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「バ、バカな……」
ハバスロット帝国の指揮官は目の前の光景に腰を抜かしていた。孝雄実の援護射撃により余裕を得た事でマリアンは持ち前の腕前を如何なく発揮する。激しく動揺する兵士へ飛び込み手当たり次第に斬り殺し、相手は密集隊形から同士討ちを恐れて自由な武器使用が出来なかった。
それが仇と為った結果、それほど時間を要する事なく後方で命令していた指揮官一人と為ったのだ。
「これで終わりだな!」
マリアンはまだ敵は後方に手付かずの敵兵が残り、数も不明という事から彼から話を聞こうとは思わなかった。その雰囲気を察した男は手を彼女に差し出し懇願する。
「ま、待てっ!」
「待つ訳が在るか!!」
一刀両断に斬り伏せると剣にこびり付いた諸々を振るい払い、仕上げと布で綺麗に拭い去る。気を張り詰めていた気持ちを入れ替える為大きく息を吐き出す彼女に孝雄実は言葉を掛ける。
「マリアン、大丈夫か?」
「ああ、この位なら問題ない。ただ、あの人数に攻めあぐねていたからな。お前の援護射撃には本当に助かった」
彼女の評価は薄氷の勝利だった。しかし不安げな表情を浮かべる孝雄実を前にその様な素振りを見せるわけにはいかなかった。何せこの後に控える数不明の相手をもう一度相手にしなければならないのだから。
「チッ、足止めすら出来なかったか…… おい、兵を進めろ」
マリアンが本来進むべき筈だった施設内で男は今し方行われた先頭結果を聞いて床に唾を吐き付ける。この施設は彼女が考えている以上に規模が大きく、僅か二人で抜ける様な場所ではなかった。
「承知しました。して、どう致しますか?」
「生きたまま捕えろ。女は無傷で、男は多少傷付いても気にしない」
「では指揮は私めが執ります」
「ああ、くれぐれも俺の機嫌を損ねるなよ」
「はっ!」
部下の男が敬礼を行い、部屋を後にするとジューブ・ドロームは椅子に凭れ掛る。
「気に食わん……」
ただその一言を呟くと目の前に飾られる帝国の地図をじっと眺めると、酒を飲み始めるのだった。
「それで、戻るのか?」
「戻る?」
「そうだよ。折角敵を倒したんだからこのまま戻るべきじゃないのか?」
封鎖したまま動かない部隊に感謝しつつ小休止となった孝雄実とマリアンの二人はほぼ体を寄せ合い椅子代わりに相応しい石に腰掛けていた。そこでこの後どの様な行動に出るべきかを話し合い、二人の考えは全く異なる事が分った。
孝雄実は前方の敵を倒したのだから早くマルベールに戻るべきだと主張したのに対し、彼女はもう一方の不安要素を取り除くべきだと考えていた。
「駄目だ。もしあの部隊が私達の追撃を行えばそのままマルベールに招き入れてしまう」
マリアンは最悪の事態を考えている。この場所が既にハバスロット帝国の領土である事は判っている。それ自体も問題だが、敵部隊をやむを得ず言え引き入れてしまえば両国間の戦争へと発展し、原因を作った者としてフロランス家の存亡に繋がりかねない。マリアンにとって恩を仇で返す様な事は間違っても出来ない。
「じゃあ……」
「ああ、出来る限りあの部隊を潰さなければならない」
その時、二人の耳に足音が聞こえてくる。
「来たか……」
「ああ、だがこの場所での戦闘ならまだ勝機はある」
マリアンの言葉には孝雄実の援護射撃が多分に含まれていた。地面を見れば武器と為る小石は無限に存在し、この通路の狭さとマリアン自身の実力と孝雄実の戦力を合わせれば何とかなるのではないかと考える。尤も、彼女はかなりの低確率の中で最も成功し易い勝機と見ている。
「進めっ!!」
よく通る声色から発せられた言葉は二人の耳にも届く。それに合わせ、再び金属音が聞こえるが前回とは異質な物だった。孝雄実は「何となく違うな」程度の感想だったが、マリアンは今回戦う相手がどの様な者か直ぐに理解した。
「不味い、重装甲兵だ……」
「じゅ、重装甲、兵……?」
所謂フルプレートで身を固め、さらに背丈を覆うほど大きな盾を所持する者たちだった。
彼等は防具の総重量に負けぬ屈強な男たちから為り、機動力と迫力を持った騎兵と両極端ながら、並みいる攻撃を物ともせず突き進み打撃を与える縁の下の力持ち的な部隊だった。この部隊の欠点は移動速度である為、この時点で逃げようと思えば逃げられる。
