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最終章 異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われていた!!!!!!
おれは百人の魔法少女からケツを狙われている
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「坊や、ケツをだせ」
あらためて、赤牛のお姉さんに言われた。
こんな、女の子たちがたくさんいる前で、しりを晒すのか?!
「ごく…」
生唾を飲み込む。
嬉々としているもの
恥ずかしがりながら、指の隙間からのぞいているもの
「けーつ!けーつ!」と煽るもの
反応は様々だった。
「は、恥ずかしいんだけど」
「我々が、君のケツを世界中に転送する」
「え?」
何言ってんの?お姉さん。
「ここには、魔力が足りない。君を転送し返すためには釣り合いが取れる魔力が必要なのだ。」
「今代の巫女が、世界中の魔法少女にコンタクトをとっている。その魔法回路を利用させてもらう。貴様のポケットにも入っているだろう」
瓶に入った黒い蜥蜴の魔法。情報屋の黒蜥蜴の魔法。なるほど。試験会場で仮面騎士団が黒犬の魔法で世界中に放送したように、通信網を築いていたのか。声が聞こえる
「……世界中のみなさん!力を貸してください!お願いします!座標は転送した通りです!1人でも多くの方の力が必要なんです…一緒に魔王をとめてください!…お願いします」
」
「世界中に通信届けるなんて、無茶しやがるな。コラ、この娘。魔力が焼き切れるぞ」
「かりん……」
きっと、彼女の精一杯なんだろう。戦いに参加できるほどの力はない。無力さを嘆いただろう。彼女のつらさが伝わってくる。だが……。彼女は彼女なりに考えて動いている
「まー無理だろうねー。昔でさえー魔王に会ったら逃げよ。鰯の散開、マグロの餌だねー。」
「いやいや。三首狼の餌取りですな。例えるならば」
「なんだよ!そんないい方」
彼女たちのどうせ無駄だという言いぶりに心底イライラした。
「皆恐怖しているのだよ。魔王がいたのは3年前まで、多くの人間に大なり小なり、トラウマがある。助けてくれで動ける人間はほとんどいないだろう。……幸い彼女のがんばりのお陰で、魔力の道はできている。世界中にお前のケツを転送して、魔力を込めて貰い。ここに魔力をあつめる!さぁ、ケツをだせ。彼女の努力を無駄にする気か」
「ん、ぐぅ。ちきしょう。わかったよ!」
ズボンをずらす。
煌々とケツが輝く。
「ぶはっ!マジで、光ってる!」
「あらあら♡♡」
「…………かわいいお尻」
もうやだ、この能力!
「じゃあ、皆。やるぞ。まずはケツを固定!」
「はいっ!」
「えっ?」
「ケツを切り出す」
「応っ!」
巨大なハサミをチョキチョキ動かしながら近づいてくる
「いやあ!!」
ハサミで周りを切っていくと、俺のケツの形をした、空間がむんずと掴まれていた。
「一応実験しておこう。念の為にな。切り出したケツのコピーは、ワープゲートにつっこめ!」
空中にある渦にに投げつけられた俺のケツの型。
「よし、こちらのワープゲートが出口だ。直ぐに出てくる。」
もう1つ渦があらわれ、中からおれのケツ型が出てくる。黒焦げになり、捻り切れていた。
「うん、まぁ、よしっ!ケツをつっこめ!」
「一切良くないわっ!なんのための実験だよ!ぜんっぜんダメじゃねーか!」
「しかたないですわ。微調整して、なんとか死なないようにしますわ」
「坊や、君は運がいいか、悪いか。封印の門の内側にきてしまった。導きの杖は潜在能力を引き出す。つまり、常に最適化をはかっていく。ここに送られたのは、たぶん、君の力不足があるからだ。」
「おれの力不足……」
たしかに魔王は異次元の力だった。黒蛇の魔力を消す力が無ければ、死んでいただろう。
「力を得て、現世へ戻れ」
「そんな事が可能なのか」
「坊や、転送の調整が出来るまで、ここにいるみんなに揉んでもらえ!」
「え、ケツを!?」
「違うわ!!稽古だよ!」
「「「え?」」」
「稽古だよ!!」
何人かはおれと同じ想像をしたようだ。
テーブルから立ち上がり、皆がそれぞれ杖を取り出す。
「準備が出来たものから相手になってやれ。あたしは最後でいい。魔道回路を組み替えねばならないからな。赤牛(ダブル)!時間を引き伸ばした。時間を気にせず戦いな」
コキコキと指を鳴らしながら、ボサボサ頭の少女がやってきた。
「コラ、殺す気でかかってきな!!お前に格闘のいろはを教えてやる。……金のたてがみ!銀の爪!!俺が王だ!!!!魔装!百獅子千獣奏!!」
