁだよ? パパも一緒に寝よ?」
「うーん、俺は今日も殿下の部屋で御仕事だ」
「いいのぉ、今日はパパと寝るのぉ…んんんーっ」
と、ちょっとグズるけど。もうまぶたがくっつきそうだ。
ほこほこと温まった体が、ゆっくり温度を下げていくと。自然に眠りが訪れる。
満腹アンドお風呂でほっこりの小枝は、すぐに寝た。いい子だな。
そして、俺はお隣の殿下の部屋に行く。
殿下のお部屋は廊下の突き当りで、右手側から横に、風呂などの水回り、居間、寝室と並んでいる。
そして廊下の左手側にある俺らの部屋の寝室と。殿下の居室の左手にある寝室が、中でつながっているのだ。
つい最近まで、俺らの部屋は鍵で閉め切られていたんだって。防犯対策。
一応ノックしてから、寝室にお邪魔すると。
殿下は机に座って、なにか書類を見返しているところだった。
「お風呂、最高でした。俺の夢を叶えてくださり、ありがとうございます」
「あぁ、まぁ…うん」
なにやら頬をほんのり赤らめて。返事をする殿下。
こちらの世界の二十三歳は、みんな恥ずかしがり屋なんだなぁ?
でも王族の方は裸のお付き合いなんてしないんだろうしな。いきなりお風呂で親睦を深めるのは、きっとハードルが高かったのでしょうね?
そういえばアンドリューさんも二十三歳で。俺が褒めたら照れちゃったっけ。
「殿下もお風呂に入りましたか? 不眠を治すのに効果的ですよ?」
「入った。そうなのか?」
「えぇ。それで、書類仕事は不眠の大敵です。目が冴えるでしょう?」
机の上を指でコンコンと叩く俺に、殿下はふむ、とうなずいて。
うながすと素直にベッドに入った。
やはり防犯対策で、殿下は白シャツとズボンを身につけたまま。そばに剣も置いておくという備えである。
なので、俺も。黒シャツ黒ズボンで、ベッドに入り横になる。
移動中もそうだったので、その感じに慣れてしまった。
「お風呂に入ると体が温まって、一時的に体が興奮しますが。風呂から出て体温が下がっていくと、リラックスモードに突入します。そこで入眠すると、自然なのですが。そのタイミングを逃してなんとなく雑事などしてしまうと、神経が興奮したままになるので。また寝るのに苦労することになります」
同じベッドに横たわりながら、王子と話をするというのは。
童話の千夜一夜物語みたいだと思う。
あれは、王様に殺されたくなくて、寝物語をするって話だったか? 案外怖い話だな。
「とにかく、横になってリラックスするのが効果的です。こうしてベッドの中での会話も、いいんですよ? 心が落ち着くので。数字を思い浮かべるのもいいです」
「数字は駄目だ。数式やパズルの類は頭が逆に冴えてしまう」
「頭を使わないやつですよ。羊を数えるとか。羊が一匹、羊が二匹って…」
「八千まで数えて、無駄な時間に腹が立って眠れなくなってしまった」
俺は、苦笑する。この世界にも羊が一匹、の不眠解消法があったのか? はたまた、似たような話に勝手に変換しているのか?
ともかく、殿下は八千まで数えたということだ。
「無駄な努力はもういい。俺はおまえをこの手に抱いて寝られればいいんだ」
「言い方…」
それでは俺が殿下と体の関係があるみたいじゃないですか。エロエロな。
しかし、体の関係と言えば…。
「先日、人肌は不眠に良いという話をしましたが。セックスは適度な運動で体が興奮し、体温が上昇します。絶頂後にはかなり深いリラックス効果が生まれ、体温が下がるとともにスムーズに入眠モードに移行するので。不眠にはかなりおすすめですっ」
と言って。すぐそばにある殿下を見やる。
しかし殿下に、なにやら熱い目でみつめ返され。
あ、マズイ。これはベッドの中で言うことではなかったか?
