彼がスーツに着替えたら

森野きの子

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過ぎたるは及ばざるが如し5

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 笑って誤魔化してから冴子も歯磨きをする。口をすすいだ後、これでいつでも眠ってしまえる。と安心したが、背後から抱き寄せられ、舌を差し込まれたので、睡眠欲が強制終了させられた。同じミントの香料が混じり合う。上だけ着ていたスエットの裾から手が入り込む。乳房の重みを確かめるような手つき。
「さえちゃんっておっぱいおっきいね」
「おっきいおっぱい、すき?」
「さえちゃんのおっぱいが好き。前さ、黒のタートルネックのニットをさ、きつね色のスエード調のタイトなロングスカートにインしてたときあったでしょ? あれヤバい。目のやり場に困ったもん」
 惚れた弱みで許すが、問題発言だと冴子は苦笑した。そういえば、あの時目を合わせようとしなかったし、他のお客さんとばかり話していたなと思い出す。忙しそうだとは思っていたが、まさかそんな理由があったとは。
「仕方がないじゃないですか。隠そうとしたら野暮ったくなるし、私だってかっこよく服を着こなしたいのに」
「性的な目で見てごめんなさい。でもあれめっちゃ好きなんで、また着てきてください」
「前向きに検討しときます。でも私も亮さんの上腕二頭筋を性的な目で見てたな」
「うそ!? まじか。今度からさえちゃんきたら腕まくりしよ」
「わざとのやつは冷めるからいいですぅ」
「女心難しい」
 といいつつ、ずっと手は動いている。平静な顔をしているが、指の隙間で波打つ乳房と裏地に擦れる乳首のせいでまた濡れていくのがわかった。臀部に押し当てられた亮の雄も再び固さを増してきた。
「ベッド、戻ろう」
「ん」
 ベッドに移動したあと、コンドームをつけた亮が冴子に覆いかぶさり、先程とは打って変わって乳房を鷲掴みにして、乳首を口に含んだ。舌使いが巧妙で、今まであまり乳首で感じたことのなかったはずがどんどん快感を覚えてきた。
「あっ、なんか、やだ、それ、おっぱい変な感じする」
 冴子の訴えを無視しているのか、はたまた取り入れているのか、亮の舌使いは激しさを増していく。
「え、まって、あ、やだ、へん。へんになる」
「変になってるんじゃなくて気持ちよくなってるんだよ」
 亮が顔を上げて冴子に口づける。舌を絡ませ合いながら、固くしこった乳首を指で摘んでこね回す。舌の動きと乳首への快感が連動していき、頭の中が白くチカチカしていく。
「はぁん、はあぁっ、んん、ん、んぐ、んんん……、あっ……!!」
 びりびりと頭の中が真っ白になって、腰がビクビクと跳ねた。舌と乳首から全身へ快楽の電流を流されているようだ。
「イッちゃう……! ヤバ、乳首だけなのにイッてる……! なにこれ、ウソ!?!?」
 漫画の中だけだと思っていた快楽に無意識に口走る。冴子の反応と台詞の過剰さに亮も驚いたが、同時に嬉しかった。素直な反応が更に昂らせる。
「じゃあ、こっちも気持ちよくなって」
 と上布団に潜り込み、半ば脱力状態の冴子の両足の間に割り込んだ。
「あ、やだ……。恥ずかしいから、だめ」
 と脚を閉じようとするが力が思うように入らない。
「暗くて見えない」
 と言いつつ、亮は舌で的確にクリトリスを探り当てる。冴子の入口は濡れている。中指の第一関節を出し入れすると粘着質な音を立てて咥えてくれる。冴子が甘い声で鳴き始める。そのなんとも言えないいやらしさに興奮を越えて苛立ちすら感じる。皮の上から愛撫していたクリトリスももう一方の親指で捲り上げて舌先で擽った。激しくするほど、冴子が身を捩り、よく鳴いてくれる。
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