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本編
時は平安、ところは京の都でのこと。
按察使の大納言家に小百合姫というそれはたいそう美しい姫がいました。
奥ゆかしくすくすく育ち、周囲の者はとても将来を楽しみにしました。
かくゆうこの私も姫の将来を楽しみにしていました。
私は揚羽、幼き頃より小百合姫さまにお仕えする女房です。
きっとこの小百合姫ならば、光源氏のように麗しき貴公子に見初められることでしょう。誰もが羨む縁(えにし)を結ぶことでしょう。
いずれは愛らしい姫を儲け、妃入内を果たさせ中宮の母となるかもしれません。
いえ、小百合姫さま自身が帝に恋われ女御となりサロンを築いて行くかもしれません。
そんな夢のようなことを考え楽しんでいた時期がありました。
◇ ◇ ◇
揚羽ははぁっと大きく嘆息をついた。そして目の前の文箱を見つめた。
いえいえ、溜息などついてはならぬと揚羽は首を横に振った。
大納言家に仕える女房として、小百合姫の女房として恥ずかしくないようにしなければ。
姫は女房の質によって軽んじられることもある。
現に枕草子の清少納言とてこう記しているではないか。使用人を見ていると主人はこういう人間なのではと想像してしまうと。
小百合姫の為にも自分は素晴らしい女房でいなければならない。
しゅるしゅると衣ずれの音をたてながら揚羽は小百合のお部屋へと向かった。
「姫さま、藤原尚夜さまより文が届いています」
「そう」
小百合は興味なさげに返事をした。適当にそのあたりに置いておいてくれと揚羽に指示を出した。
揚羽はそれを聞き困ったものだと思い、小百合の前に文机を置いた。
「その辺に置いてって」
「いいえ、今読んですぐに返事をお書きください」
揚羽は小百合の言葉を聞かずに強く言った。小百合はちらりと文箱を見つめた。見るからに面倒臭そうだといった表情をしていた。すぐに手元にあるものに視線を戻した。
彼女の手には草紙が握られていた。最近、才女と謳われる女性が書いた日記物であった。
「尚夜さまは十六の若さで近衛少将に抜擢された将来有望なお方です」
「親のおかげでしょう?」
厳しい評価である。
確かにその通りかもしれない。
藤原尚夜という公達は左大臣家の三男坊である。親の官位が高ければ高いほど出仕し始めに有利な官位を得られる。左大臣家の御曹司ならば近衛少将は妥当といえる。
「ですが、噂ではとても優雅で並々ならぬお人柄とか」
「実際に会ったことないのですよ。本当にそうなのか。。噂というのはあてにならないものですよ、揚羽」
小百合はさも当然のことだと言わんばかりに言った。
確かに小百合も揚羽も会ったことない。その人柄が本当に噂どおりなのかは知らないのだ。
「ですが、どうあれ尚夜さまのような素晴らしいお方が姫さまに文をお届けになられました」
これは小百合に好意を寄せているということ。
決して逃してはいけない。大事な縁(えにし)である。
「その人が好意を寄せているのは私ではなく按察使の大納言家の姫でしょう。それかあてもない噂の中に生きる変人な姫」
それを聞いて揚羽は袖で顔を覆い嘆いた。
ああ、なんでこのように屁理屈をごねる姫さまになられたのか。
そして揚羽の脳裏に浮かぶのは幼き日の小百合であった。
とても愛くるしく素直な姫君だった。それがどうしてこのようになられたのか。
いや、屁理屈をごねる以上にもっと不安なことがあるのだが。
それは今は余所に置いておこう。そう揚羽は頭の隅に追いやった。
「今まで数々の貴公子が姫さまに文を送り、贈り物をしてきたのに……一体何が不満なのかというのです」
一体どんな方ならば良いのです?
