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一閃
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「すみません、カウガ。
ここに現れる潜伏しているなんて……想定外でした」
ルードさんが言う。
「大丈夫です」
この男の執念深さを考えれば、どこかで出会うだろうことは直感していた。
だとすれば、気がかりなことは早いうちに済む方がいい。
簡単だ。
今ここで、こいつを倒せばいいのだ。
持っていた剣をルードさんに差し出す。
「あいつは僕が足止めします。その間に、ほかの人たちを解放してあげてください」
「大丈夫ですか? カウガ」
「ええ。この場所なら、僕でも戦えます」
スキルが封じられている場所なのだ。奴もご自慢の『服従』スキルは使えないはず。あれさえなければ、奴のことなんか怖くもなんともない。
というか、こいつはこの場所がスキルを封じられることなど当然知っているだろうに、よくここで待ち伏せする気になったな、と思う。
信頼できる仲間がいないこと、そして自分の実力を過剰に見積もっていること。それがこいつの弱点だ。
「分かりました。気をつけてくださいね」とルードさん。
「もちろんです」
頷くと、手から剣が離れた。代わりにポケットから手袋を取り出して、装備する。
『略式を帯びた手袋』。装備するだけで簡単に中~上級魔法が扱えるようになるチートアイテムだ。
ガーゴイル相手に雷を落としたとき燃え尽きてしまったが、やはりこれが使い慣れているということで、今回、新たにドロップした。
「ほぉ。その手袋があるということは、あの時と同じように素晴らしい魔法を見せてくれるというわけですね?」
ザンは楽し気に、無駄口を叩く。どうやらこの手袋の正体は知られてしまっているらしいが、余裕ぶってられるのも今のうちだ。
「カウガ、僕も戦うよ」
隣に並んだジルさんが言う。
「ありがとうございます、お願いします」
成り行きで組んだ即席二人組パーティーだが、今はこんなにも心強い。
「おや? 2対1ですか?
ずいぶん卑怯な真似をするじゃあないですか~」
「悔しかったら、信頼できる仲間の一人や二人、連れてくればいい。
お前みたいな奴に仲間がいるんならな!」
「いってくれるじゃないですかぁぁぁぁ!」
腰にさした剣を抜いて、ザン=ダールアンがこちらに向かってきた。
走り、向かってくるザン=ダールアン。もちろん、接近戦はお断りだ。
手袋を構え、火球を放つ。
ザンは、立ち止まることなく近づいてくる。まるで、当たることを恐れていないかのように。
幾つか放った火球の一つが、ザンに直撃する。
しかし奴は羽織っていた布を払うだけで、平然と火の中から現れた。
「まさか、それ……」
「もちろん、あなたが今までドロップしたアイテムは、全て私が管理していますからね~。
一つや二つ勝手に使っても、国王様が気付くはずありませんよ」
間違いない。
奴が装備しているのは、魔力攻撃は無効化してしまうチートアイテム、『封魔する羽衣』だ。
「さぁ、斬り合いと行きましょうか」
ザンが腰にさした剣を抜く。
「カウガ、私がいく。下がって」
ジルさんはハンドアックスを持って前に出た。
「すみません、よろしくお願いします」
僕は手袋を外し、武器を変える。
『殺さずの銛(もり)』。
ダメージを与えることができない代わりに、突き刺した相手をマヒ状態にすることができる武器だ。
ダンジョンの中にいた時は『魔物を殺さずに、経験値やドロップアイテムを得られる』という特殊効果を利用していたが、今は隙を見て奴に銛を突き刺すことで、マヒ状態にして動きを鈍らせることを狙おう。
「いいでしょう。二人まとめて勝負してあげましょう!」
にたにたと笑いながら、ザンが剣を構え、間合いに入ってくる。