つい、医者の能書きを垂れ流してしまった。
「俺とじゃなくて、ですよ?」
すかさず、御断りを入れておくが。
「いずれ、試してみよう…おまえと」
なんて。美声で囁くように言われるから。頬がめちゃくちゃ熱くなった。
「俺とじゃなくて。女性の方と。一般的なお話です!」
しっかりと言い切ったのに。殿下はクスクス笑って、俺をからかう。
うぅ、さっきはお風呂に一緒に入れないくらいに、純情ぶってた癖にぃ。
そういえば。
「今更ですけど。殿下は俺に、夜のお相手前提でなどと言っていますが。恋愛対象は女性ではないのですか?」
俺の質問に、殿下は首をちょこんと傾げる。
「恋愛対象…それはあまり考えたことはなかったのだが。女はみんな殺し屋だから」
でた、殺伐アンサー。
「つまり、純粋に殿下を慕う女性に会ったことがなく、女性不信なのですね?」
殿下に幼い頃から暗殺者が仕向けられていた話は、すでに聞いている。
使用人なども、その理由で女性は雇わないということらしいが。みんな殺し屋だったのか…お気の毒です。
「しかし、それでは。俺とその気にならないということもありますよ? 女性不信であっても、殿下の体や心は女性を求めるかも。女性が嫌いだから男性と関係を持てる、などという簡単なものではないのです。これは俺の持論なのですけど。性というのは環境で左右されないものだと思います。たとえば男性の多くいる中で過ごしたとしても、恋の相手は女性になるとか。逆もあって。女性にすごくモテるのに、恋愛対象は男性であったり。それは個人が持つ素質なのだと思うのです」
「あぁ、長々としゃべってきたが。つまりタイジュが聞きたいのは。俺の素質がどうなのかということだな?」
すいません、長々しゃべりました。
でも、大事なことなので。
とはいえ、この話はだいぶ殿下の内面に踏み込んでいるような気がするな?
「無理に答えなくていいです。一般的には男性は女性に惹かれるけれど、みんながそうとは限りません。同性に惹かれる人もいるし。男女と関係できる方もいますし。どちらともできない方もいます。なので、今ズバリ言わなくてもいいですよ? これは繊細な問題でした。プライベートでもあります」
質問を訂正しようとするが。殿下は小さく首を横に振る。
「いいや、ズバリ言えるので。答えるとすると。俺はタイジュとそうなりたいし、そうなれる。女性や他の男性と、そうなれるかはわからないが。タイジュとは、なれる」
ズバリ、言われてしまいました。
はわわ、なんか、自分で退路を断った気分です。
「おまえはどうなのだ? 女性だけが恋愛対象か?」
そして殿下の問いに、俺はズバリ言えないのだった。
「わからないです。俺も、今日まであまり考えたことがなくて」
俺は当たり前のように女性が恋愛対象だと思ってきた。
でも、今までいわゆる恋をしたことはなくて。そして殿下の言葉や態度に、ドキドキしたりもする。
だから、女性だけが対象だとは言い切れないかなって。近頃思うようになっていた。
そうしたら、殿下が。俺の髪に手で触れた。
「俺が触れるのは、どうだ? 嫌か?」
優しく撫でられれば、気持ちが良いと思うし。大きな手が頭を包み込む感覚が、なんだか安心感をもたらす。それに男性の殿下が触れても、特に嫌悪感もない。
だから、ここは正直に告げた。
「嫌じゃ、ないです。でも、あの、俺は。医者になるために脇目もふらずに突っ走ってきたのです。恋愛などは後回しで」
「あぁ、キスをしたことがないと言っていたな」
それ、今蒸し返さないでください…事実ですけど。
そんな気持ちで、頬を熱くしながら殿下を恨みがましく見やる。
「まぁ、そうなんですけど。で、思いがけなく小枝と親子になることになり。それからは小枝のことを立派に育てたいって。今はそれだけしか考えていないのです」
「そうか。なら、俺もコエダを育てるのに力を貸す。だから、余力が出来たら。俺と恋ができるか考えてみてくれないか?」
「…余力が、できたら」
つぶやくと。
殿下が髪を撫でていた手で俺の後頭部を支え。
グッと顔が近寄ってきて。
間近にあるアイスブルーの目が熱く潤んで。
俺はその綺麗な瞳から目を離せなくてぇ…。
恥ずかしすぎて、スリーパーかけちゃった。
あぁ、今日は。スリーパーなしでどれだけ入眠モードに至れるか確かめようと思っていたのにぃ。
つか、顔が近いまんま固まっちゃって、動けないんですけどぉ。
脱力した殿下が俺の方に傾いて、く、唇が、俺の額にくっついているぅ。
少しかさついた感触がリアルで。吐息が俺の前髪をそよそよ揺らし。体温が、香りがぁ、あぁぁ。
ヤバいっ、すっごく恥ずかしい。
目がグルグル回って、顔が熱すぎて爆発しそう。
俺は殿下の手に頭を囲い込まれながらも、少し動いて。額にチュ―から脱出する。
くっつかなくなった程度だけど。
まぁ、精神的にホッとした。ずっとチューされたままだと、心臓バクバクで俺が不眠症になりますっ。
しかし、危なかった。なんか、そういう流れになっていた。
こういうのは流されてしまうのは駄目なんだ。ちゃんと自分の気持ちを考えないと、殿下にも失礼だし。
てか、俺が質問していたのに、なんでか俺が追い詰められていたんですけど? おかしいなっ?
まぁ、いいか。今日はここまでだ。
時間はいっぱいあるのだから、不眠症改善は時間をかけて頑張ろう。
なんか、俺と殿下のいろいろも。もう少しゆっくり考えるってことで。
俺は動けないながら、殿下の顔を上目に見やって。おやすみなさいと囁いた。
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