スパダリDomに愛されると天使Subは溶けてしまうよ

子犬一 はぁて

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 長い足が、音もなく振り下ろされる。僕の身体は簡単に持ち上げられて、数メートル飛ばされた。床の上に転がる。床、絨毯ひいてあってよかった。コンクリートだったら、きっと骨折れてた。

 僕は部屋の真ん中で逃げ惑う。立ち上がろうとしても、足がすくんで無理なんだ。だから這いつくばっていく。部屋のドアまで辿り着いた。けど、何度ドアノブを回しても開かない。

「本気で逃げられると思ってる?」

 はは、と高めの笑い声。後ろを振り返る。相良さんがカードキーを人差し指と中指の間に挟んでわらっていた。

 壁に追い詰められて逃げ場がなくなる。

「さっきの男、なに?」

  笑顔がすっと引いた。失望の渦巻く瞳。

「あ、の人は……友達で……」

「俺よりああいう子のほうが、タイプなの?」

「ちが……」

「はっきり言ってよ。俺が悲しむことになるんだよ」

 ごひゅ、とお腹から息がもれた。相良さんが腹部に足を埋めるから。僕はドアと相良さんの間に挟まれてしまう。

「李子くんは俺がCommand使わなきゃ、なんにも言えないの?」

 僕は怖くて怖くて声が出ない。人魚姫に、なったみたい。

 相良さんに腹部を蹴られるんだ。いっかい、にかい、さんかい、よんかい……ここで僕は数えるのをやめた。

 頭を抱えて丸まった。

 ひとしきり気が済んだのか、相良さんは僕の後頭部をむんず、と掴むと持ち上げた。重力が遠のく。

「ごめんなさ、ごめんなさ……い。でも、一緒に話してた人はSubだし、Collarも付けてて。だから、あの人とはなんにもないです。ほんとうです」

 滲む視界で必死に弁明する。

 僕は無実だよ。相良さん。相良さん以外の人のことなんて、見ないし聞かない。
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