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287 この思いが伝わりますように
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相良さんの瞳が一瞬見開かれてから柔らかく伏せられた。僕は相良さんがどんな反応をするのか伺う。
「李子。話してくれてありがとう。とっても勇気がいったよね。俺はやっぱり李子と出逢えたのは奇跡だと思うんだ。俺の犯した過去の罪を知っても傍にいてくれる。シアトルに来てから俺の毒は抜けた。俺には李子というこの世で1番大切な存在がいるからもう愛に痛みは必要ないということに気づけた」
「……優希さん」
相良さんの頬が張りつめて美しい顔がくしゃくしゃに歪む。
「っだからずっと謝りたかった。俺の身勝手で痛いplayをさせてごめん。怖い思いをさせてごめん。シアトルでの日々は俺にとって償いの日々で、今までどれだけ李子に救われているか気づけたんだ」
僕は相良さんの謝罪を素直に受けとめることができた。目元は赤らみうるうると瞳に涙が溜まっている。それは今にも零れて頬を伝いそうだから僕はずっと相良さんにかけたかった言葉をつむぐ。
「好きだよ。大好きだよ。声も、匂いも、視線も全部。僕だけに愛を叫んで。僕だけを瞳に映して。僕だけを見て、聴いて、僕のために──笑ってください」
僕はきちんと笑えていただろうか。相良さんの瞳から透明な雫が溢れて零れた。僕はそれを指先で掬う。
「……っごめん。李子。今までごめん」
抱き寄せられ身体が密着する。背中に手を回されて服越しに伝わる貴方の熱はいつもあたたかくて僕を安堵させてくれる。僕もそっと相良さんの背中に腕をまわした。
「これからは優希さんの悲しみも僕に半分分けてください。そしたら僕は僕の喜びを半分あげます。そうしたらずっと幸せでいられるから」
僕の肩で泣く相良さんの背中をとんとんと手のひらでさする。僕ももらい泣きしてしまってそのまましばらく2人であたたかな涙を流していた。
「いい大人なのに泣いてごめん」
部屋に備え付けの電気ポットでお湯を沸かし、相良さんにホットコーヒーを渡すとそう呟いてきた。泣き止んではいるが目元が紅くて明日の朝腫れないか心配になった僕はぬるま湯に付けたタオルを手渡す。
「至れり尽くせりだね」
くしゃりと笑う相良さんは気持ちが落ち着いたらしい。しばらくお互いあたたかいタオルを目元にあてて目を閉じた。僕は自分用に作ったホットココアを味わいながら気持ちを落ち着かせていく。僕の気持ち上手く伝えられたかな。
5分ほど沈黙が流れた。しかしそれは互いを受容した沈黙で全く気まずくなかった。ふと、タオルを外したときに窓の外から見える藍色の空に目が行く。きらっと何か光の線が見えた。それは何本かの矢のように水平線の向こうに落ちていく。これはまさか……。
「優希さん。窓の外、流れ星が……」
窓の向こうを指さすと相良さんはタオルを目から離して僕の指の先を静かに見つめていた。その間もしゅんしゅんと何度も流れ星が流れていく。その幻想的な青白い光は慈悲深く僕らの目にうつった。
「李子。話してくれてありがとう。とっても勇気がいったよね。俺はやっぱり李子と出逢えたのは奇跡だと思うんだ。俺の犯した過去の罪を知っても傍にいてくれる。シアトルに来てから俺の毒は抜けた。俺には李子というこの世で1番大切な存在がいるからもう愛に痛みは必要ないということに気づけた」
「……優希さん」
相良さんの頬が張りつめて美しい顔がくしゃくしゃに歪む。
「っだからずっと謝りたかった。俺の身勝手で痛いplayをさせてごめん。怖い思いをさせてごめん。シアトルでの日々は俺にとって償いの日々で、今までどれだけ李子に救われているか気づけたんだ」
僕は相良さんの謝罪を素直に受けとめることができた。目元は赤らみうるうると瞳に涙が溜まっている。それは今にも零れて頬を伝いそうだから僕はずっと相良さんにかけたかった言葉をつむぐ。
「好きだよ。大好きだよ。声も、匂いも、視線も全部。僕だけに愛を叫んで。僕だけを瞳に映して。僕だけを見て、聴いて、僕のために──笑ってください」
僕はきちんと笑えていただろうか。相良さんの瞳から透明な雫が溢れて零れた。僕はそれを指先で掬う。
「……っごめん。李子。今までごめん」
抱き寄せられ身体が密着する。背中に手を回されて服越しに伝わる貴方の熱はいつもあたたかくて僕を安堵させてくれる。僕もそっと相良さんの背中に腕をまわした。
「これからは優希さんの悲しみも僕に半分分けてください。そしたら僕は僕の喜びを半分あげます。そうしたらずっと幸せでいられるから」
僕の肩で泣く相良さんの背中をとんとんと手のひらでさする。僕ももらい泣きしてしまってそのまましばらく2人であたたかな涙を流していた。
「いい大人なのに泣いてごめん」
部屋に備え付けの電気ポットでお湯を沸かし、相良さんにホットコーヒーを渡すとそう呟いてきた。泣き止んではいるが目元が紅くて明日の朝腫れないか心配になった僕はぬるま湯に付けたタオルを手渡す。
「至れり尽くせりだね」
くしゃりと笑う相良さんは気持ちが落ち着いたらしい。しばらくお互いあたたかいタオルを目元にあてて目を閉じた。僕は自分用に作ったホットココアを味わいながら気持ちを落ち着かせていく。僕の気持ち上手く伝えられたかな。
5分ほど沈黙が流れた。しかしそれは互いを受容した沈黙で全く気まずくなかった。ふと、タオルを外したときに窓の外から見える藍色の空に目が行く。きらっと何か光の線が見えた。それは何本かの矢のように水平線の向こうに落ちていく。これはまさか……。
「優希さん。窓の外、流れ星が……」
窓の向こうを指さすと相良さんはタオルを目から離して僕の指の先を静かに見つめていた。その間もしゅんしゅんと何度も流れ星が流れていく。その幻想的な青白い光は慈悲深く僕らの目にうつった。
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