ハンドアックスと剣が交錯する。
互いの実力を図るように、どちらも深くは踏み込まず、探り合っている。
二人とも、相手の攻撃を完璧に防いでいる。
と、斬り合いに間が生まれた。
ジルさんが下がってくる。
「まずいね、相当な手練れだ」
「ジルさん、時間を稼ぐだけでも目的は達成できます。
踏み込む必要はないですよ」
「そうだな」
「そんなにお仲間とのおしゃべりが必要ですかっ!!」
ザンが間合いを詰めてくる。
動きがより速く、苛烈になっていく。
ジルさんは、防ぐので精いっぱいだ。
防戦に転じたジルさんの動きを見て、ザンは容赦なく踏み込んでくる。
「くっ!」
ジルさんは必死に耐えているが、かなり分が悪い。
まさか奴が、スキルなしでもこんなに戦える奴だったなんて。
「もらったぁぁ!!!」
ザンが完全にジルさんに打ち勝った。
ハンドアックスの軌道を外され、完全に無防備になったジルさんの肩にザンの剣が伸びてくる。
体が咄嗟に動いた。
ジルさんを吹き飛ばし、気が付いたら前に出ていた。
ザンの剣が、深々と胸に突き刺さる。
頭の中に、沸騰するような熱。
スキルが完全に封じられたこの場所で。
長い間、『無痛スキル』によって忘れていた感覚が、体中を駆け巡る。
「あああああああああ!!!!」
「ハハハハハハハハハハ!!!!!!」
「カウガ!!」
ジルさんは、すぐにハンドアックスで反撃する。
ザンは難なくそれに対応する。僕の胸から即座に剣を引き抜き、手斧を軽くいなし、素早いステップで距離をとる。
「大丈夫か、カウガ!」
「う、うう……」
精神が痛みに蝕まれる。
『無痛スキル』を覚醒するまでの、あの悪夢のような日々が一瞬にして蘇る。
全身の痙攣が止まらない。
冗談みたいに、胸からの血が噴き出している。
「カウガ、しっかりしろ!!!」
オーバーヒールは事前にたっぷり受けんだ。だから残機が十分にあることは分かっている……だが今の僕には無痛スキルがない、こんな痛み、あと一度だって味わいたくない!!!!
目を開けると、ジルさんが髪を振り乱して戦っていた。
ああ、あのときのようだ、とぼんやりした頭で思う。
ガーゴイルとやりあっていたときも、僕が復活するまでの時間、ジルさんは一人で時間を稼いでくれた。
でもあのときと違って、この空間では、起死回生のアイテムをドロップすることができない。
だから僕は何の役にも立てない。
ジルさんが殺されて、その次は僕。
痛みに震えながら、「もうやめてくれ」と泣き叫びながら、この残忍な男の手にかかって殺されるのだろう。
ああ、オーバーヒールなんてかけてもらうんじゃなかった。いっそ、さっきの一撃で死ねたのだったら、どんなに良かっただろう。
このあと僕は、何度も殺されるだろう。
痛みに叫びながら、しかし殺されても殺されても、何度も蘇って。
目から涙が垂れる。
最悪だ。
最悪、だ……
「カウガ!! 逃げろ!!!」
ジルさんが叫んだ。
はっと顔を上げる。
肩で息をし、腕からは血を滴らせ。
ザンの悪魔めいた剣さばきを、間一髪のところで凌いでる。
だが、次の瞬間。
ザンの一太刀に、ハンドアックスは宙を舞った。
「ジルさん!!」
無防備になったジルさんの首に、ザンは剣先を向けた。
「逃げろ、カウガ……」
ジルさんの口から、うわ言のように漏れる。
ザンは首に触れるか触れないかのところで、ぴたりと剣を止めた。
そして僕の方を見て、にたりと笑った。
「この女のこと、助けたいですか~?」
「だめだ、逃げろ、カウガ……」
ザンが思い切り、顔面を蹴った。
「うっ……」
「あなたは黙っていてくださいよ~」
「ジルさん!!」
「さぁ、カウガく~ん。選んでくださいよ~。
あなたが大人しく自分の身を差し出すなら、この女のことは見逃してあげますよ??」
「カウガ、騙されるな……うぐっ!」
「しつこい女ですね~」
