父を助けに18年

クルミ

文字の大きさ
18 / 45

第16話

しおりを挟む
「雪愛、これを持って行きなさい。」

何だろう?

ママから小さな手帳のような物を渡された。

「これは…?」

「ママが高校生の時の生徒手帳よ。」

見てみると『森野 美奈子』と書いてある。
『森野』というのはママがパパと結婚する前の名字だ。

「パパを助けることは確かに大事だけど、あなたが無事に帰って来ることもそれ以上に大事なのよ!あなたはママとパパにとっては1番の宝物だから。
本当はあなたのことを危ない目に合わせたくない!」

ママは涙ぐんでいる。

「もし、向こうの時代でパパを助けることができなくても、必ずあなたは帰って来なさい。
危なくなったら迷わずに帰って来なさい!」

「うん…。分かった。」

私は答えた。

「総治君もタイムスリップは前代未聞のことで前例も無いって言ってたよね?」

「うん。言ってたね。」

「万が一、向こうの時代からあなたが帰って来られなくなることもあるかも知れない…。
ルール違反かも知れないけど、そうなった時は18年前のパパに全ての事情を話して助けてもらいなさい!
パパは当時でもきっと優しいから助けてくれると思うから…。
でも、もしパパに助けてもらうことが出来なかったら、当時の私の所へ行って全ての事情を話して助けてもらいなさい。
今、渡した生徒手帳に当時の私の住所や連絡先も書いてあるから。その手帳は18年前の物だから持って行けるはずだから。
最初は信じてもらえないだろうし、怪しまれるかも知れないけど、諦めずに話しなさい!
当時の私なら必ず助けてくれるから。時代は違っても自分のことだから分かるのよ。」

「ママって18年前はまだ大阪に住んでいたんだよね?」

「そうよ。大阪へ行けるくらいのお金は入れてあるから、その時は大阪まで私を訪ねて行きなさい。
生徒手帳に住所を書いてあるから、そこまでの行き方は向こうの時代の大人の人に聞きなさい。
もちろん、そんなことをする必要が無いのが1番良いのだけど…。」

「18年前にママはパパとはまだ知り合ってもないんだよね…。」

私は聞いた。

「うん。ママがパパと知り合ったのは大学生の時だったから、18年前はまだ知り合ってないね…。」

パパと知り合う前のママの所へ行って、まだママは結婚もしていない女子高生なのに、私が娘だと言っても信じて助けてくれるのだろうか?

普通は信じないだろう…。

小学4年生の私でもそう思う。
でも、違う時代で全然知らない関係のない人に話すよりは、助けてくれるのだろうか?

総治さんの話では、そもそもママやパパであっても18年前の人に、自分がタイムスリップして来たことや今の時代のことを話すことじたいが禁止されている。

だから、ママが言っているのは本当のどうにもならなかった時の最終手段なんだろう…。

もしも私が18年前に行ってその時代に居続けたら、どうなるんだろう?
2008年に予定通りもう1人の私が赤ちゃんとして生まれてくるのだろうか?
そうなると、総治さんが言っていたタイムパラドックスが起きてどちらかの私が消滅するのだろうか?

それとも私が18年前に居続けることによって歴史が変わって、もともと私は産まれないことになって私は消滅するのだろうか?

どちらにしても考えただけで恐ろしい…。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

処理中です...