そう呟く揚羽に溜息をついた小百合はとんと草子を閉じた。しゅるりと音を立て、揚羽の前に座った。
「私が欲しいもの、あなたは知っているのにどうしてそう言うの?」
童顔の揚羽と違い美しい小百合に見つめられ、揚羽はどきりとしてしまった。同性でも小百合は本当に美しく女が見てもうっとりしてしまう程であった。
しかし、揚羽はこれにうっとりすることなどできなかった。
内心ああ、また始まったと思い袖で顔を隠してしまった。
「何故私の思いに応えてくれないの? 愛しい人」
「……お戯れはよしてください」
揚羽は頬を引きつりながらよそを向いた。
「戯れ?」
小百合はつっと笑う。
そして、揚羽の腕を捕え彼女の顔を隠していたものを取り外した。揚羽は顎をとらえられ無理にでも小百合の方へ向かされた。小百合は自然な仕草で揚羽の手をとり囁いた。
「私はこんなに本気なのに」
揚羽に甘えるように手に頬をすりよせようとする。凛とした強い口調での囁きである。これが見目麗しい貴公子ならば揚羽はすぐに頬を朱に染めただろう。だが、そうはいかなかった。揚羽は急いで手を引っ込めた。
あ、危なかった。
揚羽はどぎまぎしながらほっとした。
この小百合は何を間違ったやら、どうしてこうなってしまったやら、女房の揚羽のことを懸想してしまっていた。
それを聞いたのは揚羽が十四のとき、裳を済ませた頃である。
その時の小百合は十二。
まだ幼さ残る姫の言葉は愛くるしく、きっと大人の真似をしていたのだろうとその程度に考えていたのだ。
まさか、それが本気だったとは。
小百合が十四になり、裳を済ませ様々な貴公子から求愛の文を贈られる頃合いに本人の口から聞いた。自分が愛しているのは揚羽一人であると。揚羽さえいれば男などいらないと。
その言葉を思い出すだけで眩暈を覚えた。だが逃げるわけにはいかない。
まだ小百合は十五である。
若く瑞々しい年頃の姫で、まだ引き返す機会はいくらでもある。
何としてでも普通の姫らしい恋をしてもらわなければ。
そう考え揚羽は京で評判の貴公子たちのリストを作り、彼らの良い噂をそれとなく小百合に囁いた。だが、小百合はそういったものに一切興味を示そうとしなかった。
今回の尚夜の件も同様の反応であったのだ。
「その気がなくても返事を、せめて返事を………尚夜さまの文にすら返事を書かれなかったことが知られれば揚羽は、揚羽は大殿に叱られてしまいます」
揚羽は最終手段を強行した。
これはかなり有効なのだ。
大好きな揚羽が叱られるのを見て快く思うはずがない。
「わかった。返事を書けばいいのでしょう」
ようやく折れた小百合は文を詠み、筆をとりさらさらと返事を書いてしまった。
そしてそれを文箱に入れ揚羽に渡した。
揚羽は承って急いでそれを藤原尚夜のもとへと届けさせた。
かなり強引にやらせてしまったとはいえ、はじめて小百合が殿方に文をしたためたのだ。揚羽は歓喜した。これがよき縁(えにし)となりますようにと心から願った。
その喜びの中、揚羽は思いもよらない災難に襲われることになるとは想像してもいなかった。
◇ ◇ ◇
夜更けみなが寝静まっている頃、揚羽はなかなか寝付けず廊下で十六夜を眺めていた。
そんな時に男に声をかけられた。
「女房どの」
誰であろうと揚羽は首を傾げた。
そこに佇むのは美しい貴公子である。月明かりの中でもわかるほどの美しい男。
揚羽は一瞬彼にときめいてしまった。
「小百合姫付き女房どのですね」
「ど、どなた?」
突然のことで揚羽は緊張気味に質問した。
「私は怪しい者ではありません。近衛少将藤原尚夜です」
揚羽は心の中で飛び跳ねる程の喜びで満たされた。
この貴公子は日中に小百合に恋文を送った藤原尚夜であったのだ。
思ってもいない来訪者に揚羽はこれを願ってもない好機であると考えた。
衵扇で顔を隠しながらもう一度尚夜の面持ちを拝見する。
噂通りの見目麗しい貴公子である。
「これは失礼いたしました。私は小百合姫の女房・揚羽。一体このような夜更けにどうなされましたか?」
理由などだいたい察しがつく。しかし、揚羽はあえて尋ねた。
「それは、………お願いします。私を小百合姫の元へ案内してください」
それに揚羽は衵扇の後ろでほくそ笑んだ。袖に隠れた手はガッツポーズであったのは言うまでもない。
