6 / 19
第6話 猫耳の精霊獣ルナ
しおりを挟む
ふわりと鼻をくすぐる、獣のような柔らかい匂い。
悠斗は重たいまぶたをゆっくりと持ち上げた。見上げた天井は木の編み目がそのままむき出しの、素朴な作り。壁も床も木材で、どこか懐かしさを覚えるような温もりがあった。
身体を動かそうとして、上半身に巻かれた布の感触に気づく。白い包帯が丁寧に巻かれ、傷の痛みはほとんどなかった。
「……生きてる、のか……?」
小さく呟いたそのときだった。部屋の外から、ふわりと軽い足音が近づいてくる。
タタタ……ピタ。
「おはよう、変な人♡」
ぱっと現れたのは、黒に近い深紫の髪を肩の上でふんわりと跳ねさせた、猫耳の少女だった。額には淡い三日月模様。紫の民族調の衣装が風に揺れ、長い尻尾がきゅるんと艶やかに舞う。
そして――彼女が覗き込んできた瞬間、悠斗の視界を奪ったのは、宝石のようにきらめく琥珀色の瞳だった。にやりと口角を上げるその仕草には、どこか人を試すような悪戯っぽさがあった。
「……おはよう? ……誰?」
「ルナっていうの。この村でいちばん可愛くて、いちばん自由な猫」
ぺろっと舌を出し、無邪気な声でそう名乗った彼女は、自分の尻尾で悠斗のほっぺをそっと撫でる。
「おい、なにすんだよ……」
「だってほっぺぷにぷにしてそうだったから~」
ルナは嬉しそうに目を細め、そのままくすぐるように尻尾を動かす。
「……やっぱり気持ちいい~」
悠斗は顔を引きつらせつつ、腕を引こうとした。だが、それより早く、ルナはするりと身を寄せ、ぴとっと腕に体を預けてくる。
「ちょ、近いんだけど……!」
「ん~? あったかい方が癒されるでしょ。あたし、癒し系なんだよ?」
にゃっと笑うルナ。だがその瞳の奥には、無邪気さだけではない何かが揺れていた。
「ねぇ、君って……人間?」
急に真面目な声色になった。
その問いに、悠斗はほんの少しだけ目を伏せて、肩をすくめた。
「そう、だと思うけど……最近それも怪しくてな」
「ふーん……だったらあたしの好きなほうかも」
意味深な笑みとともに囁くその声には、ほんのわずかに爪先を突き立てるような含みがあった。けれど、次の瞬間にはまた、ふにゃっとした笑顔に戻っている。
「ねぇねぇ、君、名前は? 好きな食べ物は? 寝相はいい? それとも悪い? 夢、見た?」
まるで興味津々の猫のように、ルナの質問は止まらない。
悠斗はそれに答えず、包帯を巻かれた腕を見下ろす。
「……あのさ、これ。誰がやってくれたんだ? 俺、森の中で火のそばにいたはずだけど……」
「あ、それね~」
ルナは人差し指を立てて、ぴこっと頷く。
「村に着くちょっと前、倒れちゃったんだよ。気ぃ抜けたのかな? すごい熱あったし」
「マジか……」
「でも、ちゃんと寝かして、薬草で冷やして、あたしが包帯巻いたの♡ ほめてほめて~」
そう言って、得意げにしっぽを立てるルナ。
「……あー、うん。ありがとな」
「えへへ、素直でよろしい~」
それに答える間もなく、また彼女のしっぽがふわふわと悠斗の首筋を撫でてきて、彼は思わずのけぞった。
(こいつ……絶対ただの猫じゃねぇ……)
そう思ったところで、ふと気づく。
小屋の外から——じっと観察するような、冷たい視線がいくつも注がれていることに。
小屋の扉を開けると、爽やかな木の香りが空気に溶け込んでいた。
背の高い木々が守るように囲む森の中、そこには自然と調和したような村が広がっている。葉で編まれた屋根、苔むした小道、木漏れ日が揺れる水辺。どれも静かで美しく、まるで絵本の世界に迷い込んだかのようだった。
だが——その美しさとは裏腹に、肌に刺さるような視線が、至るところから突き刺さってくる。
「……なんかすげえ見られてるんだけど」
悠斗はぼそっと呟き、ちらりと周囲に目をやる。
遠巻きに見つめているのは、猫耳や兎耳、狐耳の獣人たち。子どもから大人まで、その誰もが「異物」を見るような目で悠斗を見つめていた。
「うん。だって、知らない人間が村にいるなんて、珍しいしね」
前を歩いていたルナが、くるりと振り返って悪びれもせずに言う。
その言葉に、悠斗は思わずため息をついた。
「お前は平気なのかよ? ……っていうか、警戒とかしないの?」
「うーん」
ルナは少しだけ立ち止まり、悠斗を見上げて首を傾げた。
「君が面白そうだから、かな」
そう言って、にこっと笑いながら、彼の袖をくいっと引っ張る。
