わがままで口の悪い主人様はいつまでも子供

千崎

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第一章

−ルクスとの出会い−

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小さな町に住んでいた俺は、ずっとこの町で生きていくのだと思っていた。

シエル・フォンテーヌという名のせいで、フォンテーヌ家の隠し子だと言われていたが、そんなのただの噂でしかないと思っていた。

母に連れられて行ったそこは、住んでいた家の比にならないくらい大きい屋敷だった。

「今日からここに住むのよ」

そんな冗談のような言葉に気持ちが追いつかず困惑していると、屋敷から男の人が出てきた。

その男の人はソレイユ・フォンテーヌと名乗り、俺の手を引きながら説明してくれた。

「君は私とルナとの間に産まれた子だ。元々この屋敷にいたのだが、この屋敷が戦場の近くだったこともあり、君たちだけ小さな町に移転したんだ。」

「あなたはどうしてここに残った?」

「父様と呼んでくれ。フォンテーヌ家としてやらなければならないことがあったからだ。」

「この屋敷に戻るのが今なのはなんでだ?」

「この屋敷に住んでいるある人が今日誕生日なんだ。私がずっと教育をしてきた成果を発揮する時が今だと感じたからだ。」

「…」

「君と歳が近くて仲良くなれると思う。」

その言葉を聞いて俺は思う。

仲良くなんて無理だろうな。
町でも俺は浮いていた。
少し大人っぽいだけで誰も近付かず、遠くで見つめてくるだけ。
そんな俺が仲良くできるわけがない。

「ようこそ、フォンテーヌ家へ。歓迎する。」

大きな音をたてながら扉が開く。

扉が開き中へ入るとすぐに、一人の青年が立っていた。

「紹介しよう。今日から私の妻になるルナだ。そしてその隣にいるのが息子のシエルだ。ルクス、皆と仲良くするようにな。」

父様がルクスにそう言うと、ルクスは少し困惑した表情を見せていた。

青年はルクスという名らしい。

この人が父様が言ってた人なのか?

「承知いたしました。ルナ様、シエル様。今後ともよろしくお願いします。」

礼をしたあとルクスはニコリと笑った。
その笑顔にドキリと胸が脈打つのを感じる。

その間に母は挨拶を済ませていたので、俺もよろしくと素っ気なく返す。

ルクスは町では見ない黒髪に青い瞳をもつ青年で、とても美しかった。
だけどそれ以上に笑顔が、胸がむず痒くなるほど美しかった。

ドキドキと胸が高鳴り、これが運命とさえ錯覚するほどルクスのことが気になって仕方なかった。

なんて頭がぐるぐると思考する中で、聞こえてきた従者という言葉。

従者…?ルクスが、俺の?

「なんだ?お前が俺の面倒を見てくれるのか?」

ルクスが俺の面倒を見る。
もしほんとにそうなら嬉しすぎるな。

返事が返ってこず、もう一度問うと返事が返ってくる。

「はい。これからいつでもシエル様のお側におりますよ。」

いつでも側に…。ふーん。

「面倒は見るのか?」

「はい…もちろんしっかり見させていただきます。」

その返答を聞いて、嬉しさのあまり爆発してしまいそうだった。

そのあと、父様が屋敷の案内をしてくれた。
その間もずっと、後ろを歩くルクスが気になって仕方なかった。
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