「わかりました。姫の寝所まで案内致しましょう」
そう言い揚羽は尚夜を案内した。
尚夜は揚羽に礼を述べ、するりと寝所の中へ潜り込んだ。
揚羽はふふっと笑いながらそれを見送った。さてさて邪魔者は退散、退散、と言いながら部屋を離れた。
揚羽の脳内の物語はこうである。
すでに休んでいる小百合の元へ尚夜が夜這いをし、はじめての対面を果たす。お互いの美しさと心に惹かれていく。あれよあれよという間に二人は三日夜の餅を食す関係に。
ああ、きっと姫ははじめて殿方の素晴らしさを知り私のことなど見向きもしなくなることでしょう。
幼い頃よりいつも揚羽を慕っていた愛らしい小百合の姿を思い出した。
揚羽と自分の名をよく連呼していた甘えん坊だった小百合姫が大人の女性となるのだ。
それが少し寂しいと感じるのは女房として未熟だなと揚羽は苦笑いした。
空に昇る美しき十六夜の月が夜を照らしている。
「ああ、月よ。どうか姫さまの将来のためよきように導いてください」
声を出し、お願い事をすると部屋の中から呼ぶ声がした。
「揚羽! いるのでしょう。こっちへいらっしゃい!!」
凛とした口調の小百合の声であった。
一体何事であろうか……
揚羽は中に入るのを躊躇した。しかし、小百合の声がどんどん鋭い怒気を含んだものになっていく。揚羽は仕方なく部屋に入った。
部屋の中の惨状を見て揚羽は唖然とした。
烏帽子がとれ髪がくしゃくしゃになり左頬は真っ赤に腫れあがった尚夜の痛々しい姿。そして、鋭い剣幕で怒りを抑えきれないといった小百合の姿。
揚羽が部屋に入ると小百合は責めるように言った。
「揚羽、どうしてこんな男を招き入れたのよ」
「と言われましても」
揚羽は首を傾げた。これはごく普通のことであった。
貴公子が懸想した姫と添い遂げる為、姫の女房がその夜這いの手引きをする。
どこの家でも行われる己の役割をなぜ責められるというのだろう。
「全く、これは立派な裏切り行為よ。早くこの男をつまみ出してちょうだい」
「待ってください。小百合姫!」
尚夜は両手を前につき猶予を申し出た。
「私はこんなに姫を好いているのになぜつれなくするのです」
「あのねぇ、私はあなたのことを知らないのよ。どうして優しくする必要があるの。第一あなたも私のことなんか噂でしか知らないじゃない」
冷たい言葉に尚夜はぐっとうなだれた。だが、すぐに向き直り改めたように語りだした。
「確かに突然の出来事にご立腹でしょう。ですが、聞いてください」
尚夜は真っすぐに小百合を見据えた。
「私は、姫を以前垣間見した頃より姫に想いを寄せるようになりました。………苦しくて苦しくて毎夜眠れない日々を送っていました」
それを聞き揚羽は感激した。
なんて情熱的な想いであろうか。このように麗しい貴公子が小百合にこんな恋情を抱くとは。
揚羽はまるで物語のようではないかとうっとりとした。
対して小百合はけっと鼻先で笑った。
「それは私のせいじゃないわ」
小百合はつんと言い放った。尚夜はそれに負けじとさらに語った。
「いかにもそうです。私は想いを抑えることができず日中に文を出しました」
「あなた私の返事読んだの?」
「読みましたとも。流麗な字で紡がれる姫の麗しい文章を何度も」
「じゃぁ、なんでここへ来たの? 私は確かに文に書いたわよ私には他に思い人がいるから諦めてくれと」
それを聞きうっとりと夢心地であった尚夜は揚羽ははっとした。なんてことを書いているのだ、この方は。
思わず揚羽はふるふると震えてしまった。殿方の前でなければ叫んでいたかもしれない。
「はい、何度も確認する為に読み返しました。正直ショックでしたよ」
尚夜の表情に陰りが生じる。それすらもどこか艶めいてて、貴公子というものはすごいものだ。思わず揚羽は感心してしまった。
「ですが、それでも諦めきれず………今宵私は姫のもとに馳せ参じました」
そしてがばりと小百合の手を両手で握りしめた。
「姫! どうか私の想いをわかってください!」
「わかるのは良いけど、あなたに恋情を抱く気などないわ。何度も言うけど私には好きな人がいるの」
「それは一体誰でしょうか! 教えてください」
揚羽はそれを聞き慌てた。
この場を立ち去ってしまおう。
