デレがバレバレなツンデレ猫獣人に懐かれてます

キトー

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番外編

俺はこいつのパートナー(& お知らせ)

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「じゃーん! アムールこれ見て、買っちゃった!」

「は? ブラシならあるじゃねーか」

「あるのはヘアブラシだろ? これはアムールに使う猫用ブラシだよ」

「俺は猫じゃねぇ!」

「あ、ごめん。獅子用のブラシだった」

 俺のパートナーが妙な物を買ってきた。何だ獅子用ブラシって。
 不審な目を俺のパートナーであるチビに向ければ、チビはキラキラした目でソファーをポンポンと叩く。
 俺はチビが叩いていた場所に座る。べつに促された訳じゃ無い。ちょうど座りたかったから座っただけだ。
 それを分からせる為にそっぽを向けば、チビがなぜか俺の広げていた足の間に座りやがった。

「……!」

「アムール! 尻尾尻尾、こっちに尻尾ちょーだい」

 チビが俺の足の間に座るのはいつもの事だ。ただ、こいつから来たのは初めてで少しだけ、ほんの少し、めちゃくちゃちょっとだけ動揺する。珍しい事もあるもんだ。
 俺が動揺している間に、チビは自分の腹に絡みついた尻尾を手に取り勝手にブラッシングし始めた。その為のブラシだったようだ。

「おい、なに勝手にしてんだよ」

「まぁまぁ、きれいにするからさ」

「……ちっ」

 触られる尻尾がこそばゆいが、俺はパートナーなので我慢してやる。まったく手のかかるパートナーだ。
 そんな事を思いながらチビの頭に顔を埋めた。チビの匂いは嫌いじゃない。

 その日からブラシをさりげなくチビの目の前に置いてソファーに座ると、チビも足の間に座ってくるようになった。

「アムール、けっこうブラッシング気に入ってるよね」

「はぁ? お前が勝手にしてんだろ」

「ふふ、そうだね」

 高くも低くもないチビの声はまぁまぁ気に入ってる。その声が楽しそうに笑うので、しかたないから今日も我慢してブラッシングさせてやる事にした。
 小さい手も、癖のない髪も、俺を見て嬉しそうに細める目も、嫌いじゃない。

「……たく、しかたねーな、俺のパートナーはよ」

 嬉しそうに尻尾をブラッシングする俺のパートナー。何がそんなに楽しいんだか。
 初めは弱っちいくせに冒険者なんて変なヤツだと思った。だからからかってやったのに、コイツは懲りずに冒険者を続けた。
 俺がどれだけ辞めちまえと言っても聞かない頑固な性格。かと思えば魔物が出ただけで逃げ隠れする臆病なヤツ。
 変なところはやたら詳しいくせに、知ってて当たり前の事は知らない変なヤツ。俺なんかに笑いかける、とんでもなく変なヤツ。
 コイツはとにかく変なヤツなんだ。けれど、コイツがそばに居ても不快に感じた事は無かった。居るのが当たり前。居ないのは駄目だ。
 弱くてお人好しで常識知らずで変わり者な俺のパートナー。
 そうだ、だから上級冒険者の俺がそばに居て見張ってないと駄目なんだ。こんな弱いやつ、目を離せばすぐ転びそうだし。
 しかたないからこれからもそばに居てやろう。なんたって俺はリョウのパートナーなのだから。
 そう思いながら、俺は黒髪に顔を埋めた。上機嫌に鼻歌を歌う俺のパートナー。その歌声も、まぁ、嫌いじゃない。




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これも読んでくださった皆様のおかげです……(T_T)
 詳しくは近況ボードをご覧ください(^^)
 
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