「まずはお見事です。あなたには繊細さが足りません。無駄が多い。せっかくの良い杖が勿体無い。釣り合いが取れる魔道士になりなさい。……あなたの心を計らせて、わたしがあなたを測ります。釣り合い取れねば、死をあげます。心の平行、綱渡り。魔装。死神天秤(デスシーソー)」
「ふ~~~ん。君は~~~予測が~~~下手だね~~~。戦いながら~~~次の手を~~~かんがえて罠をはるのさ~~~もこもこふわふわピンボール~~~あなたも眠りの乱反射~~~魔装~~~羊さん大脱走~~~」
「意外にやりますねー。あなたにー水中戦空中戦をーしかけるねー。全方向から攻撃が来ても防げるようにならないとねー………ご飯の時間だカンカンカン…………餌がキタキタルンルンルン……魔装……歯魚(ピラニア)魚群(パレード)!!」
「あらん♡♡素敵♡♡!でもあなたは、思考の切り替えが素早く出来ないと生き残れないわ♡♡覚悟を決めろ!小僧!魔装!!愛(ラブ)!!」
「……………………おしり、かわいい。もぐもぐしたい。本気で逃げて。当たらなければ死なないよ…………影を見よ、僕らは双子。いつまでも、死がふたりを分かつまで……魔装 影の双子合わせ鏡」
「ふん!やるじゃない!!でも、あなたの技、なかなか当たらないじゃない。いつまでも集中するんじゃない。短く素早く狙いを定めて集中するの。風を常に読み、息を感じて!行くわよ!大地の精霊護りなさい!木々の精霊祓いなさい!!森の精霊宿りなさい!魔装!!神秘弓 神樹狙射!!」
「剣術というものは洗練されねばならない。余計なものは切り落とし、切り刻め。残ったものが。真実だ。魔装。大狹。その剣を抜け。」
「私はあなたの魔力の水増しマシーンではありませんの。量よりも質?質よりも量?ばかばかしいですわ?質も量もですわ。魔装!真水(ブルー)大洪水(オーシャン)!!魔術の真髄をお教えしますわ」
「我々は魔族。あなたの指輪が無ければ、協力する気になれなかったでしょう。同族を救った覚悟に免じて、教えましょう。わたしたちの呪いの力を。呪装!わらわら藁人形!」
「わさびとからしねじ込みたかった。おにいちゃん。ぶち込んでいい?なんてね!毒をぶち込んであげるね!あなたが生きてれば超回復!あなたが死んだらどろどろ!楽しいね!魔装毒蠍の手術室!おにいちゃんはお医者さんごっこは嫌い?」
11人の魔装を相手に戦いながら教わった。いつしか、七星剣は手に馴染み、黒蛇の扱いはこれまで以上に洗練されていた。部分魔装も、ほとんど全身を覆うほどになった。
「わたしで最後だ坊や。魔装。牛頭。……君が初めての戦いの時に暴走したあの白い姿は、この空間の杖の力を抽出し使う魔法だ。普通の人間なら発狂してしまうが、君は勇者の器として作られた。成長した今なら制御できるはずだ。最終試験だ。来い」
「はぁ……はぁ……はぁ、やってやらあああ!黒蛇!七星剣!この空間の全ての杖よ!俺に力を貸してくれ!魔装!!!」
閃光がこの空間を満たし、俺の魔装は……。
「はぁ、はぁ、できた……、」
「よし、この渦に君の臀部を突っ込めば、世界中の魔法少女たちの前に転送されることだろう」
先程より若干赤みがかった渦の前にたち説明をうける。魔法の調整がなされたようだ。
「坊や。効率的に魔力を集めるために、ダラダラと喋っている時間はない」
「さぁ、お前のケツをここへ」
「くそぅ、なんでケツを突っ込まないといけないんだよ」
ゴゴゴゴゴ
「怖いな。」
「安心しろ、急に現れたら攻撃されるかもしれないだろう。ケツなら光に飲み込まれるだけだ。さぁ!さぁ!さぁ!」
スポン!!
その日アナホリーダ中の魔法少女の前にケツが現れた。
目の前の固く閉ざされた門を前にして、銀河系みたいに見える渦にケツを突っ込む。なんだが、トイレにいる気分なんだが。めっちゃシュール
「この扉は100人の魔法少女の魔法と、膨大な魔力で作られている。鍵をあけるには、我々12星座の杖の力がいる。現世へ向かうための扉をあけるぞ!コラ!」
「そんなことが、できるのか?」
「あらん♡♡わたしたちは、各時代各地域の最高の魔法少女よん♡♡あなたは白い杖と黒い杖を持っているし。」
勇者の剣とおれの杖を指差していう。
「ヴェル。それでは釣り合いがとれない。正確には聖剣エクスカリバーと白純、それと数多の魔鉱石や魔物の合成体だ」
「コラ!ややこしいぞ!七星剣って言ってたぜ。コラ!」
「あとは、魔力だねー。生きているものの力がいるよー」
「生きてるもの……」
辺りを見渡す。ここにいる彼女たちは死んでいるのか。なんとも言えない気持ちになる。
ばすっ!