「やめろ!」
僕は立ち上がった。
「その人を解放してくれ……」
一歩一歩、ザンに近づく。
この後に待っているであろう痛みを想像し、逃げようとする体を理性で押さえつけて。
「おお、あなたはいい子ですね~。
大丈夫です、カウガくん。私たちはスキルを持つ者同士、仲間じゃないですか。
こうして私の元に戻ってきたからには、これからはちゃんと大切に扱ってあげますから……なぁんてなぁ!!!!」
僕が近づいてきたところで。
ザンは、ジルさんの頭に剣を振り下ろした。
やっぱり最初から助ける気なんかなかったんだ。
大切な仲間が殺されるところを、わざわざ目の前で見せつけるつもりだったんだ。
絶望する。
地面に倒れたジルさんがこちらを見る。
その目には、強い光が宿っている。
諦めるなと。私はまだ信じているぞと訴えている。
『窮地に陥るたび、君は必ずその最も大きな強みを活用して、状況を切り抜けてきたんじゃないか。
本当の意味で君を救ってきたのは、スキルの力でも、それによって得たチートアイテムでもない。
与えられた条件の最大活用法を思いつくことのできる君の思考力、機転の良さなんじゃないか?』
信頼する人が心からくれた言葉を、僕は簡単に否定することができない。
スローモーションで振り下ろされる剣に、僕の目が吸い寄せられる。
僕はその持ち手に、決定的な染みを見つけた。
「来い、フィンチ」
吸血鳥の名前を呼ぶ。
「なっ!?」
ザンの手から離れ、剣は僕のもとへやってくる。
この執念深い男がずっと使っていた剣は。
『ゴダスの斧』から逃げた時に、僕がその場に落としていった『ターナスの剣』だったんだ。
そこには僕が自分の血を使って、『転移する吸血鳥の羽根ペン』で記した名前が残されていた。
そう、この剣は。
「お前の物じゃない。僕の物だ」
一閃。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
僕は躊躇なく、宿敵を斬った。
ここに現れる潜伏しているなんて……想定外でした」
ルードさんが言う。
「大丈夫です」
この男の執念深さを考えれば、どこかで出会うだろうことは直感していた。
だとすれば、気がかりなことは早いうちに済む方がいい。
簡単だ。
今ここで、こいつを倒せばいいのだ。
持っていた剣をルードさんに差し出す。
「あいつは僕が足止めします。その間に、ほかの人たちを解放してあげてください」
「大丈夫ですか? カウガ」
「ええ。この場所なら、僕でも戦えます」
スキルが封じられている場所なのだ。奴もご自慢の『服従』スキルは使えないはず。あれさえなければ、奴のことなんか怖くもなんともない。
というか、こいつはこの場所がスキルを封じられることなど当然知っているだろうに、よくここで待ち伏せする気になったな、と思う。
信頼できる仲間がいないこと、そして自分の実力を過剰に見積もっていること。それがこいつの弱点だ。
「分かりました。気をつけてくださいね」とルードさん。
「もちろんです」
頷くと、手から剣が離れた。代わりにポケットから手袋を取り出して、装備する。
『略式を帯びた手袋』。装備するだけで簡単に中~上級魔法が扱えるようになるチートアイテムだ。
ガーゴイル相手に雷を落としたとき燃え尽きてしまったが、やはりこれが使い慣れているということで、今回、新たにドロップした。
「ほぉ。その手袋があるということは、あの時と同じように素晴らしい魔法を見せてくれるというわけですね?」
ザンは楽し気に、無駄口を叩く。どうやらこの手袋の正体は知られてしまっているらしいが、余裕ぶってられるのも今のうちだ。
「カウガ、僕も戦うよ」
隣に並んだジルさんが言う。
「ありがとうございます、お願いします」
成り行きで組んだ即席二人組パーティーだが、今はこんなにも心強い。
「おや? 2対1ですか?
