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五章 皓華宮からの誘い
3.行き交う書簡
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炎俊は、書簡のやり取りによって皓華宮の翰鷹皇子と日時の調整をしている。皓華宮の唯一の妃である佳燕に変事があったという推測が、当たっているのかはまだ分からない。けれど、書簡を携えた遣いが戻るのは、やけに早いようにも思われた。返信を一瞥した炎俊が眉を顰めて、嫌そうな顔でまた筆を執る姿からも、何か悪いことか面倒なことが起きていそうで――だから、事態を楽観視することはできそうになかった。
背筋を正して机に向かう炎俊と違って、長椅子に掛けて菓子を摘まんでいる朱華は一見気楽な姿だろう。でも、実際は、どのようなやり取りが交わされているか気が気でない。
磨ったばかりの墨の香りを嗅ぎながら、朱華は紙に向かう炎俊に尋ねてみた。
「ね、私も読んじゃ駄目?」
「構わない。大したことは書いていないが」
断られるかと思っていたけれど、あっさりと紙を渡されて拍子抜けしてしまう。喉が少し痛むほどに、短い間に大声を出し続けた甲斐があったのだろうか。怒鳴られるくらいならさっさと教えた方が良いと思ってくれたなら、良い。でも――
(あ、ほんとに大したことない)
数枚の手紙は、ほんの数秒でほとんど読み終わってしまった。ごてごてした挨拶の定型文――皇子同士ともなると笑いそうになるほど仰々しくて美々しくて、でも大した意味はないから読み飛ばす――の他は、ほぼ聞かされていた通りのことだった。
炎俊は、皓華宮ではなく星黎宮で会うことを提案し、翰鷹皇子はそれを承諾する。続いて、日時の取り決めでまた一往復。炎俊が、梔子がそろそろ咲きそうだから、満開の頃にお招きしたい、花の香りを妨げない茶も探さなくては、と述べたのに対して、翰鷹皇子は弟の妃――つまり、朱華だ――に挨拶をせずにいるのはあまりに非礼、兄の面目のためと思って一日も早く訪問を、と答えている。更に、炎俊は妃が義兄に挨拶するのに相応しい衣装を実家から取り寄せるので待って欲しい、と述べたところ、皓華宮からは大げさな席ではないので気遣い不要、と返ってきたところだった。つまり、星黎宮に翰鷹皇子が赴く形に双方同意したところで止まっていて、日時は一向に決まっていない。
他に分かったことと言えば、炎俊は手跡も女らしくはないということだ。墨痕も濃く、止めも跳ねもはっきりとして。それでいて曲線には優雅さも見える――気に喰わないけれど、こいつの外見の印象には似つかわしいのかもしれない。一方の翰鷹皇子の手跡は、生真面目さを窺わせるやや角ばったものだ。――多分、本来は。皓華宮から届いた書簡は、やや文字の並びが乱れ歪み、筆の運びにも乱雑さが見て取れた。まるで、ひどく急いで筆を走らせたかのように。
読み終えた朱華は、挨拶の部分を取りあえず書き上げたらしい炎俊に問いかけた。
「これって、時間稼ぎよね? 花も衣装も……。それでも急いで会いたいなんて、焦っていらっしゃるのかしら」
真冬ならともかく、初夏に咲き頃の花に困るはずがない。梔子でなくても、睡蓮なり木槿なり百日紅なり、客の目を楽しませる彩には困らないはず。妃の衣装が云々についても、衣も宝石も、朱華は既に陶家から十分持たされている。
考える時間を確保しようとしている炎俊の言い訳を、翰鷹皇子はひとつひとつ潰しているようだ。ただ、その潰し方がずいぶんと拙速というか、書面ではあるけれど、語気荒く詰め寄られるような、そんな余裕のなさを感じてしまう。
炎俊は一旦筆を置くと、朱華の方を見て首を傾げた。隠し事が多い上に思い遣りというものを知らないという欠点を知っていても、それでも憂い顔に一瞬見蕩れてしまう。そのように整った顔をしているのは、狡いと思う。
「そうかもしれない。軽々しくことを運ぼうとしては、侮りを招きかねないだろうに」
「それだけ、佳燕様がお好きなのかしら」
「どうだろう。白家の後ろ盾を失うことを恐れているのかもしれないが」
炎俊の答えの素っ気なさに、朱華は意味のないことを言った、と気付かされる。佳燕が見た目通りの弱々しい方かどうかは分からないし、翰鷹皇子にいたっては、名前しか知らない赤の他人だというのに。
「……こんなに慌てて、私たちに何を仰りたいのかしらね……」
しかも、たとえ理由が一途な愛だとしても、佳燕に起きたかもしれない変事について、その罪を被せられるのだとしたら理不尽としか言いようがない。