「ぎゃあああ!!でこに、でこに!矢がああ」
「ああもぅ!辛気臭い顔しないでよ!!わたしたちは、精一杯やったの!今を生きてるあなたたちがいる!それでいいのよ!!」
エルフの少女は矢を放ち言った。
「泣かないで~~~大丈夫だよ~~~未練は~~~正直~~~あるけど~~後悔は~~~~してないよ~~~」
傍らにいたコポルクの少女はフワフワした羊毛をちぎって涙を拭ってくれた。
「世界中の魔法少女!おれのケツに魔力を込めてくれ!!」
その日、魔法少女No.86ドルフィは、辺境の村で洗濯をしていた。争いごとの大してない海近くの村。魔法少女としての役目も簡単な治癒魔法をかけたり、壊れたものを修理するだけ。
「ふっふーん!今日はあの子に昨日捕まえた魚をみせたげるのだ!」
彼女は鼻歌まじりに、村の裏手にある海へ向かう。
「ふっふっふー、、、、ん?なんなのだ?!」
彼女は茂みが輝いていることに気づく。
「え?おしりなのだ?」
その日、調教師の魔法少女No.43秋風モミジは、スライムを駆り、盗賊を追い回していた。
「待ちやがれ!!」
あの白仮面共が現れてから、この辺りの治安はすっかり悪くなってしまった。
「行くぜスラ太郎!!」
転生の特典で魔物と話せる力を授かった。スライムの力を使ってこの辺の平和を守っていたのだ。
「ひぇ!」
盗賊の動きが突然止まり奇妙な悲鳴をあげてその場に座り込んだ。彼らの目の前には光り輝くケツがあった。
「スラ太郎!とりあえずたたっ切るぞ」
その日、魔法少女No.3の少女は姉と一緒に王都で帝都侵攻の後始末に追われていた。不発に終わったものの、その混乱は、困窮を極めていた。
「……情報が錯綜している。早く真偽を見極めないと」
彼女の目には人々が不安や恐怖に駆られていることが見える。そんな彼女の背中に冷りとする物が当たる。
「ひゃい!」
「なっはっは!大丈夫か?眉間にしわ寄せて年寄り連中みたいに見えるで!」
「…もう、お姉ちゃん!」
氷菓を手渡しカラカラと笑う彼女にも、若干の疲れの色が見える。
「連中は自分のことしか考えてへん。あんなもん誰が防げるっちゅーねん。なぁ、、、、、、は?」
「…どうしたの?お姉ちゃ、ん?」
姉の異変に振り向く。
目の前におしりが浮いていた。
その日……その日……
アナホリーダ大陸に住む魔法少女たちの目の前に、光り輝くおしりが現れたのだ。
そして
「…みんな!!ケツに魔力を込めてくれ!!」
彼女らにケツが話しかけ
「「「「「はぁ?!」」」」」
大陸中を揺らがせた。
「ぷっ、あっはははは!」
「がっはっはっは!まじか、あいつ!」
「ん?なんだ?けつ??」
当然、ガブコとさちよの前にも現れたわけで、
魔王も唖然と宙を浮かぶケツを見た。
「あんの、バカ!!でも、無事で、よかった!」
カリンの目の前にも現れた。
その日……100人の魔法少女の前にケツが現れたのだ
先程より一回り大きくなった渦にケツを突っ込みながら、俺は声を張り上げる。
「みんな、魔力をこめてくれ!!!…どうだ?」
「ぜんぜんだな。15人にも満たない」
「ケツをもっと突き出して!」
「いやいやー振りまくればーいいよー」
「そりゃ、いきなりケツが出てくれば、警戒するわな。集まった魔力のうち、半分は攻撃によるものだしな」
「もっとこの穴でかくできないのかよ?」
「もともと裏技みたいなもんだ。そうでなくても時空を歪めて、ケツの数を増やしてんだ。ダブルの重ねがけ、呪いの応用、無理すればケツがちぎれちまうさ」
「怖っ!」
んなリスクあるものにケツを入れさせんな
「くそっ!!!どうにかならないのか!!」
「……ざ、……ざざっ。」
渦から音が聞こえてくる。
「……こちら、王都の王宮魔術師No.3の魔法少女。このおしりは味方です。勇者さまのものです。魔力を込めてください。お願いします。」
「24・・・・27…おい!増えてきてるぞ!」
「こちら、黒蜥蜴。情報屋黒犬のもんだ。緊急事態につき、新しく開発した情報伝達手段を勇者に提供してる。安心してくれ」
「34........35......」
「こ、こちら、帝都第三王女。先ほどのクーデターは姉の起こしたもの。せ、世界に謝罪を。わ、わたしたちはいかなる罰も受けます。い、今は魔王復活を阻止するため。勇者様にお力を!」
「56......59.....」
今までの旅で出会った人々も呼びかけを行う。
「学術機関氷豹のガブコっす!門下生にお願いっす!しりの勇者に協力をしてくれっす。」
「ガッハッハッ!赫鷲のサチヨだ!世界を救うぜ!お前たち!ガッハッハッ!」
「お願いします!!みなさんの力を貸してくださいっ!!!」
「…………99....100!!」
「ケツを引っこ抜け!!いまだ!!!魔力を束ねろ!!12星座の魔法少女よ!!次代の勇者の為に門をこじ開けろ!!!開門(リリース)」
重たい音がして、門が開く。
「!ありがとう!みんな!!必ず魔王を倒すから」
「はお、はぁ、うまくいったな。……時間はないが最後に逢いたいって言ってる奴がいる」
「わ、わしは、会うつもりなど、どの面下げて、会えば良いのじゃ」
両方から小脇を抱られた白いワンピースの少女が現れた
「神様?!!」
「ん、、、、くそ、、、、はぁ、、、おぬしも、もう知っておるじゃろう。わしは、ほんとは神様でもなんでもない。ただのかわいい美少女だって。」
自分で言うか?断片的な情報になるが、元は王家の人間で、勇者と旅した魔法少女ってとこか。魔王を長らく封印し、勇者が探していた人物
「……迷惑をかけてしまったな。色々と。わしは無能じゃ」
