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土産話
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手鏡を潜り抜けると、そのまま床にどさりと落ちた。
後ろには、潜り抜けた姿見。
周りを見る。
物が多く置かれた、ドース骨董品店。姿見が置かれた、メインの部屋に隣接しているスペース、その床。
するとドタドタと、足音が近付いてくる。
顔を上げると、走り寄ってきた人に抱きしめられた。
ラコだった。
僕は彼女の腕に、そっと手を置いた。
「おかえり」
「……ただいま」
彼女は恥ずかしさをごまかすように笑い、僕が立ち上がるのに手を貸してくれた。
帰ってこられてよかった。
心の底からそう思った。
「おかえり、カウガ」とドースさんが言った。
「ただいま帰りました」
ドースさんも、立ち上がった僕のことを抱きしめてくれた。
あついものが込み上げてくる。
照れくさかったので、なんとか堪えた。
「あの……そちらの方は……?」
僕は話題を変えるように聞いた。
ドースさんの後ろに、立っている人がいたのだ。
「ああ、そうだ。紹介しよう。
昔、一緒に抵抗運動をやっていた、ジル=フリドルーだ」
「よろしく、カウガ君」
差し出された手を、僕は握る。
「よろしくお願いします」
ジル=フリドルーは、赤い、豊かな巻き毛をした女性だった。
鼻が高く、凛とした顔立ちをしている。
「安心してくれ。僕も国に追われる身だから、君のことを通報したりしないよ」
ジル=フリドルーはそう言って笑った。
僕は曖昧に笑みを返した。
「それにしても君、よくやったね。まさか一人で帰ってくるとは思わなかったよ。
ドースから話を聞いて、これから救助に向かおうとしていたんだが」
ジル=フリドルーはすらすらと話した。頭の回転が速いのか、言葉に淀みがない。
「いやそれよりも、僕がこの店に来るのがあと数日でも早ければ、最初から一緒に潜ることもできたはずだ。
しかし久しぶりにこの店を訪れて、まさかこんなことになっているとは思わなかったからさ。
ごめんね、力になれなくて」
「いえ、とんでもないです」
僕は手をぶんぶん振った。
「そうだ、ダンジョンがどんなだったか聞かせておくれよ。
いやぁ、僕がこの姿見の中に入ったのなんて、もう何年も前のことだからさ、あれからどのくらいのことが変わったのか……」
「おいジル。
カウガはダンジョンから帰ってきたばかりなんだ。
そんなに話をせっつかないでやってくれ」
「おおそうだね、ドース。まさに君の言う通りだ。
許してくれよ、カウガ君。僕は昔からこんな調子のおしゃべりなんだ。だから悪気は全くないんだけど、しかしおしゃべりといえば……」
「ジル。とにかくまずは、向こうのソファに座ろうじゃないか」
「ああ、ごめんごめん」
ジルさんはようやく口を閉じ、ドースさんに促され、明かりのついた部屋の方に戻っていった。
ドースさんがほほ笑んで言う。
「すまない、カウガ。
悪い奴じゃないんだが……」
「はい」
僕は苦笑いした。初対面なので驚きはしたが、悪い人ではなさそうだ。
「どうする? 疲れてるだろう。
二階に行って横になるかい?」
「いえ、大丈夫です。
それよりも今はダンジョンであったことを聞いてもらいたいから……」
「……分かった。
じゃあ向こうに行こう。ラコ、紅茶を用意してくれるかい?」
「うん、わかった」
僕は隣の部屋へ移動して、あの柔らかいソファに座った。
神経が興奮していて眠気こそこないが、もう命の危険を感じる場所ではないのだと思うと心底ほっとした。
そして、ラコが用意してくれた紅茶とクッキーを口にしながら、僕は三人に、ダンジョンで経験したことを話した。
後ろには、潜り抜けた姿見。
周りを見る。
物が多く置かれた、ドース骨董品店。姿見が置かれた、メインの部屋に隣接しているスペース、その床。
するとドタドタと、足音が近付いてくる。
顔を上げると、走り寄ってきた人に抱きしめられた。
ラコだった。
僕は彼女の腕に、そっと手を置いた。
「おかえり」
「……ただいま」
彼女は恥ずかしさをごまかすように笑い、僕が立ち上がるのに手を貸してくれた。
帰ってこられてよかった。
心の底からそう思った。
「おかえり、カウガ」とドースさんが言った。
「ただいま帰りました」
ドースさんも、立ち上がった僕のことを抱きしめてくれた。
あついものが込み上げてくる。
照れくさかったので、なんとか堪えた。
「あの……そちらの方は……?」
僕は話題を変えるように聞いた。
ドースさんの後ろに、立っている人がいたのだ。
「ああ、そうだ。紹介しよう。
昔、一緒に抵抗運動をやっていた、ジル=フリドルーだ」
「よろしく、カウガ君」
差し出された手を、僕は握る。
「よろしくお願いします」
ジル=フリドルーは、赤い、豊かな巻き毛をした女性だった。
鼻が高く、凛とした顔立ちをしている。
「安心してくれ。僕も国に追われる身だから、君のことを通報したりしないよ」
ジル=フリドルーはそう言って笑った。
僕は曖昧に笑みを返した。
「それにしても君、よくやったね。まさか一人で帰ってくるとは思わなかったよ。
ドースから話を聞いて、これから救助に向かおうとしていたんだが」
ジル=フリドルーはすらすらと話した。頭の回転が速いのか、言葉に淀みがない。
「いやそれよりも、僕がこの店に来るのがあと数日でも早ければ、最初から一緒に潜ることもできたはずだ。
しかし久しぶりにこの店を訪れて、まさかこんなことになっているとは思わなかったからさ。
ごめんね、力になれなくて」
「いえ、とんでもないです」
僕は手をぶんぶん振った。
「そうだ、ダンジョンがどんなだったか聞かせておくれよ。
いやぁ、僕がこの姿見の中に入ったのなんて、もう何年も前のことだからさ、あれからどのくらいのことが変わったのか……」
「おいジル。
カウガはダンジョンから帰ってきたばかりなんだ。
そんなに話をせっつかないでやってくれ」
「おおそうだね、ドース。まさに君の言う通りだ。
許してくれよ、カウガ君。僕は昔からこんな調子のおしゃべりなんだ。だから悪気は全くないんだけど、しかしおしゃべりといえば……」
「ジル。とにかくまずは、向こうのソファに座ろうじゃないか」
「ああ、ごめんごめん」
ジルさんはようやく口を閉じ、ドースさんに促され、明かりのついた部屋の方に戻っていった。
ドースさんがほほ笑んで言う。
「すまない、カウガ。
悪い奴じゃないんだが……」
「はい」
僕は苦笑いした。初対面なので驚きはしたが、悪い人ではなさそうだ。
「どうする? 疲れてるだろう。
二階に行って横になるかい?」
「いえ、大丈夫です。
それよりも今はダンジョンであったことを聞いてもらいたいから……」
「……分かった。
じゃあ向こうに行こう。ラコ、紅茶を用意してくれるかい?」
「うん、わかった」
僕は隣の部屋へ移動して、あの柔らかいソファに座った。
神経が興奮していて眠気こそこないが、もう命の危険を感じる場所ではないのだと思うと心底ほっとした。
そして、ラコが用意してくれた紅茶とクッキーを口にしながら、僕は三人に、ダンジョンで経験したことを話した。
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