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入学後2年で良い相談相手を見つけることができた。
彼の人となりを見極めてようやく相談することを決意した。
「先輩、相談したいことがあります」
コレットは彼に伯爵家の惨状を伝え、マリーを救えないか知恵を求めた。
「難しいかもしれないけど、色々資料を作ってみよう」
コレットは先輩の助言で資料を作り、母の不正を暴いた。
ついに彼女を伯爵家から追放できた。
「実母を追放するなんて。冷たい娘だ。誰のおかげで贅沢ができると思っている」
コレットはその暴言に耳を貸さず、毅然としていった。
「その贅沢は全てマリーのものです。マリーに返すべきです」
自分の手元にある資料を持ち法律院に持ち込めば母は罪人として捕らえられるだろう。
伯爵家の正当なる後継者であるマリーを虐待し続けていたこと。
伯爵家の財産や私物を賭博や享楽につぎ込んでしまったこと。
さらに、つぎ込んだ先が不法な場所であることも把握済みだ。
露見すれば絞首刑になってしまう。
さすがにコレットも実母が死ぬのは望んでいない。
マリーにも聞いたが、彼女もコレットと同じ考えだった。
「お母様、どうか修道院で罪を償ってください。私はあなたに死んでほしくありません」
できれば、穏便に済ませたかった。
脅迫が混じってしまったが。
コレットが用意した資料を見て、まずいとわかっていた母は大人しくなった。
「お前を学園に送るんじゃなかった」
最後の言葉がそれとは。
マリーに謝罪の言葉すらなかったことを残念に思った。
◆
コレットの母が追放された後。
伯爵家の管理をマリーの手元に移した。
本来あるべき形へと戻されていく。
まだ幼いマリーの為に管理補佐も雇った。
母によって解雇された使用人たちにも声をかけて屋敷に戻させた。
母に媚を売っていた使用人たちは解雇とした。優しいマリーは彼らの為に紹介状を手配していた。
(マリーてば、優しすぎるわ)
だが、この家の主人はマリーである。
マリーがやりたいようにさせるべきだろう。
「マリー、この伯爵家はあなたのものよ。どうか幸せになって」
コレットはやり遂げたと清々しく感じた。
荷物をまとめて屋敷を出ようとしたが、マリーに止められた。
「お姉さまが出ていくなら私も屋敷をでていきます」
とんでもないことを言い出す妹だ。
「私は所詮母の連れ子よ。この家にとっては侵入者でしかないわ」
「いいえ、お姉様は私の大事な家族です! お姉様がいたから私は耐えられました」
コレットは諭すが聞いてくれない。
「お姉様がいなくなるなら、私は寂しくて……また一人になってしまうなんて嫌です!」
涙ぐむマリーを見てコレットの決意は揺らぐ。
「コレット様。どうかマリー様の為に残ってください」
使用人たちにも説得されたコレットはこのまま屋敷に残ることになった。
◆
月日は流れて、マリーはとても美しい令嬢に成長した。
「マリー……もうすぐ15歳の誕生日ね」
「はい」
語尾にハートがみえる気がするが気のせいだ。
「お祝いは何がいいかしら、もうすぐ社交界デビューだしネックレスにしましょう」
本当は質に出された前伯爵夫人、……マリーの母親の形見を見つけ出したかった。
調べても見つけることはできなかった。
マリーには失った分うんと良いものを買ってあげたい。
「もう社交界デビューね……素敵なドレスも用意しないと。ネックレスはそれに合わせて買いましょう」
ゲーム内では確かマリーが買い物しているとお忍び中の王子に出会うはず。
その後に偶然助けた針子兼娼婦の女性にドレスと馬車を貸してもらい社交界デビューを果たすのだ。
そしてその社交界でマリーは王子に見初められる。
日にちを考えるとそろそろゲームのはじめの王道ルート開始の頃合い。
(あれ、よく考えたら……この先どうなっちゃうのかしら)
マリーはもうイケメンに助けられる必要性はない。
不遇な生い立ちは解決して、今では伯爵家の女主人として返り咲いた。
かつての美しさを取り戻した姿を眩しく見ながらコレットは大丈夫だと自身に言い聞かせた。
(うん、この美しさなら無理やり王子ルートにいっちゃうでしょう)
特に気にしないでおこう。
(これだけ可愛いマリー、放っておく王子はいないわね)
物語はだいぶねじまがってしまった。
でも、大丈夫だ。
マリーの物語はこのまま進んでいくはずだ。
自分の今の立ち位置であればマリーいじめの件で断罪イベントは起きないはずだ。
(あとはうちわをひらひらさせながら、マリーの幸せを見守れればいいわね)
確か今外出すればお忍び中の王子に出会えるかもしれない。
ゲームのシナリオを思い出しながらコレットはマリーに声をかけた。
「ドレスを仕立ててもらいに行きましょう」
「はい、お姉さま」
やはり語尾にハートがついているような気がする。
マリーはぴとっとくっつき、コレットの腕にからめてきた。
「あのね、マリー……それは大好きな殿方にしなさい」
「はい、大好きなお姉さまなので問題ありません」
まぁ、まだ成人前だし。
甘えたいざかりの時期に酷い目にあったヒロインなのだ。
きっと大人の女性のコレットに甘えているのだろう。
(マリーも母親がいなくて寂しいのよね。結婚するまで頑張ってちいママになるわ)
社交界デビューまでは特に強くは言わないでいこう。
そう思いながらコレットは物語が進むのを待った。
マリーの物語が思いもしない方向にすすんでいくのに頭を痛めることになるのだがこれはまた別の話。