「そんなことはないさ。魂を導いてたのは、あんたなんだろ。いま、ここにある無数にある杖たちの中で、12星座の魔法少女たちが集まっているのも、あんたの力なんだろ」
「……さちよめ、魔力感知を仕込みよって、勘のいい子にしてしまって」
「……なんで神様がここにいるんだよ。魔王に身体を乗っ取られたんじゃ。」
彼女は、すこし、寂しそうにいった。
「いま、ここにいるのは、しがない一本の杖としてじゃよ。肉体に残した魂のかけらもあと少しで完全に消滅するはずじゃ」
「……そうか。……残念だ」
「まぁ、わたしのことは良い。次代の巫女に移るだけじゃ」
「それは、かりんのことか」
「まぁ、彼女の可能性が高いな。」
かりんが使っている導きの杖北極星(ポラリス)。12星座の杖とはまた違う力を持つ。
「わしは、お前に謝らねばならぬ。わしや桜のせいで世界中が混乱を」
「謝らないでくれ、勇者も必死だったんだろう。そのことは知っている。俺があいつのコピーだとしても、俺が産まれてから俺が経験したことは全て、おれだけのもんさ」
「……すまない」
「あ、そうだ。神様が勇者をコピーしたなら、実質的には、おれはあんたらの子供ってことになるよな」
「あ、まぁ、そういういいかたにならなくはないか」
「なるさ!だから、俺に名前をつけてくれよ!」
「名前…」
「あぁ!名前さ!このままだとおれは尻穴ケツ太郎になっちまう」
「し、しりあな?」
「あぁ、だからさ。名前をつけてくれ」
「名前……」
神様は戸惑っているようだった。
「あぁ、」
「……そういえば、昔桜のやつと冗談で子供の名前を考えたことがあったのう……。女の子なら、さくらもち」
「センスがすげぇな」
「じゃろう!」
自信満々に答えた神様に、不安を抱きつつ聞く。
「……お、男なら?」
「そうさのう……、」
生唾を飲み込む。
「桜のやつが言っておったのは、ギンガじゃ。」
「ぎんが……」
噛み締めるようにその言葉をつぶやいた。
「桜の奴は星を見るのが好きだったんじゃ。やつのいた日本とアナホリーダ。文明も言葉も違うなか、星だけは一緒だった。だからかのぅ。……なんだ不満だったのか、それならばワシのイチオシのモチモチのスケとかは?」
黄金の巫女はみんなネーミングセンスが壊滅的なのか。
「……ありがとう。名前。ずっと不安だったんだ。行ってくるよ。」
「あぁ。広大な銀河を守れるくらいの英雄になってほしいと言っておった。」
扉が開き、若い勇者は戻っていった。
「さよなら…………かあさん、ありがとう」
目を開けると目の前にカリンがいた。
「……え、な、あんた、どこから」
「カリン、ありがとな。世界中のみんなに呼びかけてくれて」
「さっそくで悪い。カリン頼みがあるんだが」
「……?」
カリンに頼み事をし、俺はさちよさんたちの元へ急いだ。
「魔装!!」
会得したばかりの魔装を纏って走り出す。
至る所の大地は抉れ、濃い魔力跡が漂っていた。バラバラになった魔道具が散らばり、魔法少女の2人はボロボロだった。
「どうだ。ガブコ。あと何分戦えそうだ」
「……師匠のほうはどうなんですか。」
「ガッハッハッ!面白いくらいにすっからかんだぜ」
「右に同じっす」
はじめはまともにやりあえていたと感じていたが、徐々に魔王の力が上がっていった。魔王が魔王たりうる所以だ。すでに先代勇者からたくされた魔道具は尽き果て、残るは己の杖のみという状況だった。
「貴様らはよく戦った。12星座の小娘どもに匹敵するほどにな。記憶に残しておこう。太陽(Sun)」
魔王か片手をあげると巨大な炎の塊が浮かび上がる。さらにもう一方の片手をあげる
「痛みなく殺してやろう。呪炎……」
赤い炎の玉が漆黒へとかわる。
「漆黒(ブラック)呪殺(デッド)」
「ははっさすがにお手上げっす」
「ガッハッハッ!!あとは託したぜ!少年!!!」
目の前に確実に迫る死に、2人はすでに戦意を失っていた。
ガブは目を閉じ、死を待っていた。邪悪な魔力がすごい速度で近づいてくるのを感じる。
だが、暫くたっても、変化はない。恐る恐る目を開けると、目の前に迫っていた黒い炎はなく、代わりに。
「なっ」
「がっ」
さちよとガブコの腰に深々と針が刺さっていた。魔王は向こうに、地中から?いや、常に警戒をしていた。だったら、新手か?思考を巡らす2人の背後に気配がする。そいつの放つ、馬鹿でかい魔力量に冷や汗が落ちる。
「黒蠍座(スコピ)手術台(オペ)。さちよさんガブコ、ありがとな。そこで休んでてくれ」
聞き覚えのある声がした。
2人の体の傷がゆっくりとだが癒えていく。さちよは目線をあげる。
白い魔力が立ち登り、マントも山高帽子も白く輝く。
片手には7個の魔石が輝く剣を携え、もう片方の手には黒い杖。以前と違い、杖の周りに小さな杖が10本程浮いている。
「……けつたろう、、か?」
「誰がケツ太郎だよ!?違うからね?!」
「見違えたっす」
「時間を稼いでくれたおかげだ。今は回復に努めてくれ。あいつの相手俺がやる。」
「お前1人で止めると言うのか」
神様の体は魔王に完全に乗っ取られてしまっていた。黒髪の絶世の美女。長い髪はオールバックにしており、彼女の額には何やら怪しげな魔法の文字が書かれている。彼女の体の周りには、星が回っている。ひとつひとつにとてつもない量の魔力が込められていることがわかる。
「気を付けろよ。あいつがあれを出してから私たちの攻撃が一切かすりもしなくなったんだから」
「問題ない!!」
「……お前は誰だ」
魔王は油断なく聞く。
「俺の名前は、ギンガ。偉大な勇者と巫女から生まれた、お前を倒して英雄となる者だ!!」
あらためて、赤牛のお姉さんに言われた。
こんな、女の子たちがたくさんいる前で、しりを晒すのか?!