ずいぶん卑怯な真似をするじゃあないですか~」
「悔しかったら、信頼できる仲間の一人や二人、連れてくればいい。
お前みたいな奴に仲間がいるんならな!」
「いってくれるじゃないですかぁぁぁぁ!」
腰にさした剣を抜いて、ザン=ダールアンがこちらに向かってきた。
走り、向かってくるザン=ダールアン。もちろん、接近戦はお断りだ。
手袋を構え、火球を放つ。
ザンは、立ち止まることなく近づいてくる。まるで、当たることを恐れていないかのように。
幾つか放った火球の一つが、ザンに直撃する。
しかし奴は羽織っていた布を払うだけで、平然と火の中から現れた。
「まさか、それ……」
「もちろん、あなたが今までドロップしたアイテムは、全て私が管理していますからね~。
一つや二つ勝手に使っても、国王様が気付くはずありませんよ」
間違いない。
奴が装備しているのは、魔力攻撃は無効化してしまうチートアイテム、『封魔する羽衣』だ。
「さぁ、斬り合いと行きましょうか」
ザンが腰にさした剣を抜く。
「カウガ、私がいく。下がって」
ジルさんはハンドアックスを持って前に出た。
「すみません、よろしくお願いします」
僕は手袋を外し、武器を変える。
『殺さずの銛(もり)』。
ダメージを与えることができない代わりに、突き刺した相手をマヒ状態にすることができる武器だ。
ダンジョンの中にいた時は『魔物を殺さずに、経験値やドロップアイテムを得られる』という特殊効果を利用していたが、今は隙を見て奴に銛を突き刺すことで、マヒ状態にして動きを鈍らせることを狙おう。
「いいでしょう。二人まとめて勝負してあげましょう!」
にたにたと笑いながら、ザンが剣を構え、間合いに入ってくる。
ハンドアックスと剣が交錯する。
互いの実力を図るように、どちらも深くは踏み込まず、探り合っている。
二人とも、相手の攻撃を完璧に防いでいる。
と、斬り合いに間が生まれた。
ジルさんが下がってくる。
「まずいね、相当な手練れだ」
「ジルさん、時間を稼ぐだけでも目的は達成できます。
踏み込む必要はないですよ」
「そうだな」
「そんなにお仲間とのおしゃべりが必要ですかっ!!」
ザンが間合いを詰めてくる。
動きがより速く、苛烈になっていく。
ジルさんは、防ぐので精いっぱいだ。
防戦に転じたジルさんの動きを見て、ザンは容赦なく踏み込んでくる。
「くっ!」
ジルさんは必死に耐えているが、かなり分が悪い。
まさか奴が、スキルなしでもこんなに戦える奴だったなんて。
「もらったぁぁ!!!」
ザンが完全にジルさんに打ち勝った。
ハンドアックスの軌道を外され、完全に無防備になったジルさんの肩にザンの剣が伸びてくる。
体が咄嗟に動いた。
ジルさんを吹き飛ばし、気が付いたら前に出ていた。
ザンの剣が、深々と胸に突き刺さる。
頭の中に、沸騰するような熱。
スキルが完全に封じられたこの場所で。
長い間、『無痛スキル』によって忘れていた感覚が、体中を駆け巡る。
「あああああああああ!!!!」
「ハハハハハハハハハハ!!!!!!」
「カウガ!!」
ジルさんは、すぐにハンドアックスで反撃する。
ザンは難なくそれに対応する。僕の胸から即座に剣を引き抜き、手斧を軽くいなし、素早いステップで距離をとる。
「大丈夫か、カウガ!」
「う、うう……」
精神が痛みに蝕まれる。
『無痛スキル』を覚醒するまでの、あの悪夢のような日々が一瞬にして蘇る。
全身の痙攣が止まらない。
冗談みたいに、胸からの血が噴き出している。
「カウガ、しっかりしろ!!!」
オーバーヒールは事前にたっぷり受けんだ。だから残機が十分にあることは分かっている……だが今の僕には無痛スキルがない、こんな痛み、あと一度だって味わいたくない!!!!
