上位互換を手に入れたから私はお払い箱?《お金持ちの国の【戦巫女】をクビになったけど直ぐに再就職出来ました》

ぶっちゃけマシン

文字の大きさ
19 / 29

第19話

しおりを挟む
「リン、今日のいくさでイコォーマはへいを15人うしなった。彼らの冥福を祈ってやってくれ。」

港に着いて軍船を降りたときにリーネオさんが教えてくれた。今度の戦いはお互いに【戦巫女いくさみこ】が居て加護があったから亡くなった人はまだ少ない方なんだって・・・。私は安置所に並んで寝かされた兵隊さんたちに言葉を掛けに行った。その間、ティタルちゃんはリーネオさんに預かって貰ったよ。

「今日は頑張って下さって有り難うございました。貴方のことは忘れません。ご冥福をお祈りします。」

私は一人ずつに手を合わせて、出来るだけ丁寧に祈った。運悪く火矢に当たってしまった人、湖に落ちて溺れてしまった人、やはり戦いだから死んじゃう人は必ず出る。改めて現実を思い知らされたよ。いくさなんて軽はずみに始めちゃいけないんだ、絶対。


「女神『ユマラタル』の名に置いてリン・サトウをイコォーマの【戦巫女いくさみこ】に任ずる!」

その日の深夜、日付が変わると教会の大神官さんが【戦巫女いくさみこ】の任命の儀式を執り行ってくれた。同時に私の視界の端に表示されていたステータスが変化する。

佐藤さとう りん 性別:女性 年齢:17歳 職業:【戦巫女いくさみこ所属:なし】』

   ↓

佐藤さとう りん 性別:女性 年齢:17歳 職業:【戦巫女いくさみこ所属:イコォーマ国】』

所属が「イコォーマ国」になった途端、色々なステータスも上昇する。体中に力がみなぎる。やる気もぐんぐん出て来たよ。ああ、再就職したって実感がいてくる。これからはイコォーマの国民のために頑張るぞ!まあ一ヶ月で再就職は「直ぐ」に入るよね。最初から内定してたんだし、今までは試用期間ってことで。

ようやくく我がイコォーマの【戦巫女いくさみこ】になってくれたな。これから宜しく頼むぞ、リン。」

「はい、貴方あなた。」

リーネオさんが私の肩に手を置いて語りかけてくる。ちょっと頬が熱くなるけど「貴方」って言い方も慣れて来たよ。もう夜遅いけど、これから軍議だって。ティタルちゃんは寝かしつけてから来たし、クアーエさんが見ていてくれるから安心だ。

「本日の戦いでの捕虜は100余名です。戦いの後半はプロージアの【戦巫女いくさみこ】の加護が失われていたようなので相手方の戦死傷者は恐らく捕虜の数倍になるかと。軍船1隻を拿捕だほ小櫂船しょうかいせんも5隻沈めました。」

「漁師たちの見立てでは明日の天気も雨です。これなら明日は我がイコォーマが終始、有利に戦を進められるでしょう。」

最早もはや、我らイコォーマの勝利は動きませぬな。して和議の準備は如何いかがいたしましょうか?」

その時、急に軍議の間の扉が勢い良くひらいて伝令さんが入って来た。偉い軍人さんに何か耳打ちをしてる。その軍人さんの顔色が変わった。

「なんと! プロージアのマヴィン王太子がいくさの決着を一対一の決闘で着けたいと申し入れて来たそうです。無論、決闘の相手はリーネオ様を名指しして来たとのこと・・・。」

「リーネオ様、なりませんぞ! イコォーマは決闘などせずとも勝てまする。これは挑発です、乗ってはなりませぬ。」

「そうです、明日は雨。相手の【戦巫女いくさみこ】は足元も悪く、動いてれる軍船の上で「舞」など出来ないでしょう。しかも、こちらの【戦巫女いくさみこ】は雷すら思い通りに落とせるリン様でございます。いつも通りに戦えば自ずと勝利は見えるはず。」

ん? 何か尾ひれが付いてるよ。私、天変地異も起こせる人になっちゃってるみたい。そうか~、「皆さん、今です!」とか言っちゃったもんね・・・。

「ふむ。それも悪くないな。第一、プロージアはあちこちに決闘を申し込んだことは触れ回っておるだろう。ここで断れば、俺は臆病者とそしられ馬鹿にされることになる。受けようじゃないか、その決闘。」

リーネオさんは自信満々で私の方を見る。片目をつむりながらだよ。どうして、こんな場面で私にしゃべらせようとするの! 無茶振り反対!

「あの、リ、リーネオの武勇は皆さんの知るところ、あ、数多あまたのはずです。そして、彼には私、【戦巫女いくさみこ】リンが付いています。信じて貰って良いと思います!」

もう私は一生懸命だった。結局、皆さんの前で「リーネオ」と呼び捨てで言わなきゃならなくなったんだよ。もう顔が真っ赤になりそうなのを必死にこらえながら言った。こんなの反対なんて出来ない。ずるいよ。

「・・・。お二人の決意がそこまでならば、いくさ行方ゆくえをお任せ致しましょうか。」

「そうだな、何より稀代きだいの【戦巫女いくさみこ】リン様のお力添ちからぞえがあればリーネオ様が遅れを取るなど在り得まい。」

「そうだ、今日も我が部下が言っていたぞ。危ないと思った時に火矢がけて行ったと・・・。これも【戦巫女いくさみこ】リン様のお力に違いない。リーネオ様の勝ちは決まったようなものだ。」

んんん? 本当のところ、今日はティタルちゃんが【戦巫女いくさみこ】だったから私の功績じゃないんだけどな。けど水は差さない様にしよう。否定しても良いことないし。

「そうか! そうと決まれば早馬を出せ! プロージアや遊覧船の港に知らせるのだ。この俺、リーネオ・フォン・インゼルが決闘を受けたとな。明日は面白くなるぞ! ははは!」

もうリーネオさんはノリノリだ。こっちの気も知らないで良い気なもんですね。安全に勝てるなら、そっちの方が良いのに。彼は悪戯いたずらっぽく微笑みながら私の方を見ている。そして夜が明けた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

◆平民出身令嬢、断罪で自由になります◆~ミッカン畑で待つ幼馴染のもとへ~

ささい
恋愛
「え、帰ってくんの?」 「え、帰れないの?」 前世の記憶が蘇ったニーナは気づいた。 ここは乙女ゲームの世界で、自分はピンク髪のヒロインなのだと。 男爵家に拾われ学園に通うことになったけれど、貴族社会は息苦しくて、 幼馴染のクローにも会えない。 乙女ゲームの世界を舞台に悪役令嬢が活躍して ヒロインをざまあする世界じゃない!? なら、いっそ追放されて自由になろう——。 追放上等!私が帰りたいのはミッカン畑です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

処理中です...