「ごく…」
生唾を飲み込む。
嬉々としているもの
恥ずかしがりながら、指の隙間からのぞいているもの
「けーつ!けーつ!」と煽るもの
反応は様々だった。
「は、恥ずかしいんだけど」
「我々が、君のケツを世界中に転送する」
「え?」
何言ってんの?お姉さん。
「ここには、魔力が足りない。君を転送し返すためには釣り合いが取れる魔力が必要なのだ。」
「今代の巫女が、世界中の魔法少女にコンタクトをとっている。その魔法回路を利用させてもらう。貴様のポケットにも入っているだろう」
瓶に入った黒い蜥蜴の魔法。情報屋の黒蜥蜴の魔法。なるほど。試験会場で仮面騎士団が黒犬の魔法で世界中に放送したように、通信網を築いていたのか。声が聞こえる
「……世界中のみなさん!力を貸してください!お願いします!座標は転送した通りです!1人でも多くの方の力が必要なんです…一緒に魔王をとめてください!…お願いします」
」
「世界中に通信届けるなんて、無茶しやがるな。コラ、この娘。魔力が焼き切れるぞ」
「かりん……」
きっと、彼女の精一杯なんだろう。戦いに参加できるほどの力はない。無力さを嘆いただろう。彼女のつらさが伝わってくる。だが……。彼女は彼女なりに考えて動いている
「まー無理だろうねー。昔でさえー魔王に会ったら逃げよ。鰯の散開、マグロの餌だねー。」
「いやいや。三首狼の餌取りですな。例えるならば」
「なんだよ!そんないい方」
彼女たちのどうせ無駄だという言いぶりに心底イライラした。
「皆恐怖しているのだよ。魔王がいたのは3年前まで、多くの人間に大なり小なり、トラウマがある。助けてくれで動ける人間はほとんどいないだろう。……幸い彼女のがんばりのお陰で、魔力の道はできている。世界中にお前のケツを転送して、魔力を込めて貰い。ここに魔力をあつめる!さぁ、ケツをだせ。彼女の努力を無駄にする気か」
「ん、ぐぅ。ちきしょう。わかったよ!」
ズボンをずらす。
煌々とケツが輝く。
「ぶはっ!マジで、光ってる!」
「あらあら♡♡」
「…………かわいいお尻」
もうやだ、この能力!
「じゃあ、皆。やるぞ。まずはケツを固定!」
「はいっ!」
「えっ?」
「ケツを切り出す」
「応っ!」
巨大なハサミをチョキチョキ動かしながら近づいてくる
「いやあ!!」
ハサミで周りを切っていくと、俺のケツの形をした、空間がむんずと掴まれていた。
「一応実験しておこう。念の為にな。切り出したケツのコピーは、ワープゲートにつっこめ!」
空中にある渦にに投げつけられた俺のケツの型。
「よし、こちらのワープゲートが出口だ。直ぐに出てくる。」
もう1つ渦があらわれ、中からおれのケツ型が出てくる。黒焦げになり、捻り切れていた。
「うん、まぁ、よしっ!ケツをつっこめ!」
「一切良くないわっ!なんのための実験だよ!ぜんっぜんダメじゃねーか!」
「しかたないですわ。微調整して、なんとか死なないようにしますわ」
「坊や、君は運がいいか、悪いか。封印の門の内側にきてしまった。導きの杖は潜在能力を引き出す。つまり、常に最適化をはかっていく。ここに送られたのは、たぶん、君の力不足があるからだ。」
「おれの力不足……」
たしかに魔王は異次元の力だった。黒蛇の魔力を消す力が無ければ、死んでいただろう。
「力を得て、現世へ戻れ」
「そんな事が可能なのか」
「坊や、転送の調整が出来るまで、ここにいるみんなに揉んでもらえ!」
「え、ケツを!?」
「違うわ!!稽古だよ!」
「「「え?」」」
「稽古だよ!!」
何人かはおれと同じ想像をしたようだ。
テーブルから立ち上がり、皆がそれぞれ杖を取り出す。
「準備が出来たものから相手になってやれ。あたしは最後でいい。魔道回路を組み替えねばならないからな。赤牛(ダブル)!時間を引き伸ばした。時間を気にせず戦いな」
コキコキと指を鳴らしながら、ボサボサ頭の少女がやってきた。
「コラ、殺す気でかかってきな!!お前に格闘のいろはを教えてやる。……金のたてがみ!銀の爪!!俺が王だ!!!!魔装!百獅子千獣奏!!」
「まずはお見事です。あなたには繊細さが足りません。無駄が多い。せっかくの良い杖が勿体無い。釣り合いが取れる魔道士になりなさい。……あなたの心を計らせて、わたしがあなたを測ります。釣り合い取れねば、死をあげます。心の平行、綱渡り。魔装。死神天秤(デスシーソー)」