多分、炎俊も朱華のうんざりとした気分を共有しているのだろう。深々と溜息を吐いた後、思い切ったように再び筆を持ち上げた時の炎俊の表情は、何でこんなことをしているのか、と物語っているようだった。きっと、皇子というものは多忙なのだ。なのに、日程を決めるだけのやり取りがこうも長引くのは無駄というものではないのだろうか。
「あの方の考えることは分からない。……引き伸ばすのも限界のようだから、お互いの都合がつき次第、と答えてしまうが、良いな? この調子だとできるだけ早く、と言われるだろう。それだと明後日になるが」
「仕方ないんでしょうね。準備をしておくわ……」
衣装選びはもちろんのこと、部屋を整えたり茶菓を見繕ったり、供するための器を吟味するのも妃の役目らしい。良い勉強と、思うしかないのだろう。
書くと決めると、炎俊の筆は早かった。流れるような筆の運びで、字が紙の上に綴られていく。あまりに見事で、筆が紙を撫でる音が音楽のように感じられるほど。夫の集中を乱さないためにも、朱華は黙って目と耳を楽しませることにした。
手紙を書き終えた炎俊が筆を置いたのを見計らって、朱華は口を開いた。
「――ねえ。陶家から、呼んで欲しい人がいるんだけど」
黙っていたのは、機を窺うためでもある。無事に筆を紙から離した時は、気が緩むもの。立ち入った話を切り出すにはもってこい、かもしれなかった。
炎俊は、「雪莉姫」と陶家の連絡を遮断したままだ。あちらとしては、折角娘が選ばれたのに星黎宮に取られたきりでは、皇子との繋がりを持ったとは言えない。朱華自身の手紙も信用されないだろうから、実家の意向を伝えるお目付け役を送り込みたいと、切望しているはずだ。そして一方で、炎俊はその願いを叶えるはずがない。皇子が実は女だなんて秘密は、そう簡単に漏らす訳にはいかないのだから。実は結構知る者も多いようなのは朱華も頭が痛いことだけど、だからこそこれ以上増やしたくはないだろう。
この辺りの事情に、朱華の望みを通す余地があると良い。切にそう願いながら、朱華は何気ない風を装って首を傾げた。
「あんたにとっても悪いことじゃないはずよ。家の者をここに送り込ませることができれば、陶家も安心する――安心して、あんたに仕えるはず」
「そなたにそのような相手がいたとは意外だった」
「そうね。ほとんどは嫌な奴ばかりなんだけど」
主に峯のバアアの顔を思い浮かべ、かつ頭の中で踏みつけながら、朱華は顔を顰めた。陶家が送り込みたいのは、まさにあのババアなのだろう。でも、炎俊の秘密のことを抜きにしても、朱華としてはあの糞ババアとまた顔を合わせるなんてご免だった。朱華が心に思い描いたのは、全く別の方のことだ。
朱華は掛けていた長椅子から立ち上がると、炎俊の方へ歩み寄り、顔を近づけて囁いた。
「本物の、雪莉様。あの方を、助けて差し上げたいの。どうにかならないかしら……!?」
背筋を正して机に向かう炎俊と違って、長椅子に掛けて菓子を摘まんでいる朱華は一見気楽な姿だろう。でも、実際は、どのようなやり取りが交わされているか気が気でない。
磨ったばかりの墨の香りを嗅ぎながら、朱華は紙に向かう炎俊に尋ねてみた。
「ね、私も読んじゃ駄目?」
「構わない。大したことは書いていないが」
断られるかと思っていたけれど、あっさりと紙を渡されて拍子抜けしてしまう。喉が少し痛むほどに、短い間に大声を出し続けた甲斐があったのだろうか。怒鳴られるくらいならさっさと教えた方が良いと思ってくれたなら、良い。でも――
(あ、ほんとに大したことない)
数枚の手紙は、ほんの数秒でほとんど読み終わってしまった。ごてごてした挨拶の定型文――皇子同士ともなると笑いそうになるほど仰々しくて美々しくて、でも大した意味はないから読み飛ばす――の他は、ほぼ聞かされていた通りのことだった。
炎俊は、皓華宮ではなく星黎宮で会うことを提案し、翰鷹皇子はそれを承諾する。続いて、日時の取り決めでまた一往復。炎俊が、梔子がそろそろ咲きそうだから、満開の頃にお招きしたい、花の香りを妨げない茶も探さなくては、と述べたのに対して、翰鷹皇子は弟の妃――つまり、朱華だ――に挨拶をせずにいるのはあまりに非礼、兄の面目のためと思って一日も早く訪問を、と答えている。更に、炎俊は妃が義兄に挨拶するのに相応しい衣装を実家から取り寄せるので待って欲しい、と述べたところ、皓華宮からは大げさな席ではないので気遣い不要、と返ってきたところだった。つまり、星黎宮に翰鷹皇子が赴く形に双方同意したところで止まっていて、日時は一向に決まっていない。
他に分かったことと言えば、炎俊は手跡も女らしくはないということだ。墨痕も濃く、止めも跳ねもはっきりとして。それでいて曲線には優雅さも見える――気に喰わないけれど、こいつの外見の印象には似つかわしいのかもしれない。一方の翰鷹皇子の手跡は、生真面目さを窺わせるやや角ばったものだ。――多分、本来は。皓華宮から届いた書簡は、やや文字の並びが乱れ歪み、筆の運びにも乱雑さが見て取れた。まるで、ひどく急いで筆を走らせたかのように。