しかし、それを行えばマルベールに恐怖の部隊を招くため、やはりその選択は選べなかった。
「孝雄実この距離であいつ等にダメージを与えられるか?」
「……分らないけどやってみるしかないよな」
「ああ、頼む」
早速孝雄実は振り被ると思い切り投げ付ける。
「総防御!!」
しかし、孝雄実が投球モーションに入った瞬間、指揮官の言葉が通路に響き渡る。兵士たちは大きな盾を前面に重なる様に構え孝雄実の攻撃に備える。そして、彼の投げた小石は空しく弾き飛ばされる。
「そ、そんな……」
孝雄実はこの攻撃だけは自信を持っていた。その為相手に対応され、さらに弾き飛ばされる光景を予想出来ず、受け入れる事も出来ていなかった。
「くっ、一度下がるぞ」
茫然とする孝雄実の手を握ると土石で創られた巨大樹へと移動する。そちら側の敵兵はすでに殲滅済みでまだ考える時間が有ると彼女は考えた。ところが孝雄実の狼狽振りは大きな物だった。今迄彼の投球こそが究極の解決方法と為っていた。それが一切通用しないなどこの時の孝雄実に考えられる訳が無い。
「攻撃が通じないなんて……」
「今は過去の事を考えるな!」
「でもどうする?」
その質問に答えられる言葉がマリアンの口から出る事は無かった。何しろ今ある武器で重装甲部隊に対応する事は事実上不可能なのだから。
「せめて銃が在れば……」
石製兵器を倒す為に造られた銃であれば重装甲部隊を相手に不足はないと彼女は考えていた。あくまでもあの戦闘で銃の威力が証明された事で十分通用する武器となる事が判明し、この場所なら銃一丁で相手に出来るとすら感じている。
「諦めろ! そのまま逃げてもマルベールに乗り込むだけだ!!」
その言葉にマリアンは奥歯を噛み締める。やはり退却という二文字はあり得なかった。
「くそっ、これならどうだ!!」
孝雄実は盾を重ねられて対応される前にクイックスローで小石三個を間髪入れずに放った。その狙いは良かったが、相手の防御力に勝る事は出来なかった。一個は盾に直撃し甲高い音と共に弾き飛ばされ、二個は敵兵の纏う鎧に命中するが威力が弱く離脱させるまでには至らなかった。
「もう止せ、それで疲れてはどうにもならないぞ」
「だって、少しでも投げないと相手が近付いてっ!」
距離は未だ保っているものの、敵指揮官の言葉通りマルベールに引き入れる事は出来ない為必ず戦闘に為る。尤も、二人が死ねば自然とマルベールの道が開かれるが、今の彼等にその様な考えは浮かばなかった。
「抵抗は諦めたか?」
孝雄実が最後に投げた小石も虚しく弾かれ重装甲兵からは余裕の笑い声が聞こえてくる。
二人はその言葉には反応せず、じりじりと後退を続ける。
「いいかよく聞け、あいつらは兎に角動きが鈍い。その分防御力が高く生半可な攻撃では返って此方が傷付くのみだ」
「じゃあどうするんだよ」
「……残念だが無い……」
マリアンは考えうるだけ考え、結論は皆無であった。ハバスロット帝国はリーンスロンド王国にとって仮想敵国であり出来得る限り情報収集を行っている。その中で王国として注意するのが石製兵器、孝雄実の言葉で言えばゴーレムとこの重装甲兵だ。
それらの対抗手段として銃の開発が行われ、現在も改良に次ぐ改良がおこなわれ万が一戦争に為った際は如何なく発揮出来ると目されている。その中核部隊がサラ達の銃兵部隊なのだ。
「無いって」
「無い物は無いのだ」
「そろそろ良いかね? 此方も遊びで来ているわけではないのだ」
司令官の声に重装歩兵は盾を構え、槍を突き出す。密集隊形から生み出される圧倒的な重厚感と圧迫感から鍛えられた者でなければ自然と足を下げてしまう。孝雄実は元よりマリアンも初めての経験から激しい汗を流していた。
「もう一度言おう。大人しく投降しなさい。ここで受け入れれば命だけは救うと約束しよう」
「断るっ! これでも私はリーンスロンド王国に冠たるフロランス侯爵家の人間だ。むざむざと投降するのなら死を選ぶ!!」
「ふー、仕方ありませんね。将軍からは捕える様に命令されているのに…… では出来る限り殺さないに命令を変更いたしましょう。前進!!」
一斉に動き始めた重装甲兵はゆっくりと孝雄実とマリアンへ移動する。マリアンは心底悔しそうに睨み、武器を構えるが切っ先に迷いが在った。孝雄実はそんな状況下に在り、生き残らなければと必死に考え、ふと土石で創られた巨大樹に目を向けるのであった。
