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少しだけ泣いてしまった
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女性がこの村にはいない理由。
それはこの村が、国の冒険者、その中でもスキル持ちである「勇者」と呼ばれる人を育てるための場所だからだ。
本国には女性の冒険者やスキル持ちである勇者もいる。
しかし僕たちラグクラールの民は、代々、男だけが勇者を担ってきた。
だからこの村には、男しかいない。
男たちだけの集落で、共同生活を営んでいる。
こういうことも、僕たちは全て学校で習う。
男の友達と、学校の先生と、畑や家畜小屋で働いてくれた人と。
僕は一人で、さよならの挨拶をして回った。
これまで僕に挨拶をしに来てくれた子たちは、大体世話係のお兄さんと一緒だった。
でもタスラ兄さんは僕に、「一人で行けるか?」と尋ねてきた。
僕はもちろん、と答えた。
今日が初日だけど、僕はもう立派な成人だ。お世話になった人たちに挨拶をして回ることくらい、一人でできる。
「そうか、すまないな」とタスラ兄さんは弱々しく微笑んだ。
教会を出たあたりから、兄さんの様子はおかしい。かなり疲れて見える。
きっと空も曇っていて雨は降らないにしても微妙な天気だし、こういう日はよく頭が痛くなると兄さんはいつも言っていた。
今日も、その症状があらわれているのかもしれない。
そう考えて、僕は一人で村を回った。
今日は普通に学校がある日で、僕だけが朝からその日常へ参加せずにいるというのは、なんだか特別な人になれた気がした。
授業中の教室に僕が入ると、そこにいた同級生たちは拍手喝さいで僕を称えてくれた。
歴史の授業をしていたバダジョ先生も、僕の周りに駆け寄る子たちを叱ったりせず、指示棒を教卓の上に置いた。
「スキルは何だった?」「どんな能力だったの?」とみんなに聞かれたけれど、僕は「かなり珍しいものらしい」としか言わなかった。
僕自身、よくわかっていないのだから当然だ。
でも僕がスキルの能力について話さなくても、彼らはとても喜んでくれた。
『この世のスキルには様々な種類があれど、外れスキルというものは一つもないさ』というロンさんの言葉は、案外、本当のことなのかもしれないと僕は思った。
生徒たちを教室に残し、廊下に出ると、僕の授業を受け持ってくれた担任のバダジョ先生は、「向こうに行ったら、頑張るんだよ」と涙を浮かべて抱きしめてくれた。
『ちょっと大袈裟じゃないか?』と、僕は思わず照れて笑った。
でも学校を出て一人で家に帰っているとき、確かにもう二度とここの人たちとは会えないのかもなと急に実感が湧いてきて、先生の泣き声を思い出し、僕も少しだけ泣いてしまった。
挨拶回りが終わり、持って行く荷物も用意し終え。
あとは迎えが来るのを待つだけになった。
僕は兄さんに尋ねた。
それはこの村が、国の冒険者、その中でもスキル持ちである「勇者」と呼ばれる人を育てるための場所だからだ。
本国には女性の冒険者やスキル持ちである勇者もいる。
しかし僕たちラグクラールの民は、代々、男だけが勇者を担ってきた。
だからこの村には、男しかいない。
男たちだけの集落で、共同生活を営んでいる。
こういうことも、僕たちは全て学校で習う。
男の友達と、学校の先生と、畑や家畜小屋で働いてくれた人と。
僕は一人で、さよならの挨拶をして回った。
これまで僕に挨拶をしに来てくれた子たちは、大体世話係のお兄さんと一緒だった。
でもタスラ兄さんは僕に、「一人で行けるか?」と尋ねてきた。
僕はもちろん、と答えた。
今日が初日だけど、僕はもう立派な成人だ。お世話になった人たちに挨拶をして回ることくらい、一人でできる。
「そうか、すまないな」とタスラ兄さんは弱々しく微笑んだ。
教会を出たあたりから、兄さんの様子はおかしい。かなり疲れて見える。
きっと空も曇っていて雨は降らないにしても微妙な天気だし、こういう日はよく頭が痛くなると兄さんはいつも言っていた。
今日も、その症状があらわれているのかもしれない。
そう考えて、僕は一人で村を回った。
今日は普通に学校がある日で、僕だけが朝からその日常へ参加せずにいるというのは、なんだか特別な人になれた気がした。
授業中の教室に僕が入ると、そこにいた同級生たちは拍手喝さいで僕を称えてくれた。
歴史の授業をしていたバダジョ先生も、僕の周りに駆け寄る子たちを叱ったりせず、指示棒を教卓の上に置いた。
「スキルは何だった?」「どんな能力だったの?」とみんなに聞かれたけれど、僕は「かなり珍しいものらしい」としか言わなかった。
僕自身、よくわかっていないのだから当然だ。
でも僕がスキルの能力について話さなくても、彼らはとても喜んでくれた。
『この世のスキルには様々な種類があれど、外れスキルというものは一つもないさ』というロンさんの言葉は、案外、本当のことなのかもしれないと僕は思った。
生徒たちを教室に残し、廊下に出ると、僕の授業を受け持ってくれた担任のバダジョ先生は、「向こうに行ったら、頑張るんだよ」と涙を浮かべて抱きしめてくれた。
『ちょっと大袈裟じゃないか?』と、僕は思わず照れて笑った。
でも学校を出て一人で家に帰っているとき、確かにもう二度とここの人たちとは会えないのかもなと急に実感が湧いてきて、先生の泣き声を思い出し、僕も少しだけ泣いてしまった。
挨拶回りが終わり、持って行く荷物も用意し終え。
あとは迎えが来るのを待つだけになった。
僕は兄さんに尋ねた。
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