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第二章 国家解体
第27話 いきなりエース
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翌日から俺は鉱夫として働いている。
「スゲェ、岩盤にもサクッと入っていくぜ!」
魔導石を搭載したドリルなのだが、思った以上に優れている。初心者の俺でも楽勝なこの道具に驚かされる。
「いやいや、そこまで使えるのはお前さん位だからな。俺たちは本当に無理だから……」
そう、どういう訳か俺が魔導具を使うと、相性の良さからか性能が飛躍的に向上しているらしい。
若手が入ったと喜んだこの区画の鉱夫たちは、さらに魔導具を巧みに使いこなす俺を大層気に入ってくれていた。中でも作業工程を変えようという話も持ち上がっている。
その一つが、俺が只管に掘り進め、残りがベルトコンベアーに鉱石を移す。そして、試したところ効率が良いと判明した。よってこの日の午後から俺が掘り、残りがベルトコンベアーに移すことが決定した。
「おーい、休憩だ!」
凄まじい鐘の音が行動内に鳴り響くと我に返り、汗をぬぐった。時間は15時丁度。約2時間ずっと掘り続けていた事になる。
「ふー、疲れたー」
椅子に腰掛けると俺は思い切り息を吐き出した。
「おう、お疲れさん、ユウスケ」
「あっ、どうもありがとうございます」
班長からお茶を出されると遠慮することなく飲み干す。
「どうだ。慣れたか」
「ええ、あのドリル凄いですね。あれさえあればどこまでも掘れますよ!」
俺は楽しくて仕方なかった。ドリルを差し込めばあっという間に砕け散る。
「だが、一人で掘り進めても坑道内の補強が終わらねーと、先へは進めないからな。その指示だけは絶対に守れ」
「はい!」
魔導石を含む岩盤は非常に硬い事で知られている。その為ある程度補強材がなくとも進めるのだが、俺の動きはそれ以上だったそうだ。
この日は予定していた距離まで早く到達し、鉱石をベルトコンベアーに乗せて地上に送り届けた。これだけでも相当早く終わっているらしい。
「スゲェな、こりゃ他の班から恨みを買うぜ……」
「いいじゃねーか! こうして仕事終わりに呑めるんだ!」
この日は新歓と言う名目でこの班の飲み会に参加している。
一斑辺りの人数は十二名。ドリルを使って掘り進める人間が五名で順次交代しながら進む。採掘した鉱石をベルトコンベアーに移す人間が四名。補強に当たる人間が二名、そして彼らを指揮する者が一名という編成だ。
だけど俺が来た日を境に俺たちの班は俺一人が掘り、八名がベルトコンベアーに移し、補強は二名のままで、指揮する者は一名と言う編成に変わった。
「ドーランの奴が驚いていたぜ。まさかここまですごい奴だとは思わなかったってな!」
「ああ、あいつの顔をユウスケに見せてやりたかったぜ」
男の多い現場である為か、皆開放的な雰囲気になっている。言葉使いも汚く、それでいて嫌味には感じない親近感がある。それはどこでも死が纏わり付いているからかも知れない。
「しかし、ユウスケは何でそんなにドリルの扱いがうまいんだ?」
「さあ? 初日の俺に聞かないで下さいよ」
「だよな~ まったく羨ましいぜ」
それこそが皆が抱く本音だろう。誰もが羨む才能がユウスケには有った。
「あい、それくらいにしろよ。明日も朝から仕事なんだ」
「分かってるって! この酒もユウスケのおかげで呑めてることだしな!」
周囲のお店もだいぶ埋まり始めてきた。ほかの鉱夫たちが仕事を終えて街へと繰り出してきたのだ。
「おお、六十一斑の面々じゃねーか! 今日は早かったな」
「まあな! そのおかげでこうやって酒が飲めてるぜ!」
どうやら俺の噂はほかの班にも伝わっているみたいだ。すれ違う人が俺のことをチラ見してくる。