ハバスロット帝国の指揮官は目の前の光景に腰を抜かしていた。孝雄実の援護射撃により余裕を得た事でマリアンは持ち前の腕前を如何なく発揮する。激しく動揺する兵士へ飛び込み手当たり次第に斬り殺し、相手は密集隊形から同士討ちを恐れて自由な武器使用が出来なかった。
それが仇と為った結果、それほど時間を要する事なく後方で命令していた指揮官一人と為ったのだ。
「これで終わりだな!」
マリアンはまだ敵は後方に手付かずの敵兵が残り、数も不明という事から彼から話を聞こうとは思わなかった。その雰囲気を察した男は手を彼女に差し出し懇願する。
「ま、待てっ!」
「待つ訳が在るか!!」
一刀両断に斬り伏せると剣にこびり付いた諸々を振るい払い、仕上げと布で綺麗に拭い去る。気を張り詰めていた気持ちを入れ替える為大きく息を吐き出す彼女に孝雄実は言葉を掛ける。
「マリアン、大丈夫か?」
「ああ、この位なら問題ない。ただ、あの人数に攻めあぐねていたからな。お前の援護射撃には本当に助かった」
彼女の評価は薄氷の勝利だった。しかし不安げな表情を浮かべる孝雄実を前にその様な素振りを見せるわけにはいかなかった。何せこの後に控える数不明の相手をもう一度相手にしなければならないのだから。
「チッ、足止めすら出来なかったか…… おい、兵を進めろ」
マリアンが本来進むべき筈だった施設内で男は今し方行われた先頭結果を聞いて床に唾を吐き付ける。この施設は彼女が考えている以上に規模が大きく、僅か二人で抜ける様な場所ではなかった。
「承知しました。して、どう致しますか?」
「生きたまま捕えろ。女は無傷で、男は多少傷付いても気にしない」
「では指揮は私めが執ります」
「ああ、くれぐれも俺の機嫌を損ねるなよ」
「はっ!」
部下の男が敬礼を行い、部屋を後にするとジューブ・ドロームは椅子に凭れ掛る。
「気に食わん……」
ただその一言を呟くと目の前に飾られる帝国の地図をじっと眺めると、酒を飲み始めるのだった。
「それで、戻るのか?」
「戻る?」
「そうだよ。折角敵を倒したんだからこのまま戻るべきじゃないのか?」
封鎖したまま動かない部隊に感謝しつつ小休止となった孝雄実とマリアンの二人はほぼ体を寄せ合い椅子代わりに相応しい石に腰掛けていた。そこでこの後どの様な行動に出るべきかを話し合い、二人の考えは全く異なる事が分った。
孝雄実は前方の敵を倒したのだから早くマルベールに戻るべきだと主張したのに対し、彼女はもう一方の不安要素を取り除くべきだと考えていた。
「駄目だ。もしあの部隊が私達の追撃を行えばそのままマルベールに招き入れてしまう」
マリアンは最悪の事態を考えている。この場所が既にハバスロット帝国の領土である事は判っている。それ自体も問題だが、敵部隊をやむを得ず言え引き入れてしまえば両国間の戦争へと発展し、原因を作った者としてフロランス家の存亡に繋がりかねない。マリアンにとって恩を仇で返す様な事は間違っても出来ない。
「じゃあ……」
「ああ、出来る限りあの部隊を潰さなければならない」
その時、二人の耳に足音が聞こえてくる。
「来たか……」
「ああ、だがこの場所での戦闘ならまだ勝機はある」
マリアンの言葉には孝雄実の援護射撃が多分に含まれていた。地面を見れば武器と為る小石は無限に存在し、この通路の狭さとマリアン自身の実力と孝雄実の戦力を合わせれば何とかなるのではないかと考える。尤も、彼女はかなりの低確率の中で最も成功し易い勝機と見ている。
「進めっ!!」
よく通る声色から発せられた言葉は二人の耳にも届く。それに合わせ、再び金属音が聞こえるが前回とは異質な物だった。孝雄実は「何となく違うな」程度の感想だったが、マリアンは今回戦う相手がどの様な者か直ぐに理解した。
「不味い、重装甲兵だ……」
「じゅ、重装甲、兵……?」
所謂フルプレートで身を固め、さらに背丈を覆うほど大きな盾を所持する者たちだった。
彼等は防具の総重量に負けぬ屈強な男たちから為り、機動力と迫力を持った騎兵と両極端ながら、並みいる攻撃を物ともせず突き進み打撃を与える縁の下の力持ち的な部隊だった。この部隊の欠点は移動速度である為、この時点で逃げようと思えば逃げられる。
しかし、それを行えばマルベールに恐怖の部隊を招くため、やはりその選択は選べなかった。
「孝雄実この距離であいつ等にダメージを与えられるか?」
