緋色の魔王(α)と暴君王子(α)の寵愛は愛に飢えた僕(Ω)を離してくれない

子犬一 はぁて

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魔王の晩餐会

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 ライアが厨房に入ってから10分は経っただろうか。真後ろから、急に声をかけられる。

「いま、帰ったよ」

 ふわ、と華やぐアプリコットの香りに包まれる。僕の後ろからジスが腕を回してきたのだ。

「お、おかえりなさいっ」

 今朝のあんなことやこんなことを思い出してしまい、頬が林檎みたいに紅くなってるに違いない。ジスは着ていたローブを脱いで、僕の正面の椅子に座る。

「……」

 ジスが机の上に両肘を付き、手に顎を乗せて僕を見てくる。吹き出しがあったら、音符マークがついていることだろう。るんるんな様子なのが見て取れる。

「ジス様、おかえりなさいませ」

 ライアが料理を台車に載せて運んでくる。

「うん。ライア。特に変わったことはなかったかい?」

 ライアが配膳の手を止めて、ちらと僕の顔を見ている。すると、そのに違和感を覚えたのかジスが表情を曇らせる。

「なんだ。何かあったのか?」

「その……メビウスが阿月様に無礼を……」

「ふむ。メビウスが」

 やや思案顔のジス。

「後でわたしのほうから躾ておこう。せっかくライアが作ってくれた料理を冷ましたくないからね」

「ジス様……」

 ぱぁぁあと、ライアの表情が明るくなる。

 ジスのこういうところ、尊敬する。見習わなくちゃ。

「本日のディナーは、きのこと生クリームのボロネーゼ、コールスローサラダ、パンプキンポタージュ、プディングでございます」

 次々に机の上に並べられる料理はどれもできたてで、湯気が出ているものも。

 すごいなあ、ライア。僕はこんなに本格的な料理はしたことがないや。

「いただきます」

 ジスが手をそろえるのを見て、僕もすかさず

「いただきますっ」

 ライアにお辞儀をしてから、スプーンを手に取った。ライアは台車を運び、厨房に戻るらしい。食事をしながら、僕は今日ジスに聞きたかったことを聞いてみることにした。

 僕とジスがプディングを食べ終えた頃。

「あの、1つ聞いてもいい?」

 おずおずとジスを見上げる。するとジスは、「うん?」と優しい眼差しで僕を見てくれる。

「どうしてジスは僕を召喚したの?」

 ジスは軽く微笑みを口端に浮かべながら。

「その話はわたしのベッドの上でするのはどうだろうか?」

 紳士的な提案に、僕はほっとする。コクン、と頷けばジスが僕の手を引いて3階に連れていく。

「じ、自分で階段登れるっ」

「いいや。許さない。そなたにはわたしの筋トレの一助になってもらう」

 階段を登ろうとしたらジスに抱っこされた。それも、お姫様抱っこだ。じたばた暴れても全く動じることのないジスの腕と体幹。僕は諦めて身体の力を抜くことにした。

 城を探検した時には気づかなかったが、隠し扉があるらしい。ジスが僕を片手に抱っこして、部屋を開ける。

 僕のことを広い部屋のベッドの上に下ろしてから、隣に座った。

 ずし、とベッドが軽く傾く。
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