目を開けると、ジルさんが髪を振り乱して戦っていた。
ああ、あのときのようだ、とぼんやりした頭で思う。
ガーゴイルとやりあっていたときも、僕が復活するまでの時間、ジルさんは一人で時間を稼いでくれた。
でもあのときと違って、この空間では、起死回生のアイテムをドロップすることができない。
だから僕は何の役にも立てない。
ジルさんが殺されて、その次は僕。
痛みに震えながら、「もうやめてくれ」と泣き叫びながら、この残忍な男の手にかかって殺されるのだろう。
ああ、オーバーヒールなんてかけてもらうんじゃなかった。いっそ、さっきの一撃で死ねたのだったら、どんなに良かっただろう。
このあと僕は、何度も殺されるだろう。
痛みに叫びながら、しかし殺されても殺されても、何度も蘇って。
目から涙が垂れる。
最悪だ。
最悪、だ……
「カウガ!! 逃げろ!!!」
ジルさんが叫んだ。
はっと顔を上げる。
肩で息をし、腕からは血を滴らせ。
ザンの悪魔めいた剣さばきを、間一髪のところで凌いでる。
だが、次の瞬間。
ザンの一太刀に、ハンドアックスは宙を舞った。
「ジルさん!!」
無防備になったジルさんの首に、ザンは剣先を向けた。
「逃げろ、カウガ……」
ジルさんの口から、うわ言のように漏れる。
ザンは首に触れるか触れないかのところで、ぴたりと剣を止めた。
そして僕の方を見て、にたりと笑った。
「この女のこと、助けたいですか~?」
「だめだ、逃げろ、カウガ……」
ザンが思い切り、顔面を蹴った。
「うっ……」
「あなたは黙っていてくださいよ~」
「ジルさん!!」
「さぁ、カウガく~ん。選んでくださいよ~。
あなたが大人しく自分の身を差し出すなら、この女のことは見逃してあげますよ??」
「カウガ、騙されるな……うぐっ!」
「しつこい女ですね~」
「やめろ!」
僕は立ち上がった。
「その人を解放してくれ……」
一歩一歩、ザンに近づく。
この後に待っているであろう痛みを想像し、逃げようとする体を理性で押さえつけて。
「おお、あなたはいい子ですね~。
大丈夫です、カウガくん。私たちはスキルを持つ者同士、仲間じゃないですか。
こうして私の元に戻ってきたからには、これからはちゃんと大切に扱ってあげますから……なぁんてなぁ!!!!」
僕が近づいてきたところで。
ザンは、ジルさんの頭に剣を振り下ろした。
やっぱり最初から助ける気なんかなかったんだ。
大切な仲間が殺されるところを、わざわざ目の前で見せつけるつもりだったんだ。
絶望する。
地面に倒れたジルさんがこちらを見る。
その目には、強い光が宿っている。
諦めるなと。私はまだ信じているぞと訴えている。
『窮地に陥るたび、君は必ずその最も大きな強みを活用して、状況を切り抜けてきたんじゃないか。
本当の意味で君を救ってきたのは、スキルの力でも、それによって得たチートアイテムでもない。
与えられた条件の最大活用法を思いつくことのできる君の思考力、機転の良さなんじゃないか?』
信頼する人が心からくれた言葉を、僕は簡単に否定することができない。
スローモーションで振り下ろされる剣に、僕の目が吸い寄せられる。
僕はその持ち手に、決定的な染みを見つけた。
「来い、フィンチ」
吸血鳥の名前を呼ぶ。
「なっ!?」
ザンの手から離れ、剣は僕のもとへやってくる。
この執念深い男がずっと使っていた剣は。
『ゴダスの斧』から逃げた時に、僕がその場に落としていった『ターナスの剣』だったんだ。
そこには僕が自分の血を使って、『転移する吸血鳥の羽根ペン』で記した名前が残されていた。
そう、この剣は。
「お前の物じゃない。僕の物だ」
一閃。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
僕は躊躇なく、宿敵を斬った。
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