「ユウスケ、気にすることはない。お前は与えられた仕事をきっちりこなしたんだ。それも誰もがなしえない速さでな。だから胸を張れ。だけど天狗にはなるなよ」
天狗っているのかなーと思いながら班長に返事を返した。
「それじゃあ早く帰ってかみさんに癒してもらえー」
「はい。お疲れさまでした!」
年上連中は二件目のお店に向かった。俺は一件目で解放され、家に帰宅する。
この都市は素晴らしいほどに好奇心が刺激される。巨大な穴が地下深くまで広がり、その側面をベルトコンベアーと人を運搬する列車が並行して螺旋状に伝う。
俺は比較的地上に近い場所に配属されている。リッカは安全対策だろうとの見解を示していた。地上に近ければ落盤事故の可能性が低くなるそうだ。
「ただいまー」
「あらお帰りなさい。飲んでるわね」
「うん、仕事が早く終わって、俺の歓迎会をしてくれたんだ」
「そう。食事はどうする?」
「食べるよ」
「そう。じゃあ一緒に食べましょう」
リッカは嬉しそうに台所へと向かい料理を再開した。
向かい合い食事をする中、俺は今日あったことを細々と話す。
「この仕事が合っていてよかったわね」
「ああ、本当によかったよ。それに良い人たちばかりだ」
「そう。でも油断しちゃだめよ。私たちは追われている身。ホーブル閣下が居るとは言え、ね」
「そうだね。気を付ける」
楽しい食事も終わり、風呂に入って後は寝るだけだった。ところがここで問題が起こる。
ベッドが一組しかなかった。
「まあ夫婦なんだから当然よね」
「良いの?」
「嫌なの?」
「嫌じゃない」
そんな訳がない。と俺は首を横に強く振った。すると彼女は「じゃあいいじゃない。早く寝ましょう」と言い放ち、我先にベッドへ潜り込んでしまう。呆然とした俺だが、すぐに気を取り戻し彼女の後に続く。
「あー労働の後の睡眠はなんて気持ちの良いものなんだろう……」
何もしないでも睡魔はやってくるが、労働後のそれと比べると雲泥の差だった。前世の俺に言ってやりたい。真面目に働けと。対価を得て、睡眠と言う至福の時がやってくるのだ。
俺は不謹慎とは思いつつも、この生活がいつまでも続けば良いと思ってしまった。
「スゲェ、岩盤にもサクッと入っていくぜ!」
魔導石を搭載したドリルなのだが、思った以上に優れている。初心者の俺でも楽勝なこの道具に驚かされる。
「いやいや、そこまで使えるのはお前さん位だからな。俺たちは本当に無理だから……」
そう、どういう訳か俺が魔導具を使うと、相性の良さからか性能が飛躍的に向上しているらしい。
若手が入ったと喜んだこの区画の鉱夫たちは、さらに魔導具を巧みに使いこなす俺を大層気に入ってくれていた。中でも作業工程を変えようという話も持ち上がっている。
その一つが、俺が只管に掘り進め、残りがベルトコンベアーに鉱石を移す。そして、試したところ効率が良いと判明した。よってこの日の午後から俺が掘り、残りがベルトコンベアーに移すことが決定した。
「おーい、休憩だ!」
凄まじい鐘の音が行動内に鳴り響くと我に返り、汗をぬぐった。時間は15時丁度。約2時間ずっと掘り続けていた事になる。
「ふー、疲れたー」
椅子に腰掛けると俺は思い切り息を吐き出した。
「おう、お疲れさん、ユウスケ」
「あっ、どうもありがとうございます」
班長からお茶を出されると遠慮することなく飲み干す。
「どうだ。慣れたか」
「ええ、あのドリル凄いですね。あれさえあればどこまでも掘れますよ!」
俺は楽しくて仕方なかった。ドリルを差し込めばあっという間に砕け散る。
「だが、一人で掘り進めても坑道内の補強が終わらねーと、先へは進めないからな。その指示だけは絶対に守れ」
「はい!」
魔導石を含む岩盤は非常に硬い事で知られている。その為ある程度補強材がなくとも進めるのだが、俺の動きはそれ以上だったそうだ。
この日は予定していた距離まで早く到達し、鉱石をベルトコンベアーに乗せて地上に送り届けた。これだけでも相当早く終わっているらしい。