そのまま先へと歩き出すルナに、悠斗は言葉を失う。
見知らぬ村、知らない種族の中で、唯一無二の距離感を持つこの少女だけが、彼に触れていた。
「それに……嫌いな人には、こんなにくっつかないよ?」
そう囁いた瞬間、ルナはぴたりと悠斗の横に寄り添う。長い尻尾が悠斗の背中を軽く撫で、彼はびくっと肩を跳ねさせた。
「っ……お前な……」
視線を逸らす悠斗の横顔を見て、ルナは口元を押さえてくすくすと笑う。
「ふふっ、照れてる?」
その声には、無邪気なからかいと、どこか試すような響きが混じっていた。
村の空気は、まだ冷たい。だが、その中で唯一ぬくもりのある存在が、彼のすぐ隣にいる。
森の奥へと続く小道は、やわらかな草の絨毯に包まれていた。
高い木々が風に揺れ、木漏れ日がスポットライトのように差し込む中、悠斗はルナに引かれるまま、奥へと歩いていた。
だが、ふとした瞬間。
ルナの足が止まる。
ぴたりと静止し、前を向いたまま何かを感じ取るように鼻をひくつかせる。そのまま、ゆっくりと振り返り、悠斗をまっすぐに見つめた。
その視線は、さっきまでの甘えた猫のそれとはまったく違っていた。細められた瞳は鋭く、まるで悠斗の内側を覗き込むような静けさと深さをたたえていた。
「君さ……ちょっと匂いが違うの」
ルナはぽつりと呟く。
「人間の皮をかぶった、獣みたい」
悠斗は戸惑いを隠せず、眉をひそめる。
「……またそれか。フィオナにも言われた。けど俺にもわかんねぇよ、自分が何なのかなんて」
「ふーん、そういうの、いいね」
ルナはふと唇をつり上げて、意味ありげに笑った。
「でもね、そういう半端なものって——あたしはけっこう好きなの」
すっと歩み寄り、再び悠斗の腕に自分の腕を絡めてくる。今度は猫のように、ぴたりと体を寄せながら。
「ねぇ、君って人間? それとも……ふふっ、あたしの好きなほう?♡」
甘ったるい声。けれどその裏に、どこか張り詰めたものがある。試すような、覗き込むような。それは冗談の形をとった、問いかけだった。
悠斗は答えられず、ただ目を逸らした。
ルナはそれを見て、にやっと笑う。
風がそよぎ、葉がささやく。
ルナの甘えは気まぐれなのか? それとも……何かの導きなのか?
悠斗は重たいまぶたをゆっくりと持ち上げた。見上げた天井は木の編み目がそのままむき出しの、素朴な作り。壁も床も木材で、どこか懐かしさを覚えるような温もりがあった。
身体を動かそうとして、上半身に巻かれた布の感触に気づく。白い包帯が丁寧に巻かれ、傷の痛みはほとんどなかった。
「……生きてる、のか……?」
小さく呟いたそのときだった。部屋の外から、ふわりと軽い足音が近づいてくる。
タタタ……ピタ。
「おはよう、変な人♡」
ぱっと現れたのは、黒に近い深紫の髪を肩の上でふんわりと跳ねさせた、猫耳の少女だった。額には淡い三日月模様。紫の民族調の衣装が風に揺れ、長い尻尾がきゅるんと艶やかに舞う。
そして――彼女が覗き込んできた瞬間、悠斗の視界を奪ったのは、宝石のようにきらめく琥珀色の瞳だった。にやりと口角を上げるその仕草には、どこか人を試すような悪戯っぽさがあった。
「……おはよう? ……誰?」
「ルナっていうの。この村でいちばん可愛くて、いちばん自由な猫」
ぺろっと舌を出し、無邪気な声でそう名乗った彼女は、自分の尻尾で悠斗のほっぺをそっと撫でる。
「おい、なにすんだよ……」
「だってほっぺぷにぷにしてそうだったから~」
ルナは嬉しそうに目を細め、そのままくすぐるように尻尾を動かす。
「……やっぱり気持ちいい~」
悠斗は顔を引きつらせつつ、腕を引こうとした。だが、それより早く、ルナはするりと身を寄せ、ぴとっと腕に体を預けてくる。
「ちょ、近いんだけど……!」
「ん~? あったかい方が癒されるでしょ。あたし、癒し系なんだよ?」
にゃっと笑うルナ。だがその瞳の奥には、無邪気さだけではない何かが揺れていた。
「ねぇ、君って……人間?」
急に真面目な声色になった。
その問いに、悠斗はほんの少しだけ目を伏せて、肩をすくめた。
「そう、だと思うけど……最近それも怪しくてな」
「ふーん……だったらあたしの好きなほうかも」
意味深な笑みとともに囁くその声には、ほんのわずかに爪先を突き立てるような含みがあった。けれど、次の瞬間にはまた、ふにゃっとした笑顔に戻っている。
「ねぇねぇ、君、名前は? 好きな食べ物は? 寝相はいい? それとも悪い? 夢、見た?」
