【完結】ただ好きと言ってくれたなら

須木 水夏

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出来損ない【???視点】

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メリークリスマス!!!
クーリスッマッスガ🎶
……なのに、話がシリアスパート(ง ˙ω˙)ว♪ゴメンナサィッ
この後もシリアスなので、上げるかどうか悩んだのですが、今日と明日は1話ずつアップします!(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”











・・・・・・・・・・・・・・・・




















「出来損ないが。」

 父親の鋭い声が、幼い自分の胸をえぐるように響いた。




「お兄様を見習いなさい。この約立たずめ。」

 母親の冷たい目線が、子どもだった自分を突き刺す。




「そんな事では何も務まりません。せめて、言われたことくらいは出来るようになってください。」

 教師の淡々とした声が、自分の存在を否定する。





「ああ、あののことか?」

 友人だと思っていた少年が、笑いながら言った言葉を忘れられない。

 


可哀想に。
お前は本当に無能で、愚鈍で、出来が悪い。
生きている価値さえない。

誰からも必要とされず、誰からも見てもらえず、誰からも認められることのない存在。
お前では、兄の代わりになんてなれやしない。

ただそこにあるだけの、哀れな

何の価値もないのに、息をしているだけの愚か者。



 耳鳴りのように、どこからともなくそんな声が聞こえてくる。
 それは自分自身の心が囁いているのかもしれない。




「……なぜ。なぜ、僕はここにいるのですか?」



 声にならない叫びが心をかきむしる。




「自分がどれだけ無能かを、何度言われればいいのですか?」
「いつまで兄と比べられればいいのですか?」




 僕の望みは、何一つ叶えられない。
 けれど、義務だけは次々に押し付けられる。

 愛されることも、期待されることもないのに、
 なぜ僕はここにいなければならないのですか?




「そんなに……そんなに、僕が嫌いなのですか?」




じゃあ――僕もお前たちのことが嫌いだ。

嫌いだ。
大嫌いだ。

全部憎い。
全部、許せない。

すべて消えてしまえ。
僕を苦しめたこの世界ごと、跡形もなく。





――全部消えてしまえ。











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