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魔王の告白(1)
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何を言われるんだろう。僕は足先が冷えそうな気分でジスからの言葉を待っていた。
「そなたには正直に話しておきたい」
真剣な表情でジスは僕を見つめる。緋色の瞳は微かに揺れていて心もとない。こんな様子のジスを見るのは初めてだ。
「うん」
ゆっくりと、ジスが口を開く。
「そなたを召喚したのはーーわたしの夢を叶えるためだ」
「夢?」
ジスが、そっと僕の手のひらを取り、重ねる。
ああ、ジスの手ってこんなにしなやかで美しいんだ。
「わたしはいま、冥界の王。魔王だ。そなたが召喚されたこの世界には、2つの世界がある。ここ、冥界と天上の国の2つ。そして天上の国には、フォリーヌという王国がある」
冥界とは別に、天上の国というのがあるんだな。
僕の持ち得た感想はその程度だった。だからその次の言葉を僕は一生忘れない。
「そなたには、フォリーヌ王国の王子の世継ぎを産み、その子をわたしのもとへ届けて欲しいのだ」
え? なんで。
世継ぎって、子どもを産めってこと?
「え」
僕がぽかんとしている表情が面白かったのか、ジスがくく、と喉を鳴らせている。
「ど、どうしてそんな……」
「うん。すまないね。ちゃんと説明しなくてはいけないのに、そなたが戸惑う姿もかわいいものだから、つい無心に眺めていたくなるんだ」
「なっ」
これは褒められてる? のかな。僕は黙って話の続きを聞くことにした。
「フォリーヌという国は、いささか王室に問題があると死者からよく聞く。わたしの公務についてまずは伝えよう。わたしは、魔王の公務として城の外にある冥界の議会で長を務めている。死者の魂に、天上の国の様子を聞くのだ。そこでは、ここ何百年か悪い噂が絶えない。他国を吸収するべく戦に明け暮れる王子と、その兵たち。農民たちは厳しい税の取り立てによって、その日食べるのも苦しいほどだと聞くのに、王の住む王宮は年々と金箔に塗られていく部分が増えているのだという」
憂う表情が、心から憂う様子だと感じたから、触れるかは迷ったんだけど、どうしても引っかかってしまうから、聞くことにした。
「ここ、何百年っていうのは……」
「ああ。わたしは今年で1000と12歳になるのでね。そなたから見ると、ちょっとおじいさんすぎるかな?」
「お、おじいさんだなんて……そんなことありません。ジス様は綺麗です」
ん? ジスが耳からぷしゅうと煙を立てているような……。耳が真っ赤だ。しばらく、自身の口元に手を置いていたが、すぐに元のいつも通りのジスに戻った。
「その、つまりは。魔王というものは、天上の国に入れなくてね。本当は天上の国にいる王子と話し合い、王政を改革していきたいというのが本音なのだが……。王子も冥界には死者としてしか来れないからね。そこで、わたしはわたしの弟子を育てようと思い至った」
「弟子……僕が王子様の世継ぎを産むっていうのは、ジスの弟子を作るためですか?」
「そなたには正直に話しておきたい」
真剣な表情でジスは僕を見つめる。緋色の瞳は微かに揺れていて心もとない。こんな様子のジスを見るのは初めてだ。
「うん」
ゆっくりと、ジスが口を開く。
「そなたを召喚したのはーーわたしの夢を叶えるためだ」
「夢?」
ジスが、そっと僕の手のひらを取り、重ねる。
ああ、ジスの手ってこんなにしなやかで美しいんだ。
「わたしはいま、冥界の王。魔王だ。そなたが召喚されたこの世界には、2つの世界がある。ここ、冥界と天上の国の2つ。そして天上の国には、フォリーヌという王国がある」
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僕の持ち得た感想はその程度だった。だからその次の言葉を僕は一生忘れない。
「そなたには、フォリーヌ王国の王子の世継ぎを産み、その子をわたしのもとへ届けて欲しいのだ」
え? なんで。
世継ぎって、子どもを産めってこと?
「え」
僕がぽかんとしている表情が面白かったのか、ジスがくく、と喉を鳴らせている。
「ど、どうしてそんな……」
「うん。すまないね。ちゃんと説明しなくてはいけないのに、そなたが戸惑う姿もかわいいものだから、つい無心に眺めていたくなるんだ」
「なっ」
これは褒められてる? のかな。僕は黙って話の続きを聞くことにした。
「フォリーヌという国は、いささか王室に問題があると死者からよく聞く。わたしの公務についてまずは伝えよう。わたしは、魔王の公務として城の外にある冥界の議会で長を務めている。死者の魂に、天上の国の様子を聞くのだ。そこでは、ここ何百年か悪い噂が絶えない。他国を吸収するべく戦に明け暮れる王子と、その兵たち。農民たちは厳しい税の取り立てによって、その日食べるのも苦しいほどだと聞くのに、王の住む王宮は年々と金箔に塗られていく部分が増えているのだという」
憂う表情が、心から憂う様子だと感じたから、触れるかは迷ったんだけど、どうしても引っかかってしまうから、聞くことにした。
「ここ、何百年っていうのは……」
「ああ。わたしは今年で1000と12歳になるのでね。そなたから見ると、ちょっとおじいさんすぎるかな?」
「お、おじいさんだなんて……そんなことありません。ジス様は綺麗です」
ん? ジスが耳からぷしゅうと煙を立てているような……。耳が真っ赤だ。しばらく、自身の口元に手を置いていたが、すぐに元のいつも通りのジスに戻った。
「その、つまりは。魔王というものは、天上の国に入れなくてね。本当は天上の国にいる王子と話し合い、王政を改革していきたいというのが本音なのだが……。王子も冥界には死者としてしか来れないからね。そこで、わたしはわたしの弟子を育てようと思い至った」
「弟子……僕が王子様の世継ぎを産むっていうのは、ジスの弟子を作るためですか?」
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