「ふ~~~ん。君は~~~予測が~~~下手だね~~~。戦いながら~~~次の手を~~~かんがえて罠をはるのさ~~~もこもこふわふわピンボール~~~あなたも眠りの乱反射~~~魔装~~~羊さん大脱走~~~」
「意外にやりますねー。あなたにー水中戦空中戦をーしかけるねー。全方向から攻撃が来ても防げるようにならないとねー………ご飯の時間だカンカンカン…………餌がキタキタルンルンルン……魔装……歯魚(ピラニア)魚群(パレード)!!」
「あらん♡♡素敵♡♡!でもあなたは、思考の切り替えが素早く出来ないと生き残れないわ♡♡覚悟を決めろ!小僧!魔装!!愛(ラブ)!!」
「……………………おしり、かわいい。もぐもぐしたい。本気で逃げて。当たらなければ死なないよ…………影を見よ、僕らは双子。いつまでも、死がふたりを分かつまで……魔装 影の双子合わせ鏡」
「ふん!やるじゃない!!でも、あなたの技、なかなか当たらないじゃない。いつまでも集中するんじゃない。短く素早く狙いを定めて集中するの。風を常に読み、息を感じて!行くわよ!大地の精霊護りなさい!木々の精霊祓いなさい!!森の精霊宿りなさい!魔装!!神秘弓 神樹狙射!!」
「剣術というものは洗練されねばならない。余計なものは切り落とし、切り刻め。残ったものが。真実だ。魔装。大狹。その剣を抜け。」
「私はあなたの魔力の水増しマシーンではありませんの。量よりも質?質よりも量?ばかばかしいですわ?質も量もですわ。魔装!真水(ブルー)大洪水(オーシャン)!!魔術の真髄をお教えしますわ」
「我々は魔族。あなたの指輪が無ければ、協力する気になれなかったでしょう。同族を救った覚悟に免じて、教えましょう。わたしたちの呪いの力を。呪装!わらわら藁人形!」
「わさびとからしねじ込みたかった。おにいちゃん。ぶち込んでいい?なんてね!毒をぶち込んであげるね!あなたが生きてれば超回復!あなたが死んだらどろどろ!楽しいね!魔装毒蠍の手術室!おにいちゃんはお医者さんごっこは嫌い?」
11人の魔装を相手に戦いながら教わった。いつしか、七星剣は手に馴染み、黒蛇の扱いはこれまで以上に洗練されていた。部分魔装も、ほとんど全身を覆うほどになった。
「わたしで最後だ坊や。魔装。牛頭。……君が初めての戦いの時に暴走したあの白い姿は、この空間の杖の力を抽出し使う魔法だ。普通の人間なら発狂してしまうが、君は勇者の器として作られた。成長した今なら制御できるはずだ。最終試験だ。来い」
「はぁ……はぁ……はぁ、やってやらあああ!黒蛇!七星剣!この空間の全ての杖よ!俺に力を貸してくれ!魔装!!!」
閃光がこの空間を満たし、俺の魔装は……。
「はぁ、はぁ、できた……、」
「よし、この渦に君の臀部を突っ込めば、世界中の魔法少女たちの前に転送されることだろう」
先程より若干赤みがかった渦の前にたち説明をうける。魔法の調整がなされたようだ。
「坊や。効率的に魔力を集めるために、ダラダラと喋っている時間はない」
「さぁ、お前のケツをここへ」
「くそぅ、なんでケツを突っ込まないといけないんだよ」
ゴゴゴゴゴ
「怖いな。」
「安心しろ、急に現れたら攻撃されるかもしれないだろう。ケツなら光に飲み込まれるだけだ。さぁ!さぁ!さぁ!」
スポン!!
その日アナホリーダ中の魔法少女の前にケツが現れた。
目の前の固く閉ざされた門を前にして、銀河系みたいに見える渦にケツを突っ込む。なんだが、トイレにいる気分なんだが。めっちゃシュール
「この扉は100人の魔法少女の魔法と、膨大な魔力で作られている。鍵をあけるには、我々12星座の杖の力がいる。現世へ向かうための扉をあけるぞ!コラ!」
「そんなことが、できるのか?」
「あらん♡♡わたしたちは、各時代各地域の最高の魔法少女よん♡♡あなたは白い杖と黒い杖を持っているし。」
勇者の剣とおれの杖を指差していう。
「ヴェル。それでは釣り合いがとれない。正確には聖剣エクスカリバーと白純、それと数多の魔鉱石や魔物の合成体だ」
「コラ!ややこしいぞ!七星剣って言ってたぜ。コラ!」
「あとは、魔力だねー。生きているものの力がいるよー」
「生きてるもの……」
辺りを見渡す。ここにいる彼女たちは死んでいるのか。なんとも言えない気持ちになる。
ばすっ!
