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サラの娘【テューダーズ伯爵視点】2
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悲鳴を上げる前に、サラの上へと覆いかぶさり、本を積上げていた棚に彼女の身体をうつ伏せに押し付けると、片手で胸を揉みしだき、そのままドレスの中に手を差し入れた。
『い、嫌っ!やめて!いやぁ!!』
『君は俺の物になるんだ』
悲鳴をあげるサラの柔らかな太ももを撫でながら首筋の匂いを嗅ぎ、ニヤッと笑みを浮かべた時。
俺の後頭部に強い衝撃が走った。
痛い、と思う間もなく気を失ってしまい、次に意識が浮上した時にはテューダーズの屋敷の自分の部屋の中だった。
『いってえ…』
ベッドから起き上がろうとした瞬間に後頭部の痛みが強くなり、俺は顔を顰めながらのろのろと顔を横に向けると、ベッドの横の椅子に座ったまま能面のような顔でこちらを見ている、自分と良く似た美しい母と目が合った。その後ろには婚約者もいて、そちらは嫌悪感を滲ませた表情をしていた。
『お前が馬鹿なことをしてくれたお陰でこの家はもう終わりよ。貴方とは二度と会うことはないわね。御機嫌よう。』
『…テューダーズ子息様、婚約の破棄の手続きを進めますので慰謝料はしっかりと払ってくださいね。私も二度と貴方には会うことはございませんので。御機嫌よう。』
『はあ?どういう事だ…?!』
二人は立ち上がるとさっさと部屋を出てゆく。俺が訳が分からず混乱していると、今度は憲兵が部屋へと入ってきて、俺の腕を掴んでベッドから引きずり下ろした。途端にまた頭が痛み、俺は大声で怒鳴った。
『何をする?!離せ!』
『リッチェルザム侯爵家令嬢に対する名誉毀損、フルバード伯爵家子息より暴行に対する訴えが出ております。ご同行をお願い致します。』
なんて野郎だ。フルバードめ。
顔を殴った事を奴の父親にチクったらしい。そしたらフルバード伯爵よりうちへと訴えがあり、そしてそのすぐ後でリッチェルザム侯爵家よりも訴えがあり、俺は一度拘置所に留め置かれる事となった。最悪だ。
俺のような美形の相手にされて喜ぶのならまだしも、何故訴えられなくてはならないのかと俺は不満に思った。
しかし、一体誰があの時邪魔をしたのだろう。後頭部を殴られ、後ろを振り向く余裕もなく倒れてしまったので何も覚えていない。学園に帰ったら覚えていろよ…とそんな事を思いながら、父が迎えに来てくれるまで二週間ほどそこで過ごした。
げっそりと痩せ青い顔をした父が迎えにきて、保釈金を支払い外に出れた。よし、これでまた元通りだ、と思ったがそうはならなかった。
『リッチェルザム侯爵家とフルバード伯爵家へと賠償金を支払う必要がある。金に余裕はない。お前はもう学園へは通うことは出来ない。働け。』
『な!?父上!』
『リッチェルザム侯爵家に喧嘩を売るなんて…王家の血の入っている家なんだぞあそこは…お前はなんてことをしてくれたんだ。フルバード伯爵も王家と近い貴族なんだぞ。リサにも捨てられて…我が伯爵家は終わりだ。ああ、父上本当に申し訳ない…私がしっかりしていなかったせいで…この馬鹿に躾ができていなかったせいで……』
最後の方は天に向かってブツブツと独り言を呟くように話し始めた父に、俺は呆然とした。
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