読み終えた朱華は、挨拶の部分を取りあえず書き上げたらしい炎俊に問いかけた。
「これって、時間稼ぎよね? 花も衣装も……。それでも急いで会いたいなんて、焦っていらっしゃるのかしら」
真冬ならともかく、初夏に咲き頃の花に困るはずがない。梔子でなくても、睡蓮なり木槿なり百日紅なり、客の目を楽しませる彩には困らないはず。妃の衣装が云々についても、衣も宝石も、朱華は既に陶家から十分持たされている。
考える時間を確保しようとしている炎俊の言い訳を、翰鷹皇子はひとつひとつ潰しているようだ。ただ、その潰し方がずいぶんと拙速というか、書面ではあるけれど、語気荒く詰め寄られるような、そんな余裕のなさを感じてしまう。
炎俊は一旦筆を置くと、朱華の方を見て首を傾げた。隠し事が多い上に思い遣りというものを知らないという欠点を知っていても、それでも憂い顔に一瞬見蕩れてしまう。そのように整った顔をしているのは、狡いと思う。
「そうかもしれない。軽々しくことを運ぼうとしては、侮りを招きかねないだろうに」
「それだけ、佳燕様がお好きなのかしら」
「どうだろう。白家の後ろ盾を失うことを恐れているのかもしれないが」
炎俊の答えの素っ気なさに、朱華は意味のないことを言った、と気付かされる。佳燕が見た目通りの弱々しい方かどうかは分からないし、翰鷹皇子にいたっては、名前しか知らない赤の他人だというのに。
「……こんなに慌てて、私たちに何を仰りたいのかしらね……」
しかも、たとえ理由が一途な愛だとしても、佳燕に起きたかもしれない変事について、その罪を被せられるのだとしたら理不尽としか言いようがない。
多分、炎俊も朱華のうんざりとした気分を共有しているのだろう。深々と溜息を吐いた後、思い切ったように再び筆を持ち上げた時の炎俊の表情は、何でこんなことをしているのか、と物語っているようだった。きっと、皇子というものは多忙なのだ。なのに、日程を決めるだけのやり取りがこうも長引くのは無駄というものではないのだろうか。
「あの方の考えることは分からない。……引き伸ばすのも限界のようだから、お互いの都合がつき次第、と答えてしまうが、良いな? この調子だとできるだけ早く、と言われるだろう。それだと明後日になるが」
「仕方ないんでしょうね。準備をしておくわ……」
衣装選びはもちろんのこと、部屋を整えたり茶菓を見繕ったり、供するための器を吟味するのも妃の役目らしい。良い勉強と、思うしかないのだろう。
書くと決めると、炎俊の筆は早かった。流れるような筆の運びで、字が紙の上に綴られていく。あまりに見事で、筆が紙を撫でる音が音楽のように感じられるほど。夫の集中を乱さないためにも、朱華は黙って目と耳を楽しませることにした。
手紙を書き終えた炎俊が筆を置いたのを見計らって、朱華は口を開いた。
「――ねえ。陶家から、呼んで欲しい人がいるんだけど」
黙っていたのは、機を窺うためでもある。無事に筆を紙から離した時は、気が緩むもの。立ち入った話を切り出すにはもってこい、かもしれなかった。
炎俊は、「雪莉姫」と陶家の連絡を遮断したままだ。あちらとしては、折角娘が選ばれたのに星黎宮に取られたきりでは、皇子との繋がりを持ったとは言えない。朱華自身の手紙も信用されないだろうから、実家の意向を伝えるお目付け役を送り込みたいと、切望しているはずだ。そして一方で、炎俊はその願いを叶えるはずがない。皇子が実は女だなんて秘密は、そう簡単に漏らす訳にはいかないのだから。実は結構知る者も多いようなのは朱華も頭が痛いことだけど、だからこそこれ以上増やしたくはないだろう。
この辺りの事情に、朱華の望みを通す余地があると良い。切にそう願いながら、朱華は何気ない風を装って首を傾げた。
「あんたにとっても悪いことじゃないはずよ。家の者をここに送り込ませることができれば、陶家も安心する――安心して、あんたに仕えるはず」
「そなたにそのような相手がいたとは意外だった」
「そうね。ほとんどは嫌な奴ばかりなんだけど」
主に峯のバアアの顔を思い浮かべ、かつ頭の中で踏みつけながら、朱華は顔を顰めた。陶家が送り込みたいのは、まさにあのババアなのだろう。でも、炎俊の秘密のことを抜きにしても、朱華としてはあの糞ババアとまた顔を合わせるなんてご免だった。朱華が心に思い描いたのは、全く別の方のことだ。
朱華は掛けていた長椅子から立ち上がると、炎俊の方へ歩み寄り、顔を近づけて囁いた。
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