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続 - 聖女の噂(2)
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大聖堂に倒れていた女の子、そして日本、学校――これでピンとこないはずがないだろう。
胸の奥に高揚感が広がった。同じ場所から来た女の子。
いつだって帰れるんだから――その女の子は自らそう口にしたのだ。帰れる確信がなければ出ないその言葉、私はエレナの肩をぎゅっとつかんだ。
「っ私、聖女様に会いたい!」
「ええっ? そんなこと、私たち帝国に協力してるのよ。どの面下げて会うつもりなの?」
エレナは口悪く言った。でもそれを聞いて、私がエレナの肩を掴む力は一層強まった。
「使えるものは使うわ」
使えるもの――私に使えるのはダーリオの力だ。
そんなことを思いながら、迎えに来たダーリオとともに私は意気揚々に屋敷に帰った。
周りに使用人もいる状況で国政にも関わりうる聖女のことをなかなか尋ねることができず、タイミングをうかがっていたが、寝所に入るとようやく込み入った話をできそうな状態になった。
「ダーリオ、王国の聖女様って知ってる?」
「聖女様? ルリ、どうしてそんな奴に興味を持っているんだ? 私以外に興味があるなんてさみしいじゃないか」
「いや、そういうことじゃなくて、ただ純粋に同じ王国出身の聖女様が来るかもしれないって知ったら、興味を持つのは普通でしょ?」
「ああ、ルリが、私から離れていこうとしている。やっぱり王国に戻りたいのか? 私を忘れて帰ろうとしてるんだろう? そんなこと許されるはずないだろう? なあ?」
「いや、その熱量、おかしいから、ただ聞いただけだから」
隣に座った、金色の瞳に黒髪の精巧な顔立ちの、将軍らしいがっちりした体つきの男。
その男が真正面から金の瞳をぶつけるように向けながら、私の頬を両手で包んで熱く言い募る。
もう見慣れた光景だった。だが、私の些細な言動にもこの男は毎回大げさなので、突っ込まずにはいられない。
「ダーリオ、私はただ気になって聞いただけなの。だって聖女様って今度帝国に来るんでしょう? せっかく同じ治癒師なんだから、会ってみたいって思うのは普通のことでしょ」
「ルリのことになれば、普通のことでは片づけられない」
「いや、そういうことじゃなくて、ダーリオって、とっても偉い帝国の軍人というか将軍でしょう? 普通の人なら会ってみたいて思っても会えないじゃない……? でもダーリオだから、私の願いを叶えてくれるかなって……ダーリオだから言ってみたのに」
何とか軌道修正を試みる。でもそんな私の努力はやはり今回も無駄に終わる。
「っ、ああ、ルリ! 私を頼ってくれたんだなっ! 嬉しい、ルリ、愛している、愛していっ」
「ひっ、んっ――」
ぎゅうっと抜け出す隙間もないほどに抱きしめられ、貪るように唇を合わせられた。
「ちょ、無理っ」
「だめだ、我慢できないっ」
唇が僅かに離れても、すぐに分厚い唇に口を覆われ、絡みついた舌に息がどんどんとあがっていく。
下腹部に凶悪な熱さをもった硬いものを押し付けられ、何とか体を離そうとするが、腹に押し付けられるそれはどんどんと膨らんでいく。
ああっ、なんでこんなことやっているんだろう――ふと我に返ったが、脳内に浮かんだ妄想の聖女様の姿と現実に突きつけられた凶悪的なその熱さを前に、私は正気を放棄することにした。
胸の奥に高揚感が広がった。同じ場所から来た女の子。
いつだって帰れるんだから――その女の子は自らそう口にしたのだ。帰れる確信がなければ出ないその言葉、私はエレナの肩をぎゅっとつかんだ。
「っ私、聖女様に会いたい!」
「ええっ? そんなこと、私たち帝国に協力してるのよ。どの面下げて会うつもりなの?」
エレナは口悪く言った。でもそれを聞いて、私がエレナの肩を掴む力は一層強まった。
「使えるものは使うわ」
使えるもの――私に使えるのはダーリオの力だ。
そんなことを思いながら、迎えに来たダーリオとともに私は意気揚々に屋敷に帰った。
周りに使用人もいる状況で国政にも関わりうる聖女のことをなかなか尋ねることができず、タイミングをうかがっていたが、寝所に入るとようやく込み入った話をできそうな状態になった。
「ダーリオ、王国の聖女様って知ってる?」
「聖女様? ルリ、どうしてそんな奴に興味を持っているんだ? 私以外に興味があるなんてさみしいじゃないか」
「いや、そういうことじゃなくて、ただ純粋に同じ王国出身の聖女様が来るかもしれないって知ったら、興味を持つのは普通でしょ?」
「ああ、ルリが、私から離れていこうとしている。やっぱり王国に戻りたいのか? 私を忘れて帰ろうとしてるんだろう? そんなこと許されるはずないだろう? なあ?」
「いや、その熱量、おかしいから、ただ聞いただけだから」
隣に座った、金色の瞳に黒髪の精巧な顔立ちの、将軍らしいがっちりした体つきの男。
その男が真正面から金の瞳をぶつけるように向けながら、私の頬を両手で包んで熱く言い募る。
もう見慣れた光景だった。だが、私の些細な言動にもこの男は毎回大げさなので、突っ込まずにはいられない。
「ダーリオ、私はただ気になって聞いただけなの。だって聖女様って今度帝国に来るんでしょう? せっかく同じ治癒師なんだから、会ってみたいって思うのは普通のことでしょ」
「ルリのことになれば、普通のことでは片づけられない」
「いや、そういうことじゃなくて、ダーリオって、とっても偉い帝国の軍人というか将軍でしょう? 普通の人なら会ってみたいて思っても会えないじゃない……? でもダーリオだから、私の願いを叶えてくれるかなって……ダーリオだから言ってみたのに」
何とか軌道修正を試みる。でもそんな私の努力はやはり今回も無駄に終わる。
「っ、ああ、ルリ! 私を頼ってくれたんだなっ! 嬉しい、ルリ、愛している、愛していっ」
「ひっ、んっ――」
ぎゅうっと抜け出す隙間もないほどに抱きしめられ、貪るように唇を合わせられた。
「ちょ、無理っ」
「だめだ、我慢できないっ」
唇が僅かに離れても、すぐに分厚い唇に口を覆われ、絡みついた舌に息がどんどんとあがっていく。
下腹部に凶悪な熱さをもった硬いものを押し付けられ、何とか体を離そうとするが、腹に押し付けられるそれはどんどんと膨らんでいく。
ああっ、なんでこんなことやっているんだろう――ふと我に返ったが、脳内に浮かんだ妄想の聖女様の姿と現実に突きつけられた凶悪的なその熱さを前に、私は正気を放棄することにした。
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