「……分らないけどやってみるしかないよな」
「ああ、頼む」
早速孝雄実は振り被ると思い切り投げ付ける。
「総防御!!」
しかし、孝雄実が投球モーションに入った瞬間、指揮官の言葉が通路に響き渡る。兵士たちは大きな盾を前面に重なる様に構え孝雄実の攻撃に備える。そして、彼の投げた小石は空しく弾き飛ばされる。
「そ、そんな……」
孝雄実はこの攻撃だけは自信を持っていた。その為相手に対応され、さらに弾き飛ばされる光景を予想出来ず、受け入れる事も出来ていなかった。
「くっ、一度下がるぞ」
茫然とする孝雄実の手を握ると土石で創られた巨大樹へと移動する。そちら側の敵兵はすでに殲滅済みでまだ考える時間が有ると彼女は考えた。ところが孝雄実の狼狽振りは大きな物だった。今迄彼の投球こそが究極の解決方法と為っていた。それが一切通用しないなどこの時の孝雄実に考えられる訳が無い。
「攻撃が通じないなんて……」
「今は過去の事を考えるな!」
「でもどうする?」
その質問に答えられる言葉がマリアンの口から出る事は無かった。何しろ今ある武器で重装甲部隊に対応する事は事実上不可能なのだから。
「せめて銃が在れば……」
石製兵器を倒す為に造られた銃であれば重装甲部隊を相手に不足はないと彼女は考えていた。あくまでもあの戦闘で銃の威力が証明された事で十分通用する武器となる事が判明し、この場所なら銃一丁で相手に出来るとすら感じている。
「諦めろ! そのまま逃げてもマルベールに乗り込むだけだ!!」
その言葉にマリアンは奥歯を噛み締める。やはり退却という二文字はあり得なかった。
「くそっ、これならどうだ!!」
孝雄実は盾を重ねられて対応される前にクイックスローで小石三個を間髪入れずに放った。その狙いは良かったが、相手の防御力に勝る事は出来なかった。一個は盾に直撃し甲高い音と共に弾き飛ばされ、二個は敵兵の纏う鎧に命中するが威力が弱く離脱させるまでには至らなかった。
「もう止せ、それで疲れてはどうにもならないぞ」
「だって、少しでも投げないと相手が近付いてっ!」
距離は未だ保っているものの、敵指揮官の言葉通りマルベールに引き入れる事は出来ない為必ず戦闘に為る。尤も、二人が死ねば自然とマルベールの道が開かれるが、今の彼等にその様な考えは浮かばなかった。
「抵抗は諦めたか?」
孝雄実が最後に投げた小石も虚しく弾かれ重装甲兵からは余裕の笑い声が聞こえてくる。
二人はその言葉には反応せず、じりじりと後退を続ける。
「いいかよく聞け、あいつらは兎に角動きが鈍い。その分防御力が高く生半可な攻撃では返って此方が傷付くのみだ」
「じゃあどうするんだよ」
「……残念だが無い……」
マリアンは考えうるだけ考え、結論は皆無であった。ハバスロット帝国はリーンスロンド王国にとって仮想敵国であり出来得る限り情報収集を行っている。その中で王国として注意するのが石製兵器、孝雄実の言葉で言えばゴーレムとこの重装甲兵だ。
それらの対抗手段として銃の開発が行われ、現在も改良に次ぐ改良がおこなわれ万が一戦争に為った際は如何なく発揮出来ると目されている。その中核部隊がサラ達の銃兵部隊なのだ。
「無いって」
「無い物は無いのだ」
「そろそろ良いかね? 此方も遊びで来ているわけではないのだ」
司令官の声に重装歩兵は盾を構え、槍を突き出す。密集隊形から生み出される圧倒的な重厚感と圧迫感から鍛えられた者でなければ自然と足を下げてしまう。孝雄実は元よりマリアンも初めての経験から激しい汗を流していた。
「もう一度言おう。大人しく投降しなさい。ここで受け入れれば命だけは救うと約束しよう」
「断るっ! これでも私はリーンスロンド王国に冠たるフロランス侯爵家の人間だ。むざむざと投降するのなら死を選ぶ!!」
「ふー、仕方ありませんね。将軍からは捕える様に命令されているのに…… では出来る限り殺さないに命令を変更いたしましょう。前進!!」
一斉に動き始めた重装甲兵はゆっくりと孝雄実とマリアンへ移動する。マリアンは心底悔しそうに睨み、武器を構えるが切っ先に迷いが在った。孝雄実はそんな状況下に在り、生き残らなければと必死に考え、ふと土石で創られた巨大樹に目を向けるのであった。
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