「スゲェな、こりゃ他の班から恨みを買うぜ……」
「いいじゃねーか! こうして仕事終わりに呑めるんだ!」
この日は新歓と言う名目でこの班の飲み会に参加している。
一斑辺りの人数は十二名。ドリルを使って掘り進める人間が五名で順次交代しながら進む。採掘した鉱石をベルトコンベアーに移す人間が四名。補強に当たる人間が二名、そして彼らを指揮する者が一名という編成だ。
だけど俺が来た日を境に俺たちの班は俺一人が掘り、八名がベルトコンベアーに移し、補強は二名のままで、指揮する者は一名と言う編成に変わった。
「ドーランの奴が驚いていたぜ。まさかここまですごい奴だとは思わなかったってな!」
「ああ、あいつの顔をユウスケに見せてやりたかったぜ」
男の多い現場である為か、皆開放的な雰囲気になっている。言葉使いも汚く、それでいて嫌味には感じない親近感がある。それはどこでも死が纏わり付いているからかも知れない。
「しかし、ユウスケは何でそんなにドリルの扱いがうまいんだ?」
「さあ? 初日の俺に聞かないで下さいよ」
「だよな~ まったく羨ましいぜ」
それこそが皆が抱く本音だろう。誰もが羨む才能がユウスケには有った。
「あい、それくらいにしろよ。明日も朝から仕事なんだ」
「分かってるって! この酒もユウスケのおかげで呑めてることだしな!」
周囲のお店もだいぶ埋まり始めてきた。ほかの鉱夫たちが仕事を終えて街へと繰り出してきたのだ。
「おお、六十一斑の面々じゃねーか! 今日は早かったな」
「まあな! そのおかげでこうやって酒が飲めてるぜ!」
どうやら俺の噂はほかの班にも伝わっているみたいだ。すれ違う人が俺のことをチラ見してくる。
「ユウスケ、気にすることはない。お前は与えられた仕事をきっちりこなしたんだ。それも誰もがなしえない速さでな。だから胸を張れ。だけど天狗にはなるなよ」
天狗っているのかなーと思いながら班長に返事を返した。
「それじゃあ早く帰ってかみさんに癒してもらえー」
「はい。お疲れさまでした!」
年上連中は二件目のお店に向かった。俺は一件目で解放され、家に帰宅する。
この都市は素晴らしいほどに好奇心が刺激される。巨大な穴が地下深くまで広がり、その側面をベルトコンベアーと人を運搬する列車が並行して螺旋状に伝う。
俺は比較的地上に近い場所に配属されている。リッカは安全対策だろうとの見解を示していた。地上に近ければ落盤事故の可能性が低くなるそうだ。
「ただいまー」
「あらお帰りなさい。飲んでるわね」
「うん、仕事が早く終わって、俺の歓迎会をしてくれたんだ」
「そう。食事はどうする?」
「食べるよ」
「そう。じゃあ一緒に食べましょう」
リッカは嬉しそうに台所へと向かい料理を再開した。
向かい合い食事をする中、俺は今日あったことを細々と話す。
「この仕事が合っていてよかったわね」
「ああ、本当によかったよ。それに良い人たちばかりだ」
「そう。でも油断しちゃだめよ。私たちは追われている身。ホーブル閣下が居るとは言え、ね」
「そうだね。気を付ける」
楽しい食事も終わり、風呂に入って後は寝るだけだった。ところがここで問題が起こる。
ベッドが一組しかなかった。
「まあ夫婦なんだから当然よね」
「良いの?」
「嫌なの?」
「嫌じゃない」
そんな訳がない。と俺は首を横に強く振った。すると彼女は「じゃあいいじゃない。早く寝ましょう」と言い放ち、我先にベッドへ潜り込んでしまう。呆然とした俺だが、すぐに気を取り戻し彼女の後に続く。
「あー労働の後の睡眠はなんて気持ちの良いものなんだろう……」
何もしないでも睡魔はやってくるが、労働後のそれと比べると雲泥の差だった。前世の俺に言ってやりたい。真面目に働けと。対価を得て、睡眠と言う至福の時がやってくるのだ。
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