「ぎゃあああ!!でこに、でこに!矢がああ」
「ああもぅ!辛気臭い顔しないでよ!!わたしたちは、精一杯やったの!今を生きてるあなたたちがいる!それでいいのよ!!」
エルフの少女は矢を放ち言った。
「泣かないで~~~大丈夫だよ~~~未練は~~~正直~~~あるけど~~後悔は~~~~してないよ~~~」
傍らにいたコポルクの少女はフワフワした羊毛をちぎって涙を拭ってくれた。
「世界中の魔法少女!おれのケツに魔力を込めてくれ!!」
その日、魔法少女No.86ドルフィは、辺境の村で洗濯をしていた。争いごとの大してない海近くの村。魔法少女としての役目も簡単な治癒魔法をかけたり、壊れたものを修理するだけ。
「ふっふーん!今日はあの子に昨日捕まえた魚をみせたげるのだ!」
彼女は鼻歌まじりに、村の裏手にある海へ向かう。
「ふっふっふー、、、、ん?なんなのだ?!」
彼女は茂みが輝いていることに気づく。
「え?おしりなのだ?」
その日、調教師の魔法少女No.43秋風モミジは、スライムを駆り、盗賊を追い回していた。
「待ちやがれ!!」
あの白仮面共が現れてから、この辺りの治安はすっかり悪くなってしまった。
「行くぜスラ太郎!!」
転生の特典で魔物と話せる力を授かった。スライムの力を使ってこの辺の平和を守っていたのだ。
「ひぇ!」
盗賊の動きが突然止まり奇妙な悲鳴をあげてその場に座り込んだ。彼らの目の前には光り輝くケツがあった。
「スラ太郎!とりあえずたたっ切るぞ」
その日、魔法少女No.3の少女は姉と一緒に王都で帝都侵攻の後始末に追われていた。不発に終わったものの、その混乱は、困窮を極めていた。
「……情報が錯綜している。早く真偽を見極めないと」
彼女の目には人々が不安や恐怖に駆られていることが見える。そんな彼女の背中に冷りとする物が当たる。
「ひゃい!」
「なっはっは!大丈夫か?眉間にしわ寄せて年寄り連中みたいに見えるで!」
「…もう、お姉ちゃん!」
氷菓を手渡しカラカラと笑う彼女にも、若干の疲れの色が見える。
「連中は自分のことしか考えてへん。あんなもん誰が防げるっちゅーねん。なぁ、、、、、、は?」
「…どうしたの?お姉ちゃ、ん?」
姉の異変に振り向く。
目の前におしりが浮いていた。
その日……その日……
アナホリーダ大陸に住む魔法少女たちの目の前に、光り輝くおしりが現れたのだ。
そして
「…みんな!!ケツに魔力を込めてくれ!!」
彼女らにケツが話しかけ
「「「「「はぁ?!」」」」」
大陸中を揺らがせた。
「ぷっ、あっはははは!」
「がっはっはっは!まじか、あいつ!」
「ん?なんだ?けつ??」
当然、ガブコとさちよの前にも現れたわけで、
魔王も唖然と宙を浮かぶケツを見た。
「あんの、バカ!!でも、無事で、よかった!」
カリンの目の前にも現れた。
その日……100人の魔法少女の前にケツが現れたのだ
先程より一回り大きくなった渦にケツを突っ込みながら、俺は声を張り上げる。
「みんな、魔力をこめてくれ!!!…どうだ?」
「ぜんぜんだな。15人にも満たない」
「ケツをもっと突き出して!」
「いやいやー振りまくればーいいよー」
「そりゃ、いきなりケツが出てくれば、警戒するわな。集まった魔力のうち、半分は攻撃によるものだしな」
「もっとこの穴でかくできないのかよ?」
「もともと裏技みたいなもんだ。そうでなくても時空を歪めて、ケツの数を増やしてんだ。ダブルの重ねがけ、呪いの応用、無理すればケツがちぎれちまうさ」
「怖っ!」
んなリスクあるものにケツを入れさせんな
「くそっ!!!どうにかならないのか!!」
「……ざ、……ざざっ。」
渦から音が聞こえてくる。
「……こちら、王都の王宮魔術師No.3の魔法少女。このおしりは味方です。勇者さまのものです。魔力を込めてください。お願いします。」
「24・・・・27…おい!増えてきてるぞ!」
「こちら、黒蜥蜴。情報屋黒犬のもんだ。緊急事態につき、新しく開発した情報伝達手段を勇者に提供してる。安心してくれ」
「34........35......」
「こ、こちら、帝都第三王女。先ほどのクーデターは姉の起こしたもの。せ、世界に謝罪を。わ、わたしたちはいかなる罰も受けます。い、今は魔王復活を阻止するため。勇者様にお力を!」
「56......59.....」
今までの旅で出会った人々も呼びかけを行う。
「学術機関氷豹のガブコっす!門下生にお願いっす!しりの勇者に協力をしてくれっす。」
「ガッハッハッ!赫鷲のサチヨだ!世界を救うぜ!お前たち!ガッハッハッ!」
「お願いします!!みなさんの力を貸してくださいっ!!!」
「…………99....100!!」
「ケツを引っこ抜け!!いまだ!!!魔力を束ねろ!!12星座の魔法少女よ!!次代の勇者の為に門をこじ開けろ!!!開門(リリース)」
重たい音がして、門が開く。
「!ありがとう!みんな!!必ず魔王を倒すから」
「はお、はぁ、うまくいったな。……時間はないが最後に逢いたいって言ってる奴がいる」
「わ、わしは、会うつもりなど、どの面下げて、会えば良いのじゃ」
両方から小脇を抱られた白いワンピースの少女が現れた
「神様?!!」
「ん、、、、くそ、、、、はぁ、、、おぬしも、もう知っておるじゃろう。わしは、ほんとは神様でもなんでもない。ただのかわいい美少女だって。」
自分で言うか?断片的な情報になるが、元は王家の人間で、勇者と旅した魔法少女ってとこか。魔王を長らく封印し、勇者が探していた人物
「……迷惑をかけてしまったな。色々と。わしは無能じゃ」