(終わり)
彼の人となりを見極めてようやく相談することを決意した。
「先輩、相談したいことがあります」
コレットは彼に伯爵家の惨状を伝え、マリーを救えないか知恵を求めた。
「難しいかもしれないけど、色々資料を作ってみよう」
コレットは先輩の助言で資料を作り、母の不正を暴いた。
ついに彼女を伯爵家から追放できた。
「実母を追放するなんて。冷たい娘だ。誰のおかげで贅沢ができると思っている」
コレットはその暴言に耳を貸さず、毅然としていった。
「その贅沢は全てマリーのものです。マリーに返すべきです」
自分の手元にある資料を持ち法律院に持ち込めば母は罪人として捕らえられるだろう。
伯爵家の正当なる後継者であるマリーを虐待し続けていたこと。
伯爵家の財産や私物を賭博や享楽につぎ込んでしまったこと。
さらに、つぎ込んだ先が不法な場所であることも把握済みだ。
露見すれば絞首刑になってしまう。
さすがにコレットも実母が死ぬのは望んでいない。
マリーにも聞いたが、彼女もコレットと同じ考えだった。
「お母様、どうか修道院で罪を償ってください。私はあなたに死んでほしくありません」
できれば、穏便に済ませたかった。
脅迫が混じってしまったが。
コレットが用意した資料を見て、まずいとわかっていた母は大人しくなった。
「お前を学園に送るんじゃなかった」
最後の言葉がそれとは。
マリーに謝罪の言葉すらなかったことを残念に思った。
◆
コレットの母が追放された後。
伯爵家の管理をマリーの手元に移した。
本来あるべき形へと戻されていく。
まだ幼いマリーの為に管理補佐も雇った。
母によって解雇された使用人たちにも声をかけて屋敷に戻させた。
母に媚を売っていた使用人たちは解雇とした。優しいマリーは彼らの為に紹介状を手配していた。
(マリーてば、優しすぎるわ)
だが、この家の主人はマリーである。
マリーがやりたいようにさせるべきだろう。
「マリー、この伯爵家はあなたのものよ。どうか幸せになって」
コレットはやり遂げたと清々しく感じた。
荷物をまとめて屋敷を出ようとしたが、マリーに止められた。
「お姉さまが出ていくなら私も屋敷をでていきます」
とんでもないことを言い出す妹だ。
「私は所詮母の連れ子よ。この家にとっては侵入者でしかないわ」
「いいえ、お姉様は私の大事な家族です! お姉様がいたから私は耐えられました」
コレットは諭すが聞いてくれない。
「お姉様がいなくなるなら、私は寂しくて……また一人になってしまうなんて嫌です!」
涙ぐむマリーを見てコレットの決意は揺らぐ。
「コレット様。どうかマリー様の為に残ってください」
使用人たちにも説得されたコレットはこのまま屋敷に残ることになった。
◆
月日は流れて、マリーはとても美しい令嬢に成長した。
「マリー……もうすぐ15歳の誕生日ね」
「はい」
語尾にハートがみえる気がするが気のせいだ。
「お祝いは何がいいかしら、もうすぐ社交界デビューだしネックレスにしましょう」
本当は質に出された前伯爵夫人、……マリーの母親の形見を見つけ出したかった。
調べても見つけることはできなかった。
マリーには失った分うんと良いものを買ってあげたい。
「もう社交界デビューね……素敵なドレスも用意しないと。ネックレスはそれに合わせて買いましょう」
ゲーム内では確かマリーが買い物しているとお忍び中の王子に出会うはず。
その後に偶然助けた針子兼娼婦の女性にドレスと馬車を貸してもらい社交界デビューを果たすのだ。
そしてその社交界でマリーは王子に見初められる。
日にちを考えるとそろそろゲームのはじめの王道ルート開始の頃合い。
(あれ、よく考えたら……この先どうなっちゃうのかしら)
マリーはもうイケメンに助けられる必要性はない。
不遇な生い立ちは解決して、今では伯爵家の女主人として返り咲いた。
かつての美しさを取り戻した姿を眩しく見ながらコレットは大丈夫だと自身に言い聞かせた。
(うん、この美しさなら無理やり王子ルートにいっちゃうでしょう)
特に気にしないでおこう。
(これだけ可愛いマリー、放っておく王子はいないわね)
物語はだいぶねじまがってしまった。
でも、大丈夫だ。
マリーの物語はこのまま進んでいくはずだ。
自分の今の立ち位置であればマリーいじめの件で断罪イベントは起きないはずだ。
(あとはうちわをひらひらさせながら、マリーの幸せを見守れればいいわね)
確か今外出すればお忍び中の王子に出会えるかもしれない。
ゲームのシナリオを思い出しながらコレットはマリーに声をかけた。
「ドレスを仕立ててもらいに行きましょう」
「はい、お姉さま」
やはり語尾にハートがついているような気がする。
マリーはぴとっとくっつき、コレットの腕にからめてきた。
「あのね、マリー……それは大好きな殿方にしなさい」
「はい、大好きなお姉さまなので問題ありません」
まぁ、まだ成人前だし。
甘えたいざかりの時期に酷い目にあったヒロインなのだ。
きっと大人の女性のコレットに甘えているのだろう。
(マリーも母親がいなくて寂しいのよね。結婚するまで頑張ってちいママになるわ)
社交界デビューまでは特に強くは言わないでいこう。
そう思いながらコレットは物語が進むのを待った。
マリーの物語が思いもしない方向にすすんでいくのに頭を痛めることになるのだがこれはまた別の話。
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