【完結】死ぬとレアアイテムを落とす『ドロップ奴隷』としてパーティーに帯同させられ都合よく何度も殺された俺は、『無痛スキル』を獲得し、覚醒する

Saida

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不意打ち

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鏡を潜り抜けると、真っ暗な空間がそこにはあった。

『明かり、灯れ』

手を器のようにして念じると、ボウッと火がともる。

それを自分の顔の左上辺りで浮くように念じる。

『うまくいった』

Sレアアイテムだけあって、『略式を帯びた手袋』はかなり有能だ。

魔法の心得なんてほとんどなくても、いとも簡単に思ったことを形にしてくれる。

『よし』

僕はダンジョンの探索を始めた。




――僕が望んだこと。

それは、「安心して生きていける状況を、自力でつくれるようになること」だ。

そのためにドースさんとラコに自ら提案したのが、「ダンジョンに潜ること」だった。


「目的は幾つかあります。


一つは単純に、強くなること。

ダンジョンに潜って経験値を稼ぐことが、もっとも手っ取り早く強くなる方法だと思うんです。

強くなっておけば、自分の身を自分で守ることができる。もしあの役人や、パーティーが僕の前に再び現れたとしても、抵抗する力があれば追い払える可能性が増します。

自衛力を強化することは、安全に生きていくことにつながると思うんです。


それから二つ目に、役に立つ道具を揃えたいということ。

今、僕の手元には三つのアイテムしかありません。

『転移する吸血鳥の羽根ペン』、

『封魔する羽衣』、

『略式を帯びた手袋』の三つです。

『青い渦巻き石』は逃げ石として使っちゃいましたし、『ターナスの剣』はおそらくまだザン=ダールアンの手元にあって、あまり奴を刺激したくないので、理由がなければ呼び戻さないつもりです。

常備しているアイテムがこの3つでは心許ないので、ダンジョンに潜り、使えるアイテムを増やしたいと思います。


オーバーヒールが自分の中にあとどのくらいの余剰体力を残しているのか分からないので、スキル発動のためにわざと命を落とすことは最後の手段に取っておきます。

ですが条件が整ったなら、自分のスキルも積極的に活用して、アイテムを量産できたらと考えています。

スキルによって得られたアイテムは、パーティーとの戦闘でも僕のことをよく助けてくれました。

特に逃げ石のようなアイテムなど、もし自分が危険な場面に遭遇した際に役立つアイテムはできるだけ持っておきたいのです。


それから三つ目に、自力で生きていく道をダンジョンの中で考えたいのです。

これについては……具体的にはまだよくわかりません。

でも、国に追われる身として、地上では安心して生きていけない以上、

ダンジョンのような本国の人間でさえも容易には入っていけないような場所に自分の居場所を見つけることが、

ひとまずはベストなんじゃないかと思うんです。


もちろんドースさんが許してくれるのであれば、僕はこの家を一つの安全な避難場所として考えます。

しかし余裕があるうちに第二、第三の安全地帯を、

そして自力で生きていける術を模索しておきたいのです」



僕の話を聞き、ドースさんはある物を紹介してくれた。

「うちにある骨董の中にね、ダンジョンへとつながっている姿見があるんだ。

僕も昔、レジスタンスの仲間とパーティーを組んで、何度か探索したことがあるんだが……ちょっと変わったダンジョンでね。

少なくとも、ここヨーシャーの近辺にあるようなダンジョンではないんだよ。

あの姿見の中にだけあるものなのか、それともどこか別の入口も持っているダンジョンなのか……結局それは分からずじまいだった。

でももし別に入口を持っていたとしても、おそらく相当な辺境の地にあるのだろうとは思う。

生息している魔物や中の様子がこの辺りのダンジョンとは全く違っていたし、この国の役人や冒険者はおろか、そもそもほとんど人に会うことがない。

君の目的を果たすには、うってつけのダンジョンじゃないかい?」

こうして僕は、その鏡の中に入ることになった。


キキッ、キキキッ……

不気味な音がする。

笑われているような、不快な気持ちになる音……


『何かいる』

僕はすぐに立ち止まった。後ろを見て、そちらには何の気配もないことを確認し、その場にしゃがむ。

さっと手を振って、灯りを消す。


キキッ、キキッ……

『あれはなんだ?』

暗闇の中で、手袋を向ける。

『探知!』

ひとまず、あてずっぽうで望みを念じてみる。


こうやって、自分が持っている道具で何ができるのかを試しておくことも、『安心して生きていける状況を、自力でつくれるようになる』という望みには、大いにプラスになる要素のはずだ。


すると手袋から、ふっと風のようなものが出た。

そしてしばらく待つと、手袋にもう一度その感触を覚える。

その瞬間、頭にイメージが浮かんだ。

暗闇の中、こちらに背を向け、壁に向かって何かしている背中。

確実に魔物の背中だ。それほど大きくはない。


『近づいてみよう』

足音を忍ばせて、近づいていく。

右手をまっすぐに対象物の方に向けていた。頭の中には相変わらず、闇の先にある魔物の姿がくっきりと浮かんでいる。

そして大股であと何歩かという距離まで近づいた。

バッ。

『こいつ、最初から僕のことに気が付いて……』

「ギェーーーーーーーーー!!!」

振り返るなり、とてつもない形相で飛びかかってくる――
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