「そんなことはないさ。魂を導いてたのは、あんたなんだろ。いま、ここにある無数にある杖たちの中で、12星座の魔法少女たちが集まっているのも、あんたの力なんだろ」
「……さちよめ、魔力感知を仕込みよって、勘のいい子にしてしまって」
「……なんで神様がここにいるんだよ。魔王に身体を乗っ取られたんじゃ。」
彼女は、すこし、寂しそうにいった。
「いま、ここにいるのは、しがない一本の杖としてじゃよ。肉体に残した魂のかけらもあと少しで完全に消滅するはずじゃ」
「……そうか。……残念だ」
「まぁ、わたしのことは良い。次代の巫女に移るだけじゃ」
「それは、かりんのことか」
「まぁ、彼女の可能性が高いな。」
かりんが使っている導きの杖北極星(ポラリス)。12星座の杖とはまた違う力を持つ。
「わしは、お前に謝らねばならぬ。わしや桜のせいで世界中が混乱を」
「謝らないでくれ、勇者も必死だったんだろう。そのことは知っている。俺があいつのコピーだとしても、俺が産まれてから俺が経験したことは全て、おれだけのもんさ」
「……すまない」
「あ、そうだ。神様が勇者をコピーしたなら、実質的には、おれはあんたらの子供ってことになるよな」
「あ、まぁ、そういういいかたにならなくはないか」
「なるさ!だから、俺に名前をつけてくれよ!」
「名前…」
「あぁ!名前さ!このままだとおれは尻穴ケツ太郎になっちまう」
「し、しりあな?」
「あぁ、だからさ。名前をつけてくれ」
「名前……」
神様は戸惑っているようだった。
「あぁ、」
「……そういえば、昔桜のやつと冗談で子供の名前を考えたことがあったのう……。女の子なら、さくらもち」
「センスがすげぇな」
「じゃろう!」
自信満々に答えた神様に、不安を抱きつつ聞く。
「……お、男なら?」
「そうさのう……、」
生唾を飲み込む。
「桜のやつが言っておったのは、ギンガじゃ。」
「ぎんが……」
噛み締めるようにその言葉をつぶやいた。
「桜の奴は星を見るのが好きだったんじゃ。やつのいた日本とアナホリーダ。文明も言葉も違うなか、星だけは一緒だった。だからかのぅ。……なんだ不満だったのか、それならばワシのイチオシのモチモチのスケとかは?」
黄金の巫女はみんなネーミングセンスが壊滅的なのか。
「……ありがとう。名前。ずっと不安だったんだ。行ってくるよ。」
「あぁ。広大な銀河を守れるくらいの英雄になってほしいと言っておった。」
扉が開き、若い勇者は戻っていった。
「さよなら…………かあさん、ありがとう」
目を開けると目の前にカリンがいた。
「……え、な、あんた、どこから」
「カリン、ありがとな。世界中のみんなに呼びかけてくれて」
「さっそくで悪い。カリン頼みがあるんだが」
「……?」
カリンに頼み事をし、俺はさちよさんたちの元へ急いだ。
「魔装!!」
会得したばかりの魔装を纏って走り出す。
至る所の大地は抉れ、濃い魔力跡が漂っていた。バラバラになった魔道具が散らばり、魔法少女の2人はボロボロだった。
「どうだ。ガブコ。あと何分戦えそうだ」
「……師匠のほうはどうなんですか。」
「ガッハッハッ!面白いくらいにすっからかんだぜ」
「右に同じっす」
はじめはまともにやりあえていたと感じていたが、徐々に魔王の力が上がっていった。魔王が魔王たりうる所以だ。すでに先代勇者からたくされた魔道具は尽き果て、残るは己の杖のみという状況だった。
「貴様らはよく戦った。12星座の小娘どもに匹敵するほどにな。記憶に残しておこう。太陽(Sun)」
魔王か片手をあげると巨大な炎の塊が浮かび上がる。さらにもう一方の片手をあげる
「痛みなく殺してやろう。呪炎……」
赤い炎の玉が漆黒へとかわる。
「漆黒(ブラック)呪殺(デッド)」
「ははっさすがにお手上げっす」
「ガッハッハッ!!あとは託したぜ!少年!!!」
目の前に確実に迫る死に、2人はすでに戦意を失っていた。
ガブは目を閉じ、死を待っていた。邪悪な魔力がすごい速度で近づいてくるのを感じる。
だが、暫くたっても、変化はない。恐る恐る目を開けると、目の前に迫っていた黒い炎はなく、代わりに。
「なっ」
「がっ」
さちよとガブコの腰に深々と針が刺さっていた。魔王は向こうに、地中から?いや、常に警戒をしていた。だったら、新手か?思考を巡らす2人の背後に気配がする。そいつの放つ、馬鹿でかい魔力量に冷や汗が落ちる。
「黒蠍座(スコピ)手術台(オペ)。さちよさんガブコ、ありがとな。そこで休んでてくれ」
聞き覚えのある声がした。
2人の体の傷がゆっくりとだが癒えていく。さちよは目線をあげる。
白い魔力が立ち登り、マントも山高帽子も白く輝く。
片手には7個の魔石が輝く剣を携え、もう片方の手には黒い杖。以前と違い、杖の周りに小さな杖が10本程浮いている。
「……けつたろう、、か?」
「誰がケツ太郎だよ!?違うからね?!」
「見違えたっす」
「時間を稼いでくれたおかげだ。今は回復に努めてくれ。あいつの相手俺がやる。」
「お前1人で止めると言うのか」
神様の体は魔王に完全に乗っ取られてしまっていた。黒髪の絶世の美女。長い髪はオールバックにしており、彼女の額には何やら怪しげな魔法の文字が書かれている。彼女の体の周りには、星が回っている。ひとつひとつにとてつもない量の魔力が込められていることがわかる。
「気を付けろよ。あいつがあれを出してから私たちの攻撃が一切かすりもしなくなったんだから」
「問題ない!!」
「……お前は誰だ」
魔王は油断なく聞く。
「俺の名前は、ギンガ。偉大な勇者と巫女から生まれた、お前を倒して英雄となる者だ!!」
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