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和泉さんの感情
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勉強は嫌いじゃない。だけど、求められるのは嫌いだ。
家庭のためお前のためだと言われて勉強することを求められ続けるのは押し付けるのと一緒だと、私、和泉(わいずみ)りあは考える。
「小泉……かすみ」
だから決めたんだ。今日は勉強をしない。休み時間は遊んで、放課後も遊ぶ日にしよう。大丈夫、今日という1日はきっと楽しまなきゃ損だから。
「小泉……かすみ、さん」
「うん?」
教室でのんびりパンを食べていたであろう彼女に、私は話しかける。
「今日の放課後……空いてるかな」
拳を握って、声もたぶん震えてる。家族すら信じられなくなってしまった今は、誰を信じるべきかさえ分からなくなって。
でもどうしても、彼女、
小泉(こいずみ)かすみ と話がしたかった。
「え、え……えぇ?!」
「な、何……。ダメなの?」
「ちが、違うよ! あの、私となんか……いいの? 和泉さんの貴重な放課後……」
一瞬拒絶されたのかと泣きそうだったけど、そんなことなかったみたいだ。むしろなんだか感謝されてるようにも感じる。小泉さんの中での私ってどんなイメージだったんだろう。
「小泉さんは"なんか"って存在じゃないよ。少なくとも私の中では恩人だから」
「な、何かしたっけ」
「ノート、見やすかった」
「……っ、へへ……ありがとう」
なんであなたがお礼を言うんだ。なんであなたが喜ぶんだ。どこまでも純粋な笑顔に吸い込まれそうになる。
可愛い……なんて思ってしまった。
「この間はありがとう……良ければお礼がしたいなって」
「そんな、お礼だなんて……」
どうしてこの人はひとつひとつ仕草が可愛いんだろう。モジモジと照れてるところ、ほんとに可愛いな……。
「あの、迷惑だったら別に……」
可愛いところは見ていたいけど、困らせたいわけじゃないし。ここは潔く引こうと思ったら、勢いよく手を掴まれた。
「め、迷惑なんかじゃないです! うれしいです! い、行きたいです!」
いきなりそう叫んだ小泉さんの表情は真っ赤で。私もつられて紅くなってしまう。
あぁ、可愛い。気を抜くと顔が緩みそうだ。
「じゃあ放課後。行きたいところとかあれば教えて」
「いえ、和泉さんとならどこでも……」
「っ、」
なんなんだろう。この人は短い会話の中でどれだけ私をドキドキさせるんだ。
「わ、分かった。じゃあ行くところは私に任せて。また放課後、声をかけるね」
「は、はい。楽しみに……しています」
可愛い。
この人はどこまでも私を初めての感情へと導いてくれる。この気持ちは何なんだろう。
分からないからとりあえず、忘れないように復唱をしよう。
「小泉……かすみ……」
私を救ってくれた、恩人の名前だ。
家庭のためお前のためだと言われて勉強することを求められ続けるのは押し付けるのと一緒だと、私、和泉(わいずみ)りあは考える。
「小泉……かすみ」
だから決めたんだ。今日は勉強をしない。休み時間は遊んで、放課後も遊ぶ日にしよう。大丈夫、今日という1日はきっと楽しまなきゃ損だから。
「小泉……かすみ、さん」
「うん?」
教室でのんびりパンを食べていたであろう彼女に、私は話しかける。
「今日の放課後……空いてるかな」
拳を握って、声もたぶん震えてる。家族すら信じられなくなってしまった今は、誰を信じるべきかさえ分からなくなって。
でもどうしても、彼女、
小泉(こいずみ)かすみ と話がしたかった。
「え、え……えぇ?!」
「な、何……。ダメなの?」
「ちが、違うよ! あの、私となんか……いいの? 和泉さんの貴重な放課後……」
一瞬拒絶されたのかと泣きそうだったけど、そんなことなかったみたいだ。むしろなんだか感謝されてるようにも感じる。小泉さんの中での私ってどんなイメージだったんだろう。
「小泉さんは"なんか"って存在じゃないよ。少なくとも私の中では恩人だから」
「な、何かしたっけ」
「ノート、見やすかった」
「……っ、へへ……ありがとう」
なんであなたがお礼を言うんだ。なんであなたが喜ぶんだ。どこまでも純粋な笑顔に吸い込まれそうになる。
可愛い……なんて思ってしまった。
「この間はありがとう……良ければお礼がしたいなって」
「そんな、お礼だなんて……」
どうしてこの人はひとつひとつ仕草が可愛いんだろう。モジモジと照れてるところ、ほんとに可愛いな……。
「あの、迷惑だったら別に……」
可愛いところは見ていたいけど、困らせたいわけじゃないし。ここは潔く引こうと思ったら、勢いよく手を掴まれた。
「め、迷惑なんかじゃないです! うれしいです! い、行きたいです!」
いきなりそう叫んだ小泉さんの表情は真っ赤で。私もつられて紅くなってしまう。
あぁ、可愛い。気を抜くと顔が緩みそうだ。
「じゃあ放課後。行きたいところとかあれば教えて」
「いえ、和泉さんとならどこでも……」
「っ、」
なんなんだろう。この人は短い会話の中でどれだけ私をドキドキさせるんだ。
「わ、分かった。じゃあ行くところは私に任せて。また放課後、声をかけるね」
「は、はい。楽しみに……しています」
可愛い。
この人はどこまでも私を初めての感情へと導いてくれる。この気持ちは何なんだろう。
分からないからとりあえず、忘れないように復唱をしよう。
「小泉……かすみ……」
私を救ってくれた、恩人の名前だ。
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