そう思ったが、それは無理であった。いつの間にか揚羽の裾を小百合が握りしめていた。これでは立ちあがることができない。
「どうして教えなければいけないの?」
「私より姫に相応しい方ならば………姫を幸せにできる方ならば私は潔く諦めます」
左大臣の三男坊、正五位、近衛少将。揚羽にとっては雲の上の存在であった。
彼以上に婿として申し分のない貴公子はそうそういないだろう。いるとすれば帝、東宮といった揚羽にとっては天上にも近い存在の人たちである。
なのに、小百合はにやりと笑った。
「その言葉嘘偽りはないのかしら」
ああ、まずい。
揚羽は心から自分の主人の非常識さを呪った。ますますもって揚羽は慌てた。しかし逃げられなかった。
「よっく見て頂戴。これが私の想い人よ!!」
揚羽から扇を奪いその肩を抱き寄せた。それはさも尚夜に見せびらかすように。
尚夜はぽかんと口を開けた。
無理もない。
揚羽も動揺を隠せずにいた。
揚羽の実家は尚夜と比べるのもおこがましい中流貴族であった。大納言家の姫を幸せにするほどの力などない。いや、その前に揚羽は女性である。
どう考えても揚羽は尚夜よりも姫に相応しい相手ではなかった。
揚羽は小百合の発言に対する尚夜の反応を恐れた。小百合が女色だということに、尚夜は引いてしまうのではなかろうか。
先ほどの熱い想いも一気に冷めつき、この場を立ち去る尚夜の姿を瞬時に想像してしまう。
いや、それだけならまだしも都中に小百合姫の不名誉極まりない噂が流れるのではないか。
そうなってしまってはおしまいである。
何よりも小百合の将来、行く末を揚羽は心配した。
その心配を知ってか知らぬか小百合は畳みかけるように語りだした。
「白い肌、私を吸いこまん限りの大きな瞳、思わず口付けをしたくなるほどの愛らしい唇、何よりも年上と思えない目立たくなる程の可愛らしさ。この全てが私の虜なんだ!」
ちょっと黙ってください。
というか日頃私を見てそんなことを考えていたのか。
揚羽は青ざめながらも冷静につっこみを入れた。ぽかんと口を開けていた尚夜ははっと我に返った。そしてぶるぶると震えた。これを見て揚羽は終わりを実感した。
きっとここまで小百合にこけにされ、しかも想い人は女だったということに怒っているのだろう。
しかし、揚羽の予想は大きく外れた。
「それでも好きですっ!」
な、なんですと!!
その叫びに揚羽はぎょっとした。
まさか引かずになお恋情を抱き続けるとは、これはなんと奇特なことであろうか。
とはいえ喜んでいいか悪いかわからない。
小百合は不満そうに詰る。
「ちょっとあなた、潔く諦めるんじゃなかったの!」
一体この人は何をどうやれば私が尚夜さまよりも相応しい相手だと思えるのだろうか。
揚羽はそれを問い詰めたかったが、こわいからやめた。
「そう思っていました。姫が幸せならばと………しかし、やはり諦めることができない。どうかこの私を許して下さい!」
揚羽にとっては許すどころかありがたいことこの上ないことであった。
尚夜はびしっと揚羽を指差した。
突然こちらに視線が向けられ揚羽は慌てた。
「揚羽どの、まさかあなたが恋敵だとは。夜這いの手引きをしてくださったのもあなたの計算のうちだったのですね」
確かに計算はしていた。
しかし、計算は計算でも尚夜が言っているようなものではない。
小百合と尚夜がくっつく為の計算である。
決して小百合の愛を再確認するための計算ではない。
揚羽はそう弁解しようにも尚夜は全く聞く耳持たずといった具合だった。
尚夜は烏帽子を拾い身なりを整える。
そして改めて揚羽に宣言した。
「私は決して諦めない。いつか必ずあなたから姫を奪ってみせる!」
「いつかと言わず今奪ってください」
つい本音がぽろっと出てしまった。
そんな揚羽を見て尚夜は不敵に笑む。
挑戦と受け取った、そういう笑みであった。
「姫、今日は退きます。ですが、私はあなたを諦めなません。覚悟してくださいね」
そしてその場を立ち去ってしまった。
嵐は去った。
揚羽ははぁっと溜息をついた。憂うつである。
その揚羽に甘えるように小百合はすりよってきた。
「揚羽、ひどい。私の愛を信じず、あんな男を招き入れるなんて。すっごく恐かったのよ」
恐いとどの口が言うというのだろうかと揚羽はつっこみを入れたくなった。
そんな可愛らしさがあれば、揚羽は全く心配などしない。
「だから、今日は私と眠ってちょうだい」
「嫌です」
冗談ではない。先ほどあのように熱烈な想いを聞いて、一緒に寝るなどできない。何をされるか想像しただけでぞっとする。
「それでは、姫さま。おやすみなさいませ」
揚羽は身の危険を感じるようになり、ささっと部屋を出てしまった。
廊を歩きながら先ほどまでの事柄を思い返した。
憂うつである。
揚羽は大きく溜息をついた。溜息などだめだと思っても、これがせずにはいられなかった。
◇ ◇ ◇
按察使の大納言家に小百合姫という蝶を愛でる姫がいた。
蝶は蝶でも、虫の蝶ではなくい。
按察使の大納言家に小百合姫というそれはたいそう美しい姫がいました。
奥ゆかしくすくすく育ち、周囲の者はとても将来を楽しみにしました。
かくゆうこの私も姫の将来を楽しみにしていました。
私は揚羽、幼き頃より小百合姫さまにお仕えする女房です。
きっとこの小百合姫ならば、光源氏のように麗しき貴公子に見初められることでしょう。誰もが羨む縁(えにし)を結ぶことでしょう。
いずれは愛らしい姫を儲け、妃入内を果たさせ中宮の母となるかもしれません。
いえ、小百合姫さま自身が帝に恋われ女御となりサロンを築いて行くかもしれません。
そんな夢のようなことを考え楽しんでいた時期がありました。
◇ ◇ ◇
揚羽ははぁっと大きく嘆息をついた。そして目の前の文箱を見つめた。
いえいえ、溜息などついてはならぬと揚羽は首を横に振った。
大納言家に仕える女房として、小百合姫の女房として恥ずかしくないようにしなければ。
姫は女房の質によって軽んじられることもある。
現に枕草子の清少納言とてこう記しているではないか。使用人を見ていると主人はこういう人間なのではと想像してしまうと。
小百合姫の為にも自分は素晴らしい女房でいなければならない。
しゅるしゅると衣ずれの音をたてながら揚羽は小百合のお部屋へと向かった。
「姫さま、藤原尚夜さまより文が届いています」
「そう」
小百合は興味なさげに返事をした。適当にそのあたりに置いておいてくれと揚羽に指示を出した。
揚羽はそれを聞き困ったものだと思い、小百合の前に文机を置いた。
「その辺に置いてって」
「いいえ、今読んですぐに返事をお書きください」
揚羽は小百合の言葉を聞かずに強く言った。小百合はちらりと文箱を見つめた。見るからに面倒臭そうだといった表情をしていた。すぐに手元にあるものに視線を戻した。
彼女の手には草紙が握られていた。最近、才女と謳われる女性が書いた日記物であった。
「尚夜さまは十六の若さで近衛少将に抜擢された将来有望なお方です」
「親のおかげでしょう?」
厳しい評価である。
確かにその通りかもしれない。
藤原尚夜という公達は左大臣家の三男坊である。親の官位が高ければ高いほど出仕し始めに有利な官位を得られる。左大臣家の御曹司ならば近衛少将は妥当といえる。
「ですが、噂ではとても優雅で並々ならぬお人柄とか」
「実際に会ったことないのですよ。本当にそうなのか。。噂というのはあてにならないものですよ、揚羽」
小百合はさも当然のことだと言わんばかりに言った。
確かに小百合も揚羽も会ったことない。その人柄が本当に噂どおりなのかは知らないのだ。
「ですが、どうあれ尚夜さまのような素晴らしいお方が姫さまに文をお届けになられました」
これは小百合に好意を寄せているということ。
決して逃してはいけない。大事な縁(えにし)である。
「その人が好意を寄せているのは私ではなく按察使の大納言家の姫でしょう。それかあてもない噂の中に生きる変人な姫」
それを聞いて揚羽は袖で顔を覆い嘆いた。
ああ、なんでこのように屁理屈をごねる姫さまになられたのか。
そして揚羽の脳裏に浮かぶのは幼き日の小百合であった。
とても愛くるしく素直な姫君だった。それがどうしてこのようになられたのか。
いや、屁理屈をごねる以上にもっと不安なことがあるのだが。
それは今は余所に置いておこう。そう揚羽は頭の隅に追いやった。
「今まで数々の貴公子が姫さまに文を送り、贈り物をしてきたのに……一体何が不満なのかというのです」
一体どんな方ならば良いのです?
そう呟く揚羽に溜息をついた小百合はとんと草子を閉じた。しゅるりと音を立て、揚羽の前に座った。
「私が欲しいもの、あなたは知っているのにどうしてそう言うの?」
童顔の揚羽と違い美しい小百合に見つめられ、揚羽はどきりとしてしまった。同性でも小百合は本当に美しく女が見てもうっとりしてしまう程であった。
しかし、揚羽はこれにうっとりすることなどできなかった。
内心ああ、また始まったと思い袖で顔を隠してしまった。
「何故私の思いに応えてくれないの? 愛しい人」
「……お戯れはよしてください」
揚羽は頬を引きつりながらよそを向いた。
「戯れ?」
小百合はつっと笑う。
そして、揚羽の腕を捕え彼女の顔を隠していたものを取り外した。揚羽は顎をとらえられ無理にでも小百合の方へ向かされた。小百合は自然な仕草で揚羽の手をとり囁いた。
「私はこんなに本気なのに」
揚羽に甘えるように手に頬をすりよせようとする。凛とした強い口調での囁きである。これが見目麗しい貴公子ならば揚羽はすぐに頬を朱に染めただろう。だが、そうはいかなかった。揚羽は急いで手を引っ込めた。
あ、危なかった。
揚羽はどぎまぎしながらほっとした。
この小百合は何を間違ったやら、どうしてこうなってしまったやら、女房の揚羽のことを懸想してしまっていた。
それを聞いたのは揚羽が十四のとき、裳を済ませた頃である。
その時の小百合は十二。
まだ幼さ残る姫の言葉は愛くるしく、きっと大人の真似をしていたのだろうとその程度に考えていたのだ。
まさか、それが本気だったとは。
小百合が十四になり、裳を済ませ様々な貴公子から求愛の文を贈られる頃合いに本人の口から聞いた。自分が愛しているのは揚羽一人であると。揚羽さえいれば男などいらないと。
その言葉を思い出すだけで眩暈を覚えた。だが逃げるわけにはいかない。
まだ小百合は十五である。
若く瑞々しい年頃の姫で、まだ引き返す機会はいくらでもある。
何としてでも普通の姫らしい恋をしてもらわなければ。
そう考え揚羽は京で評判の貴公子たちのリストを作り、彼らの良い噂をそれとなく小百合に囁いた。だが、小百合はそういったものに一切興味を示そうとしなかった。
今回の尚夜の件も同様の反応であったのだ。
「その気がなくても返事を、せめて返事を………尚夜さまの文にすら返事を書かれなかったことが知られれば揚羽は、揚羽は大殿に叱られてしまいます」
揚羽は最終手段を強行した。
これはかなり有効なのだ。
大好きな揚羽が叱られるのを見て快く思うはずがない。
「わかった。返事を書けばいいのでしょう」
ようやく折れた小百合は文を詠み、筆をとりさらさらと返事を書いてしまった。
そしてそれを文箱に入れ揚羽に渡した。
揚羽は承って急いでそれを藤原尚夜のもとへと届けさせた。
かなり強引にやらせてしまったとはいえ、はじめて小百合が殿方に文をしたためたのだ。揚羽は歓喜した。これがよき縁(えにし)となりますようにと心から願った。
その喜びの中、揚羽は思いもよらない災難に襲われることになるとは想像してもいなかった。
◇ ◇ ◇
夜更けみなが寝静まっている頃、揚羽はなかなか寝付けず廊下で十六夜を眺めていた。
そんな時に男に声をかけられた。
「女房どの」
誰であろうと揚羽は首を傾げた。
そこに佇むのは美しい貴公子である。月明かりの中でもわかるほどの美しい男。
揚羽は一瞬彼にときめいてしまった。
「小百合姫付き女房どのですね」
「ど、どなた?」
突然のことで揚羽は緊張気味に質問した。
「私は怪しい者ではありません。近衛少将藤原尚夜です」
揚羽は心の中で飛び跳ねる程の喜びで満たされた。
この貴公子は日中に小百合に恋文を送った藤原尚夜であったのだ。
思ってもいない来訪者に揚羽はこれを願ってもない好機であると考えた。
衵扇で顔を隠しながらもう一度尚夜の面持ちを拝見する。
噂通りの見目麗しい貴公子である。
「これは失礼いたしました。私は小百合姫の女房・揚羽。一体このような夜更けにどうなされましたか?」
理由などだいたい察しがつく。しかし、揚羽はあえて尋ねた。
「それは、………お願いします。私を小百合姫の元へ案内してください」
それに揚羽は衵扇の後ろでほくそ笑んだ。袖に隠れた手はガッツポーズであったのは言うまでもない。
「わかりました。姫の寝所まで案内致しましょう」
そう言い揚羽は尚夜を案内した。
尚夜は揚羽に礼を述べ、するりと寝所の中へ潜り込んだ。
揚羽はふふっと笑いながらそれを見送った。さてさて邪魔者は退散、退散、と言いながら部屋を離れた。
揚羽の脳内の物語はこうである。
すでに休んでいる小百合の元へ尚夜が夜這いをし、はじめての対面を果たす。お互いの美しさと心に惹かれていく。あれよあれよという間に二人は三日夜の餅を食す関係に。
ああ、きっと姫ははじめて殿方の素晴らしさを知り私のことなど見向きもしなくなることでしょう。
幼い頃よりいつも揚羽を慕っていた愛らしい小百合の姿を思い出した。
揚羽と自分の名をよく連呼していた甘えん坊だった小百合姫が大人の女性となるのだ。
それが少し寂しいと感じるのは女房として未熟だなと揚羽は苦笑いした。
空に昇る美しき十六夜の月が夜を照らしている。
「ああ、月よ。どうか姫さまの将来のためよきように導いてください」
声を出し、お願い事をすると部屋の中から呼ぶ声がした。
「揚羽! いるのでしょう。こっちへいらっしゃい!!」
凛とした口調の小百合の声であった。
一体何事であろうか……
揚羽は中に入るのを躊躇した。しかし、小百合の声がどんどん鋭い怒気を含んだものになっていく。揚羽は仕方なく部屋に入った。
部屋の中の惨状を見て揚羽は唖然とした。
烏帽子がとれ髪がくしゃくしゃになり左頬は真っ赤に腫れあがった尚夜の痛々しい姿。そして、鋭い剣幕で怒りを抑えきれないといった小百合の姿。
揚羽が部屋に入ると小百合は責めるように言った。
「揚羽、どうしてこんな男を招き入れたのよ」
「と言われましても」
揚羽は首を傾げた。これはごく普通のことであった。
貴公子が懸想した姫と添い遂げる為、姫の女房がその夜這いの手引きをする。
どこの家でも行われる己の役割をなぜ責められるというのだろう。
「全く、これは立派な裏切り行為よ。早くこの男をつまみ出してちょうだい」
「待ってください。小百合姫!」
尚夜は両手を前につき猶予を申し出た。
「私はこんなに姫を好いているのになぜつれなくするのです」
「あのねぇ、私はあなたのことを知らないのよ。どうして優しくする必要があるの。第一あなたも私のことなんか噂でしか知らないじゃない」
冷たい言葉に尚夜はぐっとうなだれた。だが、すぐに向き直り改めたように語りだした。
「確かに突然の出来事にご立腹でしょう。ですが、聞いてください」
尚夜は真っすぐに小百合を見据えた。
「私は、姫を以前垣間見した頃より姫に想いを寄せるようになりました。………苦しくて苦しくて毎夜眠れない日々を送っていました」
それを聞き揚羽は感激した。
なんて情熱的な想いであろうか。このように麗しい貴公子が小百合にこんな恋情を抱くとは。
揚羽はまるで物語のようではないかとうっとりとした。
対して小百合はけっと鼻先で笑った。
「それは私のせいじゃないわ」
小百合はつんと言い放った。尚夜はそれに負けじとさらに語った。
「いかにもそうです。私は想いを抑えることができず日中に文を出しました」
「あなた私の返事読んだの?」
「読みましたとも。流麗な字で紡がれる姫の麗しい文章を何度も」
「じゃぁ、なんでここへ来たの? 私は確かに文に書いたわよ私には他に思い人がいるから諦めてくれと」
それを聞きうっとりと夢心地であった尚夜は揚羽ははっとした。なんてことを書いているのだ、この方は。
思わず揚羽はふるふると震えてしまった。殿方の前でなければ叫んでいたかもしれない。
「はい、何度も確認する為に読み返しました。正直ショックでしたよ」
尚夜の表情に陰りが生じる。それすらもどこか艶めいてて、貴公子というものはすごいものだ。思わず揚羽は感心してしまった。
「ですが、それでも諦めきれず………今宵私は姫のもとに馳せ参じました」
そしてがばりと小百合の手を両手で握りしめた。
「姫! どうか私の想いをわかってください!」
「わかるのは良いけど、あなたに恋情を抱く気などないわ。何度も言うけど私には好きな人がいるの」
「それは一体誰でしょうか! 教えてください」
揚羽はそれを聞き慌てた。
この場を立ち去ってしまおう。
そう思ったが、それは無理であった。いつの間にか揚羽の裾を小百合が握りしめていた。これでは立ちあがることができない。
「どうして教えなければいけないの?」
「私より姫に相応しい方ならば………姫を幸せにできる方ならば私は潔く諦めます」
左大臣の三男坊、正五位、近衛少将。揚羽にとっては雲の上の存在であった。
彼以上に婿として申し分のない貴公子はそうそういないだろう。いるとすれば帝、東宮といった揚羽にとっては天上にも近い存在の人たちである。
なのに、小百合はにやりと笑った。