まるで興味津々の猫のように、ルナの質問は止まらない。
悠斗はそれに答えず、包帯を巻かれた腕を見下ろす。
「……あのさ、これ。誰がやってくれたんだ? 俺、森の中で火のそばにいたはずだけど……」
「あ、それね~」
ルナは人差し指を立てて、ぴこっと頷く。
「村に着くちょっと前、倒れちゃったんだよ。気ぃ抜けたのかな? すごい熱あったし」
「マジか……」
「でも、ちゃんと寝かして、薬草で冷やして、あたしが包帯巻いたの♡ ほめてほめて~」
そう言って、得意げにしっぽを立てるルナ。
「……あー、うん。ありがとな」
「えへへ、素直でよろしい~」
それに答える間もなく、また彼女のしっぽがふわふわと悠斗の首筋を撫でてきて、彼は思わずのけぞった。
(こいつ……絶対ただの猫じゃねぇ……)
そう思ったところで、ふと気づく。
小屋の外から——じっと観察するような、冷たい視線がいくつも注がれていることに。
小屋の扉を開けると、爽やかな木の香りが空気に溶け込んでいた。
背の高い木々が守るように囲む森の中、そこには自然と調和したような村が広がっている。葉で編まれた屋根、苔むした小道、木漏れ日が揺れる水辺。どれも静かで美しく、まるで絵本の世界に迷い込んだかのようだった。
だが——その美しさとは裏腹に、肌に刺さるような視線が、至るところから突き刺さってくる。
「……なんかすげえ見られてるんだけど」
悠斗はぼそっと呟き、ちらりと周囲に目をやる。
遠巻きに見つめているのは、猫耳や兎耳、狐耳の獣人たち。子どもから大人まで、その誰もが「異物」を見るような目で悠斗を見つめていた。
「うん。だって、知らない人間が村にいるなんて、珍しいしね」
前を歩いていたルナが、くるりと振り返って悪びれもせずに言う。
その言葉に、悠斗は思わずため息をついた。
「お前は平気なのかよ? ……っていうか、警戒とかしないの?」
「うーん」
ルナは少しだけ立ち止まり、悠斗を見上げて首を傾げた。
「君が面白そうだから、かな」
そう言って、にこっと笑いながら、彼の袖をくいっと引っ張る。
そのまま先へと歩き出すルナに、悠斗は言葉を失う。
見知らぬ村、知らない種族の中で、唯一無二の距離感を持つこの少女だけが、彼に触れていた。
「それに……嫌いな人には、こんなにくっつかないよ?」
そう囁いた瞬間、ルナはぴたりと悠斗の横に寄り添う。長い尻尾が悠斗の背中を軽く撫で、彼はびくっと肩を跳ねさせた。
「っ……お前な……」
視線を逸らす悠斗の横顔を見て、ルナは口元を押さえてくすくすと笑う。
「ふふっ、照れてる?」
その声には、無邪気なからかいと、どこか試すような響きが混じっていた。
村の空気は、まだ冷たい。だが、その中で唯一ぬくもりのある存在が、彼のすぐ隣にいる。
森の奥へと続く小道は、やわらかな草の絨毯に包まれていた。
高い木々が風に揺れ、木漏れ日がスポットライトのように差し込む中、悠斗はルナに引かれるまま、奥へと歩いていた。
だが、ふとした瞬間。
ルナの足が止まる。
ぴたりと静止し、前を向いたまま何かを感じ取るように鼻をひくつかせる。そのまま、ゆっくりと振り返り、悠斗をまっすぐに見つめた。
その視線は、さっきまでの甘えた猫のそれとはまったく違っていた。細められた瞳は鋭く、まるで悠斗の内側を覗き込むような静けさと深さをたたえていた。
「君さ……ちょっと匂いが違うの」
ルナはぽつりと呟く。
「人間の皮をかぶった、獣みたい」
悠斗は戸惑いを隠せず、眉をひそめる。
「……またそれか。フィオナにも言われた。けど俺にもわかんねぇよ、自分が何なのかなんて」
「ふーん、そういうの、いいね」
ルナはふと唇をつり上げて、意味ありげに笑った。
「でもね、そういう半端なものって——あたしはけっこう好きなの」
すっと歩み寄り、再び悠斗の腕に自分の腕を絡めてくる。今度は猫のように、ぴたりと体を寄せながら。
「ねぇ、君って人間? それとも……ふふっ、あたしの好きなほう?♡」
甘ったるい声。けれどその裏に、どこか張り詰めたものがある。試すような、覗き込むような。それは冗談の形をとった、問いかけだった。
悠斗は答えられず、ただ目を逸らした。
ルナはそれを見て、にやっと笑う。
風がそよぎ、葉がささやく。
ルナの甘えは気まぐれなのか? それとも……何かの導きなのか?
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる