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本編② 協力者の登場
23 かつての侍女と今の侍女
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もっとアリアについての話を聞きたかった。アリアが呪いをばらまいた経緯に関することを。
だが、あの王太后にアリアが王宮内に呪いをばらまいた事実を話すのは躊躇してしまう。
きっと心を痛めてしまうだろう。
心が優しく、そして繊細な方だから。
アリーシャは彼女に傷ついて欲しくないと思ってしまった。
アリアの情報はまた別の場所で調べることにしよう。
ある程度のことはわかったので、王宮内の資料でどう調べられるか計画が練りやすくなった。
花姫の資料も探してみよう。
「アリーシャ様」
馬車へ乗る前に呼び止められる。
自分の見送りをしていたエリーであった。
本当は王太后も見送りをしたかったようであるが、めまいの症状が出たようで先に休んでしまわれた。
馬車に乗ろうとした足を戻し、エリーの前に向いた。
「何かしら」
アリーシャの声を聴き、エリーは突然その場に崩れ落ちた。そのまま彼女は土下座の姿勢をとっていた。
「申し訳ありませんでした。今までのご無礼をお許しください」
「ちょっと突然、こんなところでやめてくれない」
困ったようにアリーシャはドロシーの方をみるが、彼女は困ったようにエリーをみて首を横に振った。
「私、アリーシャ様にずっと謝りたくて……今日訪れると急に知らされてどうすればいいかわからなくて」
「エリー、別にいいわよ。他の華やかな姫たちの中で泥まみれの私に仕えることとなって嫌だったんでしょう」
「ちが、……いいえ、そうです。心のどこかであなたに仕えることで落ち込んでしまいました。でも、私が行ったことはそれでも許されません」
仮にもアリーシャは侯爵家令嬢という立場から花姫に選ばれたのだ。敬遠したくなっても彼女の身の回りのお世話は最低でも行うべきであった。
例えば彼女の寝台のメイキングなどは酷いものであった。アリーシャが王宮にあがってから一度も敷き替えはしていない。
部屋の掃除だって適当にはいただけですみをみれば埃や髪の毛などゴミが貯まっていった。こぼした食べ物や汚物などは道具をアリーシャに投げつけて終わりであった。ひどい匂いになるのはわかっていたのでアリーシャは自分で掃除することも珍しくない。
食べ物も人に異物を混入していた。泥や、虫の死骸など。それを出されればアリーシャが怒って食べ物をひっくり返しても仕方ない。それをエリーはアリーシャにいじめられたと周囲に吹聴しまわったのだ。
その時に他の花姫に呼ばれて、可哀そうにとお小遣いをもらった。その時に、「もっと彼女のことを知りたがっている人がいるの」と言われエリーはアリーシャの悪評を広め続けた。時には誇大した内容にして。
お召し物も勝手に下品なものを選んで購入した。侯爵家からの資金もあったが、それも黙ってアリーシャには予算がないからと説明して終わり。
他の侍女たちがアリーシャの周りの高価な品を盗んでいるのも見て見ぬふりをしていた。
教員たちの教育費用の横領も知っていたが、上には報告していない。
エリーも少しくらい盗もうかなと思ったが、他の花姫からもらった小遣いで十分贅沢ができたのでそこまでは望まなかった。
さすがに花姫の持ち物を勝手に持ち出す行為はよくないという道徳心はあった。
もともとエリーにもそれだけの心はあったのだ。
例え、泥姫と馬鹿にされる花姫の侍女になって、それにより周りから自分も馬鹿にされようがそれは自分の仕事をないがしろにしていい理由にはならない。
本来ならそれもわかっていたはずなのに、アリーシャの姿をみる度に嫌悪感がまし、アリーシャに仕えることを放棄した。
「自分がどうかしていました。いくらなんでも自分のしたことは許されません」
貴族侮辱罪に訴えられればエリーは間違いなく断罪されていた。絞首刑にされていたかもしれない。
だが、ジベールの取り計らいでベルタ宮へと送られた。はじめは反発していたが、1週間したところで自分は何故王宮であのようなことをしていたのだろうと後悔の中過ごすようになった。
「王太后様に自分の罪を明かしました。王太后様はいずれ謝る機会を与えるかたその時どうするか決めなさいと言っていただきました」
エリーは一枚の封筒を取り出しアリーシャに差し出す。
何なのだとアリーシャはそれを受け取り中を覗いた。
その内容はアリーシャの名でエリーを貴族侮辱罪で訴える為の裁判の申請書であった。
アリーシャがサインを書いて裁判所に届ければエリーは断罪されるだろう。
「すでに故郷にいる父母、兄弟たちへの遺書も書いています。私と縁を切るようにとも書いています」
これで貴族侮辱罪の影響は家族に及ばないだろう。エリーはそう考えたようだ。
「どうか私を罰してください」
アリーシャは困惑した。このようなものを与えられても困るだけである。
もうエリーに対してどうにも思っていない。確かに食事の中に酷いものを入れた時は許せなかった。回帰前のアリーシャの大事なブローチが盗まれた時も、何もしてくれなかったことを歯がゆく感じていた。
だが、今のエリーの姿をみると彼女を罰せようという気分にはなれない。
アリーシャは2回封筒を破り、ドロシーに適当に燃やしておいてと手渡した。
「それよりエリー、教えて頂戴。あなたは私に仕え始める時はあそこまでのことをするつもりはなかったのよね?」
「今では言い訳にしかなりません。何故あそこまでのことをしてしまったか……」
わからない。でも、自分の意志で動いたことだとエリーは認めており、アリーシャに許しを請うた。
「もういいわ。でも、簡単に許せない。私のことなど忘れてここで頑張ってちょうだい」
彼女を許し王宮に戻す気にはなれない。王太后が許可するのであればエリーをこのままベルタ宮に留まらせておこう。
「ここで王太后様に一生懸命仕えなさい。ここの環境は今のあなたには一番いいみたいだから」
さようならと言い残しアリーシャは護衛の手をとり馬車の中に消えた。馬車が走り出し、姿がみえなくなるまでエリーはずっと頭を下げ続けていた。少しした頃に同僚と思われる侍女が彼女を支えるように寄り添っていたから、あとはベルタ宮の侍女たちに任せてしまおう。
それより彼女があそこまでの行為を行ったのはアリーシャの部屋の呪いが関与していたようだ。
アリーシャの部屋にあった呪いを解析したところ、所有者への嫌悪感を増長させるものだという。
エリーは呪いに耐性なく、そのままアリーシャへの嫌悪感を募らせてしまったのだろう。
そういえば、どうしてドロシーは呪いの影響を受けなかったのだろう。冷静に考えれば、フローエ夫人も、ジベールも、ローズマリーもだがよく考えてみたらドロシーが来てから明らかにカメリア宮の使用人たちの印象が変わったように思える。
ドロシーが王太后のお金で購入したアンジェリカは破魔の力を持っているというし。
「ドロシー」
「はい、何でしょうか?」
「あなた、呪いについてどう思う?」
突然の質問にドロシーは首を傾げた。
「あ、もしかしてアリーシャ様、呪いが怖いのですか? 大丈夫ですよ。私の実家は神官の家系で破魔の魔法が得意なんです。いざとなればうちの実家を頼りにしてください」
それはとてつもなく初耳である。
「つまりあなたも魔法が使えるの?」
「いいえ、私自身魔力はからっきしでして才能もなかったので、母が出稼ぎで出仕している王太后様の元へ就職したんですよ。あ、でも私が選んだ品は縁起ものとしてとてもいいからお財布が許す限りのものであれば購入してもいいと父に言われたことがあります。あまりに高額なものは周りに相談しろともいわれましたが」
なるほど彼女がやってきてからカメリア宮の内装が彼女のセンスのもと一新され、アリーシャの部屋の呪いがわずかに弱まったのか。
後でアルバートにこのことを報告しておこう。呪いが見つからなくても彼女の特技は今後役に立つかもしれない。
だが、あの王太后にアリアが王宮内に呪いをばらまいた事実を話すのは躊躇してしまう。
きっと心を痛めてしまうだろう。
心が優しく、そして繊細な方だから。
アリーシャは彼女に傷ついて欲しくないと思ってしまった。
アリアの情報はまた別の場所で調べることにしよう。
ある程度のことはわかったので、王宮内の資料でどう調べられるか計画が練りやすくなった。
花姫の資料も探してみよう。
「アリーシャ様」
馬車へ乗る前に呼び止められる。
自分の見送りをしていたエリーであった。
本当は王太后も見送りをしたかったようであるが、めまいの症状が出たようで先に休んでしまわれた。
馬車に乗ろうとした足を戻し、エリーの前に向いた。
「何かしら」
アリーシャの声を聴き、エリーは突然その場に崩れ落ちた。そのまま彼女は土下座の姿勢をとっていた。
「申し訳ありませんでした。今までのご無礼をお許しください」
「ちょっと突然、こんなところでやめてくれない」
困ったようにアリーシャはドロシーの方をみるが、彼女は困ったようにエリーをみて首を横に振った。
「私、アリーシャ様にずっと謝りたくて……今日訪れると急に知らされてどうすればいいかわからなくて」
「エリー、別にいいわよ。他の華やかな姫たちの中で泥まみれの私に仕えることとなって嫌だったんでしょう」
「ちが、……いいえ、そうです。心のどこかであなたに仕えることで落ち込んでしまいました。でも、私が行ったことはそれでも許されません」
仮にもアリーシャは侯爵家令嬢という立場から花姫に選ばれたのだ。敬遠したくなっても彼女の身の回りのお世話は最低でも行うべきであった。
例えば彼女の寝台のメイキングなどは酷いものであった。アリーシャが王宮にあがってから一度も敷き替えはしていない。
部屋の掃除だって適当にはいただけですみをみれば埃や髪の毛などゴミが貯まっていった。こぼした食べ物や汚物などは道具をアリーシャに投げつけて終わりであった。ひどい匂いになるのはわかっていたのでアリーシャは自分で掃除することも珍しくない。
食べ物も人に異物を混入していた。泥や、虫の死骸など。それを出されればアリーシャが怒って食べ物をひっくり返しても仕方ない。それをエリーはアリーシャにいじめられたと周囲に吹聴しまわったのだ。
その時に他の花姫に呼ばれて、可哀そうにとお小遣いをもらった。その時に、「もっと彼女のことを知りたがっている人がいるの」と言われエリーはアリーシャの悪評を広め続けた。時には誇大した内容にして。
お召し物も勝手に下品なものを選んで購入した。侯爵家からの資金もあったが、それも黙ってアリーシャには予算がないからと説明して終わり。
他の侍女たちがアリーシャの周りの高価な品を盗んでいるのも見て見ぬふりをしていた。
教員たちの教育費用の横領も知っていたが、上には報告していない。
エリーも少しくらい盗もうかなと思ったが、他の花姫からもらった小遣いで十分贅沢ができたのでそこまでは望まなかった。
さすがに花姫の持ち物を勝手に持ち出す行為はよくないという道徳心はあった。
もともとエリーにもそれだけの心はあったのだ。
例え、泥姫と馬鹿にされる花姫の侍女になって、それにより周りから自分も馬鹿にされようがそれは自分の仕事をないがしろにしていい理由にはならない。
本来ならそれもわかっていたはずなのに、アリーシャの姿をみる度に嫌悪感がまし、アリーシャに仕えることを放棄した。
「自分がどうかしていました。いくらなんでも自分のしたことは許されません」
貴族侮辱罪に訴えられればエリーは間違いなく断罪されていた。絞首刑にされていたかもしれない。
だが、ジベールの取り計らいでベルタ宮へと送られた。はじめは反発していたが、1週間したところで自分は何故王宮であのようなことをしていたのだろうと後悔の中過ごすようになった。
「王太后様に自分の罪を明かしました。王太后様はいずれ謝る機会を与えるかたその時どうするか決めなさいと言っていただきました」
エリーは一枚の封筒を取り出しアリーシャに差し出す。
何なのだとアリーシャはそれを受け取り中を覗いた。
その内容はアリーシャの名でエリーを貴族侮辱罪で訴える為の裁判の申請書であった。
アリーシャがサインを書いて裁判所に届ければエリーは断罪されるだろう。
「すでに故郷にいる父母、兄弟たちへの遺書も書いています。私と縁を切るようにとも書いています」
これで貴族侮辱罪の影響は家族に及ばないだろう。エリーはそう考えたようだ。
「どうか私を罰してください」
アリーシャは困惑した。このようなものを与えられても困るだけである。
もうエリーに対してどうにも思っていない。確かに食事の中に酷いものを入れた時は許せなかった。回帰前のアリーシャの大事なブローチが盗まれた時も、何もしてくれなかったことを歯がゆく感じていた。
だが、今のエリーの姿をみると彼女を罰せようという気分にはなれない。
アリーシャは2回封筒を破り、ドロシーに適当に燃やしておいてと手渡した。
「それよりエリー、教えて頂戴。あなたは私に仕え始める時はあそこまでのことをするつもりはなかったのよね?」
「今では言い訳にしかなりません。何故あそこまでのことをしてしまったか……」
わからない。でも、自分の意志で動いたことだとエリーは認めており、アリーシャに許しを請うた。
「もういいわ。でも、簡単に許せない。私のことなど忘れてここで頑張ってちょうだい」
彼女を許し王宮に戻す気にはなれない。王太后が許可するのであればエリーをこのままベルタ宮に留まらせておこう。
「ここで王太后様に一生懸命仕えなさい。ここの環境は今のあなたには一番いいみたいだから」
さようならと言い残しアリーシャは護衛の手をとり馬車の中に消えた。馬車が走り出し、姿がみえなくなるまでエリーはずっと頭を下げ続けていた。少しした頃に同僚と思われる侍女が彼女を支えるように寄り添っていたから、あとはベルタ宮の侍女たちに任せてしまおう。
それより彼女があそこまでの行為を行ったのはアリーシャの部屋の呪いが関与していたようだ。
アリーシャの部屋にあった呪いを解析したところ、所有者への嫌悪感を増長させるものだという。
エリーは呪いに耐性なく、そのままアリーシャへの嫌悪感を募らせてしまったのだろう。
そういえば、どうしてドロシーは呪いの影響を受けなかったのだろう。冷静に考えれば、フローエ夫人も、ジベールも、ローズマリーもだがよく考えてみたらドロシーが来てから明らかにカメリア宮の使用人たちの印象が変わったように思える。
ドロシーが王太后のお金で購入したアンジェリカは破魔の力を持っているというし。
「ドロシー」
「はい、何でしょうか?」
「あなた、呪いについてどう思う?」
突然の質問にドロシーは首を傾げた。
「あ、もしかしてアリーシャ様、呪いが怖いのですか? 大丈夫ですよ。私の実家は神官の家系で破魔の魔法が得意なんです。いざとなればうちの実家を頼りにしてください」
それはとてつもなく初耳である。
「つまりあなたも魔法が使えるの?」
「いいえ、私自身魔力はからっきしでして才能もなかったので、母が出稼ぎで出仕している王太后様の元へ就職したんですよ。あ、でも私が選んだ品は縁起ものとしてとてもいいからお財布が許す限りのものであれば購入してもいいと父に言われたことがあります。あまりに高額なものは周りに相談しろともいわれましたが」
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ありがとうございます。
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ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
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