「その言葉嘘偽りはないのかしら」
ああ、まずい。
揚羽は心から自分の主人の非常識さを呪った。ますますもって揚羽は慌てた。しかし逃げられなかった。
「よっく見て頂戴。これが私の想い人よ!!」
揚羽から扇を奪いその肩を抱き寄せた。それはさも尚夜に見せびらかすように。
尚夜はぽかんと口を開けた。
無理もない。
揚羽も動揺を隠せずにいた。
揚羽の実家は尚夜と比べるのもおこがましい中流貴族であった。大納言家の姫を幸せにするほどの力などない。いや、その前に揚羽は女性である。
どう考えても揚羽は尚夜よりも姫に相応しい相手ではなかった。
揚羽は小百合の発言に対する尚夜の反応を恐れた。小百合が女色だということに、尚夜は引いてしまうのではなかろうか。
先ほどの熱い想いも一気に冷めつき、この場を立ち去る尚夜の姿を瞬時に想像してしまう。
いや、それだけならまだしも都中に小百合姫の不名誉極まりない噂が流れるのではないか。
そうなってしまってはおしまいである。
何よりも小百合の将来、行く末を揚羽は心配した。
その心配を知ってか知らぬか小百合は畳みかけるように語りだした。
「白い肌、私を吸いこまん限りの大きな瞳、思わず口付けをしたくなるほどの愛らしい唇、何よりも年上と思えない目立たくなる程の可愛らしさ。この全てが私の虜なんだ!」
ちょっと黙ってください。
というか日頃私を見てそんなことを考えていたのか。
揚羽は青ざめながらも冷静につっこみを入れた。ぽかんと口を開けていた尚夜ははっと我に返った。そしてぶるぶると震えた。これを見て揚羽は終わりを実感した。
きっとここまで小百合にこけにされ、しかも想い人は女だったということに怒っているのだろう。
しかし、揚羽の予想は大きく外れた。
「それでも好きですっ!」
な、なんですと!!
その叫びに揚羽はぎょっとした。
まさか引かずになお恋情を抱き続けるとは、これはなんと奇特なことであろうか。
とはいえ喜んでいいか悪いかわからない。
小百合は不満そうに詰る。
「ちょっとあなた、潔く諦めるんじゃなかったの!」
一体この人は何をどうやれば私が尚夜さまよりも相応しい相手だと思えるのだろうか。
揚羽はそれを問い詰めたかったが、こわいからやめた。
「そう思っていました。姫が幸せならばと………しかし、やはり諦めることができない。どうかこの私を許して下さい!」
揚羽にとっては許すどころかありがたいことこの上ないことであった。
尚夜はびしっと揚羽を指差した。
突然こちらに視線が向けられ揚羽は慌てた。
「揚羽どの、まさかあなたが恋敵だとは。夜這いの手引きをしてくださったのもあなたの計算のうちだったのですね」
確かに計算はしていた。
しかし、計算は計算でも尚夜が言っているようなものではない。
小百合と尚夜がくっつく為の計算である。
決して小百合の愛を再確認するための計算ではない。
揚羽はそう弁解しようにも尚夜は全く聞く耳持たずといった具合だった。
尚夜は烏帽子を拾い身なりを整える。
そして改めて揚羽に宣言した。
「私は決して諦めない。いつか必ずあなたから姫を奪ってみせる!」
「いつかと言わず今奪ってください」
つい本音がぽろっと出てしまった。
そんな揚羽を見て尚夜は不敵に笑む。
挑戦と受け取った、そういう笑みであった。
「姫、今日は退きます。ですが、私はあなたを諦めなません。覚悟してくださいね」
そしてその場を立ち去ってしまった。
嵐は去った。
揚羽ははぁっと溜息をついた。憂うつである。
その揚羽に甘えるように小百合はすりよってきた。
「揚羽、ひどい。私の愛を信じず、あんな男を招き入れるなんて。すっごく恐かったのよ」
恐いとどの口が言うというのだろうかと揚羽はつっこみを入れたくなった。
そんな可愛らしさがあれば、揚羽は全く心配などしない。
「だから、今日は私と眠ってちょうだい」
「嫌です」
冗談ではない。先ほどあのように熱烈な想いを聞いて、一緒に寝るなどできない。何をされるか想像しただけでぞっとする。
「それでは、姫さま。おやすみなさいませ」
揚羽は身の危険を感じるようになり、ささっと部屋を出てしまった。
廊を歩きながら先ほどまでの事柄を思い返した。
憂うつである。
揚羽は大きく溜息をついた。溜息などだめだと思っても、これがせずにはいられなかった。
◇ ◇ ◇
按察使の大納言家に小百合姫という蝶を愛でる姫がいた。
蝶は蝶でも、虫の蝶ではなくい。
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