139 / 214
第二部
139 したいか、したくないか
しおりを挟む
拓馬はアレンの腕を掴むと脱衣所に向かって歩いていく。空気が変わった気がして秀治は自分の体をぎゅっと抱きしめた。
「僕たちも出ようか」
「うん」
義則の言葉にクインが素直に応じる。ざぷんと湯船が揺れた。まだ入ったばかりの唯斗と秀治はそれを黙って見送った。しばしの沈黙が流れる。秀治は拓馬の言った言葉を思い出して赤面する。
『それも大部屋貸切。言ってる意味わかるよな』
あのベッドを見た瞬間からそれは確実に起こる出来事なんだろうなと思っていたが、深く考えないようにしていた。一度それを想像してしまえば、きっと唯斗のことを真っ直ぐ見られなくなるような気がして怖かった。
「シュウくん。どうしよっか」
ふと、小さく息を吐きながら唯斗が聞いてくる。
「何を?」
予想はつくがそう聞いておく。ふっと笑われた。
「したいか、したくないか。選んで」
真っ直ぐな瞳で見つめられ言葉に迷っていると、ごめんと頭に額を乗せられた。
「シュウくんの困り顔って可愛いから。見たくなるんだよ、無性に」
返答に困る物言いに黙りこくっていると、くっと顎を持ち上げられた。その手が熱くてびくりと体が震える。ちゃぷんと湯が跳ねた。
「俺はしたいよ。ものすごくね」
「俺は……」
どう伝えたらいいのかわからない。でも込み上げる気持ちを伝えなきゃと思い至って、気づけばいつもは言わないようなことを口にしていた。
「俺もしたい……けど、恥ずかしくなって途中でやめてって言うかもしれない」
ほっと安堵したように唯斗が笑う。おいで、と腕の中に導かれる。そのまま唯斗の胸に額を埋めた。
「恥ずかしいのは当然だよ。俺だって自分のセックスを見られるなんて恥ずかしくてたまらない」
「僕たちも出ようか」
「うん」
義則の言葉にクインが素直に応じる。ざぷんと湯船が揺れた。まだ入ったばかりの唯斗と秀治はそれを黙って見送った。しばしの沈黙が流れる。秀治は拓馬の言った言葉を思い出して赤面する。
『それも大部屋貸切。言ってる意味わかるよな』
あのベッドを見た瞬間からそれは確実に起こる出来事なんだろうなと思っていたが、深く考えないようにしていた。一度それを想像してしまえば、きっと唯斗のことを真っ直ぐ見られなくなるような気がして怖かった。
「シュウくん。どうしよっか」
ふと、小さく息を吐きながら唯斗が聞いてくる。
「何を?」
予想はつくがそう聞いておく。ふっと笑われた。
「したいか、したくないか。選んで」
真っ直ぐな瞳で見つめられ言葉に迷っていると、ごめんと頭に額を乗せられた。
「シュウくんの困り顔って可愛いから。見たくなるんだよ、無性に」
返答に困る物言いに黙りこくっていると、くっと顎を持ち上げられた。その手が熱くてびくりと体が震える。ちゃぷんと湯が跳ねた。
「俺はしたいよ。ものすごくね」
「俺は……」
どう伝えたらいいのかわからない。でも込み上げる気持ちを伝えなきゃと思い至って、気づけばいつもは言わないようなことを口にしていた。
「俺もしたい……けど、恥ずかしくなって途中でやめてって言うかもしれない」
ほっと安堵したように唯斗が笑う。おいで、と腕の中に導かれる。そのまま唯斗の胸に額を埋めた。
「恥ずかしいのは当然だよ。俺だって自分のセックスを見られるなんて恥ずかしくてたまらない」
0
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)
藤吉めぐみ
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。
そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。
けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。
始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる